気儘に生きた転生馬物語   作:イナダ大根

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いつも多くの誤字報告と感想 ありがとうございます。
宝塚記念の後始末会でございます。うちの主人公いっつもこんなことしてますけど那珂ちゃんのファンはやめないで上げてください。





第40話

 

 

群馬県某所、市街地からちょっと離れたお安い土地、ちょっとした裏山があり建設には普段は向かないという事で大変お安かったらしい土地を切り開いて隠れ家的に建設されたそこに動物総合病院『イドフロント・ロドス』はある。

瀬名酒造馴染みのかかりつけ獣医であり、俺の幼駒時代からずっと診療を続けてくれた恩人であり、幾多の難題にもめげずに研究を重ねに重ねてきた獣医師、ドクターの愛称で知られる度し難いフルフェイスマスク野郎の居城である。

たぶん群馬県最大の面積を誇る敷地内には大小どころか陸生水棲すら問わないあらゆる環境に適した病室と設備を備えた施設が点在し、そこで勤める医師や看護師たちも世界中から集まってきた癖のある腕っこきばかり。

その一角にある馬用病棟の一室に、俺は白衣を模した馬着を着た姿でいた。

理由は簡単、馴染みのドクターからのお手伝い要請だ。まぁあの人にはお世話になってるからね、当然やれることはやりますわ。

なんならあの人の研究とかにも昔から色々協力してきたし。

 

(とはいえ、こいつよぉ…)

 

でもまぁ、今回ばかりはちょっとお灸を据えなきゃダメね。うん、たぶんそれも含めて俺が呼ばれたんだろうよ。

あのバカ、本当にやらかしやがった。確かに凄いんだろうな、俺は競馬のことはあんまり分からんがGⅠってのがでかい大会で賞金とかもやばいってのは知ってる。

前世では競馬場とかほとんど行ったことなんてなかったが今生で木っ端でも競走馬やってりゃ嫌でも耳にするわい。

世間様も大賑わいやってるし、高崎はお祭り騒ぎだしテレビでも高知競馬場が大騒ぎとかやってたしな。

というか今も記者どもがあいつ探して探し回ってるし…だがな、それとこれとは話が別よ、なぁ?ハルウララちゃんよ?

 

「フヒヒン?」『俺が言いたいことは分かってるよな?ウララ』

 

「ふぇ~~…ヒヒン!!」『えーと…ただいま!』

 

いえいえわたくしも一応怒っています事よ!!

 

「ヴェヒヒーン!!」『ただいまじゃねーわこのアホ!!』

 

「へひん!!?」『アホ!?私はアホじゃないよ!!』

 

「ヒヒーン!!ヒーン!!ブルルッ!!ヴァフッ!!」『いいやアホだよ、愛すべき馬鹿っていうアホだよお前は。信じて送り出した仲間がボロボロになって帰ってきて即入院しましたなんて聞かされた身にもなりやがれ!!』

 

高知に送っておくはずのお前を乗せて親父さんが帰ってきたと思ったらドクターの所直行で即入院からの緊急オペだのその他もろもろだの心臓止まるかと思ったわ!!

 

「ヒヒン?ひひーん!」『でも私今は元気だよ!』

 

「ひーん?ふぇーん?」『お前その姿でそう言える根拠はなんだ?』

 

全身包帯でぐるぐる巻きミイラ、点滴ぶっ刺さってるし心電図モニター用機材も設置されててシーツ敷いた抗菌ベッドの上に毛布被って寝てるガチ入院スタンスやないかい!!

しかも絶対安静でトイレとかならしょうがないけどもそれ以外は絶対寝てなきゃならんっていう重病人区分だし。

初っ端からこの特別病室で俺が呼ばれるくらいってお前、どんだけヤベー怪我したらそうなるんだよおい。

そもそもこの特別病室はこの病院で一回は通常診察を受けて『治療行為を理解していて落ち着いて受けてくれる』って認められてから初めて案内できる病室なんだ。

ちゃんと理解して行動してくれるって分かんなきゃ、点滴キットやら検査キットやらごちゃごちゃ置いて、人間の個人病室ばりに整えるなんてできやしねぇ。

俺がいるのはお前が変なことしないように見張って、治療の意味を言い聞かせるためにここにいるんだよ。

普段は説明担当の奴がいるけど今回はハルウララと面識があるってことで俺が特別に担当ってわけだ。

ドクターの治療が初めての連中はこういうの絶対嫌がるからな、ヤベーケガしてもなぜかじっとしてられんのだ動物ってやつはよ。

犬も猫も鳥もトカゲもちゃんと治療して言いつけ守って安静にしてりゃ現代医療なら大体は直るってのに経験しないとてんで理解しねぇ。

馬なんて時折動かなきゃならんからずっと寝かせるわけにもいかんってんで散歩に連れ出すと走りすぎやがる。

点滴嫌がるしギプス取ろうとするしむやみやたらと歩こうとするしで手がかかってなぁ…説明担当増えるまではほんと出ずっぱりだったもんだよ。

 

「ヴッフヴッフ」『言っとくけど、そうやって口だけでも回るのは奇跡だかんな?ドクターが治療してくれなきゃこうはいかんかったかんな?』

 

恰好はおかしいけど腕はガチでいいんだよドクター。最近またマスク変えてどんどん度し難い雰囲気になってるけどさ。

 

「ひひん?ひひーん?」『あの黒くて光ってる顔の人間ってそんなにすごいお医者さんなの?』

 

「ヴフ」『少なくともそこらの獣医とは比べ物にならねぇよ、ファッションセンスはろくでなしだがな』

 

本当にそこよね、前世の俺もセンスは正直なかったけどあそこまでガンギマリにはならねーわ。

どこまでも医療に真摯でまともなのになんというか、独特というか…ろくでなしで度し難いんだよなぁあの人は。

 

「ふぁ~」『確かに雰囲気は違ったかな、前の所の白い服のお医者さんより変な感じしなかったし』

 

「ぼふばばふ」『いろいろ度し難いがな…腕はいいんだよ』

 

でもまぁ今はドクターのことはどうでもいいんだよ。お前だおめぇ!!

 

「ひひん、ブヒブヒ!ブッフン!ヴィーヴィーシャ―シャー!!ばーはばっふ!!」

『両前足に極度の負荷で疲労骨折寸前、両後足に複数の亀裂骨折、おまけにすべての足の筋肉に炎症の兆候。

蹄もボロボロで亀裂多数、落鉄しなかったのが奇跡。おまけに極度の全身疲労と一時的な神経の麻痺も発症。

内臓へも極度の負担、横隔膜は断裂寸前の極度の疲労と肺内部にわずかな充血と化膿。

心臓に至っては一歩間違えれば崩壊寸前、酷使しすぎて重要筋肉に痙攣と不整脈の兆候、表面には内出血。

重要血管にも派生して複数個所が疲労断裂寸前、血管自体が収縮と拡大を繰り返し過ぎてて自損しまくってる箇所多数。

毛細血管に大ダメージで内出血箇所複数、同時に末端神経へのダメージで破損個所に軽度麻痺で自覚ができないときた。

他にもエトセトラエトセトラエトセトラ、生きて帰ったのが奇跡、退院しても元のように走れるとは限らん。お前は怪我を運ぶダンプか何かか?』

 

「は?」『え、いきなり何?』

 

「ヴぁほかーへへー?」『てめーが運び込まれたとき発症してた症状や怪我のことだけど?』

 

言っとくけどこれまだ氷山の一角な、それ以外のも細かいの出すとほんととんでもない数になってやがる。

 

「ヴぃー?」『…それ全部私の怪我?』

 

「ヴュー」『全部今回のレースでお前がした怪我』

 

「ぼほっふ?」『多くない?』

 

「ヒヒヒーン!!!」『多すぎだよ、あり得ねぇよ今のお前の体。何?なんなの?お前自壊しながら走ったの?自分壊しながら走ったの?

馬鹿なの?宇宙世紀にでも生まれたつもりなの?エンジンでも暴走したの?ガンダムどころかヅダじゃねぇかおい!!』

 

「ファっ!?」『後半意味わかんないよ!?』

 

「ファッヒュー!!」『俺だってお前が意味わかんねーよ!一歩間違えりゃ古海さんはアムロになるどころかデュバル少佐になるところだったわ!!

そもそも生きてるのが不思議なんだわマジで。よくもまぁここまでやって走り切ったもんだ、痛くなかったんか?』

 

「ヴヒヒーン…ヒンヒン?」『いやー無我夢中だったから全然。ところでくーちゅーぶんかいしてたらどうなるの?』

 

「ヅバ」『宝塚の亡霊にでもなりてーかお前?』

 

「?」『?』

 

あかん、わかっとらん。こんだけ言ってもピンとこないとかどんだけよ?

 

「ヴーヴ、ぼっはん!」『古海さんほっぽりだして芝と泥の上であの世にグッバイ、たぶん古海さんも一緒に道連れ』

 

「ははは…ひはいー?」『ま、まさかー、だってほら、今生きてるよー?』

 

「ひへふ」『ならもう一回羅列してやろう。なに安心しろ、もっとわかりやすく説明してやる』

 

ドクターから見せてもらったカルテを羅列してやるとどんどんハルウララが引きつった笑みを浮かべて視線を明後日の方へ向ける。

そうだよね、言えばさすがにわかるよねぇ考える頭あるんだからハルウララちゃん。まったくもって競走馬ってのはレースになるとこれなんだからもぅ!

 

「ばっふ!べほばへほぼひふ!!」『さて、申し開きはあるかねハルウララ君?いくらまだ怪我の区分が理解しきれていなくても、数くらいわかるよね?

いいかい、シャレにならん自壊の傷だけでも28か所あるのよ。28か所だ、28か所の自壊箇所だぞ!!

それだけじゃない、そこから派生した大小さまざまな傷がお前の体のそこかしこにあって傷だらけだ。

君の体に、今言った数の怪我が、ぎっちぎちに詰まってるわけよ、ボロッボロなわけよ、一歩間違えばその体はグズグズなのよ、OK?』

 

「お、おーぅ?」『お、おぅ?』

 

ははーん、まだわかってないんだねぇ?ならこうだ。ならばこうだ、おい持ってこい!!

 

「ヴゅー」『よく見ろウララ、ここに吸水ビーズがあるだろう?』

 

視線で外に合図して、待機してもらってたコマツとブチに押してきてもらった台車の上にはお皿に乗った吸水ビーズ。

台車に一緒に乗ってるレッドに頼んで院内の使用済みの除湿剤から拝借してもらっておいた。

 

「ふひふひ…ふん!」『ここに丸々したピーズがあるだろう、これを、こうだ』

 

そいつを蹄で押しつぶしてぐしゃっとな。ついでにブチたちがそれを見てわざとらしく両目を瞑って表情を渋く窄める。

 

「ヴュー」『こいつがお前のあり得たかもしれない未来の姿だ』

 

「ぼひー」『ごめんなさい、無理しすぎました』

 

「ヴッフ…ひひん?」『よろしい…ったく、でどうだったよ?』

 

「ふぇ?」『ふぇ?』

 

何わけわかんないって顔してやがる、この大馬鹿野郎。言うべきことは終わった、こいつはいわばルーチンワークだ。

馬鹿やった馬鹿には馬鹿野郎と怒鳴りつけて何が悪いのか教えて叱らにゃならん、当たり前のことだろうが。それは今終わった。

あ、みんなありがとね。え、捨てといてくれんの?さんきゅー。

 

「フヒン、ヒヒン、ブッルルッフォゥ?」『初めて一番最初にゴールした気分はどうだ?』

 

「フヒ…ヒヒーン!ヴッヒヒーン!!」『えーと…うん、最高だった!!』

 

「ヴム!」『なら良し!』

 

本当にこいつはやりやがったよ、よくやったとしか言えん。こいつは馬鹿だがいい馬鹿だ、こういうのは強いし教えがいがあってとても面白いんだ。今回は悪いほうに転がりかけたが。

本当に良く生きて帰ってきてくれたもんだよ、この大馬鹿野郎。こんな滅茶苦茶な体になってまで、平気な顔して歩ける頑丈さにゃ感服しかねぇわ。

競馬の只中でそんな風になりゃ、扱けたり落馬したりで最悪なことになるなんて茶飯事だ。俺だって何度もそんな場面は見てきたさ。

こいつが走ったGⅠとかいう大舞台じゃない条件戦なんかでも一歩間違えれば普通に馬は死ぬし人も死ぬ。

最悪なもんだぜ、そんな光景を前に見て走るってのは。戦争でもないのに人が死ぬ、馬が死ぬ、命が消える感覚ってのはどんなところでも一緒だ。

それこそ書類一つで何かが切り替わる会社の中でもそうだ、命が消える時は必ず同じ感触がするんだ。命の取り合いってのはみんなそうなのさ。

こいつらはそれを覆して走り切りやがった、しかもよりにもよってディープの野郎を公式戦で初めて負かしやがったときたんだ。

普通ならこんな風にベッドでけらけら笑ってなんかいられないだろうに、こいつは見事にやり遂げて見せた。

居るんだよな、こういうなんか持ってるヤツってのはどこの世界にも。

 

「ふへへ…ひひーん?」『えへへ!今ならタービンにだって勝てちゃうかもね?』

 

「ファー?」『お前人の話聞いてた?』

 

「ヒンヒン!」『聞いてた!』

 

「ハホヴァ」『なら何でそうなる…』

 

思わず呆れた、だってこんだけ脅しかけてなおこいつ全然懲りてねぇ。理解はしただろうけど懲りてない。

競争能力喪失は競走馬人生の終わりだ、特にこいつはもともと引退してたからまた引退したら二度と復帰は叶わない。

高知競馬に就職が決まってるから少なくとも肥育とか廃棄にはならんだろうが、少なくとも競馬には出られん。

ドクターはそんなことはさせないって息巻いてるが、あの人の腕前でもかなり高い確率でそうなるとは言ってた。

あの人嘘はつかないから、結構な確率でお前は引退なんだけど?

 

「フヒン!ふひふひ、ふっひーん!」『でも治るかもしれないじゃん!だから治ったらまた勝負!!そんで勝つ!!』

 

「おーぅ…ふぁーぁふぁーぁ…」『あーもぅ…お前ってやつは…悪いがそいつは無理だな、てめぇはしばらく練習も全部禁止だ。

その間に俺はもっと鍛え上げる、すまんが今のままで足踏みする気は俺も毛頭ないんでな』

 

「ひーほ!?」『あ、ずるい!!』

 

「ヴォンン」『ずるくねーわ、てめぇは勝ったんだから休養してろ。俺は次の勝負に備えにゃならん』

 

「フヒヒン?」『次?何のレースに出るの?』

 

「フスイ」『そろそろ碓井での勝負を決めようかと思ってな』

 

いやぁ、なんてーの? この前のカーチェイスでいろいろ見えたからさ、そろそろ碓井攻略に本腰入れようと思ってるのよ。

あんな真昼間から公道を突っ走る機会なんてそうそうなかったし思い返してみれば新たな発見が山盛りでさ。

そりゃひでぇ思い出だけどだからって糧にしないのとは違うじゃん?腐らせるなんていくら何でももったいなさすぎるのですよ。

それも踏まえてここ最近は峠攻め研究してるんだけどこれがなかなかいい塩梅に精度が上がってるんだよね。

 

「ヴッフヴッフ、フヒヒ」『まだ勝負を仕掛けるのは先の話だが、俺もそろそろ芦名以外のコースに名前を乗せる。

その次は妙義、その次は赤城、いずれは群馬のコース全てのランキングに俺の名前を乗せてやるさ』

 

最近はお前らどんどん上に行ってるしな、仕方ない話だが住む世界が変わっちまった。

それがどうとかいう気はないけどな、俺も峠でくらいは強者だと胸張って名乗りたいじゃん。

確かに平地ではお前ら強いんだろうよ、でも山なら俺が強い。

 

「ヴォヴォ?ふぉへ~」『おー…タービンやる気だね、目がギラギラしてるよ』

 

「はひ?はーぁ?ふぁっく」『なぬ?そりゃマズいな、お仕事中なのにその目つきはいかんのよ』

 

いかんね、どうも気持ちが先走り過ぎちゃったみたい。ダメだねぇ、まだまだ俺も修行が足りんわ。

 

「タービン、定期検診の時間だよ。もう大丈夫かな?」

 

不意に後ろから声がして振り向くと、ドクターのそれとはまた違う度し難い仮面をつけた医者…なんだよグっさんじゃん。という事はもう定期健診の時間か。

 

「はむはっふ、ふはは?フヒヒン、ほーへー?」『おっと、もうそんな時間か。ウララ、俺はもう行くが分かってるよな?ちゃんと医者の言うこと聞いて安静にしてるように』

 

「ほへー!」『もぅ、わかってるよ。お願いします、変な顔のお医者さん』

 

よろしい、ちゃんとお辞儀であいさつできたな。偉いぞ。

 

「さすがタービン、ちゃんと言い聞かせてくれたな。あとは任せな」

 

「ひひーん!!」『タービン!また一緒にレースしようね!!』

 

「ふぇいふぇい」『へいへい、運が良ければな』

 

ウララに見送られて病室から出る、やれやれ、ドッと疲れた…まぁ悪くない気分ではあるが。

 

「ふぁほはー…はっふ」『まったく…また、ね…あいつなら何とかしそうな気がするのは、不思議なもんだな』

 

こんだけ口酸っぱく言ったんだ、あいつだってわかってるだろうに…まったく、これだからああいう奴は強いんだ。

自分がもう昔のように走れないなんて本当はあいつがよく分かってるはずだ。

 

「ブモブモ、ンモ?」『なんだよ、難しそうな顔して。ウララちゃんがあれなのはいつものことだろうが?』

 

足元に駆け寄ってきたコマツが慰めるように言ってくる。

 

『変わらなすぎる、見てるこっちはハラハラするよ。あいつ、まだ走る気満々だ』

 

『だろうなぁ、あのドクターが変な声上げるくらいだったのに強いヤツだ。下手すりゃ走れなくなっても走りそうじゃね?』

 

『勘弁してくれよ、そうなったら見ているこっちが気が気じゃねーよ』

 

『よく言うわ、レースなんざほとんど見ねーくせに』

 

『だって仕事は仕事だしな…』

 

というか、誰がお前らの抜けた穴を埋めてると思ってやがる。最近は大イベントとなるとこぞって主力が抜けやがるぞうちの会社。

親父さんたちはともかくこいつらやお袋さんまで本番レースの生中継の時だけ仕事抜けてテレビに齧りつきやがる。

その間を埋めてんのが俺たちみたいに興味がない勢だからな、ほんの30分前後くらいだし楽しそうなの邪魔すんのもアレだからみんな気にしてないけどさ。

 

『やめてくれ、その視線は俺に効く。だって意外と面白いんだもん』

 

『お、おれは休み時間だったからだしぃ?』

 

『わ、私は野生だしぃ?』

 

ん?何を言ってるんだい?君はうちのカラスだろう。知ってんだぞ、とっくにうちの屋根裏に巣を作ってるよな?

親父さんがてめぇの事どっかに相談してんの見たし相談されたんだがね?お前いつの間にいい相手作ったの?

 

『あ、これ全部知ってる目だ』

 

『すんません調子乗りました』

 

『あ、はいすんませんでした!』

 

『よろしい』

 

まぁみんなやるところはかっちりやるから信用はしてるけど、あんまり頻度が増えると考えちゃうぜ?全く。

さて、次の患者さんの所に行こうか?まだ見慣れた顔の患者が残ってんだからよ。

フランス行き前だってのにわざわざ群馬で検査入院やって、しかもすっかり凹んでるとかいうあの野郎とかな。

 

 

 






あとがき
あれだけ激しく競り合ってウララちゃんが無事なわけないよね。
とはいえうちのウララちゃんは群馬調教でより頑丈になったので傷を負うけど死にません。
死んでもドクターが『おやおや』と言いながら病院の全力をもって救いに行く手はずとなっております。
このあとタービンが面倒を見る奴は当然今年の黒いヤベー奴、フランス遠征前の検査も群馬。なんで凹んでるのかはおいおい。
中央の医療システムは泣いていいがマネしてはいけない、アビスを覗く者はアビスに覗かれているのだ。


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