IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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vsヴィクコラク遊撃隊、決着。

推奨BGM:エースコンバットX2「Sulejmani」、エースコンバット6「MALEBOLDE」

P.S.
(=゚ω゚)つオレオ


第五十一話

片翼を失ってもなおその戦意を失わず、戦闘を続けるヴィクコラクリーダー。

 

その機動は、先程と比べる事さえおこがましく、あり得ない程鋭く、あり得ない程速く、あり得ない程正確だ。

 

(奴は片翼を失ってる。なのに…なのに、なんであれ程の機動が出来る!?)

 

その時、X-02の動きが僅かに鈍る。

 

(今!!)

 

すかさず一夏は全速で旋回。ギリギリ背後を取る事に成功し。

 

 

 

 

その瞬間、X-02が視界から文字通り”消えた”。

 

 

 

 

「なっ!?」

 

突然消えたX-02を発見しようとレーダーを見る。しかし、レーダーには何も映っていない。

 

いや、正確に言うならば”映れない場所”にいるからだ。

 

 

その時、ハイレーザーキャノンに超音速弾による被弾。同時に一夏の目の前をX-02が下から通り過ぎる。

 

 

「しまっ…!!」

 

これで、VOB/PNに残された兵器はブローニングM2重機関銃1門のみ。

 

『まだ墜チるなよ…』

 

上昇していたX-02が急速降下。VOB/PNが逃げ、X-02が追う形でドックファイトが始まる。

 

X-02のEMLが速射。ギリギリ命中しない弾が殆どだが、確実に逃げ場を無くし、追い詰めてゆく。

 

その時、超音速弾が4番ブースターに命中。エンジンに致命的損傷を負い、内部爆発。

 

そのまま追撃を続けるかと思われたが、突如X-02が左方向に旋回。

 

 

そして、氷上を滑るかのような挙動でVOB/PNの左を取り、再度EMLを速射。2番ブースター、前面装甲、側面装甲に被弾。

 

 

(くそっ…奴に付いていけない!!)

 

 

ヴィクコラクリーダーの挙動は、予測不可能。そして圧倒的に速く、背後を取ってもすぐに振り切られ、反撃されてしまう。

 

更に武装も殆どが潰され、反撃もままならず、次々と超音速弾を被弾してゆく。

 

 

 

そして、ついにVOB/PNのダメージが限界を超え、爆発が始まる。

 

 

 

「くそっ!!!!」

 

一夏は止むを得ずVOB/PNを放棄。2番、3番、4番、5番ブースターが分離。

 

次に機体中央が分離し、中から武装が変更されたブラック・グリントが現れる。

 

 

右手の07-MOONLIGHTは変わりないが、左手にはライフル 04-MARVE、左翼の先端にはハイレーザーキャノン HLC02-SIRIUS、右翼の先端にはグレネードキャノン SAPLAが搭載されている。

 

 

姿を現したブラック・グリント(一夏)はVOB/PNから脱出。バラバラになったVOB/PNは速度を保ったまま地上へと落下、爆散した。

 

 

『ようやク、邪魔な殻ヲ外したな…』

 

「…まさか、全力ってのは”アーマードコア”の全力って言いたいのか?」

 

『そレ以外に…何がアる?』

 

 

一夏の問いに即答するヴィクコラクリーダー。しかし、その内容は正に異常。

 

 

よく考えてみて欲しい。彼は、戦闘面ではISを超えるアーマードコアを、対アーマードコアとして設計されたとはいえ”通常兵器”である戦闘機、それも単機で撃墜してみせると宣言しているのだ。

 

 

それを実現するには尋常ではない実力と能力を必要とするにも関わらず、それをいとも簡単に宣言したのだ。

 

 

『さア…俺にその力を見セロ!!そシテ俺はお前ヲ越エル!!!!!』

 

「やってみろ!!」

 

 

その声と同時に、ヴィクコラクリーダーは急旋回。一夏はFCS(火器管制システム)の補助を受けつつ、X-02へと照準。

 

そして、 04-MARVEとHLC02-SIRIUSを発射。

 

 

彼を墜とす為、一切の手加減も無く、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ────!!

 

 

しかし、当たらない。一夏の放つ弾幕は、X-02に掠りさえしない。

 

 

彼は、”全て”を避けている。

 

 

圧倒的にまで意味不明な程に小刻みかつ大胆に機体を揺らし、旋回し、砲火を躱す。時に加速し、時に減速し、一定に保たない。

 

その挙動は、表現のしようが無い。意味不明であり、理解不能であり、表現さえも放棄せざるを得ないその機動。しかし華麗に動き、そして美しく軌道を描くそれは、最早芸術の領域に達した飛行。

 

 

(あの戦闘機のパイロット、化物か…!!!?まるでダンスみたいな挙動で攻撃を避けてやがる!!”物理法則”ってのを無視しやがって…!!)

 

 

そしてFCSのロックオンが外れ、再度照準を試みる。しかし、間に合わない。

 

(ロックオンを常にブレさせてFCSの演算を…!!)

 

そう。ヴィクコラクリーダーは常時機体を上下左右前後へと激しく動かし続けて、一切捕捉出来ない様にしている。

 

 

(こうなったら…!!)

 

 

一つの決断をした一夏は、システムコントロールを開始。勿論その間もX-02から目を離さず、反撃の超音速弾は発射前にクイック・ブーストで射線上から回避。

 

(OK…!!)

 

そしてシステムコントロールを終え、”手動”でX-02を再度照準。未来予測も手動で行い、攻撃。

 

 

そう。一夏が行ったのはFCSの解除。そしてマニュアルによる火器管制への移行。

 

FCSによるオートマチックではロック演算が間に合わない。ならば”自分自身の(実力)でぶち当てればいい”。そんな暴論を一夏はしているのだ。

 

 

次々と2つの銃身から吐き出される弾幕。流石に最初は全く当たる気配は無かったが、徐々にその精度は正確になってゆく。

 

 

そして、遂に数発の銃弾がX-02を捉える。

 

 

04-MARVEの銃身から飛び出た数発の銃弾は、正確にX-02の未来進行位置を捉え、機体へと吸い込まれてゆく。

 

 

 

 

そしてX-02の機体まで1mの地点に辿り着いた瞬間、何がに阻まれる様に銃弾が突如曲がって全く別の方向へと向かっていった。

 

 

 

 

「何っ!?」

 

その後も攻撃をつづけるが、勿論命中弾はゼロ。それどころかハイレーザーでさえもねじ曲げている。

 

(プライマル・アーマー…いや、違う!!プライマル・アーマーにあんな防御能力は搭載されてない!!)

 

一瞬の気を抜いてしまったその時、超音速弾がプライマル・アーマーを貫通、胸部に直撃する。

 

「っ!!!!」

 

弾丸の大きさ、速度を上乗せしたその攻撃力は、胸部装甲を抉り、ギリギリ貫通せずに装甲の中で止まる。そして衝撃により数m後方に吹き飛ぶ。

 

超電磁砲(レールガン)なだけあって、洒落にならない単発火力だな…!!)

 

追撃で再度超音速弾が飛来するが、今度はプライマル・アーマーを貫通するだけで、機体への被弾はしなかった。

 

反撃に一夏も攻撃するが、やはり避けられるか捻じ曲げられるだけで無駄弾にしかなっていない。

 

(このまま撃っても弾の無駄だ…!!)

 

そう判断した一夏は攻撃を牽制程度に弱め(それも意味を成してないが)、X-02をよく観察する。

 

(よく考えろ…どうすればあの防御を貫ける?)

 

すると、X-02が左2000m地点から突撃を開始。そこで、一夏は気付く。

 

 

(…ミサイル!!)

 

 

閉ざされていた筈のX-02の下部ウェポンベイがいつの間にか開いており、そこから一発のミサイルが姿を現していた。

 

そして、ノーロックで最後の一発のミサイルが発射。無誘導で放たれたミサイルは、真っ直ぐに一夏の元へ向かうが、避けるのは容易だ。

 

 

ただし、それは”弾頭”としての話だ。

 

 

X-02が12度右へロール。そしてEMLから超音速弾が発射。狙いは、ノーロックで発射したミサイル。

 

 

超音速弾は正確にミサイルの噴射口に命中。ミサイルエンジン部分を破壊し、連鎖反応によりミサイルが爆発。爆発炎により、X-02を一瞬隠す。

 

「っ!!」

 

一夏は咄嗟に脚部のブースターのみを全力稼働。凄まじい速さで身体が後ろへと倒れると同時に、超音速弾が頭があった場所を通過する。

 

そして、倒れながら04-MARVEの銃口をX-02がいる方向へと向け、ワンショット。

 

 

その銃弾は、X-02の周囲にあったナニカの干渉を受ける事なく、X-02の左垂直尾翼に直撃し、上半分を抉り取った。

 

『グウッ…!!』

 

「!!」

 

垂直尾翼の直撃により、またしても飛行バランスを崩すX-02。それを見た一夏は、降下しながら2回転した後にブースターを吹かし、体勢を立て直す。

 

そしてヴィクコラクリーダーも体勢を立て直し、旋回。

 

「…ようやく、お前を墜とせそうだ」

 

 

 

『…まダだ、まだだマダだまダだマだダまダダ!!!マダ俺は…墜ちルわケにいかナイ!!!!』

 

 

 

X-02の噴射口の排気にもう一度燃料に噴射され、排気燃焼によるアフターバーナーを開始。

 

 

 

『死ンだあイツを………!!!見ステた俺ヲ………!!!』

 

 

 

前進翼から後退翼へと移行し、大きく飛行バランスを崩すリスクを犠牲に最高速度を上げる。

 

 

 

『コノちかラでオレは………』

 

 

 

2730km/hもの速度で飛行するX-02。機体損傷が激しい為、破損した装甲が次々と取れてゆく。

 

同時にEMLのリミッターを解除。各所の冷却装置と小型ジェネレーターが飛び出し、煙を排出。

 

そして距離2000mで、真正面からヘッドオン。EMLの銃口が一夏に向き、一夏は04-MARVEの銃口を向ける。そして、右手に未装填の03-MOTORCOBRAを格納領域から取り出し、前方に投げる。

 

 

 

『アイツヘノォォォォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

「っ!!!!!」

 

 

双方が同時に発砲。リミッターの外れたEMLから毎秒5発で発射された3発の超音速弾が一夏の投げた03-MOTORCOBRAに命中。03-MOTORCOBRAを犠牲に、超音速弾の防御に成功する。

 

 

そして、一夏は04-MARVEの引き金を引く。

 

 

04-MARVEから発射された弾丸は今度こそX-02を捉える。左翼、エアインテーク、 機首に命中。

 

 

その瞬間、両主翼を失ったX-02は火を上げて破片を撒き散らし、左へと激しくロールしながらブラック・グリントの左2mを通り過ぎる。

 

 

「…全機、撃墜」

 

 

一夏は後ろを振り返る事は無く。

 

 

「…強かった。だからこそ、敵だったのは残念だ、ヴィクコラク」

 

 

静かに、そう告げた直後、後方から爆発音が響いた。

 

「かなり時間を食ったな…戦線からかなり離れたオマケに、崩壊寸前」

 

視線を動かし、海を…いや、その先にある艦隊を見る。

 

「沈めさせてもらうぞ、カラード」

 

そして、一夏は音速を超えて向かう。

 

 

ヨーロッパ戦線に展開するカラードの本隊、第11連合艦隊の真ん中へと。




ヴィクコラクリーダーの機動は、パステルナーク少佐の機動とスレイマニの機動を”掛けて2を引いた”感じをイメージして頂ければOKです。

わからない方にも一言で説明すると、”物理法則を一切無視した機動”です。これ以上の説明のしようがありません。
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