あべこべ危険(ウマ娘)   作:2Nok_969633

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 この世界はあべこべである。






鋼の意志

   

 

 

 神様、始祖の女神様がもし本当に居るのだとしたら…どうか哀れなゲーマーとしてのトレーナーを許してはいただけないでしょうか。

 

 この世界にお約束、というものがあるのでしたらどうか、どうか忠実に沿ってしまうような運命を少しでも変えていただきたく存じ上げます。

 そしてこの原作を私は知っているからこそ言える立場ではございますが敢えて述べさせていただきたいのです。

 

 私は何故転生をされてしまったのでしょうか。

 そして何故この世界であべこべとは?

 果たしてこれは、男が生きる意味とは何処にあるのでしょうか?

 

 

 

 最早何も言うまいて…。憂鬱な気分で1日がまた始まるともなると心には虚しさしかない。朝の光を浴びて今頃彼女達は気持ち良く朝練をしていることだろうが…俺の目に映る空はただただ憎いだけの何かでしかない。それだけこの世界はどんな戦場よりも危険な場所だということを表している。

 

 俺は俗に言う神様に会っていないタイプの転生者である。はいはい、テンプレ乙…と思った人もいるだろうが少しだけ俺の愚痴を許してはもらえぬだろうか?

 まず、この世界は美的感覚などの物事については変化は無い…が、あべこべであり貞操は逆転している。男女比率は約1:5を維持したまま400年が過ぎようとしているようだ。

 説明することはないだろうが簡単に言えば男が生まれる確率が低い、というイかれたよくある創作物でしか描かれる事のない世界に転生している。

 そしてよくある転生者として自覚することが多い…しがない一般人、それが俺だ。まさかこんな嘘から出てしまったような事を自らが経験するとは思わなかったが、それ自体は受け入れるしかあるまい。別段困る事はほぼほぼ無いと言っても過言では無いのが事実であることに違いはない。金、仕事、面倒な人間関係その他諸々リセットされてしまってはいるものの別段、困るような人生を歩んできたわけではなかったからだ。その事に何の不安を抱くことも無く、ある時が来たら適当に恋愛でもしてそのままこの世界にいる男と同じような運命を辿りながら平穏に暮らしていけるものだと…そう思っていた。まあ、平穏の意味が彼らとは違うだろうけれども…それは置いておくとしよう。

 

 では何故、こんなにも困惑したまま人生を謳歌しないのか。というところに疑問点が浮かび上がるだろう。

 仮にも運良く典型的なあべこべ世界に転生したのだ。ハーレムも作り放題、世界を掌握するも良し。約束された緩い人生を歩める絶好の機会を逃さずして男だろうか?否、断じてこう答えるだろう。俺自身でさえもこう答えていたはずだ。

 

 「当たり前だわ。可愛い娘達を犯しに犯しまくり、女物のパンツはあるだけコレクションし、素股しまくるわ挿入しまくるわ胸を揉みしだきながらしゃぶりつくわ、高級マンションで乱行パーティーをし、存分に快活、性に淫に乱れ、思う存分楽しんでやるわ!」と、大声に出していた筈だ。

 

 

 

 但し、この世界にあのウマ娘が存在している世界ともなれば話は変わって来る。

 

 

 

 ウマ娘…それは転生する前の世界にいた『馬』という生物と共に競技を元にして作られたキャラクターである。競馬という西洋から派生された賭け事は広く知れ渡り日本でも大いに盛り上がっていたのは言うまでもない。そこには笑いもあれば涙もあり、その一頭一頭が歩んだ歴史の中にウマ娘も存在しており派生作品の中の一部としてゲーム、小説、漫画と幅広く普及していきブームとなった。

 特徴としては、ウマ娘というだけあって性別は雌限定で容姿は端的に言っても美女しか存在しない。加えて人間を遥かに凌駕する力などなど…馬の能力を人間としての姿に合わせつつ上手く特徴を掴んだある種のデザイナーベイビー…とでも呼んだほうがいいのだろうか。俗に言えば可愛い顔をした化け物である。言い方は…正直すまない。

 ただそれを凌駕するだけの物語性や史実、忠実の再現性の高さは多くの人々から愛されるのも時間の問題であり、かくいう俺もその1人であった。設定がどういうものか、というよりもそれに見合う心に響く何かがあればそのような小さな事を気にしないほどには夢中になっていたもので…育成は欠かさずキャラクターからサポートカードに至る全てを手に入れるほどではあったのだ。はっきりと断言しても良いほどに、俺は馬とウマ娘の魅力に染まっていた。

 

 そんな世界に転生をした。そう…この目でしっかりとウマ娘を見るほどには確認も出来たしはっきりと第2の生をこの世界で送れ、との御通達が来たかのようにこの地に踏みしめながら降り立ったまま時が過ぎた。

 

 

 

 簡潔に述べよう。俺はどんなに好きな物語だったとしても…こんな設定が付け加えられた世界に転生をしたくなかった身だ。

 

 

 

 我儘を言うな。そんな好きになってしまった世界に生まれたのなら本望であると同時に、何と素晴らしいことか、と嫉妬の赤い雨が今にも降り注いでも可笑しくはない。だが…この世界は残念なことを後押ししてしまうが…あべこべが基準となっている。

 

 極論ではなくこれは規定として定められているような扱いではあるが各国、どこに行こうとこの世界でトレーナーになる、もしくはなりたいというような男は誰1人としていない。最早男の方は女性そのものを嫌悪しているほど、と言っても良いのである。

 

 理由は様々で諸説あるが…やはり一番大きい事として挙げられるのは単純に力で勝つ事は疎か、生物としての威厳も無くなった男に価値が無い、ということの方が多い。俗に言えば性処理と子供を作るためだけにいるようなもので…社会にとっては邪魔の一言で片付けられてしまう。とはいえ、流石にこんなイかれた世界にも生物としての本能はあるようでこの男女比率も結果としては…女性も女性であることを良いことに男性に襲いかかるまではテンプレである。ウマ娘の場合はそこに発情期、というものが加わるためリスクが人一倍大きい。

 

 つまりは…性衝動が収まらずにうまだっち、うまぴょいが行われることは日常茶飯事だったそうだ…過去に。今は不明ではある…が、それでも巨大なタイヤや運送車など人間では持つことが不可能な物を軽々と持ち上げたり、時速60km以上で走る化け物共がいる巣に「Hey!君かわうぃ〜ねぇ!よかったら俺と一緒に夢を追いかけてみないかい?」なんて言葉をかけてみろ、死ぬぞ。

 

 さらに懸念すべき点がある。

 それは元ネタが馬だということ。

 この世界は馬がいない代わりにウマ娘がいる事について…承知済みだろう。諸君らも知っているように馬の元ネタから取っているトレセン学園に数多く所属している彼女達の性欲は基本的に高い傾向になると踏んで見て間違いはない…と勝手に想定している。

 というのも、不運や不幸によって子を残すことなく死んでしまった子達を除いては、そうであると…思ってしまう程にオタク知識というものは厄介なもので、一度コンテンツに目が眩めば一目散に我先に、と知識を得ようとするものだ。…もうお分かりいただけるだろう。特にメジロマックイーン、ゴールドシップを含んだ彼らはその中でもとびっきりだと記憶をしてしまっている。本能としても組み込まれているであろう彼女達のあらゆる欲は人間の心によっても作り出されていることも要因の一つだろうが…それは少なくともコンテンツという壁によって守られていた。が…ここではそれが機能するかもわからない。何せ俺たち人間にはそうした護られるべきものが無いからだ。そもそもこの世界でそんなコンテンツは通用するほどの余裕は無い。貞操逆転は文字通り死を意味するのである。

 

 そこに畳みかけるようにあべこべ要素が加わったらどうなる?元の世界であれだけの怪文書やらファンアートやらが作られたあの素晴らしき文化が覆るほどに入れ替わってしまった場合…そこはまさに

 

 

 

 地獄デース‼︎

 

 

 

 憧れである彼女達にも、敬意を込めて死んでしまった彼らとも会えることも無く…ましてやこの世界にウマ娘のアプリがあるわけでも無い。仮に会えたとしてもうまぴょいされるのがオチとしか思えないのだ。

 

 現に、

 

 『次のニュースです。今朝、東京都府中市のマンションにて…男子学生にわいせつな行為をした疑いで、男性保護警備員である女が警視庁に逮捕されました。容疑者はおよそ12年前からこの家に出入りし、わいせつな行為を繰り返していたとみられ、警視庁は余罪なども含め調べているそうです。』

 

 

 

 

 

 生き地獄である。彼女達に会うことは疎か俺を含め、男は基本外に出られない事が普通となってしまっている。普通の女性でこの有り様だ。彼女達も…例外ではないだろう。…というか男性保護警備員が事件を起こすとか相当だったんだな。しかも割と近所となると…油断は出来ない。

 

 

 

 それでも彼らが元ネタとなった彼女らがターフで一生懸命走っている姿を、願わくば生で見てみたい。

 出来る事ならトレーナーになって彼女達を支えたい。その想いに間違いはなかった。しかしこれはあまりにも酷すぎる。何故目の前に手が届きそうな場所に、彼女達がいると言うのに…アプリ同様、こんなにも触れさせてもらうことも出来ないのだろう、と…現実は余りにも非情だ。

 

 そんな時だ。前世でもよく見るようになっていた実況をこの世界でも聞く機会があったのだ。偶々流れ出たその音源から…俺はある種の考えに至った。

 

 ーそうだ、実況者のような…ネットで男がやるのはかなり危険だが、非公式でも映像さえあれば…いっその事、解説役兼サポーターになって彼女達を見る事が可能なのでは無いか?と。ー

 

 この世界に競馬、競バという賭け事自体には概念は無い。競う、と言ってもあくまでもオリンピックのような選手としての活動を踏まえて結果を見るのが第一だ。

 だが、それでも人によってチェックするところは違うものだ。その場でしか味わえない臨場感は諦めるとしても…例えば、この大会ではこの子が優勝するだろうという予想などを立てる人はアニメ然りゲーム然り…幾らでもいた。そこに変化が無ければ…少しくらいは悲劇を回避することも可能なのでは無いのだろうか?流石にターフで散ってしまった命を見ることは無いだろうが、彼女達のレースをあくまでも想像でだが…味わえるのではないだろうか?

 

 そう思い立った俺は早速ウマッターなどありとあらゆるコンテンツを調べ…準備を整えた。幸いにもお金、時間は幾らでもある。レースの出走予定からアカウントの情報、まだ見ぬ子達の入学予定、体調、事前の走り方などなど…やっている事はストーカーだがこの際、そんな考えには至らなかった。寧ろ人型となった事でより観察しやすくなってしまったためか、オタク特有の収集癖がより事を加速していただなんて…当の本人は思いもしなかった。

 

 だからだろうか。こんな事になるなんて知らなかったら俺は…こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのかもしれない。やはり、と言うべきだろうか…予想外なことが起きてしまった。そもそもこの世界では、男がネットにホイホイと手を出してはいけなかったのかもしれない…たった一つの…ある一件を皮切りをきっかけとして始まった投稿…それは、自身が注意を怠ったことによって事態を大きくする事になるとは考えもしなかったのである。結果として、これらは収まる事を知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 完全に始動していない準備段階の状態で嗅ぎ付けられました。通知が止まりません。助けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 


 バカ野郎っ!ウマ娘にただの人間が勝てるわけ無いだろうがっ!




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