いつも多くの感想と誤字報告、ありがとうございます。
今回はちょっと雰囲気の違う…かな?なお話。こいつ無駄に教えるのはうまいからな…いろいろ度し難いけど。
二人のウマ娘がコースを走っている。その速さは極めて普通、よくある練習走行と変わらない。
よく整備されたトレセン学園のウッドチップコースやダートコースとは比べるまでもない土のコースであるが。
先頭を経験者の先輩が走り、その走りを見ながら後輩の新入りが走って走り方を学ぶ、それと同じようなものだ。
言葉にすれば簡単だ、しかし詳細を知ればきっと知る人は目を剝くだろう。
後方を走るは日本ウマ娘トレーニングセンター学園のジャージを着たナリタブライアン、言わずと知れた一番新しい3冠ウマ娘。
先頭を行くもう一人は県立芦名高校のジャージを着たシマカゼタービン、実家が酒造を営む一般校に通うごく普通の一般人。
シマカゼタービンが先行し、ナリタブライアンが後ろからついていくそれは知る人が見ればちぐはぐだ。はっきり言ってしまえばあり得ない。
そして何より、走りに余裕のあるシマカゼタービンと明らかに余裕がないナリタブライアンのそれは異常事態だと思わざるを得ないだろう。
それは走りに対する余裕とフォームからも見て取れる。二人はそれぞれ瀬名酒造で練習用に使われているスメルシュリグと呼ばれる装備を身に着けていて、ある課題を背負って走っている。
その上でシマカゼタービンは余裕のあるスタイルで先頭を走り、ナリタブライアンを気にしてもいる。
対するナリタブライアンは余裕もなく走りにくそうにシマカゼタービンの後ろについて行っている。
ナリタブライアンが走りにくそうなのは装備のせいではない、課された課題が問題なのだ。
しかしそれを見て騒ぎ立てるような人物はこの瀬名酒造の練習場には誰一人としていない。
ダートでも芝でもない土の1600メートルトラックを使っているのは自分たちだけだ。
先に走ったナイスネイチャとディープインパクトはドキドキはらはらとした様子でそれを見守っており、ツインターボは訳知り顔でどんと構えて誇らしげである。
そして二人のトレーナー、東条と南坂は映像とデータを収集しながら何度も頭が痛そうな顔をして顔をしかめて、目を丸くして、何か言いたそうにしながらそれを呑み込む、そんな百面相を続けている。
(いや、それは私も同じか)
普段見られない自分のトレーナーの姿に少し面白いと思ったシンボリルドルフだったが、自分も同じ顔をしていると感じて頭を振った。
それだけ目の前で行われている練習は異常なのだ。彼女たちはただ走っている、というわけではないのだから。
二人がトラックを一周して戻って来る、ハラハラした様子のナイスネイチャたちの前を通過してクールダウンしながらゆっくりと速度を落とすナリタブライアンと、それよりはるかに短い制動でありながら滑らかに速度を殺すシマカゼタービン。
汗一つかいていない彼女はスメルシュハーネスの腰についているポーチの一つから砂糖棒菓子を詰めた青い紙箱を取り出して一本咥え、ナリタブライアンが戻ってくるのを待った。
いつもよりはるかにぎこちない様子でナリタブライアンが戻ってくると、見守っていたナイスネイチャとディープインパクトが彼女に駆け寄る。
一方で、シマカゼの方にはツインターボが駆け寄ってぴょんぴょんと飛び跳ねながら彼女にじゃれついていた。
「ブライアン先輩!手ごたえはどうですか!!」
「あぁ、できる限りはやった。あとはもうどうにもできん」
「うへぇ、あのナリタブライアンさんにこう言わせちゃうって…やっぱこれ狂ってるんですね、つまりあたしたちがダメだったのも当然と」
「どうだかな」
ナリタブライアンは慎重に後ろ腰のプットバックに手を入れると中からパンパンに膨れ上がったペットボトルを取り出す。
それを見てナイスネイチャとディープインパクトが咄嗟に離れると、彼女は無造作に開栓して勢いよく噴出した水の水しぶきを浴びた。
それを見たシマカゼタービンも、自分のプットバックから炭酸水の入ったペットボトルを取り出して、それをナリタブライアンに渡す。
それを見て苦虫を嚙み潰したような表情をナリタブライアンはしたが、一息ついて勢いよく栓を開けた。
一度勢いよく炭酸が抜ける音がして、中の液体が気持ちよく泡立ち噴出せずに発泡する様子を見てナリタブライアンは声に言葉にならないうめき声を上げた。
彼女たちがお互いに背負っていたのは炭酸水が入ったペットボトルで、それを揺らさないように走って一周回ったところで開栓、それで炭酸がすべて抜け出なかったら合格という瀬名酒造では一般的らしい酒造の練習方法だ。
結果は言わずもがなだ、これまで挑戦したナイスネイチャとディープインパクトは失敗、ナリタブライアンと同じく頭から噴出した炭酸水を被った。
ナリタブライアンのペットボトルに残った元炭酸水にはかろうじて細かな泡がわずかに残っているが、その横で元気よく発泡するシマカゼタービンのペットボトルに入った炭酸水があってはもはや無いも同然である。
悔しそうな視線を自分の元炭酸水に落としたナリタブライアンは、ペットボトルに残った少ないソレを一気に飲み干した。
「まずいッ…」
「ブライアン、別に飲まなくてもいいんだぜ?」
「これは敗北の味だ、タービン!次だ!!」
「へいへい、ならやる事分かっただろうし今度はまとめてやろうか?」
再挑戦するナリタブライアンを見てやれやれと肩をすくめるシマカゼタービン、シンボリルドルフはやはり自分の目には狂いはなかったと実感していた。
「ルドルフ、あなたから見てどう思う?」
「末恐ろしいですね」
それは正直な表現であった。シマカゼタービンの仕上がりはまさに、今までの常識を根底から覆しかねない怪物ぶりといえたのだ。
これは瀬名酒造で行われている日本酒の仕込みをするのに大切な感覚を養うための初歩的な練習であり、根本はレースのそれとは全く違う技術を養うための練習だ。
シマカゼタービンはそれを峠レースに応用し、身に着け、完璧に使いこなしている。
彼女が何の気なしに行っている完全な重心制御、ウマ娘レースを走る者として自らの体の重心を制御してフォームを矯正するなどといったことは当たり前の技術だが彼女の技術はそれだけではない。
彼女のそれは制御するだけでなく自由自在に操りながら走る、走る衝撃も何もかもが彼女の手中にあると言える。
彼女曰く『荷重移動』と呼ばれる技術で自らの重心を細やかに移動させられるほどに完璧な制御を行って走っているというが、それだけでは説明がつかない。
そして走ればそれだけ体を痛めつける振動を制御する技術にもそれをかみ合わせ、自らの体に走る振動を制御し、振動の抜ける先までも自在に操る。
その気になれば、彼女は水を張った大きな盃を片手に持ったまま水をこぼさずに走ることができる。実際、彼女は最初にそれを頭の上に乗せた状態でやって見せ、自分たちにやらせようとしてきた。
無茶が過ぎると断ったときの彼女は心底不思議そうな顔をしていたが、彼女の中では中央トレセン学園生とはどんな存在なのだろうか。
「それにこれが彼女の全てというわけじゃない、あくまで一部でこれなのでしょう?南坂トレーナー」
「えぇ、ターボさんの言うことがすべて真実であったならばですが…昨日のことがありますから」
「目の付け所も知識も想定以上…これ以上に怪物、と考えてもよさそうね」
それも一端に過ぎない、シンボリルドルフとて彼女の秘めたポテンシャルをすべて見抜けたわけではない。むしろのぞき込めばのぞき込むほど、底が見えないとすら感じていた。
バカバカしい、あり得ない、狂っている、常識的なトレーナーならばそう断言する自己流トレーニングをケロッとした顔でやり切るのが異常でないはずがない。
実際に見てしまえば今まで培ってきたレースの経験から見えてしまうのだ。彼女はまだまだ本気で走っていない、まだまだ天井知らずの上がある。
現に彼女が日常的にやっているという練習にナリタブライアンたちは全くついていけていないのだ。
末恐ろしいとはこのことだ、一体何が彼女をここまで鍛え上げさせるにまで至ったのか。
家族のサポートがあったとはいえ、知人の件で多少地方トレセン学園に縁があったとはいえ、ほぼ独学ですべてを学んで自分で今の彼女を鍛え上げた。
その結果、彼女は模擬レースでとはいえディープインパクトに、エルコンドルパサーに、グラスワンダーに、そしてナリタブライアンに勝ってみせて実力を見せつけたのだ。
その理由を彼女はただ走るのが好きで、峠レースで勝ちたいから趣味で鍛えただけだと気楽に嘯く。普通に考えれば信じられないことだ。
「くそッ…タービン、お前本当にズルしてないんだろうな?」
「はっはっは、そんなもんブライアンがよくわかってんだろ。俺の尻見て走ってんだからよ。何ならほら、また調べてみるかい?」
「いい、尻を突き出すな」
「俺から言わせりゃ、こんなのできなくて当然なんだぜ。こいつはお前さんたちみたいなアスリート向けの練習じゃねぇしな。
むしろできたらこっちがどんな顔すりゃいいんだってレベルだ、俺が自信無くしちゃうぜ?」
「だがこれでお前は鍛えてきたのだろう?何かコツでもあるのか?」
「コツ?強いて言えば経験だな。うちはどんな名人でも最初はこういう補助も何もないヤツから始めるんだ。
最初から良い装備使うと最新装備の本当のありがたみってのが解らねぇし、扱いも今のヤツは結構難しかったりするから未経験者にゃ扱いきれんのよ」
「こっちの自信が揺らぎそうな話だな」
「そう言われてもねぇ…うーん。じゃぁ、ちょっと偉そうなこと言わせてもらうけど良いか?」
「遠慮などいらん、お前らも聞いてみたいだろ」
「おうわッ!?いつの間に背後に回り込みやがったお前ら!?…ディープ、なんだその怪しい手」
「前よりおっきくなってるらしいから計測を」
「おま!?あからさまに胸狙ってんじゃねー!」
いかん、完全に乗り遅れた。いつの間にかシマカゼタービンの後ろに忍び寄ったディープインパクトたち3人とシマカゼタービンのじゃれあいに思わず愕然とした。
何やらシマカゼタービンが率直に自分たちを見た感想を言おうとしているらしい、それは聞いてみたい。
「ったく、好きでデカくなったんじゃねーっての…じゃぁ、ま、遠慮なく言わせてもらうが、あくまで酒屋と走り屋としての意見だ。信じるかどうかはご勝手に。
まずブライアンもディープもナイスネイチャも、もちろんターボもだが、まだまだ自分の体を扱いきれてねぇな。実力が出し切れてねぇ」
「それは聞き捨てならないわね、一体何が不足しているというの?」
「うわ、そんな顔しないで下さいよ東条さん。説明しますって、まず前置きするけどみんなウマ娘のレースに関しちゃ一流だ。
そりゃ見てりゃ分かるさ、さすが天下のトレセン学園生だよ。さすがは中央、相変わらず魔境だねぇ。
レースに関する体の動きは頭ん中に叩き込んだんだ、踊りで体も磨き上げてる、見れば見るほど最高の仕上がりだよ。
本題はお前らが思ってる以上にすごいスペックを体が持ってるってことね、間違いない。ただそれをまだ活かしきれてねぇんだよ」
「んん?タービン、それどういう意味?」
ツインターボが首を傾げてシマカゼタービンに問いかける。
「お前がピンとこないでどーすんだよ、散々親父が教えてくれたじゃねぇか。そうだな…ちょいとズレるがクイズでもするか。
例えば新品ノーマルのS13をカスタムするとして、スピード上げたくて単純に性能のいいターボを車に組み込んだとする。どうなるよ?」
「スピードが上がるのでは?」
「あーなるほど、違うよトレーナー。タービンが言いたいのはね、スピードは上がるけど全体のスペックが生かしきれてないって言ってるの。
他の箇所がノーマルのまんまでパワーアップになってるから他の部品への負荷が大きくなるし、調整不足で摩耗も早くなっちゃうんだ」
東条と南坂の表情に緊張が走り、眉間にわずかに皴が寄ったのをシンボリルドルフは見逃さなかった。
二人の脳裏には親しいトレーナーの担当ウマ娘達の姿が過ったに違いない。
彼女が何気なしに言うそれには、彼女たちに符合する点がいくつもある。
「そういうこった。短期的にはそれで走れてもすぐにほかの場所が悲鳴を上げちまう。走行中に部品が大惨事確定、破損個所で暴れて最悪廃車だ。
だから、カスタムするなら必ずフルメンテも込みでやる。組み直した部分を軸に全部だ、細部の細部まで全て組み直して、愛車の全部頭の中に叩き込んで何度も試走して初めてフルスペックで振り回せるのさ。
ウマ娘だって同じ、そりゃトレーナーさん達も重々承知だろうからそうならないように訓練はしてんだろう。
だからお前たちは制御できてる、使いこなせてもいるさ。でも微妙にズレてる箇所がいくつもあらぁな。
じゃぁどうすんだって話になるがこれもまた曲者さ。こういうことは突き詰めても突き詰めてもキリがない、正解ってもんはどこにもねぇからな」
「それは…まぁ、ねえ?」
「ネイチャは心当たりがあるようで。車のそれとウマ娘のそれは意外と似通っててな、下手すると体のスペックに肉体が付いて行かんのさ。
で、似てるといったが全部同じじゃない。車は部品を変えてきっちり調整すりゃ解決できる、機械だからな。だがウマ娘はそうじゃねぇ。
足首、膝関節、あるいは骨そのもの、挙げればきりがないがそういうところはなかなか鍛えられるもんじゃない。
無論対策できないわけじゃないが、ホイホイできるもんじゃねぇや。それこそ長い目を見てすり合わせにゃならん。
それに生まれ持った性質ってのもあるし、調子いいからってついついケアを怠っちゃうこともある。
それにレースじゃ時間も敵だ、クラシックレースとかはついついそうなっちゃう連中も多いだろ。地方も同じだしな。
ましてや伸び盛りの時なんか、ガンガン走ってどんどん強くなる。そうなるとつい全部強くなったと思っちゃってやりすぎる。
もちろんそういうわけじゃねぇからつい力を入れすぎちまって弱い所がぽっきり、なんてよくある事さ。
お前さんらほどになったらそんなことは万が一にもないだろうけどな」
「…なんか、随分手慣れた感じですね」
恐る恐る、という雰囲気で南坂トレーナーが口を開く。当然だ、彼女の年齢に対して語るウマ娘に対する知識はあまりに乖離している。
その言葉には多くにウマ娘達を育て上げ、知識を授けてきたトレーナーのような説得力があった。
自分が担当するウマ娘よりも少し年上なだけの、まだ18歳の少女がそんな言葉を発しているのだ。トレーナーとして感じる違和感は半端なものではないだろう。
そんな恐怖が若干混じる視線を向ける彼に、シマカゼタービンはなぜか突然立ち振る舞いを正し清楚なお嬢様然とした立ち振る舞いで答えた。
「瀬名の娘を名乗る以上これくらいは当然です、南坂トレーナーさん。こう見えてウマ娘と酒造の知識には自信があるんですよ。
瀬名酒造は古くは戦国時代よりも前からこの芦名でウマ娘と共に生きてきた老舗、当然ながら先祖より長らく培ってきた技術と知識には自信があります。
伊達にウマ娘と長い時間を過ごしてきたわけではありませんからね、もうこの会社の歴史そのものに染みついているようなものです。
私はその一部を継承しているだけにすぎませんよ」
「でた、お嬢様もーど。相変わらずキモい」
「ははは…俺もそう思う、吐き気するぜ。よそ様には受けがいいんだから世の中は分からん」
「何も知らない人限定だけどね。地元だと?」
「キモイ変態」
唐突にお嬢様然とした立ち振る舞いをしたシマカゼに、ターボが当然のようにツッコんでそれに彼女も同意する。
その光景に二人のトレーナーの眉間に固まりつつあった皴がほぐれた。
「こう見えて会社じゃ教える側なんで慣れてるんです。ま、ただ仕事柄なだけですよ。
それに所詮は部外者の勝手な感想、うちはあくまで走り屋やってるただの酒屋の小娘ですんでね。気にする必要はありませんや」
「いや、なかなか興味深い話だ。そういえばお前の走りはどれも無茶苦茶に見えて、きっちり制御できている類だったな」
「できてなきゃ酒は造れねぇかんな、ポーターズギアだって精密機械で扱い要注意だから結構気を使うんだ。これもまずは体にしみ込ませないと話にならん類だぜ」
「難しいよそれ、タービンなんか案ない?」
「こういうのに近道はねぇんだぞ、ディープ。あ、いや…ギアの方も試してみるのもありか、お前らなら壊さんだろうし」
「あれ?会社のは使えないんじゃなかったっけ?」
「ターボ、自前のがあるからそいつなら構わんさ。社用のとは違うけど大体の感覚なら共通してる」
「でもお高いんでしょう?」
「ミリタリーグレードなんで結構なお値段ですよ、ネイチャさん」
「隙あり!って痛ったい手がぁぁぁ!!」
「簡単に揉めると思うなよ小娘がぁ」
(…惜しいな)
本当に惜しい、シンボリルドルフは目の前でディープインパクトに絡まれるシマカゼタービンを見ながら心の底から思った。
きっと彼女が本気でレースに挑めば、自分が届かなかった世界の頂にも手が届くかもしれない。
こんな逸材を見せつけられてしまったら、たとえ一度は納得しても未練がましく考えてしまう。
彼女は日本ウマ娘トレーニングセンター学園に通うべきウマ娘だ、中央のトゥインクルシリーズに、クラシックにそして世界へ挑戦すべきウマ娘だと。
押しつけといわれても構わない、それだけ彼女の持ちうる才能と実力は凄まじいものがある。
瀬名酒造という長い歴史を持つ家で培われたウマ娘に対する深い知識と思考、そこから見出される技術が彼女の中で渦巻いている。
それをこのまま田舎の片隅に放置するのはあまりにも無駄遣いだ、彼女はもっと大きな舞台で輝ける存在なのだ。
そんな才能を持ちながら、公式のレースにまったく無関心という彼女の本心を知ってしまったから余計に歯がゆい。
友人や従妹がレースの世界に足を踏み込んだからこそ多少知っている、本当に彼女の中ではそんな自分には全く縁のない遠い世界の扱いだ。
彼女の中で今一番大切なのは家族と会社、峠レースと車、ウマ娘レースに順位があるとすれば最下位どころか順位外である。
彼女はそれを自ら望んでいる、だが本当にそれでいいものか、それで終わらせていいものか、シンボリルドルフは胸の奥に何かがつっかえて拭えないのだった。
あとがき
シマカゼタービンの中には『瀬名酒造(前世)』と『瀬名酒造(今生)』ががっつり刷り込まれてるので観察眼とかその他もろもろもいろいろヤバイ。
前世での経験も踏まえて自らを自己改造していった結果が今のシマカゼタービン、ほんとにこいつはなんなんだ?
なおその経験は現在の瀬名酒造に完全に浸み込み、群馬トレセンを侵食し、カサマツトレセンに感染拡大しているのが確認されている。
ちなみにお嬢様モードになるとアズールなチャパエフさんみたいな感じになる、地元じゃ気色悪いと評判。こいつの素を知ってると絶妙に気持ち悪いらしい。
訓練用に使ってる装備にスメルシュを採用したのは作者の趣味、サバゲじゃロシア装備マンなのでSSO製スメルシュが手元にあるので資料には事欠かないのです。
最近はちょっとやりにくいんですけどね、装備には罪は無いけども時期が時期だし。早く落ち着かないかしら…
そんで放出品とかになって流れてこい、使うから放出品大歓迎マンやぞワイ(銃より装備に金掛けちゃう人)
おまけCパート・炭酸水訓練同時刻、瀬名酒造練習場の片隅でこっそり覗いてた男女の会話
「なんだい、久々に来てみれば相変わらずあんな度し難い練習をまだしてんのかい。変わらないねぇ」
「お久しぶりですね、今も昔もあの子は本当に走るのが大好きなんですよ。可愛いですね、見ていて飽きません」
「可愛いなんてもんかい、気色悪いったらありゃしないよ。忘れたのかい?あの子、ハイハイしだしたらそのまま走ったんだ。
思い出すだけでも背筋が寒くなるねぇ、まるでやったことあるみたいにこなれた動きしちゃってさぁ」
「よく覚えていますよ、まるで鹿のような素晴らしい走りでしたね。あのライザさんがあんなに慌てた顔は初めて見ましたよ。
あの時は大騒ぎでしたよね、会社の中で見失ってみんなで大騒ぎ、いくら探しても見つからないと思ったら…私たちの目を欺いて家のガレージに忍び込んでたんですから」
「ご丁寧に茂三社長のハチロクのボンネットでぐっすりさ、本当にどうかしてるよ。生まれたときから走ることに憑りつかれてるみたいに走りたがってさ。
なのにでかくなったらなったで変に落ち着いちまう、まったく気味が悪いったらありゃしない」
「そういう割に、あの後しばらくはタービンを片時も手放さないで面倒を見てたじゃないですか。子供とはいえウマ娘、それを片手で。さすがですね」
「社長にゃ世話になってるんだ、あたしゃ義理堅いのさ。実の娘じゃなかろうが、あの人が認めりゃあいつは社長の娘なんだ。
ま、馴染み過ぎていらんとこまで似ちまったみたいだけどね。しかも素だ、まったくもって厄介な話さ。
そういうお前もだ、夜なべして次の日に特注のグローブとプロテクターを持ってきたんだから大概だろ?ドクター」
「それ程でもありませんよ、道順君にも手伝ってもらいましたから。いくら元気が良くてもそれが害になってはいけませんからね、医者として当然のことです」
「獣医がよく言う…まったく、本当に度し難いねぇ」
「おやおや」