だァアアもう‼︎うる…ご静粛に願えます⁉︎もうじき投稿されるのでハーメルンに戻られてはいかがでしょう⁉︎
「えっと…勘です」
「カン?」
「…勘です。ひゅーってやってひょいって感じで」
賭け事において、最大限活用する為の要素である運…これを確実に発動させ支えるための知識と経験数、それら全てを賄い支配する絶対的君主である己自身が生み出せる経験値を存分に発揮するため、ウマ娘の育成モードで培って来た武器。あの失敗率の%を超えるか超えないかの瀬戸際であったり、マエストロが来るか来ないかであったり、良個体を作れるかであったり…全て、データでは計る事ができないゲーマー特有の絶対領域。
「いや、真面目に」
「至って大真面目です」
「…」
「その…それぞれの映像を参考に大まかだけどひゅーっと繰り広げられたレース展開を頭で何度も想像して、それを元に検証をしたものをひょいって感じで纏め上げて………大体勘で補っています、はい」
今までの話はなんだったのか、と思うほどの寒暖差。今は氷河期だろうか…真面目にやれって冷たくゴミを見る目つきで見る彼女…流石お姉ちゃん、ちょっと癖になりそうなのは黙っておこう。死んでもこんな下品な考えを読まれでもすれば、それこそ俺は死地へと向かってしまうに違いない…1回死んでるけどな、うん。
「ごめん…それは引く」
「わかっているとは思うけど、正当性とか無いからね⁈」
デビュー戦までならあくまでいけるって甘く考えているだけのただの人間が、トレーナーになろうなどと驕れるわけがなかろう。それは百も承知…それでも、俺だって瞬時に諦め理不尽な事に『はいそうです』か、なんて素直に納得できるわけじゃ無い。だったらあとは選択肢として残るのは、自分なりにやれるだけの事をやる…どんなに難しいことだとしても、それ以外に浮かぶ答えが無かった。
「でもなんだかんだ言って好きでやった結果、なんでしょ?」
「…まあ、ね」
僅か1年とはいえそれなりに彼女の事は信用してる。何様だと思うかもしれないけど、互いが嫌だったらもうとっくの昔に、どちらか一方がチェンジしている関係性だ。個人的には趣味の範囲で色々取り掛かっていることについて、カミングアウトしても問題はないかもしれないが、種ウマなんて発言をした今は…止(や)めておいた方が良いだろう。
「もう一度問うけど…本当にファンの人たちでもしないの?こういうさ、レース展開の流れとか」
「どの子が勝つか、までは大抵するだろうけど…オベイユアマスターとかアグネスデジタル、エアシャカール並に度を越してるとは思う。なんというか、うん。オタクちゃんさぁ…ってネタを使える範疇だよ。もしこの場に白い稲妻が居たらなんやねんってツッコミして来るよ?いや、間違いなくする絶対に」
その時、体内に電流が走る。
「おっなんやぁ?喧嘩売っとんのかぁ?ウチを何やと思うてるんや!偏見もええ加減にせいっちゅーねん。うん、タマはどんな時でもツッコミを忘れないな。私もタマのように頭の回転が速くなれば、テストの点数も上がるのだろうか。…なんでやねん」
「ちょちょちょーい!どういうこっちゃ!なんでウチとオグリの真似そんな上手いねんっ!」
「インタビュー記事とか見てますから。試合の雰囲気と全く違うけど、現にこういう事言いそうだし…そっちこそタマモクロスの真似上手すぎでしょ」
「そりゃあまあ…レースとかよく見に行くし、何より今はウマ娘界の神世七代時代だからね」
「オグリキャップ、タマモクロス、メジロアルダンにイナリワン、サクラチヨノオー、ヤエノムテキ…そしてスーパークリーク。一応ディクタストライカとアキツテイオーを入れて9柱っていう人も居るし。ルドルフみたいに快挙を成し遂げたっていうラスボス感が一点集中されてないだけで、ターフの上は今や荒れ放題の重バ場でございますから」
「ここはエジプトでも無ければ戦国時代でも無いのにね」
「そろそろ12神に肖ろうとする動きもあるよ」
「とうとうそこまで…あっ、もしかしてこの前の安田記念と宝塚記念の影響なのかな?」
「そうだね、そのレースでバンブーメモリーが目をつけられてる。安田記念でオグリキャップにハナ差で差し切り勝ちし、続いての宝塚記念でイナリワン、ヤエノムテキ、ゴールドシチー、サクラチヨノオーに這いつくばって掲示板入りの5着。脅威の末脚とそのがむしゃらによってスプリンターの先へと昇華させたって持ちきりだとさ。ゴールドシチーも大概化け物って評価されているわけでさらに持ち上げ三昧。ここには出てなかったけど惜しくも優駿2着で三冠を逃したスターローゼ然り影響がエグいのよね…この世代は一体何なんだろうなぁ。本格化が重なったにしてもここまで長引くとは思えないし、仮にありえないだろうけど覚醒したとして、そのきっかけであるトリガーそのものが不明なのよね。個人競技とはいえ、そうホイホイと本格化した子達が軒並みを揃えて良いものじゃない」
史実よりも暴れておられる名バの皆々様が降臨なされておいでだ、面構えが違う。お蔭で予想がこれまた難しい…どいつもこいつも有り余る力を思う存分使いこなして、必殺技を会得した強キャラの如く化け物揃いへと進化するものだから正直困る。三冠や大差勝ちといった快挙は生まれないものの、何年かかけて徐々に力が増すだろうという動きが、突如として全体的に急激かつ急速に均衡のバランスが崩れ更新されだした。それがよりにもよってこの世代からという…ほんま頭おかしくなるで。
ただ、まだ完全なる覚醒状態に開花して至った子を俺は見た事がない…というよりあくまでも『そう』らしい。あのシンボリルドルフやオグリキャップでさえ、その限界最大値の領域までは未だ到達していない、と感じているそうで恐らくは領域には至らずウマ娘としての力の核心を、一時的にゾーンによって入り口へと入ったことで擬似的に力を発揮する事が可能となっただけ、と述べていたことから…当人達はその先があると見ているようだ。
しかしながら能力は飛び抜けて一級品である事に違いない。力の根源である『味』を理解し、数多のウマ娘が立っている場所とは別次元の世界にいるような、人知を超えているという点は捨てられないだろう。
「用語とか名称に関しては厨二病が居たのかな?まあ…それは兎も角、恵まれた時代になってるけどね。そんなことより、あの…さ。もしかしなくてもだけど競バのレース動画を入手した段階で何度も見返してるって前提でもう話すけど、レースを見る頻度ってどれくらいなの?」
「…気にしたことないからわかんねえや」
「じゃあさ、今日あたしがここに来なかったら何してた?」
「来なかったら?あぁ…えっと、軽く筋トレをして汗を流す。んで過去の競バ映像を見ながらテキトーに飯を食って…そのあとは寝るまで観察と試合の展開予測とか勉強かな?まだ高度な駆け引きとか読めないし、試合展開も難しくてさ」
実際騎手も上に行けば行くほどタイミングとか見極めながら展開するらしい事から見ても、あれに関しては格好つけて言っていなければだが、まず間違いなく嘘では無い筈だ。
「うん、なんというか気持ちが悪い。色々と考え過ぎすぎているところとかも含めて…寧ろこれを聞いてる側の気持ちを考えてほしいくらい」
だからって頭を抱えるような仕草を取るだろうか。
「そこまで言うか!自覚はあるけどそれだけは言うな…結果響くんだから」
「ごめん。でもちょっと…ううん。やっぱりごめんね、かなり引いてる」
「2度も言わないで…本当。一年前のスーパークリークみたいになるって」
「それって菊花賞の時のやつかな?でもあの時既に神戸新聞杯を大差で勝ってたし、特定のマスコミ陣営がフロックかもって言ってただけで…実際はそんな事もなく嘗めてましたってオチだったけどね。インタビューの時、それなりにダメージを受けて顔が引き攣っていく様子は見るに耐えなかったけど」
「それでもヤエノムテキに対してクビ差勝利。4着までとの差が4バ身以上も離れての3着のサクラチヨノオーも奮闘したけど、2着との差が半バ身差だったからね。
…メジロアルダンは菊花賞には出場していなかった、もとい出ていたとしても長距離は苦手そうだし英断だと思ったけどさ。まさかねえ…天皇賞秋で2着とはいえ、あのオグリキャップを差すとは思わなかったわ」
「天皇賞にかける想いは人一倍ありますってニュースでも取り上げられて、それに応えたってのが熱くてさ」
「わかりみが深いわ…でも皐月賞はヤエノムテキ、NHKマイルカップをメジロアルダン、安田記念がオグリキャップ…そして東京優駿はサクラチヨノオーがそれぞれを独占していたとはいえ、メジロアルダンがまさかマイル路線ではなく中距離路線に向けて対策を練っていたっていうのが意外や意外だったわ…息の使い方一つでも狂えば忽ち飲まれそうなのに、結果として期待を裏切らないところに関しては、流石はメジロ家の令嬢といったところだったが…いかんせん相手が悪かった」
「もうそのレベルの高さが…考えただけでも鳥肌が立っちゃうよ。何であんなにも強いのかすらわからずじまいだし。秘訣とか教えてほしいくらい」
「それ聞いてどうするのよ…」
「いや、ほら…トークショーとかあるじゃん?あのノリあのノリ」
「まあ俺も実際に聞いてみたいけど。で、話を戻すけどディクタストライカは大体どの試合にも出て3位か2位という好成績を収めた上で、マイルチャンピオンシップの1着をもぎ取って堂々と有馬記念に挑んだけど、評価は当初、2人に比べると高くは無かったね。前まではエースとか呼ばれていたのに…」
「あの時ね…実は皆、誰を応援すれば良いんだろうって困惑していたんだよ。その様子を始まる前まではさ?遠くから見ていたから、ちょっと面白く感じていたんだけどね…いざ始まるってなった時は『成程、これは選べないなぁ…。』ってなって…結果的に芦毛の2人が抜きに出たって感じ」
「それでも負けじと踏ん張りを見せたストライカが有馬でタマモクロスにあと少し、というところまで追ってクビ差の3着。2番人気だったオグリキャップはその2人を背に1位を半バ身差で勝利…天皇賞秋、有馬記念とお互いにレコードを叩き出し、ライバルには絶対に負けないと豪語する芦毛コンビには痺れること間違い無しかと思えば、天皇賞春ではそこにイナリワンが参戦してタマモクロスと接戦を繰り広げ、掻っ攫っていくその姿に圧感。圧倒的強さを再確認する羽目になった後、ストライカはストライカでオグリにヴィクトリアマイルでリベンジして見事勝利を飾る…と。言っているだけで肌がヒリヒリしてしゃーない。少し休ませて欲しい」
出場しなかった休養組を除き、彼女らと対戦した事がなかった新参は忽ちフルボッコにされ、格の違いを見せつけられると同時に頭角を更に露わにした彼女らに観客も大盛り上がりだ。
「あたしは今言われた試合の全部を、殆ど生で見て来たから尚更な事だけれど…今でも脳裏に焼き付いてるくらい鮮明に覚えているよ。白熱も白熱…まさに強者だけが味わえる最高の試合だったってね」
「羨ましい…。クソッ!こういう時ほど男という性別を呪ったことは無い!」
「うわぁ…。ま、まあそんなオタクである君がアイネスフウジンを推してるってのがあたしは意外だったなぁ。これを言ったら悪いかもしれないけど、今の世代や同年代の他の子と比べたら…決して華やかとは呼べないし…」
随分と酷評だ。俺自身、前世同様に…ただ強いだけのウマ娘だと思っていたのは事実。それを覆した彼女ははっきり言って怪物共の部類だろう…何より最近になってその質が深くなったようにも感じ取れるほどに、一番濃度が濃い。
「あくまで俺が見た限りでは…ね。多分薄々気付いている人は居るんじゃないかな?」
些細ではあるものの、潜んでいた潜在能力が丁度一年前を過ぎたあたりから解放され始めてきて…予想よりも成長曲線が右肩上がりのまま下がる未来が、何故か彼女達と同じように見える気配が…俺の考えから浮かばない。瞑想に耽ろうと、頭を捻らせようと…そんな予感がしてならない。メジロマックイーンの本格化は既に為されているとはいえ、圧倒的に強いウマ娘って感じで潜在能力こそ高いものの、アイネスフウジンより開いてはいなかった。その2人以外は残念だけど、強者と同じかそれ以下な予感がしてならない。
「…何に」
「私達と同じ土俵に立てるかもしれないっていう、退屈を紛らわしてくれそうな期待感から生み出された…悪魔みたいな強さを誇る怪物共の嗅覚にだよ」
強者の上を行くものはそうした鼻を利かせて登って来させる。そして完膚なきまでに捕らえて絶望の淵へと追い込んでいく…戦いに容赦は無し。勝利への渇望を思う存分吐き出せる唯一の場であるレースにて、勝利の切符を手にする新たなウマ娘が果たしてこの先、彼女達の前に現れるのだろうか?
【(プリティーダービーのレースは現代水準…つまりは過去の名バやレースと辻褄が合わない。…にも関わらず自然とゲームに落とし込んでいる仕様を見るたび、サイゲが恐ろしくて仕方がない。仕方がないんだけど…これ明らかに矛盾が発生しそう。プリティーダービーって何?わけわかんないこと言わないでっ‼︎) って状態な時に『シンデレラグレイだってプリティやろがい!』と言われた心境を持つ人がいます。これを参考に次の問いに答えなさい。】
Q.『プリティーダービー』ってなんですか?
A.3秒あげましょう…もう分かりましたね。