どうして俺が鬱ゲー世界にTS転生して幼馴染ポジションになってるんですか?   作:雪谷探花

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<フェイス残数25。情報共有開始します>

「了解。殲滅する」

 

 鋭く踏み込み横薙ぎの一閃。身動き一つ取れずフェイスが切り裂かれる。

 

<残22>

 

 分析タイプのラキュターが持つ能力の一つとして、知覚の共有がある。

 共有した対象を端末とし、情報を取得することができる。

 

 今まさに駆け出さんとする二体の狼型の一体を切断し、その勢いでもう一体の前足を切り飛ばし転ばせる。

 剣を引き寄せ突きを放ち奥の鳥型を始末する。

 

<20>

 

 分析タイプは五感の内適性があるものを拡張し情報を取得、処理した上で一定範囲内にいる仲間と共有できる。

 

 低く速く跳ぶ。途中で前足を失い倒れた狼型に刃を当てる。

 

<19>

 

 葦野(あしの)孝也(たかや)が持つ適正は5つ。五感全てを用いた分析を行える可能性があった。

 

 体をひねりながら左足で着地しそのまま回転、刃がきらめく。

 

<14>

 

 一つの感覚を拡張しただけでもその負担は強烈なものになる。普段意識する事すらできない微細な情報を明確に把握する。それも広範囲で。共有する人数が増えるとその分の負担は共有を担保する分析タイプが負う。

 

 走り出し刃を突き出すと狼型に刺さる。素早く抜き蹴り飛ばす。熊型に当たり後ろにいた狼型を巻き込んで吹き飛ぶ。

 

<13>

 

 だが葦野は拡張された五感のすべてを掌握した。

 

 剣を逆手に持ち替え振り返る事なく背中越しに刺す。そこから走り体勢を崩した熊型を駆け上がりながら狼型もろとも両断する。

 

<10>

 

 そして得たのが超高精度な未来予測。極めて精密な情報解析は未来を視せる。そして未来視もまた、共有される。

 

 熊型を足場にして飛び上がると壁に着地し剣を脇に構えた。壁を蹴り鳥型を切り裂きながら突進する。狼型の集団の前に飛び込み正確無比に貫いていく。

 

<2>

 

 それで終わりではない。未来は揺れ動く、一歩進めば、剣を一振りすれば大きく変わってしまう。だから共に視る。一歩の先を、一振りの先を。選択の先に編み出される未来への道を。

 

 新型が突き刺そうと伸ばした腕をすくい上げるようにして斬り、距離を詰めると頭部を半分にする。

 

<1>

 

 守るべき二人の前まで歩いていく。

 

 深狭霧(みさぎり)は視ていた。停止したと錯覚するほどの密度の時間。その中で葦野が指し示す道。瞬間瞬間の判断では得られない最適化された行動。全てが数値化されていた。フェイスの力も、自らの一振りさえも、どれだけの力を振るえばフェイスを仕留められるかも。

 しかし、ただ委ね、乗りさえすれば運ばれる道ではない。全力で駆けなければ道は細り、絶える。

 深狭霧は自身に宿る力がトワイライト・ラインの向こう側へ行くことを望んでいるのに勘付いていた。そこに待ち受けるものに打ち勝てはしないという事にも。だが、葦野の存在によって考えを改めた。

 そして実戦を経た今、確信を得た。葦野の意思が明確なビジョンとして共有された。

 

「終わりだ」

 

 地面に剣を突き立てた。不快な悲鳴が上がる。

 

<0>

 

 勝利。それが葦野が視る未来の名だ。

 

 

*

 

 

 何かやべえ事になってんなと思ったら終わってた。

 深狭霧さん大活躍って感じだったんだろうな。

 できれば観客席とかで見たかった。

 何してたか全然わからん。

 でももう体は治ったしお礼ぐらい言っとかないとな。

 

「つかさ、まだ動いたら」

「お礼だけ、言わせてください。……深狭霧さん」

 

 振り返った深狭霧さんは息一つ乱れていない。

 物凄く動き回る音してたけどまだまだ余力ありそうだ。

 

「助かりました。ありがとうございます」

「ああ。礼は受け取っておく。無理に動くな」

「もう大丈夫ですよ」

 

 どちらかというと叶夢(かなめ)さんにがっちりつかまれて動きづらいぐらい。ちょっと痛い。

 離してもらえません? ダメ?

 さっきからこう、言いたいことあるけど言葉選びまくって言えないみたいな感じになってる。

 正直めっちゃ気になる。

 どうにかなってんの俺。服は、まあちょっと汚れたり破けたりしてるけど。破れ具合がダメージでお色気脱衣するゲームみたいになりかけてるけど。そういう感じでもないしな。

 俺がザコすぎて次なんかあったら死ぬわ、とかかな。確かに痛感したわ。でもあれイレギュラーすぎない? これから毎日あんなとかは流石にないよね? 俺がどうこう以前に基地が穴だらけになるぞ。

 もっとも、すぐ対策練るだろうしそうすりゃ俺が巻き込まれる事もそうないだろ。

 戦闘に関しては隠れるぐらいしかできんぞ俺は。

 変に動いて標的にでもなったら足引っ張るどころじゃねえしな。

 まあ賢い人も強い人もいっぱいいるし大丈夫だろ。

 孝也も頑張ってるみたいだしな。

 ゲームのあれにどれくらい近いんだろ。

 孝也のプリテーションの効果で戦闘中の画面の数字とかキャラにも見える設定だったからな。

 初見の時、攻撃したら数字出てきたんですけど! とか驚かれて俺も驚いたわ。それ見えんの!? ってなったからな。

 移動キャンセルして元の場所に戻るとかダメージ予測とか敵味方のステータスチェックも全部孝也のプリテーション扱いだったからな。

 現実だとどんな感じなのか俺も体験してみたいわ。

 無理だけどな。

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