IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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前半の一部は要らない気がするのは何故だろうか。


第五十七話

マザーウィル内部への入り口を見つけ、内部へと侵入したセレン。

 

既に非戦闘員は退避し、内部には戦闘員を配置していないのか何の抵抗も無く、スイスイと中心部へと進んで行く。

 

そして、本当に何も抵抗が無いまま、CIC(戦闘指揮場)を見つけ出したが、目の前には分厚い隔壁が閉じており、セレンを阻んでいる。

 

仕方なく、少し離れてSALINE05の分裂ミサイルで破壊しようとしたその時、突然閉ざされていた隔壁が開いた。

 

「…?」

 

いきなりの出来事に警戒しつつ、指揮場へと侵入する。

 

「ようこそ、ORCA」

 

そこには、アメリカ軍服を着た1人の男が立っていた。

 

「…」

 

「安心してくれ、マザーウィルには、俺とあんた以外に戦える奴は誰1人として居ない。此処に来るまでの道筋を証拠として出そう」

 

「そうだとしても、何で貴方1人だけ此処にいるのかしら?」

 

「簡単な話だ。俺は"惨敗兵"として生きるつもりは無い。最後まで、自らの命を捧げる軍人として生き、自らの命を捧げる軍人として死ぬ。それが、アメリカ戦線副指揮官としての使命だ」

 

「…」

 

不意に、セレンはホワイト・グリントの展開を解除。生身の姿を晒す。

 

「…何のつもりだ?」

 

「私としても、此処には用があるしね。此処を傷付ける訳にいかないのよ。それに…死ぬ覚悟があるなら、1つ勝負をしない?」

 

「勝負…?」

 

「ええ」

 

そう言って、セレンは拡張領域から1つの空薬莢を取り出す。

 

「ルールは簡単。私がこれを弾いて、落ちた瞬間撃つ。所謂早撃ち勝負ね。これなら貴方も私を殺せる可能性はあるわよ」

 

「…何故、その勝負を持ちかける?ウェンディーさんと外の奴等を殺ったお前なら、今俺を殺せる筈だ」

 

「…」

 

男の言葉を聞いたセレンは、軽く溜め息をつく。

 

「…私からしたら、その眼をよく知ってるからね。馬鹿みたいな事を平気でやろうとする奴がするその眼。だからこそ、かもね。それで乗るか乗らないか、どっち?」

 

「………乗ろう」

 

「決まりね。銃は…あるに決まってるか」

 

セレンの視線には、ホルスターに仕舞われた一丁のコルト ガバメント。

 

左手に空薬莢を持ち、弾こうとした時、ふと思い出したような表情をするセレン。

 

「貴方、名前は?」

 

「…ジャクソン。ジャクソン・スミスだ」

 

「セレンよ。 …それじゃ、始めましょう」

 

ピン、と左手から空薬莢が弾き出されると同時に、双方は抜きの構えを取る。

 

弾き出された空薬莢は、放物線を描くように飛び。

 

 

2人の中央に、落ちた。

 

 

「「ッ──!!」」

 

 

2人は全く同時にホルスターから拳銃を抜く。

 

ホルスターから拳銃を抜き取るタイミングは同じ。後は、構え、照準し、トリガーを引く動作の速さ。

 

 

果たして、この勝者はセレンだった。

 

確かに、抜き取り、構える動作までは2人はほぼほぼ同等の速さだった。しかし、照準の速度が明暗を分けた。

 

ジャクソンが照準し切る前にセレンが照準し、トリガーを引いたのだ。

 

セレンのグロック17から放たれた9x19mmパラベラム弾は正確にジャクソンの頭部に命中。そのままジャクソンの身体は後ろに仰け反り、倒れた。

 

勝者のセレンはグロック17をホルスターに仕舞い、死んだジャクソンの首元を弄る。

 

(…あった)

「事後承諾になるけど、貰っていくわ」

 

そして、首に掛けていたドックタグをジャクソンから外し、拡張領域に仕舞い込んだ。そして、開かれたままのジャクソンの目を閉ざした。

 

「さて…」

 

セレンは周囲の端末を弄り、システムのアクセスを試みる。が、当然と言うべきかロックが掛かっている。

 

それを見たセレンはすぐさまハッキングを開始。鮮やかな手口でハッキングを進め、ものの十数分で侵入を完了。

 

「!!」

 

その瞬間、カウントダウンが表示させる。その残り時間は、8分12秒。

 

急いで複数の機密ファイルを見つけ、閲覧する。その殆どが作戦指令で埋まっている中、最後のファイルを開く。

 

「…駄目か」

 

一応最後まで読んでいるが、作戦指令の文章が続き、落胆の声が出る。

 

しかし、最後まで読み切った瞬間、違和感を覚える。空白があるのに、それ以上下へ辿る事ができないのだ。

 

(この方法…私がカラードにいた時の…)

 

最後の一行から続く謎の空白を辿る為、キーボードを操作して更に下降を開始する。

 

下降操作から2秒。10行程辿り、文章が現れた。

 

文章は意味を成しておらず、しかし何処か規則性を感じられる。その文章は7行に渡って書かれている。

 

 

(この暗号…!!!!)

 

 

その文章の解読方法を、セレンは"知っていた"。

 

だからこそ、その内容を即座に知る事が出来た。

 

「………」

 

閲覧を終えたセレンは、ホワイト・グリントを展開。完全な閉所の為、高速機動は困難だが、それでもカウントダウンまでの脱出には十分な速度だ。

 

外の光が見えた瞬間、オーバード・ブーストを起動。音速を超えた速度でマザーウィル外部へ脱出。そのまま旋回し、西へと向かう。

 

 

瞬間、後方で大爆発が起こるのを感じ取るが、止まる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

 

太平洋、アメリカ合衆国 排他的経済水域圏内。

 

海上に浮かぶ、世界に数少ない巨大人工浮島(メガフロート)

 

複数のブロックと油田から構成された石油プラントは、静かに海上に佇んでいる。

 

 

すると西から爆音と共に、ホワイト・グリントを纏ったセレンが接近して来た。

 

800m地点でオーバード・ブーストを解除。急速に速度と高度を落とし、メガフロートの地面に着地した。

 

「…」

 

そのままセレンは地面を歩き、メガフロートの中心へと歩いていく。

 

そして、中心に立つ一際大きい建物が立つブロックに差し掛かり、建物の屋上を見上げる。

 

 

「…ウェンディーとマザーウィルは殺られた、か」

 

「…オッツダルヴァ」

 

 

そこには、青を基調としたカラーリングのアーマードコアがセレンを見つめていた。

 

右手にアサルトライフル、左手にレーザーライフル、左背にレーダー、右背にミサイル発射管を装備している。

 

 

そのアーマードコアの名は、"ステイシス"。それを駆るはカラードの総司令官、"オッツダルヴァ(テルミドール)" 。

 

 

「一応聞くけど、どうする?貴方は最後の砦な訳だけど」

 

「それこそ愚問だな。お前も、あの時に言った筈だ。私はお前が殺すと。そして、お前は私が殺すと」

 

「そうね…」

 

両者はブーストをゆっくりと吹かし、セレンは上昇、オッツダルヴァは下降し、高度を20mに合わせた。

 

 

そして、両者は構える。

 

 

「さあ、始めよう。セレン」

「ええ、始めましょう。オッツダルヴァ」

 

 

その瞬間、両者から殺気が放出。

 

──セレンとオッツダルヴァ。かつてはリリウム、ウェンディー、メルツェルと共に理想を描いた仲間だった。

 

 

「私達の──」

「私達の──」

 

 

2人は言葉を紡ぐ。その言葉が途切れた瞬間、始まるだろう。

 

──しかし共に描いた理想はすれ違い、その繋がりを引き裂いた。

 

 

『こんなやり方じゃ、何も変わらないのよ!!』

『だが人類は愚かだ!!早急に示す必要がある!!』

『だから何億人を犠牲にしろと!?それが仕方ない犠牲だって言うの!?』

『ならば、お前は犠牲を出さずに私達の理想を成し遂げる事が出来るのか!?』

 

 

 

殺し合い(愛し合い)を」

「殺し合いを」

 

 

その瞬間、2人は引き金を引いた。

 

──皆が抱いた理想は、純粋に人類の未来を想って。だからこその決別。だからこその敵対。

 

 

──だからこそ、殺しあう。人類の未来の為に。

 

 

──その先に、どんな運命が待ち受けていたとしても。




次回、ORCAとカラードの決戦。

その戦いの先には──
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