家族の仇は、娘でした 作:樫鳥
第一印象は、なんぞこれと口に出して言いたくなる程だった。そのあまりの豪華さにだ。
柔らかく膨れた小麦のパンケーキに、たっぷりとかけられたハチミツ。それにブルーベリーを煮込んで甘く味付けしたジャムもたっぷりと塗られている。そして見たことがないような白くて柔らかい、よく分からないけど甘いなにか。
お値段としては、甘味として考えれば高級路線にのるがそれでも、頑張れば庶民でも食べることができる程だ。一口ごとに口の中で唾液腺が弾けるようである。こんなものを食べていたら、舌が肥えてしまいまともな旅や食事ができなくなりそうだ。
イルガルド女子の一押し恐るべしである。これはもう、自然と顔も緩んでしまうというものだ。
「小麦や砂糖だけじゃなく、ベリーにハチミツ、しかもこの乳製品から考えて酪農も強いのか。流石は帝国の第三都市だな」
濃いめのコーヒーを飲みながら、ランザも関心した声をだしている。自分は冷ましてもらった紅茶をいただいていたが、暴力的な甘さが辛いのか濃い目に追加注文したコーヒーを飲んでいた。
「流石過ぎて、苦いものと共にしないとなかなか進まないものだ。グローなら喜んで食べるだろうが」
「甘いの苦手?」
「嫌いではない。まあ、食べ慣れていなさすぎるだけだがな」
ランザの前には自分と同じものが置かれていた。少し自分が食べるペースが速かったか、それとも向こうのフォークがゆっくりなだけか、まだ半分以上減っていない。
「……アリアやミーナにも、食べさせてやりたかったな」
コーヒーを飲んだ後、思わず呟いた言葉はこちらに語り掛けた訳ではなく、独り言のようだった。テンの名前もそうだが、妻と娘の名前を聞くと心がざわつく。既に死んでいる人達であるが、自分にとってはどこか落ち着かない気分になる。
「すまん、湿っぽくするつもりはなかった。どうも気を抜いてしまうとな」
「ううん、それだけ大事な人達だったんだからしょうがないよ。自分には、まだ大事な人と死に別れになる経験はないしね」
どこかにいるのか、それともとっくに死んでいるのか。顔も知らない父母のことを考えようとしたが思うようにいかなかった。まあ、半獣に厳しいご時世、亡くなっている可能性が高いんだろうなとは思う。
おっとと、こんなことを考えているとこっちまで湿っぽくなってきそうだ。話題を変えることにしよう。
「そうだランザ。パルークーレースって知ってる?」
「ああ、乗馬体験している最中読んでいた情報誌に書いてあったな。街中を走り抜ける障害物レースってところみたいだが」
ズボンのポケットに折りたたまれていた紙をテーブルに広げる。今日と明日闘技場で行われる剣闘士達の情報。競馬場では、年齢による制限を廃した無差別級のレース。紙面の表はほとんどが二つの共興についての情報がデカデカと乗っていた。
「そういえばあちこちの売店で無料配布してたっけ。紙質はよくないといっても、凄いねこれ。いったい何枚書いているんだか」
「いや、どうやら帝都やイルガルド等の主要都市では印刷機械というのが導入されているようだ。活版印刷の技術は前からあったが、どうやらオーデン技術連合が飛躍的に効率が良くなる仕組みを発明をしたらしくてな。本のみならず、こういうちょっとした情報紙も大量に刷ることができるようになったらしい」
「技術の進歩も凄まじいねえ」
「だが流石に最新機器だけあってお高いようだ。この情報誌を発行している、メルキオル商会くらいの財力がないようだとな」
紙を裏返してみる。例のパルークーレースについては、裏側を半面使う形で紹介されていた。ちょっとした内容の概要とレースの日時や場所、通行規制の協力も呼びかけられている。残りの部分は主だった選手の紹介のようだった。
「スター?」
「どうやら注目株の選手がそう呼ばれているようだ。駆けの倍率も記載されているが…1.2倍か、この銀星という選手がどうやら花形だな」
「ああ、みたいだね。熱狂的なファンの人がいたよ、ちょっと熱すぎて引いちゃったけどさ。まあそれは置いておくとして、開催は明日だけどちょっと見ても良いかな?妨害有りの障害物レースってのがちょっと興味あるんだよね」
流石に故意に血生臭さがある訳ではないだろうし、見学したところでなにかの役に立つとは思えない。だけど、目新しさという意味では他ではないものがある。それに、あれだけ熱意を持って語られたら辟易すると同時に多少の興味も湧くというものだ。
「別に構わないが、少し意外だな。どんな選手が出ても、だいたいの奴はお前よりは動けないと思うが。まあ…そうだな」
ランザが意味ありげにフッと笑った。すすんでいなかったパンケーキにフォークを突き刺して口に運び、コーヒーをじっくりと味わう。それだけの動作なのに、先程には感じていなかった違和感を覚えた。なんだか、変な誤解されているような。
「変なこと、考えてる?」
「いやなに、気にし過ぎた。ただし入れ込みすぎるなよ?」
改めて情報誌に目を落とす。それとランザに見比べて、なにを考えているか分かってしまった。
パルークーレースのスタープレイヤーというだけではなく、あれほどのファンがいたことを考えると恐らくそのルックスも相当なものなのだろう。ランザも、乗馬体験中待っている間にそんな話を小耳に挟んだのかもしれない。
年相応な町娘のように、有名人なイケメン好青年に興味を抱いたことをランザは好意的に考えているようだ。意中の人間、例えば妻であるアリアさんが銀星に興味を抱いたとなれば気が気でないだろうが、これはもう年相応の娘に『まあ程々にな』くらいの忠告を向けるに留めるお父さんみたいなものではないか。
ムッとしたので、ランザの皿にフォークで奇襲をかける。半分程のパンケーキを強奪し、大口でそれを噛み千切る。ナイフとフォークでなんとかお澄ましで食事をとっていたが、そんな態度を向けられてしまっては気分も悪くなるというものだ。
「おい、俺の」
「やっぱりやめようかな、レースの見学」
「さっきまであんなに乗り気だっただろうが」
こっちの好意にまったく気が付かないにぶちん、という訳ではないだろう。もう立場が保護者と被保護者、よくて共に旅をする仲間程度留まりで意識をしていないだけなのだ。もしくは、意図して気づいていないふりをしているだけか。
先程まで美味しいと思っていたパンケーキまで、ただの糖分の塊に感じてしまう。コーヒーも強奪しようとしたが、流石にそれは死守された。
「行儀が悪いぞ」
「知らないよそんなの。女の子の食べる速度に合わせないランザが悪い」
苦笑しながらコーヒーをすすっているが、あれは多分『仕方ない奴め』くらいしか考えていない顔だ。こんな調子で、デート中アリアさんをどうやって楽しませていたのやら。……クソぅ、でも、やはり羨ましい。
会計を終えてシュランツを出る。大河通りというだけあり、中型船二隻がすれ違ってもまだ余裕がある程の幅がある川が目の前を流れていた。川沿いに面して露店も沢山あり、色とりどりの果物やどこかの名産品なのか陶器等があちこちで売られている。
人通りも中々に多く。中央の大通りとはまた違う、街の活気に溢れている。でも、せっかくの観光なのに楽しくない。自分はこんなに一途なのに、気づいてくれないのか、気づいていて無視しているのか。どちからによって、表面上はともかく内心において自分の立場が大きく異なる。そればかりが頭をグルグルしていた。
アリアさん達の存在も思考を引きずる。亡くなった人に嫉妬をしてもしょうがないが、それでも未だ心の大部分を占めているのはその二人と…テンなのだから。
「……ッ…ランザ」
「ああ。しかしこの手のことで、俺より後にお前が気づくとはな」
つけられている。人混みというアドバンテージを活かして目立たないようにしているようだが、気配を消す技量じたいは素人だ。まあ、ただの一般人には気づかれないだろうが。
竜狩り隊には目を付けれられてはいるが、連中がよこしてきた刺客ならばこんなにお粗末な相手ではないだろう。となれば、相手の相場はだいたい決まっている。
「数は二人、どうする?」
「大方浮かれた観光客狙いってところだろう。わざと隙を見せて釣りだし、制圧しよう」
「了解」
果実を絞りジュースを作る露店を見つけ、店先まで出向く。店主と軽く雑談をしてから、荷物から財布をだした瞬間尾行していたうちの一人が動く。かすめるように取り出した財布を掴み、そのままか盗って走り去ろうとするがその次の瞬間、尾行者は首筋を掴まれた。
「現行犯だな」
ランザが取り出したのは、財布に見せかけた小袋。物取り対策として、中身が詰まっているように縁の欠けた価値の低い銅貨や、帝国では使用できずしばらく使う機会がない異国の銅貨が沢山入っているダミーだ。
「おまっ…気づいて。あいでででででででででで!」
瞬発力に驚愕していたようであるが、ずっと前から人妖と斬った張ったをしていたランザだ、気配駄々洩れの物盗りに気づかないなんてことはないだろう。
首筋に力を込められ物取りは苦痛の声をあげるが、注意を反らして逃れようとしたのかダミーの袋が宙に投げられた。
投げられた財布を人混みから跳躍したもう一人の尾行者がつかみ取る。ジャンプ力は人並み以上にはあるようで、着地からの行動開始も早く人混みを縫うようにその場から逃れようとする。
ただの観光客ならば、この混雑具合から見失うかもしれない。だがしかし、こういう場こそが自分の独壇場である。あらかじめ誰が動くかは把握していた、一応共犯が確定してから行動に移したがそれからでも余裕で捕らえることができる。
「それ!」
背中に追いつき、跳躍からの蹴りが側頭部に当たる。逃走者がふら付いて大河沿いの手すりに背中が当たる。
「ぐえぇ…テメ……ぇ」
「はい回収。それじゃ、頭冷やしてきな」
袋を回収してから、上半身に蹴りを食らわせる。柵を起点にし身体がグルリと周り、大河に逃走者が落下して水飛沫をあげた。治安組織に受け渡すといろいろ手続きとかあるし、面倒なので制裁だけして終わりにする。
「離せやコラァ!」
ランザが首筋を掴んでいた相手が、ナイフを引き抜き首を掴む腕を斬り裂こうとしていた。一度首筋から手を離し、ナイフが空を斬った。
追撃で突きを繰り出してきたが、その腕を絡みとり、服を掴んでぶん投げる。男は屋台の上を飛び、大河に頭から落下した。水飛沫が高くあがり、周囲が少しどよめく。
「重さも体幹も足りていない。走るのは速そうだが」
「どうやらただのスリだったみたいだし、そんなもんでしょ。やれやれ、獲物を狙うならもっと観察眼を鍛えないとダメなのにね」
身体能力が高くても、獲物を嗅ぎ分ける能力は三流だったようだ。ま、障害としては大したことなかったし少し気分が沈んでいたので、空気を変えるにはもってこいだ。目だったせいで、連中がスリだということは周辺住民に認知されただろうし放っておいても治安組織が駆けつけるだろう。後はもう、スルーだ。
「ねえランザ、次は動物園っていうところに」
「あの!すいません!」
フードを被った何者かが慌てた様子で近寄ってきた。翡翠色の瞳に熱を浮かばせ、ランザと自分の手を掴む。
驚いたのは、その素早さ。敵意や殺意がない為反応が遅れたというのはあるが、正面から声をかけて近づいてきた相手に避ける間もなく腕を掴まれるとは。ランザも似たようなことを考えたのか、目を鋭くさせながら声をかけてきた相手を見つめる。
「瞬発力、身のこなし、膂力、体幹。まさか連中を見張っていた矢先こんな逸材にお目にかかれるとは!これは幸運以外なにものでもない!二人とも、折り入ってお願いが!」
ランザの顔を見たら、向こう側をこちらを見ていた。敵意はなさそうだが、どうしたものかといったところだろうか。
「まずは、場所を移そうか。話はそれからだ」
興奮気味の若者を振りほどかなった理由は二つある。まず一つは、流石にあの場では目立ち過ぎたということだ。スリの撃退に急なスカウト、振りほどいていこうにも凄まじい熱意でありどこまでもついてきそうな感じがあったからである。あれ以上視線を引いても良いことはないだろう。
そしてもう一つは、このフードの被り方だ。そして気配の質や腕を握られた時感じた膂力、わざわざこの手の相手が声をかけてくるとは珍しいこともあるものだ。クーラの手前、邪険に扱うのも躊躇われる。
話を聞くことを確約し、ひとまず俺達がとっている宿屋に彼を迎え入れることにした。ここならば人目を気にすることもない。
「では改めましてですが、僕はイド=クラモスと言います。お二人に是非ともお願いしたいことが」
「まあ待って、本題に入る前だけどまずこちらから質問。あのスリ二人組を見張っていたとか口走っていたいたけどどういうこと?あれがスリの常習犯かなにかで、警戒していたとか?」
寝台に腰をかけるクーラが話を遮り質問を切り出した。興奮していて、余計なことまで口走ったが流石にそれを聞き逃す程無警戒ではない。
だが、流石に共犯とは思えない。仲間二人が大河で浮くことになったなら、わざわざ声をかけに来る間抜けはいないだろう。底の抜けたような間抜けであれば、あるかもしれないが。
「ああ、流石に気になりますよね。話すと長くなりますが、どこから話すべきか」
「どうせ時間はあるから、最初からで構わない」
「……分かりました。では、まず僕ですがパルークーレースの選手をしています。スポンサーにはメルキオル商会がついていますので、身分としては商会の外部契約社員ということになります」
メルキオル商会。帝国全土に支部を持ち、このイルドガルでも押しも押されぬ大商会だ。しかし、若者文化のパルークーとそんな商会がどんな関係で外部とはいえ契約を結んでいるというのやら。
「ああ、宣伝か」
クーラが合点がいったように手のひらを叩く。
「宣伝?」
「うん、宣伝。ほら、例えばだけど闘技場の覇者みたいな人が、強さの秘訣とか聞かれた時にある食品を勧めれば、その人の人気にもよるだろうけど店からその商品が消えたりするでしょ?そんな感じで、この人もレースに勝って、インタビューとかでメルキオル商会のことを勧めたりすれば注目集まるってこと……そうだなぁ。若者が沢山あつまるところで、優勝したこの人がランザが作った家具を紹介したり愛用しているなんて言えば工房にすごい注文が集まったりするの。まあそんな感じ」
確かに商売において情報の伝達、市民への認知の大きさというのは大切だと聞いたことがある。だが仮にずっと職人をしていたとしても、そんな方法で顧客を増やそうなんて考えつきもしなかっだろう。誰が思いついたか知らないが、流石商売人。儲けになりそうなことには精通し何でも手をだしているということか。
「それで、その今をときめくパルークーレースの銀星さんがどうしたのさ」
イドが、クーラの指摘に目を見開く。
……成程、少し考えて分かった。大規模商会が抱えるパルークーレースの選手となれば、注目が集まるレースの優勝を狙える有名どころだろう。それにフードで隠しているものの、顔つきも良いし女性ウケも良さそうである。熱狂的ファンを抱える有望選手となれば、二つ名まで持っている有名人だろうと想像もつくというものだ。
「知っていたのですか?」
「生憎自分等は観光人。パルークーレースは見るのも初めてだよ」
「……恐れ入りました」
「まあ隠している訳でもなさそうだけどね、わざわざ話すこともないと考えているっていうかさ。それに、本当に隠していることは別にありそうだしね」
クーラがフードを脱いで、灰色の髪の毛とそれに生える三角形の耳を露出する。これを出して歩いているだけで、街中では石も飛んで来る半獣の証だ。
「話し合いたいなら、これも含めてだしてしまってよ。もう自分にもランザにもバレてるけどさ、自分から明かす方が誠意ってのは見せれると思うよ」
「腕を握られた時の膂力が、興奮からか少々人間離れしていた。咄嗟に振り払うことができないくらいにはな。それに、フードは確かに頭のそれを隠しやすいが四六時中傍らでこいつを見ているんだ、すぐに分かった」
イドが少し、悩まし気な顔をする。そして大きくため息をつき、フードをとって見せた。
成長期の青年の白い髪の毛には、やや大き目な柔毛に覆われた耳が二本生えている。翡翠色の瞳はやや細く、クーラと同じネコのような雰囲気をだしている。
「我々だけの秘密でお願いします。同じ半獣である貴女と、その子と行動を共にする貴方だから信頼して正体を明かしました」
「ランザ=ランテだ、彼女はクーラ=ネレイス。改めてこの後は、腹を割って話そうか。続き、聞かせてくれるか」
「はい。知っているかどうか分かりませんが、僕が参加するパールクーレースというものは個人から三人組まで参加可能です。ですが、大会の最大スポンサーであるメルキオル商会がルール改正を宣言したのです。運営は、メルキオル商会と太い繋がりがあります、その改正には二つ返事で許可してしまいました」
街中を舞台にしたレース。競技場や闘技場でもないかぎりそこは当然生活の場であり、様々な住民の生活や商売の場でもある。それを占拠し、通行制限までかけるということは相当な組織力と資金力がなければ不可能だ。
比較的新しいであろう競技とその運営にそんな力があるのかと考えるが、メルキオル商会が協力しているとなれば話は別だろう。あそこの資金力ならば、多少の無理難題は難なく越える。
「それで、どういうルール改正をしたんだ?」
「次の大会から、個人や二人組での参加は不可能。必ず三人組での参加が強制されるようになりました、僕の逃げスタイルならば仲間は必要なかったのですが、やはりダイナミックさと駆け引きによる熱狂に欠けるというのが理由としてあげています。だけど僕は半獣、まともに仲間を集めることなんてできない。それを理解している筈なのです」
メルキオル商会はイドが半獣ということを理解しているようだ。ならばわざわざ何故、契約選手が不利になるルール改正を強制させたのか。多少盛り上がりに欠けるとしても若者には充分人気のようだし、場合によっては仲間を集めることができずイドの参加資格が剥奪されかねない。
商会としては、広告塔には何時までも輝いていてほしいと考えるとは思うが。まだ情報が足りない、話しの続きを聞くことにする。
「そこでメルキオル商会は、二人の選手を連れてきました。それが、ランザさんやクーラさんが撃退したあのスリ二人組です。あまり良い雰囲気でもなく怪しさもあり、なにかあるのではと尾行をしていたんです」
「チームメイトが問題をおこせば、参加資格が剥奪されかねないってところかな。それを止めたかったってところ?」
「はい。ただ、僕はこう考えています」
イドの顔が、怒りで歪む。
「連中は、メルキオル商会が僕の参加資格を失う為に用意した子悪党。商会は、僕を次の大会で勝たせる気もなければ参加させる気もないのです」
疑問が疑問を呼んだ。頭の上に疑問符が浮かぶなかイドと、何故かクーラが額に手を当てて『そういうことか』とでも言いたげに大きくため息をついた。