時間や社会にとらわれず、ウマ娘に対して没頭する時…彼は自分勝手になり自由となる。誰にも邪魔されず気を遣わず観察するという孤高の行為。この行為こそがオタクのみ平等に与えられた、最高の「癒し」といえるのである。
「そんな切符を彼女が持っている、と?」
「まあ…俺は持っていて欲しいと思っているよ。特にこのレースで見せたような粘り強さから出たであろう最後の力を振り絞って勝ちに行く姿は…見ていて気持ちが良いからね」
そう言うと、彼女はどこか引っかかったように引き攣りながら口を開いた。
「それ…ただ彼女の走る姿が好きなだけじゃない?」
図星である。これが競馬だったら容赦なく切り捨てる部分であっても仕方がないのだが、ウマ娘だと人型な分共感力が意外と…クるものなのである。
「ごもっとも。でもやっぱ見ていて心を熱くさせるのはそこよ。俺は専門家でもないしターフで走るウマ娘でもないから、外から見て好き勝手に言っているだけの凡人…時には心にもない言葉とか言うかもしれない。それに根性とか嫌いだしね。あとは自分を大切にしないやつも好きだけど嫌い。何を言っているんだって言われそうだけど…。
楽にのし上がれるなら俺もそれがいいんだけどさ… 一回きりの真剣勝負、レースなんてそもそもそう簡単に勝てるものじゃないじゃん?
そんな難しいものに対して、それも中央で最後の最後に勝ちに行く姿勢を見たら、そりゃ伸びるって思うでしょ。幸い力はあるからデビュー戦2位なわけで…それに」
「それに?」
「いや、これはあくまでただの願望なんだけどね?」
原作でもあの走りはフロックではない。そして前世にて、生で見る事ができなかったあの伝説の東京優駿…遥か生まれるよりも前に、元ネタであるあの馬が、最後に見せたあの輝きを…競馬ファンならば動画なりで一度は目にするはずだ。これが…ウマ娘の世界だからこそ余計に声を大にして言いたい、見てみたいという想いは決して偽りなどでは無い。
「俺はただ純粋に、今季だったらアイネスフウジンが三冠を取る姿を見たいってだけだよ。…まあメジロマックイーンでも見てみたいけど、彼女の方はメジロ家だから多分天皇賞メインになるとは思うし」
「…そっか。んー?でも次の秋天と有馬…あと出れたら春天に別のお嬢様が『身体の調子が良いので出場するかもしれませんね。』って言っていた気がするんだけど」
「あー…メジロアルダンか」
「何か毒を含んだように名前を言ったけど…どったの?さっきまでの勢いがないというか…らしくないね」
「いや、別に何かがあるってわけではないんだ。ただね、彼女の強さの秘訣?根幹?が正直他の人と違って見えすぎというか…。ほら、病気だか体質持ちで、人より走る機会がそもそも少ない事で度々言われてるじゃん?それであの強さとメンタルだから…ちょっち予想が難しくて、今のメンツの中でも一際不気味なのよ。身体が調子いい発言した時に毎回出てきては上位に入るから尚更ね…それを言うならオグリも走れるから走るってだけの理由で、あそこまで強くなるのは異常だと思うけど」
これが、あの想いの力?ってばりに一瞬の栄光を求める修羅の道を行くものだから、ガタイの良さと相まって最早恐怖すら感じてしまう。脚がガラスだとしても心はダイヤモンドばりに硬いお嬢様とか、はっきり言ってグラスワンダーより物騒なのかもしれないと思ってしまうくらいには、流石重戦車と言えるだろう。オグリもオグリで右膝を、タマモはガリガリだったんだっけか…彼女らの場合はだからこそか。
「あぁ…公言していた事も覚えているのね。オタクくんさぁ…」
「おっと、その先は言うなよ?おかげさまで今日は耳が痛くなりそうだ」
そうした会話をしてふと時計に目をやると、業務規定を少しばかり超えている。お互いにこれは不味い、と慌てふためいてしまった。少々話しすぎてしまったようだ。
「なら、あたしはそろそろ帰るよ。報告もいつもと同じようにしておくし…色々と五月蝿くはしたくないからね」
「助かる…何事も穏便に、ってのが一番だし」
「ただ、見逃せない点を一つだけ…夜更かししないこと。実際もう限界で眠いでしょ」
「ありゃ、バレてた?」
「あれだけ普段と違って熱がこもったように喋っていればね。深夜テンションにも程があるって。次、今日みたいにいつも以上に夜更かしでもしていたら…報告しますので」
「う、うぃっす!」
「じゃあ、またね」
手早く身支度をし、すぐさま出ようとする彼女を慌てて引き止めるために声を上げる。匂い消しをしないまま街中へと行けば、特定材料の一つとしては途轍も無いほどの武器となりかねない。
「ごめん、忘れてた!」
「っぶねぇ!こっちの方が心臓に悪いって。んじゃ、またよろしくね。いつもありがとう愛さん」
「任せなさいっ!いえ、こちらこそ今日もありがとうございました!」
プシュッと鳴り響いたスプレー特有の音と薬品の香りが、部屋に広がっていた事が今では…少しばかり寂しさを感じてしまう。人肌が恋しくなってしまう時でお馴染みな、あの独特とも呼べるようなキュッとした心の締め付けはどうにも慣れない。一人暮らしをしているときに友達を帰らせた後のあの後始末の面倒さと共に味わう虚しさ、とある種近いのかもしれない。
気を紛らわそう…こういう時は身体を動かし、美味い飯を食って、好きな事をして、思う存分に寝る。これが一番ストレスもかかる事が無く、適度に運動する事で身体も健康に保てるという一石二鳥な行いだろうことは、よく理解している。
そういえば、史実に基づいてのレースならば…次は毎日王冠になるのだろうか?高松宮杯が既に撤廃されGⅠ扱いされているともなれば、もう色々と史実通りと呼べない内容になってはいるが、恐らくその分…原作以上に荒れることとなるだろう。天皇賞秋に向けて視界を良くする場にて、相手の手の内を探るにはもってこいなはずだ。或いは天皇賞秋である程度疲労させてから、ジャパンカップに余力を回せるか…これはちと汚いやり方か。
それでも彼女らには通用はしないだろう。特にあの怪物共が黙って高松宮記念を始め、大阪杯やフェブラリーステークス…帝王賞、ヴィクトリアマイル、そしてダートダービー他GⅡを含め、重賞で勝利を挙げてから疲労なんてもので引導を許して明け渡すなど、到底考えられない。そも、今の彼女達に引退の2文字がまず浮かび上がらないだろうし、もし引退しようものなら早すぎる始末。GⅠをゲームみたいに取りすぎている時点で、既に我々観る側の感覚も狂い始めていることに慣れてきたってこともあるのかもしれないが…普通ならシニア級の方々にボコボコにさせるのが常な筈だ。
だというのに怪我すらないって前代未聞すぎる。これがプリティーダービーの力なのか?
まあそれでも…せめて一度でいいから、彼女のように新たに進化した彼女達を生で見てみたいものだ。小さな雷神、狂乱の王女、偉大なるマ王、射程圏内、不撓不屈の帝王、白色彗星、武神に桜姫、そして最強の怪物…戦慄しない者などいない。特にあの芦毛共は抜きに出ている…どいつもこいつも実力で覆す馬鹿に変わりはない。故に彼女らは自らの手と足で、勝利の女神を引き寄せ選ばせてくる。
天上天下唯我独尊…彼女達にしか成せる事ができない崇高な生き方、目的を指す言葉…そして度々圧倒的な強者に対してのみ使われるこの言葉が、どちらの意味で取ってもウマ娘にはよく似合っている。今後出てくるであろう子達でもそれは同じだ。
そんな事を考えていた同じ府中の空の下で、彼女達が精一杯駆け抜けたであろうトレセン学園。そんな憧れや夢が集まる場所は、一体どんな場なのだろうか… 地面の蹴る音とか違うんだろうなぁ、などと思い耽っている同時刻…彼女の匂いは、俺の汗臭い匂いに負けるようにして完全に消えた。
「あ、アイネスさんだ。アイネスさーん、こんばんは!ってなんか物凄い汗だくなんだけど、どうしたの?」
「こんばんはアイネスさん。夜遅くまでバイト、お疲れ様です。検知、恐らくデビュー戦の疲れによるものかと。それにしては…身体的な負荷に比べて精神的に疲労していると推測出来ます。」
「あ、ファルコちゃんにブルボンちゃん!おつおつ〜!いやぁ…やっぱ練習時間が足りないし、少し走り込みしたい気分になっちゃってさ。…そっちは自主練帰り?」
「いえ、今日は逃げ切りシスターズの打ち合わせだったのですが…」
「あっそかそか、ごめん…ふぅ。そうだったね。えっと?確か次の公演をどうするかとか、あとは…グッズ販売に関してだっけ」
「アイネスさんのバイトや今後のレース日程に合わせて、スケジュールもばっちりです!」
「本当?ありがとうなの!…ってレース日程って待って。誰にも教えてないんだけど」
砂の師匠、スマートファルコンを筆頭とし逃げ切りシスターズというアイドルグループ兼、中央の広報担当でもある彼女達は今や有名である。
「レース日程等の事については、担当トレーナーの方に直接お伺いしました。問題無いように後日改めて決定する予定だと伝えたところ…全て上手くいきました」
「意外とそういうところ抜け目がないというか狡賢いよね。それでいて手段が脳筋だからなぁ…スズカちゃんの気持ちがわかった気がするの。ま、まあトレーナーが決めたなら大丈夫なの…かな。ってあれ…その肝心のスズカちゃんはどうしたの?2人で居るってなんだか珍しいね。いつもは3人で居るのに」
「そのスズカさんについて少し気になることが数点…存在します。一度アイネスさんにご相談をした方が良いのでは、とファルコさんと話していた最中で…」
「あたしに?何々?スズカちゃんに何かあったの?」
少し息を含み、声を出そうとする2人…まるで、この世が終わってしまうような…兎に角顔が暗い。
「最近、スズカちゃんの様子が少し変わったんだよね」
「スズカちゃんが…ど、どんな風に?まさか怪我とか⁈」
「いえ、その可能性はありません。ですが…以前に比べて走行練習時間が大幅に減少、並びにスマホやインターネットに依存している傾向にあります。逃げ戦法のデータ収集、自分自身の体調管理などを今まで以上に徹底的に行うようになりました」
一瞬、いや大袈裟に刹那と読んでも良い。聞き間違いであって欲しいと願うほどにインパクトのある内容が、アイネスフウジンの頭を思いっきり殴ったかのように突き抜けた。
「え、何それ天変地異とか…まさか、せ…世界が終わるんじゃ……んん?前半部分は兎も角、後半部分はそれほど問題でもないような気がするんだけど?」
「ええ、流石に大丈夫だとは思いますし…本日行われたウマドルミーティングから見ても、特に問題となる様子は見られませんでした。ただ…」
「スズカちゃんが、走ることしかに興味ないってあのスズカちゃんが!教室や自室でパソコンに映っているデータやスマホを見て、ニヤけ面することがあると思う?担当トレーナーさんとの連絡なら…寂しがり屋だからあり得そうだけど、なんか違うっぽいんだよ!これはもうウマドル…いや、女の勘だよ!」
「女の勘なんて言葉、久々に聞いたの」
「私はそこまで疑問には思ってはいないのですが、以前にも増して筋肉の成長率や、付き方により磨きがかかったように見えたので。逃げ走法に関しても1ヶ月前と違ってより安定しているので…どのような心変わりがあったのか、という点については疑問視しています」
「ちょっと待って、言い方とかこの際目を瞑るとしても、それでも色々と突っ込みたいの。まずスズカちゃんが如何に走りオタクだとしても、スマホを見て笑顔を浮かべることくらいあるんじゃないかな?ほら、デジタルちゃんとかネイチャちゃんとかそんな感じだし…。それと筋肉や走り方とかは、ただ単にトレーナーさんが凄いってだけだと思うんだけれど」
「アイネスさん、甘く見たらダメです…。フクキタルちゃんが言うには『シラオキ様のお告げによると…ある人の導きによってウマ娘の運命そのものが変革されて、しまいにはその人の周囲にまで影響が及んでしまうかもしれないのです!実のところ既に起きているのかもしれません!』…だって!」
「物凄く大雑把なの」
「こういうのはインスピレーションが大事なの!アイネスさんの時だってそうだったし!」
「確かにあたしもウマドルに導かれたとはいえ…フクキタルちゃんの占いは当たることもあるけど…信憑性の有無とか諸々スズカちゃんに関しての事は一度置いておいて…。ウマドルライブとかの予定についてはマルゼン先輩にまだ言ってない感じで良いのかな?」
「一先ずチャットの方に内容の方は送信済みです。マルゼンさんは今、中央のレース環境について議論が立ち尽くしているみたいで、生徒会に緊急と称して招集されています。何しろ人手が足りないとかで…」
「それにマルゼン先輩は一人暮らしだからあんまり学校に長く居座ってさらにウマドルの方もってなると、逆に気遣われるのもあれだからって…あ、後で連絡はして欲しいって言ってたから私たちは問題ないし、マルゼン先輩は凄いから今のところ大丈夫な筈だよ!」
「そっか…マルゼン先輩だし大丈夫か。…あたしも安心しちゃうけど、気は抜かないようにしないとね!」
「うん!ま、まぁ私たちより当分の間…数日間に亘ってたづなさんの胃が精神的にもたないかも…だけど。この前もなんか様子が変だった時があったけど、ドライブとか色々と付き合わされたのかな、なんて…と、兎に角!マルゼン先輩が気付き次第、日程を決めて軽く打ち合わせしてって感じになるかな?」
「ああ…うん。まあたづなさんだしそこも大丈夫だと思いたいけどね。で、スズカちゃんか…。う〜ん…因みにそれっていつからなの?その…ネット依存になった具体的な日時とかってわかっていたりするのかな?」
「わかる範囲のみですが…調子を崩していた、と傍目で判明したのが32日前の午前6時42分12秒です。エアグルーヴさんも心配だったようで声をかけていました。そこから約6日間で調子が戻って普段通りになったと思ったら…どことなく様子が変わった印象を受けた感じです。付け加えるとするなら担当トレーナーさんとの関係性が緩和されたようにも見えました」
「んー…成る程。あたしだったらなるべく刺激をしたくはないから、一度近くで様子を伺った方が無難に思えるの。本当にスズカちゃんがネット依存になっているのか、とか実際に確かめないことには…」
「そうですね。ではプランを考え密着観察といった形で実行に移すのはいかがでしょうか、ファルコンさん」
「いいねブルボンちゃん、それでいこう!よぉし、頑張るぞっ!ありがとう、アイネスさん!」
「ありがとうございます、アイネスさん」
「いや大丈夫だよ、うん…ただ、こんな時くらい脳筋から離れてほしいの。スズカちゃん…お願いだからツッコミしに来てくれないかな。っと、あたしはこっちだから2人とはここでお別れだね」
「そうだね。うぅ…アイネスさんも同じ寮だったら良かったのにぃ」
「あはは、マルゼン先輩を除いたらみんな栗東寮だもんね。あたしはこっちの方が過ごしやすいけど、こういう時はちょびっとだけ寂しく感じちゃうね」
「生徒会に殴り込みしますか?命令さえ与えてくれるのであれば、私は動きますが」
「いや…大丈夫なの。そしてちょっと想像したら笑えるのが悔しいの」
「メカジョークですので。あ、それと唐突ですが…すみませんアイネスさん。個人的に相談したい事がありますので、後日また時間がある時にお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「え?あぁ、うん。大丈夫大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい!」
「ごめんねブルボンちゃん。私じゃあ力不足で…」
「聞いていただけただけでも嬉しく思います。おかげで気が楽になりましたから…」
「あー…結構深刻なのかな。今からでも相談に乗ろっか?」
「いえ、夜も遅くなるので今日はこの辺で」
「そっか」
「じゃあまた連絡するねっ!おやすみ〜!」
「うん、おやすみ!」
「はい、おやすみなさい」
2人の背中を見守ってから、彼女は帰路へと向かう。サワサワと夏にしては涼しい風が過ぎ去って、身体を心地よく冷やしてくれる。
「…ふぅ」
ツッコミ要員がもう少し欲しいの…その願いは奇しくも叶わずにいた。マックイーン伝説の野球観戦や、ライアンの少女漫画が意外と過激だった時並に叫びたい気分であった。
少し歩いた後、漸く着いた自室に胸を撫でるようにして、ホッと息を入れる。その瞬間、気が抜けたように肩に入っていた力が解放されて、倒れ込む勢いで扉を開けた。
「あ〜バイトぢがれだぁああああ」
「おかえり〜、アイネス」
「アイネスさんおかえりなさい」
「ただいまあぁぁ、ライアンちゃんにアルダンさ…アルダン先輩⁉︎」
「こんばんは。少しお邪魔をしてます」
「い、いえ。お、お恥ずかしいところをお見せしてこちらこそ申し訳ないと言いますか、何と言いますか…。そ、そうそう!アルダンさん、今日はどうされたんですか?今は夏合宿に行っているんじゃ…」
「ここ数日帰省する予定がありまして、ここ1週間はこちらでトレーニングを…それと実は今日、ライアンに併せ練習も付き合っていただいたので、そのお礼としてこうしてお夕食を作ったのです」
「でもこれ、2人分にしては量が多いような…」
「その…アイネスさんとも一度お話ししてみたかったのですが、中々機会も無かったので…余計なお世話でなければご一緒にいかがです?」
「良いんですか?ぜ、是非!実はお腹がペコペコで…助かります」
「んー…だからといってこの夏に鍋はどうかと思うんだけど。アルダンさんといえど…流石に部屋が熱いよ」
「その…オグリキャップさん達とよくお鍋をする機会が多かったのでつい…栄養素もバランス良く取れますし、水入らずで話が出来ますので。何より楽ですよ、楽!まさに料理の革命です!」
「あぁ…食事療法の悪い癖が出たよ。なんだろう…この実家の姉感は。先輩方もそうだけど時々抜けているんだよなぁ」
「オグリさん達もそうだけど…アルダンさんも意外とマイペースなの?…にしても凄いというか少し羨ましいなぁ…アルダンさんと併走トレーニングが出来るなんて」
「偶々だよ、偶々。一応聞いたからね?あたしが併せして良いんですかって」
「勿論です。それで…もしよろしければアイネスさんとも併せをお願いしたい、と思っていまして…勿論、これもご迷惑でなければでよろしいのですが」
「へ?い、良いんですか?」
「はい!…ですが、併せの日程は数日…大体2〜3日経った後で宜しいですか?」
「何か都合が悪い日があったり、とかですか?あたしは大丈夫ですけど…」
「いえ…もしかしなくてもですけど、アイネスさん…あなた、腰を少し痛めておいでで?」
「うぇっ⁈」
「そうなの?アイネス、そんな状態でバイト行ったの?」
「あっははは…まあ、この前のレースでちょっと…ちょっとね、ドジしちゃって…。」
「…体調管理や調整に関して五月蝿い人でしたら、その場で喝が入っていましたよ?」
「いや、ホント…何も言い返せません。はい。…それよりも食べません?」
「…誤魔化した?まあ、遅くなると益々栄養効率が〜って話になりそうだし、食べよ食べよ!」
「そうですね。その身体に対する意識の低さは食べながら注意をするとして…まずはお鍋を楽しみましょうか」
「あ、アルダンさん?そ、それは流石にそれはキツいと言いますか…」
「「いただきます!」」
「あたし、多分学園内で一番メジロ家に振り回されっぱなしなの…こうなりゃヤケ!もうヤケ!いただきますっ‼︎」
「…ふふっ」
『逃げを展開している時、どのタイミングで後ろとの駆け引きを成立させたり、調整を測ったほうが良いのでしょうか。』
『こればっかりは自信は無いです。それでもよろしいでしょうか?』
『大丈夫ですよ。』
『では、お言葉に甘えて…とあるカンフー映画で気配を読み取る訓練をしている描写シーンがありまして、それを上手く活用出来たら楽しくなりそうだな、と。
後ろの気配を振り返りながら確認するとその分だけ、集中力が途切れたりしてロスに繋がりかねないので…。と、ドヤ顔で言いたいところなのですが。』
『あれ、まさか私のトレーナーさんの真似事…?』
『はい。これに関していえば仰る通り、完全にあなたのトレーナーさんの真似事です。ちょびっとその才能が悔しかったので…。
それと、実際やろうとすると時速60kmを超えていたりするのが中央クオリティですのでこれに色々な意味で耐え切れるか…例えば、メンコを被らないと集中出来ない人や飛び散る砂が嫌いな人、耳が敏感な人だとほぼ確実に逆効果なので個人的に調整していくしかないですね。
手っ取り早いのはある決められた地点で視野を広く保ち、上手く確認するように癖を付ける事などが挙げられるでしょうが…すみません。レース場の違いなどもありますし私自身、あなたの視野範囲を知らないのに加えて、敢えて視野を広く取らない方が走りやすいという人も居るので…こればっかりは正直お力になれないかも。』
『でも、なんかそれっぽいですね… 道具とか工夫したりしてみると面白そうかも。参考がてら相談しつつやってみます。』
『え…いや、本当にこればっかりは確証が無いので無理はしないように。』
『ありがとうございます!では、おやすみなさい。』
『おやすみなさい。暑さが続きますからくれぐれも体調には気をつけて。』
『はい!』
今日も無事、1日が終わろうとしていた頃…パソコンを閉じ、スマホに映っていた記事を閉じて、夢の中へと向かう途中のことである。眠気を遮ってきた一通の通知音に意識を奪われ、その音に驚きながらも画面を覗く。
『6.23.2(8.3(1.35.22.28.3(1.37.26.3(21.21540.27.54.3(4.53.29.241.25.54.4(47.43.25.25.26.50.33.2(0.35.2103.4410.32.5(1.30.24.324.3(4.46.31(0.43.34.52.50.342.34.50.21.52.5503.44.41.244(2.273.24
6.50.3124.4(1.52.34.3(4.43.271.34.56.2(4.3(2.39.23.24.43.271.327.53.29.451.25.54.4(2.55.514.52.59.44.566.4(4.35.27.51.36.24.54.35.5121.30.34.54.4(6.31.5(9.50.43.273.3
7.53.210.32.5(1.32(4.52.449043.23.2(3.20.34.54.47.51.39.43.21.24.4(3.3
682.3682.31.24.3(3.28.3(5.21.54.5(9.273.28.3(1.3-』
「長っ…なんだこれ。まあいいや…寝るか」
眠気には勝てなかった。
調子に乗って僕はこのまま握手しても良いんだけど、照れるなよ…こっちまで恥ずかしくなる、とあべこべ世界で言ったとしてさらにまだまだぁ!と追い討ちをかけるように大きな声で
「ひょえぇぇぇ……はぁ…はぁ…お、推しが、ウマ娘ちゃんがいりゅううう!はうっしゅき…。みんなが幸せでありますように、幸あれ!!!!!!!!!」
なとど叫んだ挙句、
「失礼だな、純愛だよ。」
と言ってみてください。
雨は土砂降り、雲は暑く、虹はかからず、三女神様が笑うだけです。もし彼女達が心の準備をしてない時に接近した場合、何だ…わからぬわからねば状態になって彼女達が最強の領域展開【うまぴょい】をしてきます。
さらにプリティーダービー自体が中央メインなのでインフレが凄まじいです。地方で覚醒前の禪院真希が大勢居て、エリートによるエリートの為の中央には五条悟が約数千人以上ゴロゴロいる状況下にて1人で戦ってみて、と捉えてもらって構いません。
因みに、日本国内だけでこの規模です。