IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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現時点で修正すべき点は無くなった為、大規模修正は終了しました。

さて、本当に長らくお待たせいたしました。最新話、ヴィクコラク遊撃隊戦です。(相変わらず展開が早い戦闘描写ですが)


推奨BGM:「Varcolac」


第五十話

もがれる翼の断末魔が響く、ヨーロッパ諸国本土第2防衛戦線上空。

 

 

 

幾多の戦闘機が入り乱れ、火を纏って墜ちる中。一機として寄り付かず、誰1人の介入を許さない空域があった。

 

 

 

その空域には、5機の戦闘機が空戦を繰り広げていた。

 

4機の蒼い戦闘機(X-02)で駆けるヴィクコラク遊撃隊が、黒い戦闘機(VOB/PN)を追い詰めようとする。

 

その戦闘機は、正に異形の一言。

 

全長は約25mの巨体。後方に5つの巨大ブースターが付いていて、前方には幾つかの武装が接続されている。

 

 

『散開』

 

 

1番機の指示により、一斉に4機のX-02が散開。VOB/PNを四方に捉えようとする。

 

それに対し、VOB/PNの操縦者である一夏は、高度20mまで急速降下。ビル街のギリギリ上に突入し、振り切ろうとする。

 

 

『逃がさない』

 

 

 

ミサイルアラート。ピッタリと後ろに付いていた4番機から一本のミサイルが発射され、ブースターの熱を捉えて追尾する。

 

 

「クソッ!!」

 

右へと旋回し、先にあるビルへと全速で突入し、貫通。貫通したビルは倒壊し、瓦礫に突っ込んだミサイルは炸裂した。

 

ヴィクコラク遊撃隊は既に編隊飛行で距離を取り、再び状況はリセット。

 

 

 

──最初から、この繰り返しだ。

 

 

 

ヴィクコラク遊撃隊はヒット&アウェイ(一撃離脱)戦法を得意とする。その戦法に、X-02は十二分の性能を発揮していた。

 

X-02は燃料を過剰消費するアフターバーナー未使用によるスーパークルーズ(音速巡行)、真後ろに張り付いて捉え続ける為の機動力、そして確実に仕留める攻撃力。その全てを備えている。

 

VOB/PNもスペック上ではX-02と同等だが、その巨体故に加速度にはどうしても劣ってしまう。その間にヴィクコラク遊撃隊は離脱し、体勢を整えてしまうのだ。

 

更に一夏1人に対し、ヴィクコラク遊撃隊は4機。1機に集中すると残りの3機に背中を見せてしまう。

 

そして追い詰めるかの様にやってくるのは、経験の差。

 

 

 

数的有利、空戦における性能的有利、経験的有利。この三つ全てをヴィクコラク遊撃隊は制していた。

 

 

 

(けど…見つけた!!)

 

しかし、一夏はこれを切り崩す”隙”を見つけた。

 

 

『ヴィクコラク4、突出し過ぎるな』

 

『…了解』

 

 

それは、自信。

 

 

ヴィクコラク遊撃隊は、元々は傭兵だった。

 

カラードに雇われる前には、幾多の空戦に参加し、その全てに生き残ってきた。部隊に誰1人の犠牲を出すこと無く。

 

彼等は空戦においては誰も寄せ付けない、天才的な才能を持っていた。

 

そして、その才能と共に実力も身に付いていき、やがて彼は自分の実力に絶対的な自信を持つようになった。

 

 

 

しかし、過多な自信となると、それは”過信”となる。

 

 

 

そして過信は、やがて己を滅ぼす刃と化す。

 

 

 

再び、ヴィクコラク遊撃隊が散開。今度は各自判断による、不規則な散開。

 

 

まずは、1番機に搭載されたEMLによる攻撃。連射こそしないものの、瞬間的に到達する超音速弾がVOB/PNを掠める。

 

 

そして、次は。

 

 

『掛かった!!』

 

 

またしても真後ろに付いた、4番機。

 

一夏は振り切ろうと加速し、旋回するが全く振り切れない。

 

 

そして、ブースター出力を調整。3番、4番ブースターの出力が弱まる。

 

 

『っ…まさか。ヴィクコラク4、回避だ!!!』

 

 

それを見て、一夏の意図に気付いたリーダーが叫ぶ。

 

 

その瞬間。

 

 

「ぐ…ぅお!!!」

 

 

ブースター出力のムレにより音速を保ったまま、通常ではあり得ない半径で宙返り。

 

 

『な…!?』

 

今まで散々後ろを取った4番機でさえ、追い付けないその機動。

 

 

そして、4番機の背後に付いた。

 

「終わりだ」

 

機体下部に搭載されたVTFキャノンから近接弾頭が発射。

 

 

4番機は回避機動を取るが、遅かった。

 

 

近接弾頭から発せられる電波の反射を感知し、爆発。幾つもの超高熱の破片が4番機の機体を抉り、火に包まれる。

 

 

そしてべイルアウト(緊急脱出)する暇も無く、爆発。

 

 

『『トーリャッ!!』』

 

『…墜ちたか…ヴィルコラク隊、臆するな!!』

 

 

リーダーが発破をかけるが、見て取れるように動揺が機動のキレに現れている。

 

 

(この間に…!)

 

 

一夏は攻勢に移行。連携がバラついた今を狙い、3番機の後ろに付く。

 

 

当然、3番機は回避機動。そして1番機と2番機から援護が入り、2発のミサイルが飛来。

 

命中しづらい位置からのミサイル発射の為、回避は容易だった。2発ともVOB/PNの後ろを通り過ぎ、建物に衝突、爆発した。

 

そして、一瞬止まった瞬間にハイレーザーキャノンを発射。

 

 

ハイレーザーは正確に2番機を捉え、エンジンに直撃。爆発四散した。

 

『ファリド!!くそッ…』

 

『…やってくれるな、でなければ極少数組織でやっていける筈もないか…

 

だが墜としてくれるっ!!!!』

 

1番機と2番機が離脱し、編隊を組む。

 

 

そして、ヘッドオン。

 

 

1番機が左へと旋回し、2番機は上昇した。

 

一夏は上昇した2番機を追おうと機首を上げる。

 

その時。

 

『食らえ!!』

 

VOB/PNへと突っ込むように下降してくる2番機と、ロックオンせずに発射された2発のミサイルが目に入った。

 

「っ!!!?」

 

それを見た一夏は、即座に3門のブローニングM2重機関銃てでミサイルを迎撃。爆発して視界を塞ぐ。

 

その爆発を抜け、2番機を追撃しようとしたが、”その必要は無かった”。

 

 

 

 

何故ならばパイロットがべイルアウトして制御を離れ、ミサイル迎撃時に外れた弾によってボロボロになった2番機がそのまま突っ込んで来ていたのだから。

 

 

 

 

「なっ!!!?」

 

あまりにも距離が近過ぎて迎撃は不可能。そして回避も不可能。

 

 

そのままX-02と正面衝突。そしてゼロ距離で爆発を受けた。

 

 

幸いにも致命的な損傷は受けなかったが、ブローニングM2重機関銃2門、ハイレーザーキャノン1門、VTFキャノンが使用不可となった。

 

 

そして、X-02衝突地点より20m上でパラシュートが開く。パラシュートにぶら下がっているのが2番機パイロットだろう。

 

 

『………』

 

 

そして残った最後の1機、1番機を捉える。

 

 

後ろに付かれた1番機は、何故か回避機動を殆ど取らない。

 

 

「…まあいい、墜ちろ」

 

 

一夏はそれを不思議には思ったものの、ここは戦場。下手な情けを掛ければ自分自身を滅ぼす。

 

だから一夏は一切の容赦無く、ハイレーザーキャノンを発射。

 

 

 

 

 

 

そして、ハイレーザーは1番機の右翼全てをもぎ取った。

 

 

 

 

 

右翼をもぎ取られたX-02は燃料を撒き散らしながら大きくバランスを崩し、右方向にロールしながら墜落してゆく。

 

 

「…全機撃破」

 

 

ヴィクコラク遊撃隊を全機撃破した一夏は、機体の損害状況を確認する為に目を離そうとした。

 

 

 

その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ハ………ハハ………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、通信に笑い声が響くと同時に、X-02の左翼が後退翼に展開。

 

そしてロールが急激に収まり、体勢を立て直した。

 

 

(片翼を失っても、飛んでやがる…!!?)

 

 

 

『ああ、楽しい………楽しくて笑いが止まらない。ここまで楽しいのは初めてだよ、ブラック・グリント!!!!』

 

 

 

X-02が高度を合わせる。

 

 

 

『まだまだこれからだ、お前の全力を見せてみろ…』

 

 

 

X-02に搭載された右翼側にある、破壊されたEMLが廃棄される。

 

 

 

『お前等を墜として、俺達は世界を変える!!!!!!』

 

 

 

X-02の周囲に、一瞬青白い光と共に”ナニカ”が包み込んだ。

 

 

 

『それこそが……それこそが俺の……!!!!』

 

 

 

そして前進翼のまま急加速し、旋回した。一夏へと、その牙を向けるために。

 

 

 

 

 

 

──彼等が何故、”ヴィクコラク(人狼)”と呼ばれたのか。

 

 

 

 

 

 

──その理由は、たった一つ。

 

 

 

 

 

 

──手負いの獣は、何よりも、誰よりも恐ろしいのだから。

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