家族の仇は、娘でした 作:樫鳥
『それで、行動に移したということは必要な情報はもう集まったということかい』
裸電球が、隙間風で揺れていた。安普請ではあるが、普段は使わないということであまり修繕をするつもりもないのだろう。
通話越しで、西田の声が響く。分かっている筈なのに、わざわざ聞いてくるとはなんとも性格の悪いことだ。
『知りたいことは、おおよそは。あとは、本人に聞くことがあるだけです』
『そうかそうか、それはなによりだ。因みにだけど、君に紹介した場所の詳細は知りたいかい?』
窓の外を見ると暗闇が広がっているが、ポツンポツンと崩壊しかけの集落が点在しているのが分かる。
『いえ、知っていますよ。旧澱集落ですよね』
旧澱集落。犬鳴村のモデルになった、津山四十四人殺しの惨劇があったとある集落。その話題に隠れてしまうが、ここでも似たような事件が同時期におきていた。時代は戦時中、奇しくもかの殺人鬼と同じ身体的な原因で徴兵を受けられなかった村民が村人から差別され二十八人を殺した後村の猟師に射殺されたという。
その後も村民は住み続けたが、交通の不便さもあり戦後の高度経済成長期を境に人口は激減。大規模な地震からの地滑りまでおき村落の七割を呑み込んでしまった後、行政の指示により生き残りの村民は麓の街に移り住んだ。
一時期、心霊スポットとして注目を浴びたこともあるが、六年程前肝試しに来た大学生が熊にバラバラにされて殺される事件もあり、厳重な封鎖がされたことにより近づく者はいない廃村となっている。
他にも、古い山岳信仰から神隠し伝説もあり、カルト宗教が本拠地を構えて怪しげな儀式をしていた。二十八人を殺した殺人鬼の亡霊が現れる。ヤクザがクスリの取引に利用している。この先日本国憲法が通用しませんとどこかで見たような看板がある…等と様々な噂が流れている。
『ここの噂は、そういう話に疎い僕でも知っています。本当にここで大丈夫なんですか?』
『ここに来る大抵の連中は、山道から近い第一澱集落で大抵満足して引き返す。今お前さんがいる第二澱集落は、今は絶滅危惧種な地元を知る人間じゃなければ大抵は分からないよ。ああそれと、熊が出るのは本当だから気をつけるようにね。因みにカルト宗教がいたっていう噂もね。幽霊は出ないけどさ』
それは、ここには何人か既に埋まっているということか?どれだけ悲惨に殺しても、亡霊の一つ出てこないならば心霊現象等やはり存在しないかもしれないな。
『それで、始めるのかい?なにかやり直しややり残しはないかな?それと、今ならまだ引き返せるということも老婆心ながら伝えておこうと思うよ。ギリギリまで、選択権は君にある』
『これの為に数か月、我慢を続けていたので。留まるかどうかは、真実次第でしょうか』
『そうかい。では、努力が報われないことを祈っているよ。こういうのもなんだが、何時だって最終手段というものはとらないにこしたことはないんだからね』
通話が切れる。ここは普通の携帯電話じゃ通話すらできない秘境中の秘境であるのだが、なにやらデカい棒が伸びている古くてデカい電話でようやく可能なくらい通信も悪い。
裸電球の灯りを決して、ライトをつける。床下にひかれた古いマットを引きはがすと、床下に続く木製のハッチが現れた。聞いた話では、元々は地下室の食料貯蔵庫があったらしい。個々から先は、件の携帯でも通話ができなくなる。
階段を数段降りて行き、建付けの悪い扉を強めに押し開く。この洗礼されていない微妙な不便さと古臭さが、偏見ではなるだが過疎集落や廃村の建物なんだなと勝手に感じた。
廃村に電気が通っている訳がない。先程の裸電球は持ち込まれた小型のバッテリーでついていたが、地下にはなにもない。空気はヒンヤリとしており、ライトの灯りを消したら真の暗闇であり、水滴が落ちる音と鼠が走る音くらいしか聞こえない。こんなところに、視界を制限されて放置されたら心も折れるだろうという。
マッチを擦り、ランプに明かりを灯す。暗闇が明るく照らされ、無機質な岩肌と食料を保管していたと思われる古い棚。そして鎖付きの手錠と、鎖に打ち込まれた古くて大きい釘。両手を上にするように拘束されズタ袋を被る女が一人。
『スタンガンで一発、身体は傷つけていないか。妙なところでプロ意識が高い仕事ぶりだな』
ズタ袋をとってやると、桐野鳴がそこにいた。デートの帰り際拉致されたということで、その姿は二日前に見たままだ。水くらいは飲ませてもらっているようだが、だいぶ衰弱している。つまり、心身ともに余裕がなくなっている。今ならなんでも聞き出せるだろう。
『……うっ』
『おはよう桐野。具合はどうだ?』
『レント君?私…なにがあったの?助けに来て…くれたの?早く、早く助けて』
『思っていたより元気そうで安心した』
床に倒れた椅子を立てて、その上に座り込む。さて、それじゃあどこから始めようかな。
『なにしているの?』
『質問コーナーの設営準備。もう終わったけど』
『なにそれ…頭おかしくなったの?それとも、これはアンタの仕業なの?アタシ達、よりを戻して付き合っていたんじゃないの?』
そうだな。偶然ホテル前で再開して、彼氏に遊ばれて捨てられたとかいう戯言を信じてあげたふりをして。再開する約束と出会いを繰り返してよりを戻したんだったな。まずは、そこから正そうか。ここから更に追い詰めてやった方が、余計にボロがでるだろう。
『ほい』
レコーダーのスイッチを入れる。どこかの盛り場なのだろうか、ガヤの音を背景に聞きながら男女二人の声が流れた。
【あの冴えなさそーな男がマジでそんな金持ちにか?確かに、そんな噂は俺の周辺でもよく聞くけどよ】
【それが本当みたい。同窓会で恥かいちゃったけど、凄い話聞けたのよ】
【まさか、よりを戻すつもりじゃねーだろうな。金で過去に捨てた男になびくのか?君は俺のお姫様だろう?】
音声を聞き鳴の血の気が引いた表情がさらに青ざめていく。これだけでも、わりと楽しいものだな。胸糞悪い話だが。
『それって』
『黙って聞いてろ』
【そんな訳ないじゃん。あんな退屈な低学歴に今更乗り換えるなんて。でも、お金を持ってるは確かだし、アンタの希望を叶えてあげられると思って】
【あん?】
【ほら、アンタ前から結婚したくないって。今の関係をこれからも続けたいってさ】
この件を始めて聞いた時、最初笑ってしまった。結婚したくないんじゃなくて、他に本命がいるっていう意味なんだよな。本当に、知らぬが仏というべきか。
【金もってるのは確かだし、アタシが引っぱってくるよ。よりを戻して、既成事実作ってアイツと結婚して離婚する】
【アイツとガキでも作るのか?】
【な訳ないじゃん。先にアンタと子供作ってアイツのガキだと言い張るよ】
【それって、ガキ連れて来るのか?俺そういうの嫌なんだけど】
【まさか。クソ真面目な奴だから托卵なんてことも気づかないでしょ。養育権放棄すれば養育費はもらえないけど、余計な瘤もつかない。金はもってるから、慰謝料だけでもたんまりもらえばさ。アンタとアタシの結婚資金にでも…】
『もうやめて…』
個人的にも、これ以上聞いていても仕方がない。ボイスレコーダーの録音を切って、床の上に放り投げる。
『お願い、聞いて。これには訳があるの』
『ちなみにこの密会現場の写真もある。この状況でどんな弁解が出て来るのか気になるところではあるけど、生憎とそちらに関しては目的としては主題じゃない』
え?とでも言いたげな不思議そうな表情をする。場合によってはこれだけでも殺意を抱く対象にもなりそうだが、こちらとしては心をへし折ってから聞きたい情報を吐かせるための布石にすぎない。こちらも、今この瞬間スムーズに話を進める為の偽りを重ねている為ある意味ではお互い様であるのだし。
『本題って?』
『メインの前に、まだ話すべきこともある』
椅子から立ち上がり、手の中でビニール紐で括られた鍵を弄ぶ。食料保存に使われていたと思われる棚。鍵穴を差し込んで、少しの抵抗を受けながら回してやると施錠さえていた扉が中に入っていたものが重力に従い横倒しに落ちて来る。
使わない布団を保護する為のカバーのような大きさ。いや、もっと近いものでいえば死体安置所とかで遺体を入れておくあの寝袋のような大きさ。中には、まるでパイナップルでも詰まっているかのようにゴツゴツと表面が浮き出ていた。
ジッパーを開ける。桐野が息を呑んだ悲鳴をあげたのを聞いた。事前に聞いていたが、これは確かに僕自身でも驚いてしまう。
『……だれ?』
『おいおい、まさか分からない訳……あーこりゃ分からんな。面、誰だか分からんなんて言いたくなる惨状だ』
瞼が青くはれ上がり、頬には焼き印でも押されたのか円形状に酷い火傷が浮き出ている。瞼の裏側で眼球でも破裂しているのか白い液体のようなものが垂れたままとなっており、鼻も折れて曲がっている。歯も全部抜かれている。これは聞いたことがある話だが、歯を全部抜くのは歯型から死体を特定されないようにする為だとかなんとか。
『河野楽斗。県内一、全国でも有名な城戸大学卒業間近。有名大手に内定済みで、これからの人生バラ色が期待された超有望株。お前が好きそうな男だよな本当に』
『なんで!?なんで楽斗君が!?』
理由を答えるならば、この河野楽斗という男は調べれば調べる程粗というか錆というか、心底真っ黒な男だったからだ。
女を何股もかけているなんてまだ序の口。僕も不思議に思っていた、何故西田の組織にいた人間がほんの少し調べただけでこの男の詳細が出て来たのか。実はなんのこともない、初めから河野楽斗はマークされていた。
『手ぇだしちゃいけない女に手をだしたからだよ。あと、それで破滅した女も多い』
写真を数枚床の上に放る。今となっては見る影もないが、容姿の端麗とも言える河野楽斗。普通に女を漁る他にもママ活やパパ活の斡旋にも手をだしていたらしい。自称、成績有望ではあるが授業料に困る苦学生。恋人やママ達やどちらかと言えばランクが低いキープに金を巻き上げていたようだ。
まだそれだけでは、なにも目をつけられる程でもなかったが、問題なのはキープの女達に闇金で借りさせその金を溜め込んでいたことが発覚した。所詮闇金だから踏み倒しても問題ない。免許書や住所を提示されても適当に用意した偽物や関係ない住所等を言い渡し金を巻き上げていたようだ。
それだけならば臓器売買やカニ漁船にでも乗せるところかもしれないが、もっとやばかったのがママ活でひっかけた相手が北村興行より一つ上である西日本で一番デカい本家に勤めるお偉いさんの妻であったこと。
貢がされたことを知り怒り狂ったその人物は北村興行に素行調査を依頼。行動が明るみに出れば、まず闇金から債権を半ば強引に買い取り北村興行に落とし前をつけるように下知を下した。なんせ、表向きは土地の運営を得意とする北村興行はそういうものの処理も上手い。一足先に連れてこられ、散々痛めつけられた結果がこれということだ。
僕の調査依頼はあくまでついで。でもそれなら、処理する前に心を折る為の脅しに使えということだろう。
『桐野。お前はキープの中でもギリギリパパ活っていうか、売春斡旋には回さない程度に気に入られていたみたいだな』
『嘘…だって。楽斗君、何時も私だけって…姫だって』
『キープが多すぎて、全員姫呼びして名前が覚えきれなかっただけだったりしてな。まあ、そんなことはどうでも良いんだよね。これを見せた理由は、僕の本気度を分かってもらう為であるし』
椅子に座りなおす。河野楽斗もそいつと共謀した慰謝料計画もどうでも良い。桐野は今のところ僕一人の単独犯だと思い込んでいるだろう。ならば河野楽斗も僕が殺したと思い込ませておいた方が良い。
『本気って?』
『これから話すことに正直に答えること。嘘だと分かったら、真偽を確かめる前にこうなる。ダラダラ時間をかけたくないから、手早くいこうよ。因みに、嘘をついたらすぐ分かる証拠は全て集めている。矛盾があったら、ペナルティーを受けてもらおうかな』
ようやく本題に入れる。ここまで必要だったとはいえ、随分と遠回りをしたものだ。
『三好梓を覚えているか?』
一回頷く。目尻に涙が浮かんでいるが、別にそれを見てもなにも思わない。だがその顔が驚愕で固まっているのは、過去の悪事がバレていると気づかれたからか、それとも思いもしない名前が出たことに驚いているのかどちらなのかは見極める必要がある。
全て証拠を集めているというのはブラフだ。そんな証拠があったら、こんな尋問だか拷問だかの真似事なんてしていない。だが、効果的ではあるだろう。
『まずはおさらいといこうか。三好梓、彼女は僕と君が通っている高校が内定していた。家庭環境に問題こそあり虐め問題もあったものの、あと少しで中学卒業し今までの面々とも別になる新生活が始まるタイミングで自殺をするのは違和感があると思わないか?』
『なにが……言いたいの』
『僕には違和感しかなかった。だけど、直筆の遺書と家庭環境に虐め問題、新生活に対する鬱。そしてなにより震災で生き残ったことで発症してしまうというサバイバーズ・ギルトもあったのではないかという結論が出てしまった』
サバイバーズ・ギルト。精神医学の分野ではPTSDに分類される症状の一つである。ナチスが行ったホロコーストや、日本ではJRの某電車が脱線した大事故で生き延びた人間が発症したことから認知度が広まった。
戦争、災害、事故、虐待。そんな衝撃的な体験をして他者の間近で見ながら生き延びた人間が発症してしまう心理的な症状であり、生き延びたことへの罪悪感に心身共に蝕まれてしまう。
例えばの話だが、カルネアデスの板という逸話がある。
紀元前二世紀頃のギリシャ、船が難破をし命からがらしがみついた板。その板は一人しか掴まることができない。だがしかし、もう一人の船員が今にも溺れそうな状態で板を掴もうとしている。その溺れそうな男を押しのけることは罪か否か。
押しのけた男は罪に問われることはなく、日本でも刑法第三十七条の緊急避難というものがありこれに該当すれば罪に問われない。だがしかし、いかに罪に問われなくても助かりたいと手を伸ばす人間を押しのけた罪悪感は消えるものではないだろう。
あの震災では沢山の人間が亡くなった。誰もが自分のことで精一杯であり、他人を助ける余裕なんてもてた人間は極少数だ。それは善意も悪意も関係なく、誰もが多かれ少なかれ経験したことだった。
梓は、実の母親が伸ばした手を踏みつけて逃げ去った。心の中では罪悪感が芽生えていても不思議ではない。今にして思えば、サバイバーズ・ギルトの症状と言われているモチベーションの低下は自身の虐めについて解決に動こうとも逃げようともしないこと。組織に対する忠誠心の減少や引き取った家族やクラスメイトに馴染むことを半ば放棄していた行動にでていた。
素人の付け焼刃な知識での診断であるが、そうまで間違っていたとは思わない。そんな背景があったからこそ、警察も突発的な自殺と判断したのかもしれない。フラッシュバック等よくおこることで、僕だって揺れる電灯の紐を見て地震を思い出すことがあった。
だが、そんな背景を踏まえてもなお彼女が自殺したのではないと断言できる。
『三好家に、彼女が書いたとされる直筆の遺書が残っていたよ。意外だった、仲が悪かったし処分されているものだと思っていたよ』
桐野鳴の顔は更に血の気が引いて土気色なっていた。だが、言葉を続ける。
『僕は、梓と同じ西日本大震災の被災者だった。自殺したと聞いて、納得できないと同時にもしかしたらと心の中で考えていたのも実は否定できない。だけどさ、僕は梓や君と付き合ったからこそ分かることがあった』
三枚の紙を取り出す。一枚は、梓の高校受験の為に一緒に勉強した時のノート。これは三好家に残されていたものだった。そしてもう一枚は例の遺書。最後の一枚は、桐野鳴と大学受験をした時に僕のノートを間違って使った際に残ったこの女の文字。
『僕は三好梓の筆跡と癖も、君の書き方の癖字と特徴もよく分かる。二人に勉強を教え続けてきたからね。だからこそ、気づいた。この遺書、確かに似せるように書かれていた。君の勉強を何度も見ていなければ気づかなかったかもしれない。この遺書、書いたのは君だよね』
三好は、首を左右に振る。猿轡もしていないのに、声も出さずに泣きだしそうだ。
『本当に?』
今度は首を激しく縦に振った。
ため息をついて、ポケットからペンチを取り出す。河野楽斗の遺体袋から腕を取り出し、その爪にペンチを引っかけた。少し力を入れて引っ張ると、粘着質な音を立てて人差し指から爪が剥がれ落ちる。
『指先と足の指ってさ、神経が集まってるから痛いんだよね。もっともポピュラーな拷問法だって教えて協力者の人に教えてもらったよ。君がどんなに嘘をついても、こういうこともできると知れば嘘をつけなくなるよね。痛いのを見るのも好きじゃないし、なるべくならやらせないでほしいな』
相手は戦場あがりの兵士でも屈強な男でもない、普通とは言い難いが平和な日本で産まれて生きてきたただの女性だ。それだけで、なにやら床に水音が広がり湯気がたってきた。それを笑うことも指摘もしない、逆の立場だったら僕だって怖いに決まっている。だから、確信をもってやる。
手枷がはめられた腕に近づき、よく手入れされた長い爪をペンチで挟み込んだ。
『じゃあもう一度聞くけど、この遺書は君が』
『書いた!アタシが書きました!だからやめて!お願いしますやめてください!』
『そうか分かった。じゃあ、なんで駅のホームから梓を落としたの?』
こんな遺書を書いたからには、それが冗談ですまなかったということは行きつく先はそこだ。
梓が飛び込んだあの時間帯は、学生には春休みであるが社会人には平日の日常。混雑する駅中で、人混みに紛れて遺書を鞄に仕込み背中を押した、なんて光景が頭に浮かび上がる。あの駅には監視カメラはあったが、不運にも人混みの死角になりそれが映ることも、目撃されたこともなかったのだろう。
遺書だけなら悪質で陰湿な虐めではある。だが、殺しとなってしまえばそれは計画性のある犯罪だ。それを示す証拠等、時間経過と共に何一つ無くなってしまったが。無理だと分かっているが、何故もっと早くその可能性に気づかなかったのか。
同じ高校に通うんだから仲直りしよう。一緒に入学後必要になりそうなものを買いに行こう。もしかしたらこんなことを言っていたのかもしれない。僕が見る限り桐野鳴は梓の虐めに関与はしていなかったし、前向きになっていた梓は自分を変えるきっかけにと了承したのだろう。
もしそうであったら、カバンにこっそり遺書を仕込むことくらいできるかもしれない。そして、あの殺人事件はおきてしまった。
『何故、梓が死ななければならなかったんだ?』
一番知りたいことはそこだった。何故、この女は梓を殺したのか。
『あの子が…憎くて、嫉妬したなんて言ったら…信じてくれますか?』