あなたが選ぶ競争馬の道   作:08世代

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(625) 来いよオルフェーヴル!
思った以上に接戦でどっちが勝つかは最後まで分かりませんでしたね。

メガテンやってて遅れました。
前話の続き、及びネタばらし回。そして前話と合わせて筆者が読者の反応に戦々恐々とする回。
正確な次走決めは次々回あたりです多分。


イベント:秋の大目標

【日本ダービー】サイレントロードが歴史に名を刻む無敗2冠 3着は11番人気

 

1:名無しさんゲートイン ID:Yn+12fKym

 

 5月29日の東京11Rで行われた第78回日本ダービー(3歳オープン、牡・牝、GⅠ、芝2400m、定量、18頭立て、1着賞金=1億5千万円)は、関稔騎手騎乗の1番人気サイレントロード(牡、栗東・池尾泰弘厩舎)が皐月賞に続き、無敗で2冠制覇。東京競馬場で開催される“競馬の祭典”を制し、親子三代で無敗の二冠を手にした。タイムは2分30秒5(不良)。

 

 雨天による不良馬場で、逃げたオールアズワンはスローペース。中団の後方オルフェーヴルと並んで外を進んだサイレントロードは、3コーナーから徐々に外へ持ち出して直線の始点で先頭に。皐月賞と同じく、東京競馬場の長い直線で先頭を譲らず駆け抜けた。

 半馬身差の2着には狭い馬群の隙間をこじ開けて末脚を伸ばしたオルフェーヴル(2番人気)、さらに1馬身3/4差遅れた3着に後方から追い込んだウインバリアシオン(11番人気)と続いた。

 

 サイレントロードは2歳時に連勝で東京スポーツ杯、3歳1月に若駒Sを制した。その後はトライアルなどに出走せず皐月賞へ直行し無敗の皐月賞馬となった。無敗で皐月賞&ダービーの2冠制覇は、2005年のディープインパクト以来6年ぶり7頭目の偉業。また皐月賞と東京優駿ともに東京競馬場で行われての2冠は1964年のシンザン以来47年ぶり3頭目となる。

 

 日本ダービーを勝ったサイレントロードは、父トウカイテイオー、母インナモラータ、母の父サンデーサイレンスという血統。トウカイテイオー産駒はこれが日本ダービー初勝利となる。北海道新冠町・高井牧場の生産馬で、馬主は駒場駿太氏。通算成績は5戦5勝。重賞は昨年の東スポ杯2歳S(GⅢ)、今年の皐月賞(GⅠ)に次いで3勝目。日本ダービーは池尾泰弘調教師は初勝利、関稔騎手は2005年ディープインパクトに次いで5勝目。

 

 ◆関稔騎手「5度目、5度目ですか。なんとなく区切りのいい数字で、ここまでこれたんだなという気持ち。ちょっとすぐにはこれを正確に言葉に出来ないです。ごめんなさい。

 楽な勝負というわけでは全く無かったけれど、(サイレントロードが)非常にいい走りをしてくれた。雨ということもあってレースは流れなかったし。前に行くことも考えていたけどスタートで外の馬が皆前に行ったので、腹括って後ろから外を回そうと。サイレントロードは非常に頭の良い馬なので、指示をしっかり聞いてくれて進路もスムーズに取れたのでそこが大きかった。

 直線もきっちりゴールまで全力を出して走ってくれた。良い脚を長く鋭く使える。精神面でも最後まで気を抜かない。レースにストイックで真面目な馬だと思います。

 日本競馬史に残るスターホースになったわけですが、今年は歴史的な震災もありましたので、競馬を応援してくださっている方々の気持ちの拠り所というか、大きな存在なってくれたらと思います。馬にとっては知った事じゃないとは思いますけど」

 

◆池尾調教師「最後のゴールインの瞬間までオルフェーヴルとどちらが勝つかはわからなかった。とてもいい勝負。この二頭を管理させて貰うことができているのは一生の誇りになる。

秋は菊花賞か、距離を考えれば天皇賞か、オーナー側と相談。私自身としては三冠の重みというものは十分理解しているつもり」

 

2:名無しさんゲートイン ID:ntsF+7ssR

三冠期待

 

 

3:名無しさんゲートイン ID:3y8j2+MGp

流石に秋は菊やろ

 

4:名無しさんゲートイン ID:qnX0l12i1

テイオー産駒に3000mは長いと思うが、まあ強い馬なら行けるのかな

 

 

5:名無しさんゲートイン ID:+gljdnHdu

これでオルフェーヴル勝ったらライスシャワーの再来になんのか?

 

6:名無しさんゲートイン ID:i0d7Nvp+u

テイオーとマックイーンが菊で激突とだけ聞いたらまあマックイーンが勝つよなって

 

 

7:名無しさんゲートイン ID:nYvwidHZq

あの雨の中大外ぶん回して最後まで脚もつんだからスタミナもパワーもありそうだけどな

 

 

8:名無しさんゲートイン ID:9npN4VeiG

オルフェはどうもステゴ感出てきた

勝ちきれない感じ好きよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……再確認しますが、サイレントロードが菊花賞に出走するならオルフェーヴルは菊花賞に出走しないんですね?」

「はい、お約束します」

「……。

 …………。

 わかりました、その話お受けします。サイレントロードの秋は菊花賞で行きましょう」

「ご理解いただきありがとうございます」

 

 その言葉を口に出すと、薄っすらと弛緩した空気が流れた。疑っていたわけではないが、少なくともサイレントロードが菊花賞に行って欲しかったのは本当のようだ。

 

「その上でいくつかいいですか?」

「どうぞ」

「まず現在はサイレントロードが無敗の三冠に挑むという形で、オルフェーヴルが皐月賞と日本ダービーを僅差の2着としていて、オルフェーヴルの方が菊花賞に有利な条件が多いんですよね。

 これだと、もしサイレントロードが勝ってもオルフェーヴルがいないから勝ったという声も出るんじゃないでしょうか」

 

 勝った時の心配を今するのはちゃんちゃらおかしいのだが、この提案を飲むにあたってまず思いついた懸念がそこだった。

 「あの選手がケガで離脱したからこの選手がタイトルを取れた」なんて口さがない意見は時折見る。それと同じで、「有利条件が多いオルフェーヴルがいないから三冠を取れた」という意見は出るんじゃないだろうか。

 

「大前提として競馬でたらればは禁句ですし出たとしても極極一部でしょうけれども、そういう意見自体は出ると思います。ですがもしそうなったとして、その意見が本格的になるのは古馬以降の対戦成績次第ですから、今気にするところではないかと。

 何らかの記録を残した馬には逆張りと言いますか、そういうやっかみが付くものです」

「そういうものですか……まあ勝つかどうかもまだわからないですしね」

 

 他には何かありますかと聞かれるも、現状とりあえずは特に思い付かない。

 それを伝えるとではそろそろお開きということになった。また何か思い付いたら聞けばいいだろう。

 

 サイレントロードの秋までの今後をどうするかについても教えてもらった。

 どうやら吉岡氏が手を回してくれたらしく、茶台系列の所有している施設を使わせてもらえるらしい。

 

「本来ならば春と同じように北海道の高井牧場さんに戻す予定だったのですが、吉岡さんのご厚意で使わせてもらえることになりました。

 夏の北海道と栗東の温度差は激しく馬が体調を崩すこともあるので、栗東より涼しく移動の負担も少ない場所を使わせてくれるのはありがたい限りです」

「サンデーファーム甲賀といいまして、栗東トレーニングセンターからほど近いところにあるトレーニングセンターと似た役割を持つ施設になります。

 オルフェーヴルもそちらへ向かわせる予定です。本来ならばサンデーファーム関係者でない方からは使用料を取る予定なのですが、今回は構いませんよ」

「いいんですか? そこまでしていただくのはちょっと心苦しいのですが」

「昨年出来たばかりの施設でして、ここを利用して三冠馬が出たとなれば箔が付きますから。先程言った通り我々としても菊花賞はサイレントロードに勝ってほしいですし、こちらにもメリットがあって言っていますから気にしないでください。

 それでもというのであれば、まあ馬の1頭や2頭買っていってくださいね」

 

 確か馬を手に入れるにはセリだけでなく、庭先取引と言って生産者から直接購入する手段もあると聞く。茶台さんの良質な環境で産まれた馬ならば当たる可能性は高いだろうし、競走馬のセリは開催期間がシーズンに被ってるからあまり参加できないからそれに影響されない庭先取引を利用できるのはありがたい話だ。

 ……一瞬囲い込みという言葉が頭に浮かんだ気がするが……いや、流石に穿ち過ぎだろう。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……再確認しますが、サイレントロードが菊花賞に出走するならオルフェーヴルは菊花賞に出走しないんですね?」

「はい、お約束します」

「……。

 …………。

 わかりました、その話お受けします。サイレントロードの秋は菊花賞で行きましょう」

 

 その言葉を聞いて、池尾は思わずほっと胸を撫で下ろした。

 

 

 

「オルフェーヴルの秋の天皇賞への出走を考えている」とエブリデイレーシングの代表吉岡俊一からの打診があったのは、皐月賞が終わってすぐのこと。

 その連絡に仰天し、その数日後にはすぐに茶台グループ総帥吉岡照三と吉岡俊一を含む数人との会合を取り付けた。

 

「あくまで日本ダービーをサイレントロードが勝利した場合の話です」とは俊一氏からの枕詞。

 

 

 

 新馬戦やシンザン記念での末脚からムラは大きいが世代随一の力は持っていると確信していた俊一だったが、同時にシンザン記念の2週後に若駒Sを走るサイレントロードにも注目していた。

 

 一大グループの総帥である照三は言うに及ばず、その茶台グループの主軸生産牧場の副代表でありクラブの代表取締役である俊一も多忙を極めているため、各世代の注目馬の情報を集めるのは部下の仕事だ。

 サイレントロードについての情報が上がってきたのは10月の東京スポーツ杯2歳Sの直後だった。

 部下からの報告からレース映像を撮影したものを見せてもらった俊一は、しかしその時点ではクラシックを1つ取るかもしれない……つまりはオルフェーヴルのライバルとなるかもしれない、くらいの認識だった。

 

 それが変わったのは若駒Sを直接見に行ったその日。

 この日出走馬を複数出して現地に来ている池尾調教師との会談と、エブリデイレーシング保有でクラシック出走候補であるユニバーサルバンクの視察を目的に訪れた京都競馬場。

 そのレースでの残り200mからのギアチェンジに、俊一はまさしく「衝撃」を幻視した。

 

 着差で言えば「あれ」程ではない。ないのだが、しかしその余裕を持った走りと鞍上との折り合いの良さは目を見張るものがあった。

 すぐさまその背に乗った3人の騎手にその乗り味を聞いてみたが、帰ってきた返事は「とにかく乗りやすい」「指示への反応の早さがこれまで乗った馬とは別次元」「まだ真価を見せてない」と賛辞の数々。

 それは各勝利インタビューや東スポ杯と若駒Sでの勝利に合わせた各種メディアのインタビューなどで世間にも伝わり始めており、競馬ファンの間では親子での無敗二冠を、そして祖父に続き父の無念を晴らす歴代3頭目の無敗三冠を期待する声さえ上がり始めていた。

 

 オルフェーヴルがスペックで劣っているとは思っていない。

 そのスペックを最大限発揮させるために様々な手段を試している。もちろん、勝つために。

 しかし3歳1月という非常に早い段階で、騎手の指示にほぼ完全に従う賢さでフルスペックを存分に発揮できる程のサイレントロードと比べて、総合的に見て勝ち目が高いとはどうしても言えない。

 

 

 

 実際にサイレントロードが皐月賞で勝利したのを見て、俊一氏は天皇賞・秋出走の考えを固めたと話す。

 

「震災というものもありましたから、少々露骨ではありますが競馬界でも明るいニュースを作りたいという思いがあります。

 もちろんオルフェーヴルがダービーを取れれば二冠を目指しに向かいます、菊で二冠をかけて決戦というのも話題になるでしょう」

「わかりました、その方向で調整しましょう」

「それでなんですが……」

「はい?」

 

 真面目な顔から一転、俊一氏は渋面で続けた。

 

 

 

 オルフェーヴルの次走選択肢として天皇賞・秋があることそのものはいい。そこで問題となるのは、サイレントロードの馬主である駒場だ。

 

 馬主となる人物というのは得てして金持ちで、始める以前からある程度横の繋がりから競馬を教えてもらっておりその界隈への憧憬からというものが動機の大半だ。

 その都合実際に馬主資格を取るまで長い時間をかけ、場合によっては年単位で知識を収集してからということもある。

 

 しかし駒場はそれとは全く別の道を通ってきている。

 同じく馬主の笹木氏に誘われ、そのあとすぐにほとんど何も調べず馬主資格を取ったという、中々考えられない経歴だ。

 本来はレースで惹いて馬主資格取得の際の煩雑さを見せ、まずは一口馬主からどうかという流れを想定していたようだが、そこは駒場氏のマイペースさといったところだろうか。

 そのような経歴で買った初めての馬がスルスルと勝ち進み遂にはクラシックまで取ってしまった。端的に言えば熱量と実績が全く釣り合っていないのだ。

 

 大前提としてオルフェーヴルの天皇賞出走は、サイレントロードに三冠を取ってもらうためのものだ。本来ならば周りが何を言わずとも二冠馬ともなれば当然菊花賞を目指す。

 しかし駒場は競馬界隈の空気に浸った所謂「普通の馬主」ではない。現役野球選手ということもあって他の馬主と比べてメディア露出が圧倒的に多く、東スポ杯や若駒S勝利後のインタビューでは「(サイレントロードがクラシック有力馬であることを聞かれて)あまり意識していない、無事走ってくれれば」と答えている。

 普通に見れば馬を大事にする美点だ。しかしクラシックGⅠレースという格を理解しているのであれば、ここで出てくる言葉には勝利への期待が枕詞として必ず付く。普通の馬主が必ず実感するはずのその価値を真に実感することなく勝ってしまっているのだ。

 

「私が怖いのはそこで、例えばここ数年で急速に発展したインターネットですとかもしくは評判が良くないメディアのインタビューですとか、そういう変な影響を受けてじゃあ菊花賞に出ませんと言い出し始めるのを恐れています。本来ならばこんな考えをすることはありえませんが……」

「絶対無い、とは確かに言い切れませんね」

 

 競馬に関する知識も情熱も(あくまで普通の馬主と比較して)極端に低い駒場氏の動きを完全に推察することは難しい。

 どうするか話し合った結果、まずは「オルフェーヴルを天皇賞に出すから絶対に菊花賞に出てくれと普通にお願いをすればいいのでは」という提案から始まった。

 下手に誤魔化したりするよりはということだが、これに難色を示したのが照三氏だ。

 

「正直に言うということ自体には賛成ですが、茶台グループという看板を掲げてる以上、お願いという形でもこちらから頭を下げるというのはちょっと承服しかねます。

 白魚の方も、まあ八つ当たりというかお門違いという話ではあるのですが少し荒れてますので、この上刺激するのはちょっと」

「ああ……照三氏の立場からするとそうなりますね。でしたらどうしますか?」

 

 照三氏から提案されたのは、事実ではあるが確実ではない事項を中心とした説得を行うものだった。

 

「無知な馬主を騙すという形にはなってしまいますが……菊花賞ではサイレントロードよりもオルフェーヴルが血統的に有利であるということ、そして三冠の重みというものを軸として並べれば、魅力的な提案として映るのではないでしょうか」

血統(メジロマックイーン)と……無敗三冠の重み(ミホノブルボン)でしょうか?」

「そうなりますね。過去の名馬をこういう形で使うのは気が引けますが」

 

 あくまでもオルフェーヴルの方が勝ち目があるがそれを放棄する、という名目で伝えるということが決まり、普段の仕事の裏で「台本」を作っていった。

 調教師の目線では、サイレントロードとオルフェーヴルの力関係は直前調教の時点では展開次第の五分五分と見ている。伏兵は、青葉賞のウインバリアシオンが少し気になる程度。

 多少の贔屓目はあるが、少なくとも自分はこの2頭のどちらが先頭か、という目で見ていた。

 

 その予想通り圧倒的な力の差を見せて、サイレントロードとオルフェーヴルは駆け抜けた。

 それを見届け喜びを分かち合い、各種メディアに対応し……そして事前に話を通していた関騎手も交えての話し合いを取り付けた。

 

 結果は先述の通り。少しヒヤッとする面もあったが、概ね想定通りになって一安心と言ったところだ。

 こちらの思う通りに動かした負い目の分も込みで、菊花賞に向けてきっちりと仕上げなければ……。




というわけで秋はサイレントロードが菊花賞、オルフェーヴルが秋天となりました。
まだ作中世界のファンは知る由も無いですがはたして反応や如何に

>急速に発展したインターネットの影響
netkeiba.comのプレミアサービス開始が2005年
ディープインパクト引退が2006年末、個人ブログ文化の本格化もこの辺りの年
TwitterとFacebookのサービス開始が同じく2006年、日本語対応が2008年
youtubeのサービス開始が2005年末、日本語対応が2007年
ニコニコ動画のサービス開始が2007年
iphoneの発売が2008年
LINEの登場が2011年(作中年)
インターネット発展においてはまさに激動と言っていいこの辺の年代
2ch全盛期から一気に拡大した匿名文化に警戒を強めている、という感じ

>茶台グループという看板
所謂面子の問題
最近龍が如く7プレーしていたのが執筆に影響されてるかもしれない

>荒れてる白魚
オルフェーヴルの生産牧場白魚(しらうお)ファーム。ステイゴールドやゼンノロブロイなどを生産したとても良質な牧場だが(分割により白魚ファームとして独立した後は)クラシックに縁が無く、ようやく届きそうだったオルフェーヴルが2着2着としたことで「どうしてよりによってサイレントロードが同じ年に生まれたんだ」と嘆き節
この年生まれたイスラボニータが皐月賞取るからそこまで待っててもろて



感想欄などで一部選択肢がずるいという意見がありましたが、ずるい選択肢になるよう茶台と池尾氏が狙ってたからでしたというお話し。

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