IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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真改編に関してはある程度固まってたんで、モチベーション低下してても割とサクサク書けました。

推奨BGM「Blue Magnolia」


第四十八話

「オオオオッ!!」

 

『ムッ…!!』

 

混沌の戦場と化した都市の上空にて、空を駆ける2機のアーマードコア、スプリットムーンとオープニング。

 

真改がクイック・ブーストを発動し、圧倒的な推力を得てメルツェルへと接敵。しかしメルツェルも左へクイック・ブーストで回避と同時にレールライフルmk-Ⅱを照準、トリガーを引く。

 

トリガーを引くと同時に薬室の撃鉄が下りて薬莢の雷管を強打し、弾丸を撃発。そうして初期加速を得た弾丸は、レールガンの銃身に辿り着くと同時に一対の銃身に帯びた電力による電磁加速を開始。銃身から飛び出した弾丸は、電磁加速により音速を超えた超音速の速度を獲得してスプリットムーンのプライマル・アーマーに命中。

 

プライマル・アーマーは弾丸を弾き出そうとするが、弾丸の速度は凄まじく、プライマル・アーマーが完全な効力を発揮する前に完全に突破。スプリットムーンの右脇腹部装甲に命中し、装甲にダメージを与える。

 

「チィッ!!」

 

次弾を回避するように真改はクイック・ブースト。一時的に距離を取ると共にクイック・ターンし、レールライフルmk-Ⅲを発射。

 

真改が持つレールライフルmk-Ⅲは、メルツェルが持つレールライフルmk-Ⅱとは違い、弾速と火力を多少犠牲にして連射速度を高めたタイプ。

 

秒間5発の発射レートで次々と飛来する弾丸にメルツェルはギリギリで回避が出来ず、プライマル・アーマーを貫いてオープニングの装甲を削る。

 

『ッ…』

 

メルツェルは素早く右へ”アクセル・クイック・ブースト”を発動して回避。更に再度アクセル・クイック・ブーストを用いて素早く後退して距離を取り、仕切り直す。

 

『更に腕を上げたな、真改』

 

「それはお前もだろう…いや、お前の場合は少し違うか」

 

『やはり分かるか』

 

「それを知っていれば自然と分かる。それに、以前のお前は今の芸当など出来やしなかったからな」

 

その時、2人の間の空間を巨大な黒色の機体(VOB/PN)が爆音と共に通り過ぎ、その0.5秒後に一発のミサイルが通り過ぎる。

 

「『!』」

 

2人はそれを目線で追いかけると、VOB/PNはそのまま高度と速度を維持して建物に突っ込み、そのまま建物を倒壊させながら向こう側へと貫通。ミサイルは建物の瓦礫に当たり炸裂した。

 

それを見届けた2人は視線を戻す。

 

『…中々無茶な事をやってのけるな、織斑一夏。流石と言うべきか、それとも…』

 

「さあな…俺が思うに後者だと思うが、それを確かめるのがお前等の役目だろう?」

 

『それもそうだな』

 

そして、再びの睨み合い。

 

こうなるのも、2人のスタイルの違いが原因の一つでもある。

 

真改は月光で絶対の一撃を狙うのに対し、メルツェルはレールライフルmk-ⅡとYAMAGAを用いた引き撃ちでゆっくりと確実にダメージを狙う。

 

メルツェルの戦法は真改のスプリットムーンには相性が良い。スプリットムーンは機動力特化も持ち合わせている為に装甲自体は薄く、防御はプライマル・アーマーに依存する為、必然的に被弾は抑えなければならない為にこの戦法は有効。

 

しかし、真改の戦法もメルツェルには…いや、全機体に有効な戦法でもある。スプリットムーンの専用武器の月光の威力は凄まじく、命中さえすれば命中箇所に甚大な損傷を与える事が出来る。

 

圧倒的な手数を持つメルツェル、圧倒的な一撃火力を持つ真改。

 

両極端でありながら、双方にとっては強力な戦法である為に、2人は一切の隙を見せる事が出来ない。

 

 

 

 

「『………』」

 

 

 

 

睨み合いからどの位経っただろうか。数十秒かもしれない、数分かもしれない、数十分かもしれない。しかし、2人にはそれは関係なかった。

 

『…む』

 

不意に、メルツェルが何かに気付く。

 

『…真改、どうやら決着は先延ばしのようだ』

 

「…何だと?」

 

真改の言葉の中に怒りが孕む。

 

『時間切れだ。私にもやるべき事がある。それに、私はお前の私闘は受けたが、私は”この場で決着をつける”という事に関しては同意した覚えは無い』

 

「…お前らしい言い方だな」

 

『それに、私もお前もまだ不完全だ。機会を改めて、共に十全な状態で決着をつけよう』

 

「…分かった」

 

オープニングの背部に搭載されたオーバード・ブースターが起動し、エネルギー収縮がゆっくりと始まる。

 

『この場は引き分けだ。次に会う時まで、死ぬなよ…いや、言うまでもないか』

 

「お前に言われるまでもない。

 

…これは俺自身の勝手なエゴには変わりがない。アンジェも、きっと笑ってくれないだろう。

 

だが、俺は止まる気は無い。俺は、俺の答えの為に戦う」

 

『…フッ』

 

そしてメルツェルはクイック・ブーストで振り返ると同時にオーバード・ブースト。超音速で戦域を離脱してゆく姿を、真改は見届けていた。

 

そして、真改はメルツェルが言った一つのワードに疑問を抱く。

 

(…待て、あいつの言った”時間切れ”は一体何の事だ?)

 

その時、スプリットムーンのレーダーが北海の方向から多数の飛来物を捉えた。

 

「…まさか」

 

真改の頭に浮かんだ最悪の想定。それを確かめる為に、北海方向の空を見る。

 

 

そして、その想定は当たった。当たってしまった。

 

 

「…またか!!!」

 

 

そこには、空を覆う程の煙を撒き散らしながら向かってくる幾多のミサイルが飛来していた。

 

すぐさま真改はクイック・ターンと同時にオーバード・ブースト。兵装も格納し、全速力で離脱を開始する。

 

(くっ…ミサイルの方が速いか!!)

 

しかし、ミサイルの方がスプリットムーンの全速よりも速く、このままではミサイルの雨に呑まれるのは決定的だった。

 

(…あれだ!!)

 

まだ原形がまともに残っている建物を見つけ、真改は高度を下げ───

 

 

「ッ!!!」

 

 

対衝撃体勢を取り、窓ガラスを突き破って建物内へと突入する。

 

 

 

その数瞬後、再び都市に破壊の雨が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破壊が収まった時、周囲の建物は殆どが半壊し、倒壊して瓦礫と化した建物も多数あり、ほぼ廃墟と化した都市。

 

 

辛うじて原形を残した建物から、スプリットムーンを待機状態にさせた真改が出てくる。

 

 

周囲を見渡すと、最早敵も味方も居なく、実質的に戦線は壊滅状態。このままではヨーロッパ諸国本土第2防衛戦線の崩壊は目に見えていた。

 

 

(…頼むぞ、一夏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あの時の白いACの操縦者か。久しぶりだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!!!!!!?」

 

突然、後方から掛かる声。振り返ると、そこには着古した軍服の様な服を着ている、灰色の髪と暗い青の瞳が特徴の青年。

 

 

 

それを認識した真改はすぐさまスプリットムーンを展開しようとするが───

 

 

 

 

「……止まれ」

 

 

 

次の瞬間青年が消えたと思ったら、目の前に自身の額の目の前に銃口を突きつけられていた。

 

 

 

一瞬前までは、確かに数メートル離れていた筈の灰髪(はいがみ)の青年。

 

 

 

 

 

しかし、この青年は文字通り”一瞬”で数メートルという距離を移動し、なおかつ自分の額に銃口を突きつけた。

 

 

 

 

 

「………!!!!!!!!」

 

 

真改がそれを認識したその時、感じたのは「自身の死」だった。

 

 

 

灰髪の青年から発せられる殺気と気配が融合したプレッシャーは、言葉に出来ない。

 

 

 

無理矢理言葉に例えるならば、こうだろう───

 

 

 

 

 

”死”そのものが歩いているかの様に存在しており、”敗北”という二文字を知らず、火の粉を払うかのような気軽さで全てを焼き滅ぼす地獄鳥(死の権化)

 

 

 

 

立ちふさがるモノは全て滅ぼし尽くし、今もなお羽ばたき続けるその”存在”を前に、真改は”生きる”という選択肢は思い浮かばなかった。

 

 

 

 

否、”思い浮かべなかった”というのが正しいだろう。

 

 

 

 

その”存在”は現在の己が決して刃向かってはいけない存在なのだから。刃向かった所でその”存在”は、ゴミをゴミ箱に捨てるかのように、真改を滅ぼす(殺す)のが目に見えるのだから。

 

 

 

 

 

そして、”生きる”という選択肢を捨てた真改は目の前に具現化された”死”を受け入れる様に、目を瞑る。

 

 

 

それを見た灰髪の青年は───

 

 

 

「…今は戦う気は無い」

 

 

 

その言葉を口にして、銃を下ろす。それと同時に、青年から発せられる殺気が消え、真改にのしかかっているプレッシャーが緩和される。

 

 

「…ッ」

 

 

プレッシャーは緩和された為すぐさま身構えるものの、戦った所で勝利の可能性は0%。しかし今から逃げる事も出来ない。絶望には変わりがない。真改の体全体から冷や汗が流れ始めた。

 

 

すると青年が背中を見せ、ゆっくりと歩き始める。しかし真改は手を出さない。

 

 

否、出せない。この青年は今も真改を”見続けて”いるのだから。

 

 

青年はポケットから端末を取り出して、後ろ向きのまま正確に真改へと投げ渡す。

 

 

「!」

 

 

真改はそれを慌てて受け止める。

 

 

「俺が持ってても使わない代物だ、くれてやる」

 

 

「…お前に、一体何のメリットがある」

 

 

「気まぐれだ。俺は開発途中の機体を作れる程器用じゃないんでな」

 

 

そのまま歩き始める灰髪の青年だが、不意に足を止めて、目線だけを真改に向ける。

 

 

「あの時の桜色の操縦者はどうだ?そこまでの能力は無かったとは言え、死んでいなかった筈だが」

 

 

「…あいつは死んでない。寧ろあの時よりは強くなっている。とはいえ、お前の足元にも及ばないがな」

 

 

「そうか」

 

 

それを聞いた灰髪の青年は再び歩き始め、硝煙の中へと消えて行った。

 

 

「…ッ!!」

 

 

その瞬間、極限の緊張が解けた真改は堪らずそこに座り込んだ。

 

 

真改の服は冷や汗でビシャビシャになり、この短時間で何れだけの量の冷や汗が出たのかが一目瞭然となっている。

 

 

「…何故、あいつが?あいつはアンジェとベルリオーズと相討ちになった筈…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「例の件は片付けた。巻きで頼むぞ」

 

 

『了解っす。あ、1人オマケが付きますけど、大丈夫っすか?』

 

 

「オマケ?…ああ、あの傍迷惑なガキか」

 

 

『傍迷惑なガキって、もしかして私の事かしら?』

 

 

「…今更何をしに戻って来た。予想は付くが」

 

 

『偶然こいつと会っただけ。後は里帰りかしら』

 

 

「…まあ構わない。好きにしろ」

 

 

『ありがと。まあ断っても無理矢理押しかけたけどね♪』

 

 

『そんなんだから傍迷惑なガキって言われる……痛っ!!痛いっすよ!!』

 

 

『あんたが悪いんでしょうが!!』

 

 

「…おい、続きは後だ。とりあえず引き上げろ」




次話の投稿は遅れる可能性があります。

P.S.
設定集更新。近日中、再度更新予定。(更新タイミング間違えた…)
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