IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜 作:クローサー
次の更新も時間掛かると思います。まだまだ空戦描写等の勉強しなければならないので。
P.S.
別のIS小説のリメイク作を投稿しました。興味がある方は是非。てか読んでくださいお願いします。(土下座)
推奨BGM「Varcolac」
VOB/PNを用いて、連合軍の攻撃を躱しながら、次々とカラード所属航空機を墜としていく一夏。
その時、ミサイルアラートが鳴り響く。
「!」
一夏はすぐさま回避機動を取ると同時に、レーダーで接近するミサイルを確認。
ミサイル捕捉。7時方向、距離1205mに一発。
一夏はすぐに高度を落とし、大通りの上空に到達。高度6mという、建物と建物の間を音速で突き進む。
ミサイルはそれを追う形で高度を落としてゆき、建物と衝突、爆発した。
(…かなりの手練れか)
一夏は高度を取ると同時に、ミサイルを発射した相手の評価を釣り上げ、警戒を最大限にする。
通常、ミサイルを発射する際には敵に誘導する為に、レーダー波を照射して目標物を捕捉する”ロックオン”という手順が必要となる。
戦闘機は、ロックオンされた警報である”ロックオンアラート”が標準装備されている。それはVOB/PNも例外ではない。
しかしロックオンアラートはならず、ミサイルアラートのみが鳴り響いた。
つまり、相手はロックオンと同時にミサイルを発射した、という事だ。
『やはり躱すか、ブラック・グリント』
「ッ!?」
突如全周波で響いた通信。恐らくは、ついさっき飛来したミサイルを発射した張本人だろう。
『まあ、この程度で墜ちてはORCAの名が廃るがな』
その時、レーダーが超音速で接近する4機の戦闘機を捕捉。”フィンガー・フォー”という、4機による基本編隊を組んでいる。
一夏はすぐに、それに相対する様に機体を旋回する。
『ヴィクコラク遊撃隊、ここで黒鳥を狩る!!』
その時、一夏とヴィクコラク遊撃隊がヘッドオン(真正面に向き合う)。距離は約2060m。
距離1500m。まだ両者に動きはなく、そのまま全速力でヘッドオンを続ける。
距離1000m。それは起こった。
『ブラック・グリント…人狼の牙に恐怖しろ!!』
その瞬間、VOB/PNの前面装甲に一発の超音速弾が命中。
「ッ!?」
突然起こった事に一夏は驚愕するが、そんな暇を与える程ヴィクコラク遊撃隊は甘くない。
3機がロックオンと同時にミサイルを発射。3発のミサイルがVOB/PNに真っ直ぐに飛来。
それに対し、一夏は2発のハイレーザーを同時発射。
ハイレーザーから発せられる電磁波が即席の指向性ECMとなり、妨害されたミサイルはあらぬ方向へと飛んでゆく。
そして、一夏は反撃に機銃を斉射。しかし先の被弾により一門が発射不能となり、3門の斉射となったが。
『散開』
その言葉を合図に、ヴィクコラク遊撃隊は4方向へと散開。一夏は斉射を止め、
0.1秒にも満たないが、一瞬回避が遅かった2番機の後ろへと回り込もうとする。
『ヴィクコラク2、ブレイク!!』
2番機はすぐさま回避機動を開始。しかし、振り払われる訳にはいかない一夏はそれに食いつく。
機体性能はほぼ互角。いや、機体が大きいVOB/PNの方が不利だ。
確かにスペック上はほぼ互角ではあるが、「カテゴリー」という前提から違ってくる。
VOBは元々アーマードコアを展開した状態で敵防衛線を強行突破し、パージした後にアーマードコアで敵の本命を直接攻撃する為の機体であり、加速度と最高速度に特化していた。当初のVOB プロトタイプモデルの最高速度は3500km/hにもなると言われた。
しかし、攻撃後の撤退戦を考慮した結果、敵防衛線を強行突破しつつ、ある程度の被害を加えるという戦術が採用。その結果生まれたのがVOB/PN。
加速度、最高速度を犠牲にして、機動性と安定性を高め、そしてVOB/PNによる超音速戦闘の為の火器を複数搭載した。
それに対し、ヴィクコラク遊撃隊が駆る「試作型全天候多目的攻撃戦闘機 X-02」は、極限に極限を重ねたチューニングを施した、異常な程のスペックを誇る史上
かつて構想されていた高性能次世代戦闘機のデータを元にカラードが独自に開発した、対アーマードコアを前提とした最新鋭可変翼戦闘機であり、機動力はF-22をも上回る機動力を持つ。
低速時には前進翼、高速時には後退翼となる事で、あらゆる速度領域でも機動力を保つ事が出来る。
ジェットエンジンは戦闘機最速と言われたMig-31を元に開発。結果としてMig-31にも劣らない最高速度を達成。しかもそれは、燃焼消費が過剰であるアフターバーナー未使用で2400km/hを突破する事が可能。
しかしその代償として、この機体一機の生産には250億円を必要とし、更に維持費も馬鹿にならない程のコストが掛かる。
更に装甲は極限まで軽量化を施した為に、一発の被弾が致命傷にも十分になり得る。
この機体を使いこなし、操るには「絶対に被弾はしてはならない」為、エースパイロットしか乗る事が出来ない、あまりにもピーキーな戦闘機となった。が、X-02は対アーマードコア戦闘を前提として開発された為、必然的にパイロットはエースパイロットに限られる為に問題視されなかった。
この様に、VOB/PNとX-02は根本から大きな違いがあり、機体性能の差はあまりアテにならない。最終的な差は実力の一点のみ。
(まだだ…)
ロックオンアラートが鳴り止まない。ミサイルを撃たないのはまだその時ではないからだろう。ゲームとは違って、ミサイルは勝手に補充などされないのだから。
2番機は機体を激しく動かし、攻撃の隙を与えない。
『俺ばっかりに気を取られてていいのかい?』
通信から聞こえてくる、挑発的な言葉。しかしそれに応える事はなく、ついていくのが精一杯だが、操っているのは人間。限界は何れ訪れる。
その隙、必殺の時のチャンスは無駄には出来ない。一夏は機銃のトリガーに、僅かながらに力を込め、その瞬間を狙う。
(まだ撃つな…)
そして。
動きが鈍り、2番機の機体が水平に戻る。
一夏はその時を待っていた。すぐさま2番機の後ろ、必殺の位置に付く。
(今──)
『
次の瞬間、2番機が突然右方向にバレルロール。そして開いた空間の目の前には──
ヴィルコラク遊撃隊
(なっ──)
突然の事に、一夏は一瞬の反応が遅れる。そしてその隙を的確にヴィルコラク遊撃隊は突く。
リーダー機の右上部に搭載されたナニカから、超音速弾がパキュンッ!!!!という特徴的な砲音と共に飛来。VOB/PNの右下の翼を剥ぎ取る。
そしてリーダー機はバレルロールによる慣性で、VOB/PNの左上…僅かに3mの距離を通り去る。
一夏は過ぎ去る瞬間のリーダー機を冷静に見つめ、超音速弾の出元を探す。
チャンスは0.2秒にも満たない、ほんの僅かの時間。しかし、一夏にとってはそれだけでも十分な時間。
(─!)
そして、ソレを見つける。
リーダー機の左右上部に展開された、全長3mもあろう、戦闘機に搭載するにも大き過ぎるとも言っていい、巨大な固定砲台。
(…おい、一体何の冗談だ)
それの正体を一夏は一瞬で見破る。しかし、それは一夏にとっては悪い知らせとなる。
(──戦闘機に
リーダー機に搭載されている巨大な固定砲台の正体は、「試作型戦闘機搭載用小型
X-02の為に開発された専用兵器であり、まだ試作段階の代物ではあるものの実戦投入可能なスペックを誇る、世界に唯一「戦闘機に搭載可能な
その砲台から発射される弾丸の弾速は7000km/h。音速に直すとマッハ5.83。音の6倍の速度で発射し、確実に目標を破壊する。
(──ッ!!)
しかし、一夏はそれに驚愕している暇は無い。
ミサイルアラート。アラートの間隔から察するに今度は2発。
7時方向にいる3番機から1発。5時方向にいる4番機からもう一発発射されていた。
「そう何度も食らってたまるか──」
エンジンの出力を限界まで下げ、フルブレーキ。そして同時に機首を持ち上げる。
急速に速度が失われ、機首が垂直のまま空中で”静止”する。
そして次の瞬間、物理法則に従って急速に機首が更に後ろに倒れ始め、同時に自由落下と言う名の
「──よっ!!!!」
それと同時に、一夏は機銃の掃射を開始。ストールを起こしながら落ちてゆく機体では、その弾丸の雨は明後日の方向に飛んでゆく─────
──そう思われた弾丸の雨は、7時方向にいたミサイルを捉え、爆発した。
それを認識した瞬間に一夏は、逆さになっている機首を更に倒し、ストールから脱出するかと思われたが。
VOB/PNの下部ブースター、3番、4番ブースターが緊急稼働。全出力で機体を下方向に回転させ始める。その姿はダブルクルビット(クルビット(※1)を連続で2回行う戦闘機動)を思わせる。
そして、機首を無理矢理5時方向に合わせ、掃射。近距離まで迫っていたミサイルを破壊し、今度こそストールから脱出を図る。
その間、ヴィルコラク遊撃隊は一夏から距離を取り、態勢を立て直していた。
『
「そっちこそ、戦闘機に
通信で行われる僅かな会話。しかし、双方にとっては十分過ぎる。
(…)
そして、一夏は思う。
ヴィルコラク遊撃隊を見たとき、一夏は心の何処かで「たかが4機の戦闘機」と高を括っていた。
しかし、この状況は何だ?たった4機の戦闘機で、戦闘機より遥か上の強さを持つ
何が「たかが4機の戦闘機」だ。
彼等は、ヴィルコラク遊撃隊は、正に全身全霊を掛けて倒さねばならない強敵。
ヴィルコラク遊撃隊の前に、過信と油断は絶対に許されない。
正に、彼等は”ヴィルコラク”の名に相応しい人狼。
一瞬の油断があれば、彼等は即座に一夏の喉元を噛み千切るだろう。否、噛み千切れただろう。
しかし、彼等が人狼ならば、一夏はその上を行くまでだ。
今、この
『さて、これで”準備体操”は終わりだ。ブラック・グリント』
「ああ、感謝するよ。おかげで身が引き締まった」
『戦場にルールはない。ただ敵を殺すだけだ。だが、全力で無い相手を殺してもつまらない。
そうだろう?ブラック・グリント』
「違いない」
そして、高度1000mで双方は再びヘッドオン。
『
「ご自慢の牙を叩き折ってやらあ!!!!」
最強の人狼と最強の黒鳥が、空を舞う。
ヴィルコラク遊撃隊戦は数話かけて描写してゆく予定です。かなり長くなるんで。
(※1)水平飛行中に進行方向と高度を変えずに後方に一回転させ水平姿勢に戻る機動。