IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜 作:クローサー
P.S.
五十一話あたりからずっと言い忘れてましたが、設定集更新しました。
時は、カラード宣戦布告直後に遡る。
アメリカ ニューヨーク付近。
『10時方向、新手接近!!例の機動兵器も混じってるぞ!!』
『こちら第3中隊!!劣勢だ、誰か応援を頼む!!』
『市民の避難はまだか!?』
宣戦布告と同時にアメリカは海岸線、中央部からの内外の攻撃を受けた。もちろん、主要都市の一つであるニューヨークも例外では無かった。
「くっ…これ以上、好きにはさせない!!」
そう叫ぶのは、ラファール・リヴァイヴを纏う女性軍人。
彼女はニューヨーク付近の基地から部隊と共に出撃。”IS”という兵器の性能を存分に発揮させ、戦場を駆けていた。
「ISだ!!迎え撃て!!」
「ッ…ハァァァッ!!!!」
カラードが地上から集中砲火。しかし、通常兵器ではISのエネルギーシールドを貫く事は出来ず、逆にアサルトライフルによる反撃を受けて次々と重症を負ってゆく。
そして、大量の紅い液体が彼女の視界に入る。
「っう…!!」
喉奥からナニカがせり上がるが、それを無理矢理戻して戦闘を続ける。
──彼女はIS操縦者としては優秀だが、良くも悪くも”優し過ぎる”。だからこそ、彼女は兵士に対して殆ど無意識に急所が多い胴体を狙わない。それが逆に、グロテスクな光景をより広げてゆくという悪循環が生まれてしまっている。
その後もカラードは後退するどころか、逆に特攻するかの様に突撃してくる。
(何で…何で向かってくるの!?)
しかし、その理由を考える暇も無く戦場は動く。彼女は仕方なくその思考を放棄し、アサルトライフルを構え。
その時、一発の銃声と共に左から飛来した大口径弾がアサルトライフルに被弾し、装填されていた弾薬が爆発する。
「キャッ!?」
突然の出来事に怯み、咄嗟に後退する。そして飛来先を見ると、そこには一機のGAN01-SUNSHINEがいた。両手に持つのはライフル、右背にはミサイル発射管、左背にはガトリングが搭載されている。
「IS擬きっ…!!」
彼女は拡張領域から予備兵装の一つであるライフルを取り出して照準。
そして、引き金に指を掛けて。
「…久しぶりね、アシュリー」
「…え?」
GAN01-SUNSHINEから聞こえた声を合図に引き金から指が離れ、銃を下げる。
何故そうしてしまったのか。それは、彼女にとっては聞き覚えがある声だからだ。
「…まさか…教、官ですか?」
「ええ、そうよ。訓練兵以来ね、貴女と会うのは」
そう。GAN01-SUNSHINの操縦者は、かつて彼女が訓練兵だった頃にISの操縦を教導した教官だったのだ。
「な、何で…何で貴女が、テロ組織に…」
「…そう、ね。何処から話しましょうか」
2人が話している間に、カラードの地上部隊は彼女を教官に任せて侵攻を開始。上空にいる2人の下を抜けてゆく。
「私がIS乗りになったのは、単純に”憧れ”からだったわ。その時の私は女尊男卑思想だったから、ね」
「だけどあの時、疑問を持っちゃったのよね。ISが持つ矛盾に。ISの存在理由に」
「ISの…?」
「インフィニット・ストラトス。通称IS。宇宙空間での活動を想定して開発されたマルチフォーム・スーツ。これが本来の使用意図」
「貴女が纏うそれ。本来は血を生み出す物じゃなくて、人々の希望になる筈の物だったのよ?なのに、何で人を殺す道具になってるのか…その理由をずっと、ずっと考え続けてた」
「そんな時に、私はカラードと出会った。そして感じたのよ、”カラードに入れば、答えが分かるかも知れない”って」
「…それで、教官は…」
「ねぇ、アシュリー。貴女ってISをどう思ってるの?」
「……私は……」
「私と貴女って”同じ”だと思うのよね。だから…」
その時、教官の言葉が途切れる。その事を不審に思った彼女だが、数秒経てば再度教官が言葉を発した。
「1度よく考える事ね、
GAN01-SUNSHINのブースター出力が上がり、彼女の元から離れてゆく。
「……教官……」
その後、彼女から離れた教官は別の場所で戦闘を続行していた。
『クソッタレ、また一機殺られた!!あいつら出来るぞ!!』
「各機、連携して!!単独になったら死ぬわよ!!」
彼女達の前に立ちはだかるのは、2機のラファール・リヴァイブ。操縦者はかなりの手練れであり、更に連携の練度も高い。その証拠に4機のGAN01-SUNSHINが目の前の2機によって墜とされている。
教官が発した指示により、味方の2機のGAN01-SUNSHINと共にコンビネーションを組み、攻撃を開始。
(とは言ったけど…マズイわね)
教官側の連携の練度は無いに等しい。それに対し、2機のラファールは完璧とも言える連携で確実に攻めてゆく。
圧倒的不利は、明らかだった。
「っ!!」
その時、至近距離で炸裂したグレネードによって視界が遮される。
そして横に回り込んだ1機のラファールが、手に持つライフルの照準を合わせた。
「しまっ──」
そして、一発の銃声と共にラファールのライフルが”爆発”した。
「…え?」
(一体何が…)
「ハァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
そう思ったのと同時に、教官の横を通り過ぎる黄色い影がラファールへと接敵。その腕にある69口径パイルバンカー、
連戦で削られたラファールの残存エネルギーではその攻撃力に耐え切れず、絶対防御が発動。更に衝撃により操縦者自身の意識も消失し、地面へと落ちていった。
そんな行動をした者の正体は。
「アシュリー!!?」
「…」
そう、つい先ほどまで接触していた彼女だった。
彼女は振り返らず、拡張領域からライフルを取り出して構えた。照準は、もう一機のラファール。
「…私も、一緒に行かせて下さい」
「…! ええ」
その言葉を意味を教官は瞬時に理解。そして、それに応える様に彼女の横へと並び、全兵装の照準を合わせた。
「ついて来なさい、アシュリー!!」
「はい!!教官…いえ、コーデリアさん!!」
それから数十分後。状況を押し返せないアメリカ軍は、ニューヨークからの撤退を余儀無くされた。
しかし、ニューヨークよりも多大な被害を負っている都市があった─────
アメリカ首都、ワシントンD.C. 。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
「たっ、助けて!!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「足が、俺の足が…」
「死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない…」
そこに広がってた光景は、地獄。
建造物はとことん破壊され尽くされ、市民は安全な場所を求めて逃げ惑い、走る者は転んだ者を踏み進み、車に乗る者は走る者を轢き進む。
アメリカ軍も展開してはいたが、既に壊滅。生き残った者は既に逃げている最中だ。
何故、アメリカ軍が首都にここまでの蹂躙を許してしまったのか。
その理由は簡単だ。”反撃しようが無かった”からだ。
「ひっ、また──」
その瞬間、西の空から6つの閃光が飛来し、地面に着弾。
そして、爆発。地面を抉り、着弾地点にいた人を消し飛ばし、爆風で付近にいた人は吹き飛び、同時に吹き飛んだ幾多の破片が無差別に襲い、命を容赦無く抉り取る。
閃光の正体は、約200km離れた場所から発射された超巨大レーザー。
その威力は絶大で、たった10分で首都は半壊。展開したアメリカ軍も何も出来ずに壊滅し、生き残っている市民もなりふり構わず全力で何処かへと逃げる。
「死ぬ…もうどうやっても死ぬんだよ!!!!皆あの閃光に飲み込──」
恐怖のあまり発狂した者が叫んだ途端、視界が光によって包み込まれた。
こうして、首都ワシントンD.C.は壊滅。ニューヨーク、ボストン、マイアミ、サンフランシスコ、ロサンゼルスは陥落し、アメリカはたった数時間で内地への道をカラードに明け渡す事となった。
アメリカ「やめて!!ワシントンD.C.のライフはもうゼロだ!!」
カラード「だが断る」