家族の仇は、娘でした   作:樫鳥

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 「おう、久しぶりだな。随分とナリが変わったもんだ。似合っているんじゃねえの?」

 

 相も変わらず、と言いたいところであったがその姿を見た時一瞬目の前の男が誰だか分からなかった。無精に生やしていた髭を綺麗に整え、古くてボロのコートは噂程度しか知らないが社交界でも通用しそうな、燕尾服となっていた。呑んだくれのとっつぁんが、どこかのちょい悪貴族風に変貌している。

 

 「ナリが変わったのは、お前の方だろうガスパル。色々聞きたいことがあるが、まずはその恰好を聞かなければ話が進みそうにない」

 

 「こう見えてちょいとばかりあちこちに伝手がある身分でな。出会うのにもイチイチ正装が必要なお偉方もいる訳よ。面倒なもんだがな」

 

 今こうして、人外の身になってから改めて対面にくると分かる。所作や行動における隙の無さは、昔から感じていたが、今肌に来る感覚はまるで人外を相手にしているようなプレッシャー。人妖でもなく、吸血鬼でもない。目の前の存在は、人間という器になにか途轍もないものを押し込めているような雰囲気だ。

 

 近い存在を考えるならば、テンではなくランドルフ。あの幼い容姿を侮れば強大な竜としての力が襲いかかるだろう。それと同類の圧を、ガスパルから感じていた。

 

 クーラがさり気なく動き、天幕の端に移動する。腕を組みながら興味がないふりをして、密かにガスパルの死角に陣取った。敵か味方か分からない相手は、暫定で敵判定したのだろう。

 

 「おいおい、持ちつ持たれつで仲良くやった間柄だろうが。特にクーラちゃんよ、そのナイフぶら下げてるってことは使い勝手は良いんだろ?製作者兼プレゼントしてやった間柄なんだから、そんなに警戒しないでくれや」

 

 クーラが舌打ちをした。ナイフというのは、直刀と共に武器としているルーガルーの牙を削りだしたナイフのことなのだろう。以前、リスムから帝都へと移動する道中一度使わせてもらったことがあるのだが元は牙とは思えないような鋼鉄にも劣らない切れ味を持つ刃物だった。

 

 手入れにも手間がかからないようで、素晴らしい一品であるのだがそれでガスパルに懐柔されることもないらしい。得体のしれない相手故に、クーラの判断と態度を責めることはできない。

 

 「旦那。やはり知り合いなのか?」

 

 天幕で待っていたガランも、ただならない様子の俺達を見て口を開く。ガスパルがどういう立場で、ハボックに入ってきたのか気になるところだ。

 

 「元々俺は、ある目的の為に旅をしていた。その頃、時折世話になっていた情報屋で多分今大陸で一番胡散臭い男だ」

 

 「情報屋なぁ。見てくれは、どこかのチャラい貴族風だが」

 

 「まあ再開の挨拶はこれくらいですましちまおうか、本題に入りたくて仕方ないってツラしていやがるぜ?」

 

 掲げる大盾やその他の情報網ですら、人妖が暴れた後。所謂、事後の情報しか持ちあわせていないことが多かった。ある意味それは当たり前のことで、腕が悪い訳ではない。しかしこいつは、それよりも早く、ことがおこる前からなにかを掴んでいることが多かった。

 

 情報屋というのは、基本的に居を周辺を根城にした専門家が多い。例えば、港湾都市のリスムにはリスムを専門にした情報屋が、商業組合には商取引の専門家、両替商には金の含有率や国によっての銀貨の価値の変動を探る情報屋がいるものだ。

 

 基本的にはモスコーに居を構えていたこいつが、広い大陸のあちこちにある人妖の情報を掴んで来るのはやはり違和感のようなものがある。かと言って、部下を使っている様子も見たことがない。

 

 人妖を専門にしているとはいえ、国家間をまたいで情報を集めることができる手段は異様だ。それこそ、大国における諜報部のような情報網を持っているとしか思えない。

 

 もしくは、ネタ元から直接の供給があるかだ。

 

 その背景を、もっと早くに暴くべきであったのか。例えば、モスコーの吸血鬼事件より前に捕縛して尋問をかけテンの居場所を吐かせる。

 

 だが逃げられてしまえば、間接的にとはいえテンに繋がる貴重な情報源を永遠に失うことになる。そのうえ、鎖を扱う自立魔具を器用に駆使するこの男は一筋縄ではいかないだろうという予想がついていた。

 

 結果論ではあるが、下手に拘束ないし尋問を行わなくて正解であっただろう。この男は、強い以前に得体が知れない気配がする。こうして、竜モドキのような存在になり始めてそれを感じ取れた。

 

 「まずは、挨拶代わりの土産をくれてやる。見覚えがあるもんだと思うぜ」

 

 懐から取り出されたなにかが、木製のテーブルを滑る。黒くて細い、少し厚みがある棒状のもの。手に取ってみるとそれは広げることができ、慎重に動かし広げていくと蒼い月が描かれた見事な絵柄の厚い紙がでてきた。

 

 「これは」

 

 「そいつは、扇という。極東の地で、あおいで涼をとる為の道具だ」

 

 見覚えがあるどころではない。異国の民族衣装をまとう狐の人妖、テンが何時も手に持っていた武器とも言えないよく分からない道具だ。しかしこうして触ってみると、木製の部分に見事な絵図が描かれているとはいえ紙が貼りつけられているだけだ。

 

 しかし、この木の手触りは分からない。この地でとれる木材では、こんな滑らかで軽いとは思えない。異国にしか生えていない樹木なのだろうか。

 

 「極東?」

 

 クーラが言葉を放つ。東の地から流れてきたものは、様々な国との交易品が揃うリスムでなら見たことがあるがそれでも馴染みのない国だ。

 

 「扶桑国、日出の国、芦の地。まあ呼び名はいろいろだ、その反りの無い短刀も向こう側から来たものだよ。何百年も内戦している、おっかね国さ。あまりにおっかなすぎて、島国と海というアドバンテージがあったとはいえ昔あった騎馬民族の襲来を二度に渡り単独で跳ね返し攻略不可能と判断させた程だ」

 

 「……もしかして、テンは」

 

 見慣れぬ民族衣装、この地で採れない素材で作られた涼をとる為の道具。今でこそ違うが、出会った当初は見慣れぬ黒髪と黒眼をしていたという事実。

 

 「テンは、その極東の国産まれなのか」

 

 「ご名答。ついでに言えば、人妖は元となる原種の生物が必ずいるというのは分かるな。ウォーリアバニー、ルーガルー、お前さんの変異元である原種は月を追いかけた狼であるハティ。ノックの森妖でさえ、ありゃ時代と共に虚ろになり姿を暗ました土着の山神の類だ。そしてテン、妖狐は向こうでは三国を股にかけ悪事を働いた大妖の化け狐が元の存在となっている」

 

 「俺はともかく、テンの素性にそこまで詳しいとは、もう隠す気も無い訳か」

 

 事情が分からず経緯を見守っていたガラン、何時でもガスパルを拘束する構えを見せていたクーラ。二人の半獣が、身構える。

 

 やはりこいつは、テンとの繋がりがあったのだ。それを知っていて、恐らくは彼女の要望で俺に接触していた。情報網が途絶える可能性、勝てるかどうかも分からない危険性を考慮して手をだなかった俺も悪いのだが、それでもなおもっと早くこいつを尋問していればという憤り。事情を知っていて何食わぬ顔をしていたガスパルへの怒りが溢れだす。

 

 先程結果的には手を出さずに正解と考えていたが、感情論ではそうも言い切れないらしい。それだけ、テンによる犠牲は大きすぎる。

 

 「よせよせ、俺達が相争ったところで得はしねえ。俺も、お前も、テンも、ここにいる反乱軍の皆様でさえな」

 

 「解放軍と言い直せ」

 

 「おっと失礼ガラン殿。では改めて、解放軍の皆様でさえ得はしねえ。喜ぶのは、エンパス教とレント=キリュウインくらいだ」

 

 想像の外から来た言葉に、眉をひそめる。レントの名前を聞き、クーラの顔が険しくなりガランが頭に疑問符を浮かべた。

 

 「エンパス教?なんぞそりゃ」

 

 「事情を知りたいなら後で教えるからさ、ごめんだけどちょっと黙ってて」

 

 「んだこらクーラ。と……言いたいところだが、マジで旦那やお前の事情みたいだしな。へいへい、黙ってるよ。だがここにはいさせてもらう。関係ないかもしれない情報でも、ここから南の出来事を少しでも掴んでおきたいからな。それに、暴れだしたらストッパーがいるだろ。止められるかどうかは別として」

 

 話についていけないガランだが、そう宣言してから木箱の椅子にどっかりと座り込む。話の内容はともかく、先程あふれ出してしまった敵意に反応したのだろう。ガスパルが只者でないということもなんとなくは分かっているのかもしれない。単純に、こんなところで暴れられても困るということだ。

 

 しかしこの状況で、エンパス教の名前が出てくるとは皆思わなかった。ただ一人、もはや一人と考えても良いのか分からない存在以外は。

 

 『ふふ、成程成程。使い道はあるだろうしねぇ』

 

 俺の中に巣くうもう一つの別人格となっていたウェンディが、予想通りだと言いたげに薄笑いを浮かべる情景が頭に浮かんだ。そういえば、今は混乱するからと伏せていた情報がまだウェンディが握っている。

 

 彼女曰く、自分の存在はもう俺の中に溶け込んでしまっているので、時が来たら思い出すということだがそのタイミングは未だ訪れていなかった。

 

 「それで、何故エンパス教やレントの名前が出てくるんだ」

 

 「ランザ=ランテ。テンは、お前の中にある殺意を育て上げることだけに、全てを捧げていた。妻子を殺めた復讐、憎悪。全ては最高の殺し合いを、いや…何時までも強くテンという存在を見て、意識してもらえるようにだ。あの娘は、どんな形であれお前に認識し、強い感情を向けてもらえることだけを生き甲斐にし、それのみを求めて行動をしていた」

 

 テンが、今まで幾度か目の前に現れて発した言葉。愛情、いや愛憎に飢えているという言葉。

 

 それは、挑発というくらいにしかとらえていなかった。しかし、ガスパルの言動が正しいとしたら真意は誰よりも一番に、自分を意識してほしいということ。

 

 悪夢にいたテンが語っていた。妻子を殺したという現実でおこしたテンの行動に理解を示し、私ならやりかねないと言ったという裏付け。テンは、本当にそれだけの為にアリアやミーナを殺したのみではなく複数の事件をおこしていた。

 

 嘘だと叫びたくなる感情を理性が封じる。悪夢のテン、他ならぬ彼女自身がそれを認めているというのだから。そして、悪い夢にいた儚い存在なれど、彼女を偽物だということだけは俺は認めない。本物の、裏付けだ。

 

 「続けろ」

 

 「おっと、もっと感情的になるもんだと思っていたが、やはり竜を継いだ存在は違うねぇ」

 

 ガスパルが薄笑いを浮かべる。俺が、ジークリンデを継いだということも先刻承知済みか。

 

 「お前は、ウェンディ=アルザスが用意した夢魔による悪夢の世界を打ち破り人妖になった。テンとしちゃあ、その段階で計画の大詰め。親子によるめくるめく殺し愛の世界に浸りたかったんだろうよ。だが夢魔の世界での家族との邂逅が、お前の中で変化をおこしてしまった。そこは俺も気になるところでな、あの悪夢の世界、多分だが最愛のアリアと幸せに成長したミーナをお前自身の手で殺さなければ出ることは叶わなかったと想像がつく。それで絶望と憎悪が爆発的に広がると思っていたんだがよぉ。なにがあった?」

 

 「興味本位で聞くな、話しとは関係ない」

 

 「だな、まあいい」

 

 張り詰めた空気となるが、クーラのみが悲し気に顔を少し背けた。あの世界の事情を知っているのは、俺とクーラただ二人だけ。この先、誰にも話すことはないだろう。テン以外には。

 

 「お前さんが人妖になるところはまでは、テンの計画通り。だがしかし、予想外のことにお前さんの中にあったテンへの殺意は霧散していた。そして、誰よりも優先して殺し合いをしてもらえると考えていた彼女を無視して、別の標的に攻撃を始めた。お前の義理の娘は、相当それに堪えたようで放心状態よ。そこに現れたのが、エンパスとレント=キリュウイン。奴等は目的の為にテンを拉致していった。呆けていた彼女は、なにも抵抗はなかったよ」

 

 クーラがどこか、納得したような表情を浮かべる。理由はともかく、エンパス教がテンの拉致を狙って動いていたとしたら、ランザの動きを観察するのは腑に落ちる。目をつけ始めたのは、恐らくはリスム近郊のクイーンビー討伐以降だろう。

 

 拉致をしたということは、テンにはなにか利用できる用途がある筈だ。それに気づいたのが、あの時だったか。モスコーでもカリナ=イコライを監視につけていた理由か。

 

 「エンパス教は、何故テンを拉致したんだ?いや…待て、これは」

 

 頭がグラッと傾く。思わず椅子に座り込み、肘をテーブルにつけ額を支えた。クーラが心配して、飛びつきなにか声をかけてきているがそれよりも大きく、ウェンディの言葉が脳内に流れた。

 

 『条件が、揃ったねぇ。君となった、ボクの持つべき情報、開示するのは今この時だろうねぇ』

 

 ウェンディ=アルザスが持っていた、知りえていなかった情報が思い出されてくる。彼女は、エンパス教、ハーウェン、魔法使い達という三つの組織を渡り歩いていたその理由。

 

 『エンパス教の最終目的は、許されざる行為である。ボクが、帝都を支配しようとした理由、それは魔法使い達の復権という一族の悲願もあるがもう一つ、その先の目的を個人的に抱いていたからさ。エンパス教の主神……いや、古い時代を生きた化石である化物が目指す先は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リスム自治州、地下迷宮。

 

 まだ公式には未発見の領域を改造した空間には、様々な用途の部屋が存在していた。

 

 エンパス教において、限られた一部の人間。いや、厳密にはエンパスとボクしか……いや、俺しか知らない秘密の場所である。

 

 こうして、普段から一人称を変える努力を意識してすることになるとは思わなかった。今のテンの前で変なボロを出せばどういう変化がおこるのか分からない。

 

 女騎士も、褐色の美人も、貴族令嬢も、半獣も、奴隷も、年下も年上も様々なシチュエーションであまねく美人を抱いてきた。だが、この状況だけでだけはどんな美人でも食指が動くことはなかった。好みの問題だ。

 

 『お帰りなさい!お父さん!』

 

 目から光を失い、理想の女性像のような艶めかしい身体をし、最高級じゃないかと思うような上品な着物を身にまとう美女。その現実離れした、他の美しい女と比べても群を抜いて二次元めいた美女であるテンは、パアッとした幼子のような笑顔を浮かべ俺にとっては聞きなれた言葉を口から放つ。

 

 その、彼女が語るのは日本語だった。この世界では葦の国だったか、扶桑国だったか。とにかく日本語だ。俺には転生特典として多言語翻訳チートが搭載されていたが、それを必要としないのがなによりの証拠だ。

 

 『ああ、ただいま』

 

 こちらも、日本語で対応する。一度この大陸の、帝国や連合王国で広く使われる言語で語りかけたら発狂したように自傷を始めて謝罪を口から繰り返すようになってしまった。催眠も通用せず、結局暴れ疲れて気を失うまで取り押さえていることしかできなかった。エンパス?この手の些事には興味零だよ。

 

 ついでに言えば、ボクという一人称を口にした時も『父さんではないの?誰?誰なの?』みたいな感じで発狂しはじめ、落ち着かせるまで数時間以上かかった。エンパス?なんか祭壇みたいなところでボソボソ独り言呟いてたよ。

 

 『畑仕事、お疲れ様お父さん。母さんや妹達や弟達はまだ戻ってないの、どこまで山菜を取りにいったのかしら?』

 

 『まったく、どこまでいったのだろうな。少ししたら、父さんが探して来るな』

 

 『お夕飯の支度、出来るところまで進めておこうかな?本当は母さんが詰んで来る山菜を待ちたいのだけど』

 

 そういってテンは、フラフラと歩いて隔離された部屋の隅に移動する。手になにかを握り、なにかを抑え、まるで包丁で大根でも切るような動作をなにもない空間で繰り返していた。彼女にしか見えない世界では、そこには台所があるのだろう。

 

 テンを捕らえた時、ボ…俺は有頂天だった。この麗しい容姿と肢体を好き放題できるなんてと、興奮しきっていた。だがしかし、父さん父さんと無邪気に慕ってくる、壊れかけの女の子を強姦することはできなかった。

 

 そういう女の子を凌辱するようなシチュもあるって?同人誌やAVだけの世界にしておけ。いざ目の前にして、その立場になってみろ。可哀想なのはヌけない状態にマジでなるぞ。

 

 素人判断ではあるが、極大のショックによる記憶喪失と幼児退行か。ベルサイユの薔薇みたいにショックのせいで白髪になることはないようだが、自己防衛の為か記憶を全部封じてしまうとは。

 

 エンパスにとっては、使い道があるのは最高級の人妖であるテンの身体のみ。精神の方等はどうなろうが、壊れていようが問題はないのだろう。むしろ無用な反抗をおこさないように壊れていた方が都合が良い筈だ。

 

 だが、定期的にこうして訪れ家族の演技をしてやらないと、食事もとらずに眠りに落ちず、酷い時には自傷行為さえ始めようとするザマはとてもじゃないが見ていられない。

 

 ルッキズムという言葉が頭をよぎる。例えばテンが美女でなかったら俺も放置していた可能性は高いかもしれないが、それでもどんどん壊れていく様を横目で見ることは、鬼畜野郎と化した俺にもできなかった。そして、父さんと慕う相手を強姦等できようものか。

 

 『父さん』

 

 テンが、笑顔でこちらに振り返る。無邪気な微笑みは、かつてリスム近郊で俺の男性器を一度ふっ飛ばした女には見えなかった。家族に懐く、可愛らしい笑みだ。

 

 『今日は、山菜採りに疲れる母さんの代わりにあたしがご飯作るからね。お腹すかせて待っていてね』

 

 『ああ、楽しみにしているよ』

 

 ここにいると、まるで良い人にでもなったかのような錯覚に陥る。冗談じゃない、元の世界基準で考えても、この世界基準で考えてもチートで遊びまくった外道であるのに。

 

 いっそ、俺がこんな状態の女でも気にせず勃起できる猿だったら、もっと気分は楽なんだがなぁ。

 

 だがまあ、こいつの父親、いや義理の父親だったか?まあそんな感じであるランザ=ランテ、事情は知らねえが父親でありながらその役目をないがしろにしすぎだ。こんな病んだ精神の子を犯すことができない、それまでの状態にしたクソ親父は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんなことの為に、テンを使わせてたまるか。確かにアイツがは許されざる行いを複数犯したが、それとこれとは話が別だ。古臭い時代のエンパスに、遊び半分のレント、外道共が」

 

 立ち上がったこちらを見て、ガスパルは伝えるまでもなかったかと肩をすくめる。

 

 「連中の居場所は?」

 

 「すまんがそこまでは掴めていない。まずは、いぶりだす必要があるだろうよ。まずは奴等の手足となるエンパス教を戦闘の場に引きずりだして塵殺する必要がある。手足を全て潰せば、頭がなにかしらの行動をおこすだろう。それを必ず見逃さない」

 

 「それって、レントの私設部隊を壊滅させる必要があるよね。正直難しいよ、みんなかつての自分やカリナ=イコライみたいな特殊な加護をもっている。規模が膨らみ続けているとしたら、冗談抜きで大陸で最強の部隊。正面からぶつかるのは今のランザでも無謀だし、削り続けるのにも限度がある」

 

 「ならばせっかくの大陸大戦だ。その私設部隊とやらも、なんとか戦争に引きずり出せないか?そうすれば、決着をつける方法はいくらでもでるだろう」

 

 ガスパルは、悪い笑みを浮かべた。天幕の壁に貼られてた大陸地図に、幾つか羽ペンでしるしをつけていく。

 

 「帝都で広がった、エンパス教の神殿だ。帝都事変の後、不安がる住民達の心の隙をつくように広がっている。こんな感じで各地に広がっているが、今のランザ、お前なら問題ないだろう。片端から無残に潰して、挑発でもしてやればいい」

 

 「成程、今のランザの旦那は対外的に見れば解放軍所属。各地でエンパス教とやらの拠点を潰して、その私設部隊とやらを挑発し戦場に引きずりだし…っておい。来るじゃねえかここに、そのどえれー部隊やらが!」

 

 「ナイス突っ込み。確かにロウザ達にはバットニュースだねえ」

 

 「おいおいおいおい勘弁してくれよ。こちとら帝国相手にするだけで精一杯なんだぜ」

 

 あまりのことに口を開く。ロウザや半獣、エルバンネ達、山にいるコボルト達には確かに関係ない話である。だが、ウェンディからもたらされた記憶が正しいならば関係ないですまされる話ではなくなってしまう。

 

 「詳しい話は後でしてやる。一から話すには、長い話だからな」

 

 「旦那の力にはなってやりてえけどよ。これ以上重荷は勘弁だぜぇ。それがよほどの、最悪な話題でないかぎりな」

 

 最悪な話題なんだよ、ロウザ。意地でも納得させ、協力をとりつける。

 

 「それに、この地にさえ引きずり込めば、いかに加護持ちの軍団だろうが勝機がある。ランザ、目的の為に災厄を振りまく覚悟、腹を決める決意はあるか?」

 

 「覚悟なら、とっくの昔にな。エンパス教の企みを潰すのは、考えにはなかったがそれが俺の目的に、テンに繋がるのであればやらせてもらう。それに悪名は、今の俺にとっては褒美ですらあるからな。なんせ、悪竜ジークリンデの後継だ。多少は箔もつくだろうよ」

 

 「当然自分は最後までランザに強力するよ。ジークリンデとの約束もあるし、どこまでもついていく。それに、旦那に協力するのは、妻の役目だからね。」

 

 近づいてきたクーラにはデコピンを食らわせえておく。額を抑えながら抗議を口にするがその顔は二ヘラッと笑っていた。

 

 「テンの奪還は必ず果たす。アイツを利用するエンパス、玩具にしようとするレントは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『「必ず、殺してやる」』

 

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