IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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推奨BGM:「'IDOLA' have the divine blade」、「Titan Dune」、エースコンバット6より「CHANDELIER」


第五十三話

第11連合艦隊が”いた”、北海海上。

 

「っ…!!」

 

そこには、4機のアーマードコアが佇んでいる。

 

ブラック・グリント、アンビエント、ブラット・ティアーズ、そしてホワイト・コメット。

 

「…織斑一夏」

 

一夏の元に、アンビエントが近付く。

 

「一つ、提案が…」

 

「協力だろ?…言われなくてもそのつもりだ。どうやらあいつは”どっち”の味方でも無さそうだからな」

 

そう言って、一夏は上から青い複眼のカメラアイで見下ろしているホワイト・コメット(R)を見上げる。

 

 

『丁度いい。固まっているなら纏めて試してやる』

 

「言わせておけば!!この化け物め!!」

 

『ふん…』

 

 

その時、ホワイト・コメットの両手に持つ2丁のランチャーの砲口を向ける。

 

照準は、アンビエント(リリウム)ブラット・ティアーズ(セシリア)

 

「セシリア!!!」

 

「っ!!」

 

狙われた2人と、近くにいた一夏は即座に回避機動。

 

次の瞬間、砲口から膨大なエネルギーの奔流が照射。凄まじい火力が2人を襲う。

 

 

「っ…!!」

(こんなエネルギー量…掠っただけでも終わる!!)

 

 

2人が死に物狂いで回避機動を続ける中、唯一手が空いている一夏はオーバード・ブーストでホワイト・コメットに急速接近し、横に回り込む。

 

そして、04-MARVEを照準、発砲。放たれた数発の弾丸は正確にホワイト・コメットを捉え。

 

 

ホワイト・コメットのプライマル・アーマーに”弾かれた”。

 

 

「っ!!!!?」

(MARVEの弾丸を弾くだと…!?どんな強度をしてやがるんだ、あのプライマル・アーマー!!)

 

すると、ホワイト・コメットのランチャーからエネルギーの奔流が止まる。よく見れば、左手に持つランチャーの砲身が赤熱化し始めている。

 

 

その時、一夏の視界からホワイト・コメットが消える。

 

 

いや、正確に言えばホワイト・コメットの初期加速が”あまりにも速過ぎて”、脳がその視覚情報を処理し切れていなかったのだ。

 

 

0.1秒で音速を突破したホワイト・コメット(R)の定めた標的は、アンビエント(リリウム)

 

 

超音速で接近して、アンビエントの前を通り過ぎるその瞬間。左手のランチャーを放り投げる。

 

 

放り投げられたランチャーの赤熱化した砲身が融解を開始。そして、内部に残されたエネルギーの暴走が始まる。

 

「くっ!?」

 

それを見たリリウムは、咄嗟に防御体勢を取る。

 

そして、ランチャーが爆発。その爆発規模は想像以上で、リリウムから視界を一瞬奪う。

 

「姉さんっ!!!!」

 

リリウムの耳に聞こえた、セシリアの叫び。それを合図にするかのように、視界が回復した時。

 

 

目の前に、蹴りの構えの体勢で突っ込んでくるホワイト・コメットの姿があった。

 

 

そして、ホワイト・コメットは更にクイック・ブーストによる推力を獲得。ベストタイミングで蹴りを繰り出す。

 

 

「な……っ……!!!?」

 

 

アクセル・クイック・ブーストを越える、狂気的な速度で繰り出された蹴りをまともに食らったアンビエントの胸部、腹部装甲はその一撃で大破。そして操縦者であるリリウムも、肋骨数本を複雑骨折。更に骨折した骨の一部が肺の一部を貫く。

 

 

──実を言うと、これ程のダメージでもまだ良い方だ。何故ならリリウムは肉体強化を施されてある為、常人よりも強力なスペックを持っているからだ。もし常人が食らったならば、その衝撃で身体が文字通り”千切れる”だろう。

 

 

そして、蹴りの衝撃によりリリウムは大きく吹き飛ばされる。

 

更にRは追撃。再び音速を突破すると同時に、空いている左腕を構える。

 

すると左腕の装甲の一部が開き、内部からレーザーブレードが現れ、青い刀身が形成。

 

リリウムも067ANLR、063ANAR、063ANPM、全ての兵装の銃口を向けて、迎撃。レーザー、ミサイル、銃弾が発射される。

 

しかし、それはプライマル・アーマーで殆どが無効化され、唯一貫通したレーザーも大きくその威力を減衰されて、全く攻撃が通らない。

 

 

 

そして、レーザーブレードの突きが繰り出され、大破された胸部装甲を簡単に突破し、リリウムの胸を貫いた。

 

 

「がっ…ふ………っ!!!」

 

レーザーブレードが引き抜かれ、支えを失ったリリウムは多量の血を流しながら、海面へと落ちてゆく。

 

「姉、さん………?」

 

『所詮その程度なのか。弱すぎる』

 

左腕のレーザーブレードが格納され、腰の後ろに2つあるハンガーアームの片方が稼働し、先端が腰の左側面に到達。その先端にはレールガンの銃身を持つ”レールライフルMk-Ⅰ”が接続されていた。

 

左手がレールライフルMk-Ⅰのグリップを握り、ガチャンという音と元にレールライフルMk-Ⅰがハンガーアームから離れ、元の位置へと戻る。

 

 

『さて、次は──』

 

「…くも」

 

 

その時、Rの言葉を遮るように一発の紅いレーザーがプライマル・アーマーに直撃する。

 

飛来元であるブラット・ティアーズを見ると、両手に持つ2丁の077ANLRと両腰部にある機体内蔵型ビット、そして12機の独立飛行型ビット、計16の銃口が向けられていた。

 

「よくも、姉さんをっ!!!!!」

 

「待て、セシリア!!」

 

一夏の叫びも虚しく、セシリアは怒りにその身を任せ、全兵装を一斉砲火。

 

 

それと同時にホワイト・コメットのブースターが吹き、通常出力のみで全弾回避される。

 

 

「くそっ!!」

 

一夏は、セシリアを援護するように04-MARVEとHLC02-SIRIUSを発射。当たらなくとも、牽制にはなる。

 

 

そして超音速の中、レールライフルMk-Ⅰの銃口がブラット・ティアーズに向けられ、秒間2発の発射レートで銃弾が発射される。

 

「くっ…!!」

 

初弾こそ命中したが、2発目以降はクイック・ブーストを駆使して回避。そして一夏と共に全力の反撃を繰り出すが、全て避けられる。

 

(くそ、速過ぎる…!!オマケに奴のプライマル・アーマーをどう突破する…!!)

 

 

 

『単調な動きだ。候補者かと思ったが…凡夫にすぎんか』

 

 

 

その時、ホワイト・コメットがクイック・ブーストを発動。再び2人の視界からホワイト・コメットが消える。

 

 

『もういい、用済みだ』

 

 

その声が、セシリアの()()から聞こえた。

 

「っ!?」

 

セシリアが後ろへと振り返ると、目の前に右手のランチャーの砲口を向けるホワイト・コメットがいた。

 

(あ…)

 

 

その瞬間、ランチャーからエネルギーの奔流が照射。ブラット・ティアーズはその奔流に飲み込まれ、その瞬間ビットの機能が停止し、海面へと落ちてゆく。

 

 

そして、エネルギーの奔流が止まった時には、ブラット・ティアーズの姿は無かった。

 

「あいつらを、たったの数十秒で……」

 

 

残されたのは、一夏ただ1人。

 

 

『やはり出来損ないは出来損ないか。よくもまぁ、成功作を気取ったものだ』

 

複眼のカメラアイが一夏に向き、右手のランチャーを投げ捨てる。

 

『さぁ、貴様はどうだ?あいつらが期待しているんだ……最後まで足掻いてみせろよ』

 

 

 

──プツン──

 

 

 

「ぐ…う…」

 

一夏はSAPLAと04-MARVEを拡張領域に格納。当たった所でダメージを与えられる保証も無い武器をぶら下げていても意味が無い。

 

そして、空いた左手にもう一つの07-MOONLIGHTを取り出し、蒼の刀身を形成。

 

同時に、ブラック・グリントのリミッターを解除。本来のスペックが解放される。

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」

 

 

その咆哮と共に、オーバード・ブーストを発動。同時に2段クイック・ブーストを発動させ、瞬間的に2620km/hを突破。同時に一夏の身体に尋常では無い負荷が掛かる。

 

しかし、ホワイト・コメットの目の前まで到達する事は出来た。そのまま流れるように両手の07-MOONLIGHTを振るい。

 

 

 

『見事な動きだ、織斑一夏。しかしお前では俺を倒せん』

 

 

それが当たる直前、ホワイト・コメットがブースターを吹かして回避。そのままオーバード・ブーストの推力で通り過ぎる。

 

「やってみなきゃ分からねぇだろうが!!まだ決まった訳じゃねぇ!!」

 

クイック・ターンを発動し、180度ターン。再度ホワイト・コメットに急速接近。

 

そして、右手の07-MOONLIGHTで斬りかかろうとしたその時。

 

 

 

『ほう、吠えるか。勇ましい事だが──』

 

 

 

振った右腕の二の腕が、ホワイト・コメットの右手に掴まれ。

 

 

 

『単純な差だ。閃光程度では彗星に届かん。この様にな』

 

 

 

グシャリ、という音と共に握り潰される。その装甲内にある、一夏の右腕と共に。

 

 

 

「グゥアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

追撃の膝蹴りによって、吹き飛ばされる一夏。

 

更にRはレールライフルMk-Ⅰを一夏へ照準。

 

そして、トリガーが引かれるその直前。HLC02-SIRIUSからハイレーザーが発射され、回避する影響で弾丸が逸れる。

 

 

「ハァッ…ハァッ…!!俺は、まだ墜ちる訳にはいかない…!!」

 

 

右腕を潰された一夏は体勢を立て直して、HLC02-SIRIUSを放棄すると同時に、再び07-MOONLIGHTを起動する。

 

「俺の為にも…!!」

 

そして、オーバード・ブーストを発射。再びホワイト・コメットへと急速接近する。

 

「セレンの為にもっ!!!!」

 

ホワイト・コメットまで40mの距離で、オーバード・ブーストが停止。

 

 

 

同時に、2段クイック・ブーストが0.08秒のみ噴射。噴射されたエネルギーを再回収し、再度2段クイックブーストを発射。

 

 

 

「ガハッ…!!!!」

 

あまりの負荷に、吐血する一夏。しかし、その目は死んでいない。

 

 

『何っ!!?』

 

 

予想を超えたスピードに、Rも対応し切れていない。

 

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

そして左腕が振られ、蒼の刀身は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《No.000 オンライン》

《No.004 オンライン》

 

『主任』

 

『ん、何か用? C』

 

『Rより定期連絡が入りました』

 

『お、って事はやったのかな?』

 

『はい。カラード 第11連合艦隊は壊滅。セシリア・オルコット、No.13447は死亡。織斑一夏は北海に墜落。身体損傷、大量出血により心肺停止の可能性極大との事です。予定通り、回収作業を開始するように指示を出しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

(……Cは何の目的で回収を?”コレ”が何に使えるかは知らんが、奇妙だな)

 

(ん…レーダーに反応?討ち漏らしではない……)

 

『お前は、あの研究所の……』

 

「……とんだ同窓会だな」

 

『はっ───好都合だ、決着を付けようか!』

 

「俺が戦闘するのは想定外だが、やむを得んか。相手をしてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

『───?主任、Rからメッセージです』

 

『で、なんて?』

 

『”回収機を寄越せ。あの時の傭兵がいる”……と』

 

『C、即座に下がらせろ。Rでは奴に勝てん』

 

『了解しました』

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