アインクラッドany%攻略RTA 【暗黒剣】チャート 作:塩なめこ
《黒騎士親衛隊》の拠点に突入した時、黒騎士本人がそこにいたのは本当に偶然だった。
あれからアルゴと議論した俺は、黒騎士……もといガイの真意を知るために奴を追うことにした。事と次第によってはアインクラッド全体に影響を及ぼすことになる。早急な発見が求められた。
ただ、黒騎士というプレイヤーはその神出鬼没さで有名だ。層を登るごとに小さくなっていくアインクラッドで、迷宮区以外で目撃者がほとんどないのだ。彼個人を特定しようとするとかなりの時間を費やすだろう。
だから、彼を信奉すると謳うギルドを追うことにした。黒騎士自身がそのギルドに参加、もしくは接触していたという証言はない。しかし、俺たちと黒騎士の接点がほとんどない以上、ここに賭けてみる他なかった。
結果、奴とギルドの初対面であろう場面に遭遇したのである。
「……間違いないナ。門番のグリーンが言うにはあそこが《黒騎士親衛隊》の今の本拠で、黒騎士と会うのもこれが初めてっていうキー坊の推測も当たりダ」
「みたいだな」
俺たちは二人とも隠密スキルを習得している。この距離から隠れて聞き耳を立てることなど容易であった。
グリーンを門番に置いているのはここにオレンジの勢力がいないと思わせるため。仲間を隠しつつ、カモが来たら甘い言葉で奥へ連れ込んで甚振るのだ。そう自慢するように門番は言った。
だが、彼が最後まで言葉を紡ぐ前に、鳴ってはならない音が聞こえてきた。男のうめき声とアバターがポリゴン片に霧散する音である。
「な───!?」
閉じていた目を見開いて黒騎士を見ると、奴は既にソードスキルを発動していた。光の軌跡を描きながら繰り出された蹴りを門番の腹に突き刺すと、そのまま弄ぶように体を振り回した。
きっとあれは複数回攻撃の足技だったのだろう。振り回した足はソードスキルのモーションで、足を突き刺してから発動したことで門番に反撃の隙を与えなかったのだ。ソードスキルは発動さえしてしまえば、盾で受けるか、同じくソードスキルで弾くかしないとまともに防ぐことは出来ない。体内で発動中のものなどどうすることもできない。
そしてその威力も尋常ではないだろう。体の中で足が振り回されているのだから、その攻撃の全てがウィークポイントへとダメージを与えることになる。
だがそれでも、あのHPバーの減りようはなんだ。相当なレベル差があったとしてもそう易々とプレイヤー一人を倒しきることはできないはずだ。しかしゲージは一定の速度でよどみなく減り続けている。
「がっ……」
そうして消え続けるHPは結局止まることはなく、黒騎士が足を引き抜く前に門番の体は消え去ってしまった。さっきまでいたもう一人の姿は既に見えない。そういうことなのだろう。
「アイツ、グリーンを殺しやがっタ……ッ!」
隣でアルゴが言う。たとえ犯罪ギルドの一味だったとしても、あんな簡単に命を奪うことが常人にできるのだろうか? 黒騎士の動きはあまりに機械的過ぎた。
「……」
黒騎士は歩を進める。その先にいるであろう残りのメンバーを葬るために。俺たちは彼を追うべきなのだろうか? 心臓がバクバクとうるさくなり、警鐘を鳴らす。この先は不味いと。
「……行くゾ、キー坊」
だがアルゴは止まる気が無いようだ。……焚き付けた自分が責任を果たさないわけにはいかない。今実力的に彼女を守れるのは自分だけなのだから。
黒騎士が入っていった洞窟を少し進むと丁度声が聞こえてきた。兜で反響しているこの音は、ボス戦で何度か聞いたことがある。彼が誰かに向かって喋っているのだろう。
「──ンバーの殺害、俺の名前を利用した件、ラフコフを使って俺の暗殺を企てた件」
「一体何を言って──」
「この落とし前、あんたらどうつけるつもりだ?」
耳を傾けたときに聞こえてきたのはそんな会話だった。黒騎士の方は明らかに怒っている。
「お、お待ちください! 我々はあなた様の意思を──」
「何を言ってやがる」
「ひっ」
黒騎士が今まで聞いたことのない大きさの怒号を響かせた。もう兜の反響程度では誤魔化せない。俺の耳と記憶に狂いがなければあの声は間違いなく。
「ガイ──!」
「ダメだ」
確信を得て今にも走りだそうとするアルゴを引き留める。ここは敵地だ。冷静さを失い迂闊な行動に出れば、待っているのは死だけだ。
「離せキー坊ッ! アイツは、アイツがオレンジなのは──」
アルゴの言葉を遮ったのは先ほど聞いたのと同じ、アバターがポリゴン片と化して霧散する音だった。アルゴの顔がさらに歪んでいく。
「監獄行きの転移結晶だ。これ以外で逃亡することは許さん」
ガイの奴は2人ほど倒した後、そう忠告して洞窟のさらに奥を目指し始めた。奴は本気でこのギルドを壊滅させようとしている。狙いは幹部クラスなのだろう。道を阻んでくる相手は眼中になく、殺すことも無く盾で吹き飛ばしていった。
その動作は手慣れすぎていて、俺にはもはや作業と化しているように見えた。実際、こうして多数のオレンジを抱え込むギルドとこれまでも戦ってきたのかもしれない。今更俺たちが声をかけたとして、果たして彼はその行為を止めるだろうか。
「いくゾ」
「……あぁ」
それでも進むしかない。アイツの意志を、アイツ自身の口から聞かないと帰れない。ここで止まってしまったら、それこそアイツを止められなくなってしまうのだから。
「会社って……アンタまさか」
「言葉通りの意味で受け取ってくれて構わない。……俺はこの1層の一部と下層、各種アイテムのCGグラフィック担当だ」
「……いいのカ? そんなことオイラに話しちまってサ」
「お前なら広めようとはしないだろう。信頼しているということだ」
「それはコウエイな事だナ。……オネーサンはそこまで気負う必要はないと思うゾ。アンタもどちらかと言えば被害者じゃないカ」
「何も考えずに作ってしまった責任がある。このゲームが続く以上、現実での時間は失われていく。あのキリトという少年に、お前やアスナのような少女、その他にも沢山の子供たち。彼らの大切な時間はもう戻らない」
「……オネーサンは未成年だと言った覚えはないゾ」
「分かるものだ。そして茶化さないでくれ。……俺はお前たちの失う時間を少しでも少なくしてやりたい。そして、多くの命を救いたい」
「もしかして、最初にオイラに話しかけたのもそれが目的カ?」
「お前ならその手で多くの人を助けられる」
「オレっちにも助けられない人達もいる。例えば精神的に参っちまった奴はどうしようもナイ」
「そういうのを俺が助ける。俺はお前の届かない所にいる奴に手を伸ばす。そうすれば完璧だ」
「凄い暴論だガ……、そうなるといいと思っているヨ」
「あぁ。これからもよろしく頼む」
ガイ。それがお前のしたいことだったのか?
それが私の手が届かない人々を助けることに繋がるのか?
こんな虐殺をすることがッ!!!
「ガイ───アンタ……なんデ……っ!」
ここにいたはずのギルドメンバーたちは、その姿を跡形もなく消していた。全て奴がやったのだ。ガイが、やったのだ。
眺めていることしか出来なかった。襲い来る者共をなぶり殺しにしていく様を見続けることしか出来なかった。止めることは出来なかった。
「ガイ、なんだロ? どうしてお前はそんなことをしてるんダ! なんでこんな、こんな事!」
「……」
ガイは沈黙を破らない。私たちの存在を無視して剣を構えたまま動かない。しかし、兜の奥底で光る眼は確かにこちらを射抜いていた。
▼ アルゴの叫びに俺は────。
| A | B | C |
|---|---|---|
| 兜を取る | 剣を向ける | 無視する |
時間切れちゃった♡
これはどうなるんですか? ここからランダム選択ってことですか? そもそもこのゲームに時間制限付きの選択肢とかあったのか……(困惑)急展開過ぎて逆に冷静になっちまったよ。てかどれ選んでも絶望的な未来しか見えなんすけど? これ最大のガバでは? アルゴともう一生会えないじゃんアゼルバイジャン。まだ50層近くあるのにこんなんじゃRTAにな─────ん?
▼ その時、後ろから迫り来る気配を感じた。
| A | B | C | D |
|---|---|---|---|
| 兜を取る | 剣を向ける | 無視する | 敵を斬る |
・・・・・・。
・・・・・・。
未来を────変えるっ!
ここだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
「ぃが……!」
「え?」
恐る恐る目を開く。HPバーは動いていない。突如として現れたギルドの生き残りは、その手に持つ剣を私に向かって振り下ろそうとし、しかして叶わなかった。
「コイツで……最後だ」
胸を黒い剣に貫かれ、空中で静止したそのオレンジは、掬われるように投げ飛ばされて木に激突した。赤いポリゴン片が宙を舞い、それが地面に落ちて消える頃には、そのアバターの姿は跡形もなくなっていた。
「何故、と言ったな。こういうことだ」
兜を取り、振り向きながらガイが言う。それは紛れもなく彼の顔で、しかしその髪は出会った頃よりも伸びて整っておらず、その目は全てを吸い込む暗黒のような色をしていた。
「たとえ誰であろうと、誰かを殺すことは許さない。殺人という経験を、こんな狂ったゲームに付き合わされた人間にさせる訳にはいかない」
「だから、殺すのか……?」
「あぁ。復讐することも、させることも許さない。このゲームの殺人鬼は俺一人でいい」
全ての犯罪行為は自分だけが背負わなければいけないのだと、そう彼は続けた。なんてことだ。
この男は本気でこのゲームのあらゆる影の部分を背負うつもりでいる。それが目を見て分かってしまった。
「ふざけんな、バカ! なんでお前がそんなことしなくちゃならナイ!? お前は何も、何も悪いことなんて「やったさ」───え?」
「人を、何人も殺した」
剣を収めながら、当たり前のことのようにガイは言う。しかし違う、それはこのゲームの───!
「ゲームの、茅場晶彦のせいにはできない。してはいけないんだ、アルゴ」
「───っ、何故ダ! こうなったのも、こうするしかなくなったのも、全部奴のせいじゃないか!」
「確かに発端は奴だ。だから奴も殺す。だがなアルゴ、こんな状況だからと言って殺人という罪を見逃してはいけない。それを認めてしまえば誰も裁くことができなくなる」
「どういうことダ」
「きっと、このゲームがクリアされたらここで悪さをした奴らは野放しになるだろう。……省みることが出来るならばそれでいい。だが、そうでない者もいるのだ。ラフコフの幹部や首魁の《PoH》のようにな」
ここにいた奴もそう言った手合の者だと吐き捨てるようにガイは言う。そういう奴らはたとえ自分の命が尽きかけようとも殺人という行為をやめられなくなる。誰かが殺さない限り、彼らは解放されることはないのだ、とも。
「野放しにすればまた誰かが犠牲になる。それを討とうとすればそいつもまた、殺人という行為を経験することになるだろう。そして《PoH》のような奴がその後ろめたさを利用して誑かし、また新たな殺人鬼を生む。……そんな悪循環がこのゲームでは起こっているのさ」
「だから、アンタがそうなる前に裁くって言うのカ……?」
「あぁ。どんな思惑があろうとも、その行いを等しく正す。そうしなければここの人達は耐えられなくなる。たとえその方法が非人道的なものであったとしても」
アインクラッド中が悪意に満ちる。その先に待っているのがなんなのか分からないわけではない。生存競争と言う名をした殺し合い。それはこのゲームが始まってすぐに様々な場所で起こった。またそうさせない為に彼は戦うのだろう。
それは確かに決して私にはできない行為だ。沢山の人を助けることに繋がるのかもしれない。だが彼の物言いでは、納得できない。
「ガイ、その先にアンタ自身の未来はあるのカ」
「……行いは等しく正すと言っただろう。行為への報いは誰であっても同じでなくては意味が無い」
当然のことのようにガイは言った。
つまりはこうだ。全てが終わったら自分ももれなく死ぬ。ふざけるな。そんな自己犠牲を誰が許すものか。いやそもそも、何故そこで背負い込もうとするのか。もっと周りには頼れる仲間がいて、頼ってもらいたい人がいるというのに───!
「アルゴ」
その次に告彼が告げた言葉は、そんな私の思惑を叩き潰して来た。
◆◆◆
「フレンド登録は
その言葉を聞いたアルゴの表情を窺い知ることはできなかった。俺が彼女の後ろでガイと相対していたからであるが、たとえ彼女の顔を見ることができたとしても、直視する勇気はなかっただろう。
ガイは知らない。アルゴの痛みを。あの時の、ガイが行方不明だとわかった時の彼女の必死さを。
彼女はガイとパートナーでありたかったのだ。対人関係に鈍いとよく言われる俺でもわかる。自分と最も共に時間をやり取りした相手。たとえそれが文通という方法で続いた関係であったとしても、このデスゲームにおいては貴重過ぎる存在だ。
共に支え合い、困難に打ち勝っていく協力者。《ビーター》と言われてソロになることを決意した俺でも、そんな存在が欲しくなることがある。
その行いに賛同してくれる誰かという存在は、確かに心の支えとなるのだ。
その大きさは俺には分からない。だが少なくともアルゴにとって、それは間違いなくガイだった。それが彼女の焦りと不安の源。
そんな存在にそんなことを言われてみろ。
「何を言ってるんダ、ガイ」
「俺は一人でも構わない。俺の行いを見て嫌気がさしたなら切り捨ててもいい、そう言っている」
果たしてガイにとって、アルゴという存在はどういうものだったのか。それは分からない。だが言われたアルゴにとってはいいものではなかっただろう。
奴のためと意気込んで、ここまで乗り込んできたというのにあっさりと見限られる。これまでの全部はその程度の事だったのか、と認識させられるその言葉。俺がもしそれを突きつけられるような立場にいたなら、どんな気持ちでいるのだろう。
「アンタは……それでいいのカ?」
「俺はお前にこき使われる立場の人間だ。決めるのはお前だ」
「──ッ」
アルゴは何も言えなくなってしまった。俺もそれに対して反論できるような言葉を持ち合わせていない。
ガイは言うだけ言うと転移結晶を取り出す。
「……これまでのことに礼を言う。転移、30層迷宮区」
そうして奴は
アルゴはしばらくその場でたたずみ、俺はそれを見届けることしか出来なかった。
「……なら、こき使ってやるヨ」
彼女の呟きを俺は聞くことが出来なかった。
しばらくして、黒騎士の正体とその目的に関する情報が発信されることになる。
これまで彼が裁きを与えてきた者たちの情報も合わせて公開された。そしてその末路も。
攻略メンバー内でガイへの対応を議論したようだが、一致することなく二分化した。奴を擁護するものたちと糾弾するものたちに。
前者のメンバーにはディアベルとキバオウ、俺やエギルなどの初期から最前線で戦っている者たちが多く、後者はあとから追いついてきたものが多い。
方法はともかくとしてたくさんの人を救ってきたという擁護派に対して、反対派は倒したオレンジプレイヤーのアイテムの使い道の不透明さや、攻略組がオレンジを容認したと誤解されるのではないかというのが言い分だった。
奴はそんな論争知ったこっちゃないと言わんばかりにボス戦に復帰してきた。もちろん裏での粛清をやめないまま。
彼が殺したであろう人物や潰したギルドは、監獄エリアや黒鉄宮のリストなどから事細かに知れ渡るようになった。
それが反対派の主張を後押しし、攻略組による討伐隊が結成された。あくまでも殺すのではなく捕らえることに重きを置かれたのは、彼のこれまでの行動を鑑みての事だった。
しかし、ガイという男はただのプレイヤーではない。全プレイヤー最強と噂されるヒースクリフ。その彼と互角に渡り合えると言われているほどの、攻略メンバーの中でも抜きん出た存在だ。しかもこの世界で最も対人戦を経験したであろう男。
人間相手に慣れない上、対人戦における連携の仕方も分からない討伐隊に後れを取るわけもなく。その全てが転移結晶によって送還された。
そして、何度目かの派遣において、PKギルド《ラフコフ》の襲撃部隊とブッキングする事件が起きると、それ以降討伐隊が結成されることは無くなった。
理由は二つ。一つ目は、ガイがその事件において討伐隊を誰一人死なせずに帰還させたこと。二つ目は、彼がユニークスキルを取得していることが確認されたことだ。
その名を【暗黒剣】。
フロアボスでさえも状態異常にする危険極まりない隠しスキルの存在が、情報屋を通してアインクラッド中を知れ渡ることになる。
表機能で選択肢表現したつもりだったけどこれどうなんだというお気持ち
ガイくんの装備がごちゃごちゃとしてきたので、ここで効果をまとめておこうと思います。
呪われし装備
共通効果
状態異常【呪い】を常に付与
特定のクエストにて解呪することで装備欄から外れる
特定のクエストにて強化可能。全七段階強化。強化される事に耐久値が回復。装備する際のステータスの条件は存在しない。(それを上回るデメリットがあるため)
セット効果
【呪い】の効果の追加もしくは強化
各種ステータスの大幅アップ
呪われし剣
片手剣装備の中で最強クラスの攻撃力。セット装備&強化は必須。
【呪い】
装備している防具の防御力が0になる。セット効果でステータスの防御力に関係する値を0にする。
呪われし盾
長持ちする耐久と盾による部位防御の性能大幅アップ。セット装備で貫通ダメージ完全無効。
【呪い】
体力上限が減る。呪い強化で減り幅増大。
呪われし兜
索敵能力アップ。セット装備で暗視効果と状態異常耐性付与
【呪い】
HPが1になるまでスリップダメージ。強化されるとダメージ量がアップ。
呪われし鎧
状態異常耐性付与。セット装備で【体術】スキルの反動ダメに完全耐性
【呪い】
盾と同一効果。合わさることで効果量が乗算される。
呪われしブーツ
素早さ系のステータスに大幅補正。セット装備で【体術】に追加補正。
【呪い】
盾や鎧と同一。もちろん乗算。ガイくんの体力ゲージは見た目だけのお飾りに。
体力が1になるのでほとんど意味がなくなってます。酷いバランスだぞ茅場晶彦。
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