IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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2ヶ月も更新無くてすみません。そしてさりげなく連載開始から一年経過。


第五十五話

「…奴の機体も、よく持つものだな」

 

『アレって何年前の奴でしたっけ?』

 

「さあな」

 

『それで、特殊粒子砲はどうすか?』

 

「中々面白い。当たれば粒子装甲を剥がすことが出来る。それ以外はゴミ同然だがな」

 

『当てたんすか?』

 

「当たらん」

 

『じゃあ、どうやって?』

 

「ブレードに対するカウンターだ。それしか当たらん」

 

『何で三連誘導砲身なんすかねぇ?』

 

「趣味じゃないのか?」

 

『黒海に落下した奴はどうします?』

 

「回収だな。搭乗者や機体が死んでいてもどうでもいい。データさえ生きていればいい。あとはデバイスの回収か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ アパラチア山脈上空。

 

高度3000mを超音速で飛行する、一機のVOB/PN。

 

(あと4分で、あのデカブツの予測最大防衛域ね…)

 

セレンはVOB/PNを用いて、ワシントンD.C.を一切の容赦無く蹂躙した、”超巨大六足移動要塞 スピリット・オブ・マザーウィル”に対し、単独で防衛域を突破、懐へと飛び込んで制圧せんとしていた。

 

しかし、マザーウィル本体も飛び抜けた火力、射程、防衛力を保有しており、更にマザーウィルの防衛部隊の存在も多数存在する事が予測されている。

 

 

そんな状況下の中、彼女は単独でカラード最強の要塞へと挑もうとしているのだ。

 

 

 

『──アパラチア山脈上空を飛行中の、所属不明機に告ぐ。直ちに進路を西に変更せよ。さもなければ貴機を撃墜する』

 

 

 

その時、VOB/PNに遠距離通信が入る。その声の主を、セレンは知っていた。

 

「悪いけど、その要求はお断りよ。ウェンディー」

 

『…! その声は…セレンか』

 

「私も一つ、極めて単純な要求があるわ。カラードの、全国家への即時攻撃停止、及び降伏」

 

『その要求を受け入れるとでも?』

 

「思ってないわよ?形式上の最後通告だっただけだから」

 

『…無駄死にする気か?』

 

「その覚悟も無きゃ、要塞に単機で挑まないでしょうが。けど、死ぬ気も無いけどね」

 

『…なら、あいつには悪いが、お前にはここで死んでもらう。私達の願いの為にも、人類の為にも』

 

「やってみなさい」

 

セレンの言葉を最後に、通信は切れた。

 

 

 

セレンの乗るVOB/PNは、まもなく予測最大防衛域へと突入する。それを合図にマザーウィルからの超遠距離攻撃が飛来するだろう。

 

 

 

「さて…」

 

セレンは、ゆっくりと目を閉じ。

 

 

(すみません、”───”さん。貴女との約束、破らせてもらいます)

 

 

そして。

 

 

(起動)

 

 

その瞬間、セレンの頭に凄まじい痛みが走ると同時に、彼女の意識を落としていった。

 

 

15秒後、セレンの乗るVOB/PNは、スピリット・オブ・マザーウィルの防衛域へと突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピリット・オブ・マザーウィル CIC。

 

「第四群、到達!! …駄目です!!全弾命中せず!!」

 

「長射程大型砲の効果を確認!!ですが、進路及び速度に変化無し!!」

 

「マザーウィル到達まで200秒!!」

 

「中近距離砲、準備よし!!射程に入り次第攻撃を開始します!!」

 

『こちらサイレント・アバランチ!!射程に入った!!攻撃を開始する!!』

 

 

「くっ…」

 

 

マザーウィルの総合火器管制を指揮する軍人男性は、モニターに表示される状況に歯軋りする。

 

 

セレンがマザーウィル防衛域へと突入と同時に、指揮官は一切の手を抜かない全力の攻撃を開始させた。

 

 

全構成員から見て、比較的初期からカラードの所属に入っていた彼は、ORCAの脅威を正しく認識している。故に、彼は一切手を抜く気は無かった。

 

しかし、ORCA(セレン)は彼の予想脅威度を大きく上回っていた。

 

彼女は真正面から、マザーウィルから発射される巨大レーザー、対空ミサイル、近接弾頭、スナイパー弾の弾幕を強行突破していた。

 

 

(…間に合わないか)

 

 

その結果、彼は迎撃による撃墜は不可能と判断。残された手段は、近接防御のみ。

 

 

「全員に通達!!これより、マザーウィルは近接防御を実行に移す!!非戦闘員は直ちに全飛行甲板から退避せよ!!」

 

そして、彼は通信機を取り出し、通信を開く。

 

「総指揮官!!間も無くORCAが到達します!!」

 

『らしいな。しっかりと通達されていたぞ。やはりお前に任せて正解だったようだ』

 

「しかし…」

 

『お前の欠点は、そのネガティブな思考だ。もっと自分に自信を持て』

 

「…はい。総指揮官」

 

『私も準備する。通信を切るぞ』

 

「了解しました。 …幸運を祈ります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。

 

マザーウィルの各所から数多くの対空放火が発せられる中、スピリット・オブ・マザーウィルの大部分を構成する6つの可動式飛行甲板の一つ、第一飛行甲板。

 

そこに、アメリカ戦線総司令官となったウェンディーがいた。

 

 

「…来るか」

 

 

彼女は愛機のレイテルパラッシュを展開。

 

「…ぐぁっ!?」

 

しかし、展開と同時に彼女に強烈な頭痛が走る。

 

それは意識をも侵食し、彼女は堪らず片膝を付き、右手で頭を押さえる。

 

だが、それは数秒の出来事。それを過ぎた瞬間、すぐに痛みが引いていった。

 

その時、マザーウィルの各所に設置されている全ての対空機銃が起動。全ての砲口が一つの方向…水平線の先にいる、VOB/PNへと向ける。

 

 

次の瞬間、一斉射撃。まだVOB/PNは射程圏内には入っていないが、相手は超音速。タイミングさえ合えば勝手に弾幕の中へと突っ込む事になる。

 

 

そして、VOB/PNがマザーウィルの近接防御圏内に突入。

 

 

同時に、偏差射撃によって形成された超密度の弾幕の中へと突入。百数発もの弾丸がVOB/PNに命中し、各所から火が上がる。

 

その後も何十発もの弾丸を受け、業火を上げながらも突進してくるVOB/PN。

 

 

 

マザーウィルまで2000m地点に辿り着いた瞬間、VOB/PNからホワイト・グリントが上へと飛び出した。

 

 

”ホワイト・グリントが飛び出した衝撃でVOB/PNの空中分解が始まる。

 

 

 

コントロールを失ったVOB/PNは破片を散らばらせながら、第1飛行甲板の下にある第3飛行甲板へと墜落し、爆発した。

 

『突っ込んで来るぞ、撃て!!』

 

そして、VOB/PNから脱出したホワイト・グリントへと対空射撃が始まる。だが、アクセル・クイック・ブーストの連発によって一発の被弾さえさせない。

 

ホワイト・グリントは物理法則に従う様に対空放火を避けつつ降下。

 

 

 

次の瞬間、第一飛行甲板に火花を上げながら滑り降りた。

 

 

 

同時に全ての射撃が止まり、第一飛行甲板に展開していた数機のGAN01-SUNSHINEは全砲門を素早く向け、対空機銃はゆっくりと再照準を始める。

 

そして、ウェンディーも全武装を展開。RG03-KAPTEYNの銃口をホワイト・グリント(セレン)へと向ける。

 

同時にセレンはゆっくりと周囲を見渡し、ホワイト・グリントのカメラアイの光がウェンディーへと向く。

 

その時、彼女はセレンの”変化”に初めて気付く。

 

「…”弊害”か」

 

そう呟いた瞬間、ウェンディーの瞳の光が変化する。

 

”敵意”を孕んだ光は、”嫉妬”と”殺意”の光へと。

 

 

そして、レイテルパラッシュの全武装の安全装置が解除され。

 

 

「…私達は、お前の事が羨ましいよ」

 

「…」

 

 

ホワイト・グリントが真正面に向き、自然体で構える。

 

 

「お前が忘れない事でも──」

 

「…」

 

 

二人は、同時に腰を落とし。

 

 

「私達はいずれ、”忘れてしまう”のだから!!」

 

「…消えろ」

 

 

同時に、戦場を駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『始まりました。作戦を開始してください、”J”』

 

『了解した。”オリジナル・グリント”、出撃を開始する』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…レーダーに新たな反応!!機影1、所属不明のアーマードコアです!!速度…4000km/h!?距離3500m!!迎撃、間に合いません!!来ます!!」

 

 

CICのレーダー員がそう叫んだ途端、第四飛行甲板に一機の白いアーマードコアが着地した。

 

 

──戦場は、新たな混迷を極める。




活動報告でちょこっと言ってた絵描きの結果。


【挿絵表示】


ドヤァ…は絶対出来ないですね。(´・ω・`)
まあ、最初はこんなもんでしょ。(アイガイオンに挑戦してバランスに苦戦中)
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