IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜 作:クローサー
P.S.
明日の朝8時頃(予定)、本小説のタイトルを変更します。詳しくは活動報告にて。
反IS組織ORCA本拠地 シークレットアイランド地下施設格納庫。
そこにセレン、一夏、真改が集結していた。
彼等の前には、五つのロケット型巨大ブースター、四つの翼を備えた、全長25mもの黒色の巨大な機体が3機ある。
「一夏、真改。貴方達はVOB/PNでヨーロッパに向かいなさい」
「……お前は……?」
「IS学園までわざわざVOB/PNを使う距離じゃないわ。このままIS学園に向かう」
「……わかった……」
そう言って、二人はそれぞれのアーマードコアを展開。VOB/PNに乗り込もうとするが…
「待って、一夏」
セレンから声がかかり、一夏は振り向く。
「何だ?」
「…何か、嫌な予感がするのよ。気を付けて」
「…ああ、わかった」
そう言って、セレンは格納庫から出て行った。
そして、二人はVOB/PNに搭乗。アーマードコアとVOB/PNとシステムリンクし、機体チェックに入る。
その間に機体が突如傾き始め、70度の角度で停止。複数の隔壁が開き、外の光が格納庫に入り、VOB/PNの下部に接続されているレールがカタパルトと接続。即席の滑走路が作成される。
-全ブースターユニット オールグリーン-
-ジェネレーター 異常無し-
-全翼の正常な稼動を確認-
-システム オールグリーン-
-VOB/PN 起動-
そのシステムメッセージと共に、VOB/PNが起動。ブースターに火が灯る。
「準備はいいか?真改」
「……ああ……」
「よし…行くぞ‼︎」
その瞬間、2機のVOB/PNの全ブースターユニットがアフターバーナーを開始。青白い噴射炎が床を焦がし始める。
「ブラック・グリント…」
「……スプリットムーン……」
「「出撃!!」」
その瞬間、カタパルトが起動。アフターバーナーの推力をも上乗せし、急激に速度が上昇。高速でレールを辿り、天空へと飛び出した。
IS学園。万が一、ISに関わる有事が発生した際の最後のセーフティゾーン。
しかし逆に言えば、IS学園を封鎖、制圧すれば最後のセーフティゾーンを失い、国家を失ったISは路頭に迷う事となる。
これを、オッツダルヴァとメルツェルが予想しない筈もなく、宣戦布告と共に艦隊と量産型アーマードコア GAN01-SUNSHINE によって海域及び空域を封鎖。
勿論、IS学園から専用機持ちや教師、千冬や真也達の攻撃もあったものの、殆どが実戦を知らない者ばかり。 それに対し、カラードの兵士達は皆実戦の中を生き残ってきた。
機体性能や実力は劣るかもしれないが…
気迫、戦略、意地、精神。
その全てを上回っている彼等を退ける事は出来ず、逆に出撃させたISの内7割を撃墜される。尚、撃墜された操縦者は艦隊に回収されたが、その後の行方は不明。
この結果により、IS学園は籠城を取らざるを得ない状況となる。
そして、元日本自衛隊艦隊も合流。より強固な包囲網が形成され、手が出せない状況となっていた…
IS学園上空。そこには、哨戒の為に複数のISが飛行していた。
その中には、IS学園地下の機密エリアに封印されていたIS《暮桜》を纏った千冬もいた。
臨海学校の時、千冬と真也は一夏によって重傷を負うが、束の応急手当等によって一命を取り留める。しかし、傷痕は消える事なく、今も2人の身体には斜め一文字の傷痕が残されている。
「…」
千冬は周囲を見渡しを怠る事なく、この後の事を考える為に思考を回す。
(…またか…)
しかし、思考を一点に回す度に思い出してしまう。
一夏と最悪の再会を果たした、あの出来事を。
『一兄…なんで…なんでテロリストになってて…なんでクラス対抗戦であんな事が出来たんだよ!!!!』
『それが俺の選んだ事だ。ただそれだけだろう?』
『お前があの時、なんで俺を助けに来なかったのかはわかった。けどな、俺にとってはそんな事は”どうでもいい”。
俺は、”
(…一夏は、この世界を変える為に戦っている。そして、その為に一夏は私達に刃を向けた…
一夏からすれば、
そう、千冬は今から11年前に起きた、日本に対して2341発以上ものミサイルが発射された軍事基地多数同時ハッキングによるミサイルテロ《白騎士事件》の首謀者の1人であり、白騎士の操縦者。
一夏の言う、「狂った世界」を作り上げた張本人である。
(だが…一夏、お前は間違っている。お前の
千冬の身体が僅かに、かつ自然に強張る。
(臨海学校では、手も足も出なかったが…次は、必ずお前を止めてみせる。どんな方法を使ってでも)
同時刻、IS学園海域を封鎖している反IS組織カラード第3艦隊旗艦《アルバード》艦橋内。
そこには複数の船員の他に、第3艦隊司令官と副司令官がいた。
「状況はどうだ?」
「全艦異常無し。引き続きレーダーによる索敵、GAN01-SUNSHINEで周囲の哨戒を行っています」
「
「IS学園上空に打鉄2機、ラファール1機、専用機ミステリアス・レイディ、及び暮桜を確認。現在も尚籠城を続けています」
「全く…無駄な悪あがきを」
「司令官」
その時、副司令官が声を掛ける。
「何だ?」
「何故IS学園へ制圧部隊を送らないのですか?我々ならば、IS学園の制圧も容易く…」
「反IS組織カラード第3艦隊の指令内容は?」
「は?」
「反IS組織カラード第3艦隊の指令内容は何だ?」
「…IS学園周辺海域及び空域を封鎖。封鎖海域、空域に接近する勢力を撃破せよ、です」
「そこだ」
「はい?」
「リーダーからの指令内容には、「IS学園を制圧せよ」とは一言も言っていない。それに、お前は過信している」
「過信、ですか?」
「ああ。我々の持つアーマードコアは、確かにISをも上回る力があるが、無敵ではない。無理に制圧部隊を送れば、被害は大きくなる。そこに第3勢力が介入されれば、我々はたちまち総崩れだ」
「…‼︎」
「そういう事だ。仮に制圧するにしても、今はその時ではない。我々は、ただこの海域と空域を封鎖し続ければいい。分かったか?」
「はい」
その時。
「…ん?」
司令官が、何かを感じ取る。それは、傭兵だった時に培ってきた第六感とも言える勘が、何かを察知した。
「14番艦《アンティオ》に通信を繋げろ」
「了解」
通信兵が、第14番艦アンティオへと通信を繋げる。
『こちら、カラード第3艦隊14番艦アンティオ』
「アンティオ、貴艦から4時の方向、何かレーダーに捉えてないか?」
『少々お待ちを……………レーダーには何も捕捉していません』
「そうか…すまな─────」
『…! 4時方向!!音速で接近する機影を捕捉!!!!』
「「「「「!!!!!!!」」」」」
「全艦に第一種戦闘態勢を通達!!!!GAN01-SUNSHINE、スクランブル!!!!アンティオ、すぐにスキャンを!!」
『既にスキャンを進行中です!』
次々と動き出す状況。外を見れば、既に多数の量産型アーマードコア GAN01-SUNSHINE が空に飛び立ち、各艦の対空兵器の砲口が4時方向に向けられていた。
『全艦、全機!こちらアンティオ!機影のスキャン完了!!』
「何だ!!ミサイルか!?ISか!!?」
『いえ、その何れでもありません!!接近中の機影は─────
ワンオフ型アーマードコア、ホワイト・グリントです!!!!』
「やっぱり気付かれてるか…まあここまで来れたら上出来ね」
カラード第3艦隊へ、オーバード・ブーストで接近しているセレン。右手には063ANNR、左手には051ANNRが握られており、両翼の先端部にはSALINE05が接続されている。
──ねぇ、ワタシは?──
突如、セレンの頭に直接響く声。
「…あんたはまだ引っ込んでなさい」
その時、上空と海上からの一斉砲火が始まる。
しかし、セレンは焦る事なくクイック・ブーストと2段クイック・ブーストを織り混ぜながら連発し、回避。
そして、空中から撃ってくるGAN01-SUNSHINEと海上の艦艇に051ANNRと063ANARを照準、発砲。銃口から051ANNR、063ANAR専用弾”60×120mm 威力特化型徹甲弾”が発射される。
60×120mm 威力特化型徹甲弾はプライマルアーマーを貫通し、装甲を破壊して操縦者に直接ダメージを与える事に特化した専用弾。ただし、威力のみを極端にまで追求した為、その他の性能が全て犠牲となっている。
しかし命中精度が悪くても、相手は艦艇と最初期の量産型アーマードコア。量産を重視している為、一機一機の性能はアーマードコアの中でも最低レベル。
艦艇とGAN01-SUNSHINEは回避しきる事は出来ず、60×120mm 威力特化型徹甲弾が次々と命中。
GAN01-SUNSHINEはいとも簡単にプライマル・アーマー及び装甲を貫通。巨大な弾丸が身体を抉り、上半身と下半身吹き飛ばし、次々と死体を作ってゆく。
艦艇の装甲でさえも、60×120mm 威力特化型徹甲弾の前にはまともに防ぐ事なく、次々と装甲を貫通。そして狙い通り艦艇の弾薬庫に命中し、爆発して真っ二つに船が割れた。
そして、その上空を音速で通り過ぎ…る前にオーバード・ブーストを停止し、同時にクイック・ブーストの推力で素早く振り向くクイック・ターンを発動。敵の中央に突入し、確実に敵を撃破、殲滅していく魂胆なのだろう。
(さて、貴方達は何分持つのかしら…?)
「何だ…これは?」
同時刻、IS学園上空。そこで哨戒をついさっきまで行っていた千冬の視線の先には。
火の海があった。
沈んでゆく艦艇。操縦者の操縦を失い、墜ちてゆくGAN01-SUNSHINE。
火の海と海上に浮かぶ大量の血が、海を赤く染め上げていた。
そしてその上で戦闘を続ける1機のGAN01-SUNSHINE。既に他は全滅しており、他からの砲火は一切無い。
そして、最後の敵に向かって接近する
GAN01-SUNSHINEは必死に弾幕を張るが、いとも簡単に回避される。
そして懐に入った次の瞬間、身体が文字通り”バラバラ”となり、返り血が白い装甲を染め上げた。
最後のGAN01-SUNSHINEが撃墜され、カラード第3艦隊は壊滅した。
たった一機で、4分。
たった一機のアーマードコアが4分で、艦艇43隻、GAN01-SUNSHINE54機を蹂躙し、破壊し尽くした。
火と血で赤く染まった空と海。その中に静かに佇む、一部の装甲が紅く染まったホワイト・グリント。
その姿は、後ろの景色も合わさり、幻想的にも見える。しかし、その幻想は決してあってはならない、”破壊”の具現。
そして、青いカメラアイの視線が、千冬の視線と合わさる。
『聞こえるかしら?織斑千冬』
突然、暮桜に入る通信。相手は、ホワイト・グリントの操縦者、セレン。
「…ああ」
『なら、単刀直入に言わせて貰うわ。貴女は引っ込んでなさい』
「どういう事だ?」
『たかだかモンド・グロッソとかいう世界大会で優勝しただけのアスリートが介入するな、って事よ。実戦を知らない奴等が介入してもこっちが面倒なだけ』
「…」
『それに、一夏より”弱い”あんたが介入した所で、なんにもならないわよ』
「っ…!!」
『そういう事よ。貴女達は見てるだけで良い』
通信が切れる。
そして、クイック・ターンと同時にホワイト・グリントの両翼が広がり、オーバード・ブーストが発動。音速で離脱していくのを、千冬達は見る事しか出来なかった。
「…私は…」
1時間後、シークレットアイランドから一機のVOB/PNがホワイト・グリントを乗せて空へと飛び立った。目的地は、アメリカ。
アメリカへと進路を取り、飛行を始めるが、セレンは何かを感じていた。
(…さっきから何なのかしら、この感じ…)
何か、胸の奥に引っかかる何か。それが何か、セレンには分からなかった。
そして、正にこの時。世界は誰もが予想出来なかった展開へと進み始める。
しかし、それを知る事が出来る者は誰1人としていなかった。
《No.000 オンライン》
《No.004 オンライン》
『主任』
『ん、何か用? C』
『Rより定期連絡が入りました』
『お、って事はやったのかな?』
『はい。カラード 第11連合艦隊は壊滅。セシリア・オルコット、No.13447は死亡。織斑一夏は─────』
死神達を除いて。
近日中、設定集更新予定。