あなたが選ぶ競争馬の道   作:6LD

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GⅠレース前の各誌の予想とかニュースとか、執筆資料の為に掘っているんですが見てるとなかなか面白いですね。
毎日のように出てる本番前のざわめきと言いますか。



今回試験的に、前回までの選択肢での選択によって影響が出た部分を太字で強調してみました。
ちょっとシステマチックなのでいらんと言う人もいると思うので、感想欄でその辺触れてくれると今後の参考になるので嬉しいです。(乞食)

特大ガバを修正(9/14)


イベント:本命不在?の一冠目

【皐月賞2011予想】混戦模様の第一冠、その手に掴むのははたして

 

 皐月賞。普段は中山2000mで行われる、3歳限定戦通称「三冠レース」の一冠目。

 

 今年は東日本大震災の影響により一時は開催も危ぶまれたが、各関係者の尽力により1週間の遅れと会場変更で無事に開催が決定した。

本記事を書くにあたってまずは各関係者への感謝、及び競馬が見れるという当たり前だった幸せを享受できることへの感謝をここで述べたい。

 

 先述の通り今回は会場変更、1988年ヤエノムテキが勝って以来の東京競馬場での開催となる。

当然例年の皐月賞とは全く違う予想をしなければならない分難しいところだが、有力馬に印をつけていこうと思う。

 

 東京2000mは左回りで、1コーナー奥からのポケットからスタート。2コーナーまでの距離が非常に短く外枠が不利、特に先行馬にとっては地獄とも言えるだろう。初めから飛ばして脚を使ってもいいポジションにつけず沈むことが多い。

必然的に内枠の馬がいいポジションを確保しやすく有利となるだろう。

 

 一般的にはスピード重視の高速馬場になることが多い。最終直線は約530mと非常に長く、高低差2mの急坂も相まってキレる瞬発力を持つ馬が好走する傾向にある。

ただし開幕間もない時期は馬場の状態が良いことから先行馬がバテずに粘り切ることも多い。特に今回は変則日程につき初週開催であるため見逃せる点ではない。

 

 昨今形骸化しがちだが「最も速い馬が勝つ」という二つ名に相応しいものとなるだろう。

 

 

 

有力馬予想

サイレントロード(想定1番人気)

3戦3勝の無敗で皐月賞まで駒を進めて来たサイレントロードはやはり抑えたい。弥生賞を鋭い差し脚で勝利したサダムパテックや朝日杯3着のリベルタスなど負かした相手も強く、力は抜きんでている。

また過去10年の記録ではキャリア3戦の馬は【4.0.0.8】(勝率33.3%)と狙い目でもある。

同じく東京競馬場開催の東スポ杯で見せた先行抜け出しからの鞭を打たずの直線一人旅や京都開催の若駒Sで見せた鋭い切れ味の差し脚も好印象。内枠なら前目、外枠なら後ろでどちらでも対応可能だろう。

不安視するとすればやはり約3ヶ月という間隔の開き。このローテで皐月賞馬になった馬がいない以上楽観視は出来ないだろう。

 

サダムパテック(想定2番人気)

スローペースを外目で折り合って最後は末脚を伸ばして差し切った弥生賞馬。

同じ中山開催の朝日杯は不覚を取ったが、それをきっちりと修正し結果を出して2000mの目途を立てられたのが大きいだろう。

例年通り中山でも好結果を出せそうだったが東スポ杯2歳Sでは上がり33.7秒の強烈な末脚を発揮し、走破タイムの1.47.3も2月の共同通信杯ナカヤマナイトの勝ち時計を上回っている。東京競馬場への変更は大歓迎といったところだろう。

スタートが比較的苦手なことから枠次第で大きく不利を受ける可能性はあるが、成長した姿を見せられればサイレントロード相手にも勝機十分と言える。

 

ナカヤマナイト(想定3番人気)

初勝利こそ3戦かかったものの通算成績3.3.1.0で複勝率100%の安定感。逃先差の自在な立ち回りが強みで、枠順を苦にしないだろう。

ホープフルSでは外目を回らされベルシャザールを捕らえ損ねるも、2枠2番の共同通信杯では内をあがり2番手の豪脚で捌いて見事重賞初制覇。複勝には絡めておきたいし、内枠を引いたなら勝機も十分だろう。

こちらもサイレントロードと同じく、少し間隔が開いている点は気になる。動向と仕上がりを注視したい。

 

オルフェーヴル(想定5番人気)

ここまで6戦中5戦上がり最速タイムをマークしている切れ味の脚が武器。

しかし勝ち鞍は新馬と前走スプリングSとようやく重賞制覇を飾ったばかりで、典型的な馬場と展開に左右されるタイプ。前が飛ばすか残るパターンだと厳しいだろう。一団で流して直線ヨーイドンの展開が理想。

また唯一上がり最速でなかったのは東京開催の京王杯2歳S。全兄ドリームジャーニーも小回りの差しが得意だった一方で東京コースは大の苦手としており、力は上位なものの不安は大きい。

気性面か、内に刺さる癖や幼い部分も引っかかる。前走の折り合いを本番でも見せられればあるいは。

 

×ダノンバラード(想定10番人気)

例年強いメンバーの出揃うラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬だが、前走の年明け初戦共同通信杯では1番人気を背負っての9着。直線外から追い出しても全く反応がなく味の無いレースっぷりだった。

NIKKEI杯2着のオールアズワンも弥生賞3番人気8着と期待を裏切る形で、不安要素は大きい。

とはいえNIKKEI杯3着のコティリオンはきさらぎ賞6着→毎日杯2着と好走しており、調子を上げてくればという欲は残る。前走の敗戦だけで見限るのは少々早計だろう。

 

 

 

大本命か、はたまた成り上がりか、それとも刺客か。

府中の皐月の栄冠を掴むのは、はたして。

 

 

 

----競馬予想サイト『競馬研究所』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨシ、ロードはどうだ?」

「ああテキ(調教師のこと)、順調ですよ。最近としては……」

 

 クラシック前哨戦も終わりどこか浮足立つ栗東トレセン、その中でも2頭出しでどちらも有力候補として注目を浴びる池尾厩舎。

そのうち1頭の担当厩務員のヨシは報告の為にここ1ヶ月の様子を思い返していた。

 3月の頭に厩舎に戻ったサイレントロードだったが3月終わりくらいまでは気持ちが入っていないようでぼーっとしていることが多かったが、そこからは少しずつ調子が良くなってきており、先日関騎手を乗せての調教でもきちんと走れていた。

 これならば皐月賞に調子十分に持っていくことは出来るだろう。

 

「なるほど、それなら良かった。報告だとしばらく元気が無かったと聞いていたからどうなるかと思っていたが」

「例のあれで自分達も結構沈んでいたんですけど、そうしてもいられないって頑張り始めたらロードも元気出してましたね。今考えると人間の様子見て自分も元気無くしていたのかもって」

「ああ……なるほど。賢い馬だからな、ロードは」

 

 3/11に起きた大震災で中央競馬は一時開催が危ぶまれていたものの、会場への被害が大きかった中山開催レースの複数日程の中止や代替レース日程などの迅速な決定によって1週間後に再開、4月にはほぼ元の形での開催が決まっている。

 池尾厩舎スタッフ内でも当然その凄惨な光景を目にして暗い顔が目立っていたが、「こんな時だからこそ」というまとめ役スタッフの馬場の言葉で少なくとも表面上はいつも通り過ごすことを心掛けた。

 人懐こいサイレントロードは既に厩舎の癒しとも言える存在で、それが元気が無いことでスタッフ側も参っていたのかもしれない。

 

「まあ現状問題が無いならいい。それから3日後に皐月賞についてのテレビ取材が来る、お前も出ることになるから準備しとけ」

「い!? テレビの取材とか初めてなんですけど……」

「誰だって初めてはあるだろ。どういう質問するかとかも事前にもらってて馬場さんがまとめてくれてるから、仕事上がったら受け取ってきてくれ」

「はぁい……」

「じゃあ任せた」

 

「……はぁ」

『るるる』

「ぶ、ロードありがぶぇ」

『るるぅ』

「はぁ、ロードはかわいいねぇ。よし、頑張らないとな」

 

 去っていく池尾を見送って肩を落としたヨシの顔を舐めるサイレントロード。手がかからない馬ということでその年厩務員になったばかりのヨシが割り当てられたのだが、例によって人懐こいサイレントロードにはメロメロで、他の厩務員からも羨まれる立場だ。

 既にクラシック最有力候補となった馬の担当になるなんて運がよく幸運だと思うし、それだけプレッシャーも大きい。やれることはやらなければと、気合を入れ直したヨシであった。

 

 

 

 

 

 

 普段見ている顔でない女性と男性の姿に興味があるのか馬房から顔を突き出して頭を揺らすサイレントロード。どうやら男性が肩に担ぐ機械が気になるようで、何度も目線を向けている。

 そんなサイレントロードを気にかけることもできず、自分がテレビに映ると改めて自覚したヨシはガッチガチに緊張していた。

 

「……えぇと、大丈夫ですか? なんなら少しキューを遅らせますけど」

「いえ、そちらもお忙しいでしょうし始めちゃってください。ほらヨシ、さっさと立ち直れ」

「は、はいです」

「では事前の連絡通り、サイレントロードとオルフェーヴル、ダノンバラードの3頭出しについて、サイレントロードはどういう馬なのか、皐月賞に向けての調整具合、皐月賞への抱負、この4点についてお言葉を頂戴しようと思います」

「わかりました」

「ではいきます」

「5、4……」

 

 カメラマンが撮影開始のカウントダウンを始め、ここに初めて本格的にサイレントロードがテレビに映ることとなった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「本日は栗東、池尾泰弘厩舎にお邪魔して、皐月賞出走予定のサイレントロードについて、こちらの池尾泰弘調教師と担当厩務員である日向さんにお話を伺っていこうと思います。

 池尾調教師に日向さん、本日はお忙しい中ありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ取材に来てもらって、ありがとうございます」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

「まずはサイレントロードとオルフェーヴル、ダノンバラードと3頭ものクラシック出走おめでとうございます」

「ありがとうございます。多くの方の協力と幸運に恵まれてこういう状態に持って行けたということで、非常に嬉しく思います」

 

――――サイレントロードが柵から首を伸ばすのを見て慌ててそれを抑えようとする日向厩務員と、それを努めて見ないようにしている池尾調教師。

 

「カメラに興味津々ですね」

「えぇと、そうみたいですね。普段から人懐こい馬なのですが、新しい人が来て見慣れないものを持っているから気になるのかもしれません」

「人懐こい馬ですか。詳しくお伺いしても?」

「えー、言葉通りでして。どうも牧場にいた時からそうだったようなのですが人のことを怖がっていなくて、よく顔を寄せたりしてきて可愛いやつなんです。レース前のパドックとかでもその様子は出てましたね」

「新馬戦や東スポ杯ではパドックで馬主さんの元に歩いていく様子や、観客の向けるカメラに顔を向けて立ち止まる姿が見られましたね」

「そうですね。トレセンでも他の厩舎の人から声をかけられると顔を向けたりして、程度は置いといて可愛がられていると思います。

 名前を呼ぶと時折返事を返すことがあって、自分の名前を憶えていられるくらいに賢い馬だと思います。なぁサイレントロード」

『ぶるるぅ』

 

「本当だ、返事をしましたね。賢い馬というと、レースにも影響はあるのでしょうか?」

「3戦とも騎手からは「レース中は指示をよく聞く」と言ってたことが印象的ですね。スタートも良いので、理想の勝ち方をそのまま決められる馬なのだと思います。ただよくインタビュー記事にも書いていただいてるように、調教をサボりがちなのは困りどころですね」

 

「池尾泰弘厩舎ではオルフェーヴル、ダノンバラードと合わせ3頭のクラシック有力候補馬を輩出しております。その点については思うところあるでしょうか?」

「どれか1頭しか勝利できないというのはありますが、それ以上に3頭の有力馬を送り出せたことはもちろん非常に嬉しく思います」

「どうでしょう、どの馬が勝ってほしい、どっちが有利などありますか?」

「1着同着がもちろん理想ですが、現実はまず無いことですから難しいところですね(笑)

 あまりオーナーさんのこともあるのでどちらが強い弱いどちらが勝つ負けるとは言えないですが……そうですね、ワンツースリーで決めるだけの実力はあるのではないかと思います」

「非常に強気な発言ですね」

「外れると恥ずかしいからあまり大口を叩くべきではないとは思うのですが、どこか歴史に名を残す程の何かを秘めているように思えてるんです。外れたら数年後に笑ってやってください(笑)」

 

「前走若駒Sから皐月賞へは約3ヶ月と長い期間が空きます。なかなか見ないローテーションですが、調整のほどはいかがでしょうか?」

「現状は問題ないと思います。ヨシ」

「は、はい! えー、と、3月の頭に帰厩してから半月ほどは軽い運動のみで3月半ばすぎてから少しずつ調教を施しています。

 現在ちょっと体重を絞り切れてない面はありますが、皐月賞までの間隔が1週長くなったことも考えるとベストな状態に持っていけると思います」

「不謹慎な言い方ではあるのですが、皐月賞を叩きに同会場のダービーに向かえるという意味では結果的に会場変更はありがたいかなと。東スポ杯で左回りも経験済みですし、不安はありません

 

「それでは、最後に抱負をお願いします」

「はい。えー……

 オーナーとの相談でこの前代未聞のローテとなっておりますが、それでも勝ち切ることのできる馬だと思っていますし、自分たちもそれを実現できるように精一杯頑張ってまいります。

可愛い馬ですので、皆様是非とも応援よろしくお願いします。ヨシも何か無い?」

「え!? えーっとその……」

「ははは」

『ぶるふぅー』

「はい、池尾調教師と厩務員の日向さんでした! ありがとうございました~!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「はい、OKでーす!」

「お疲れ様でした。予定通り15分の休憩の後、オルフェーヴルの方のインタビューで大丈夫ですか?」

「大丈夫です。ヨシ、もう行っていいぞ」

「は、はい……全然喋れなくてごめんなさい」

「いやいや十分でしたよ」

「最後はともかく調整の部分はあれだけ言えれば問題ないわ。これからロードと一緒に何回も出ることになるかもしれんのだから追々慣れていけな」

「ひえぇ」




太字強調はいうても選択肢で出た全ての影響をどこかで必ず本文中に出すわけではないので、正直個人的にはこれいる?感はある
あと普通に太字にし忘れとかもあるだろうし

>キャリア3戦の皐月賞成績4.0.0.8
数字の見方は1着.2着.3着.4着以下になった馬の数。上記ならばデビューから3戦した後に皐月賞に出走した馬の成績は1着4頭と4着以下8頭という意味。
1着馬4頭はアグネスタキオン(新馬→ラジオたんぱ→弥生→皐月)、ディープインパクト(新馬→若駒→弥生→皐月)、ノーリーズン(新馬→500万下→若葉→皐月)、ヴィクトリー(新馬→ラジオNIKKEI→若葉→皐月)。
アグネスタキオンとディープインパクトは無敗での達成。
2021年まで見るとサートゥルナーリア(新馬→萩S→ホープフル→皐月)、コントレイル(新馬→東スポ→ホープフル→皐月)、エフフォーリア(新馬→1勝→共同通信→皐月)。いずれも無敗での達成。

>ヨシ
サイレントロードの担当厩務員。元ネタ無し。
苗字は日向(ひなた)。それ以外のことは特に決めていない。

>ダノンバラード
史実皐月賞3着。実はオルフェーヴルと同じ厩舎。
よく確認してなくてガバってたのに気づいたので修正しました

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