※注意※
この短編には現在連載中の小説、虹×夢カラフルデイズのキャラクターが登場します。未読の方はこちらを読むことを推奨します。
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「お邪魔します」
「待ってたわ、
とある日曜日。俺は虹ヶ咲学園の寮に足を運び、果林さんの部屋へ入った。
事の発端はこの前行われた定期テスト。テストが終わって部活、同好会活動自粛期間が終わって皆嬉しそうに部室に来てた中、何故か果林さんだけ浮かない顔をしていた。何事かと思って果林さんに何があったか聞いてみると、『テストの点数が悪かった』と一言そう言われた。
まぁ元々勉強が苦手なのは知ってたし、どんなもんなのか答案用紙を見せてもらったら衝撃を受けたよね。いやマジかよと。これ、かすみとどっこいもしくはかすみより低いんじゃねぇかと。このあまりにも低い点数の数々に危機感を感じた俺は果林さんに勉強しようと提案して今に至る。
正直高3の段階で1桁やギリ2桁の点数だらけなのはさすがにいただけん。テストの点は絶対進路にも関わってくるだろうし、勉強教えるに越したことはないだろうと判断した。読モや同好会の活動で忙しいのは百も承知だが、勉強と両立できてないなら話が違ってくるからな。
「んじゃ早速始めるぞ、果林さん」
「……やっぱり勉強じゃなくて楽しいコトしない?」
「だーめーだ。今日は遊びに来たんじゃねぇんだぞ?」
「真面目ねぇ……」
やっぱ勉強が絡むとすこぶるテンション低くなるなこの人。普段の果林さんとは大違いだな……そんなに勉強嫌いなのか……?
「勉強嫌なのはわかるけど、いつまでもやらないとどうにもならんだろ。果林さんの進路にもいくらか関係してくる訳だしさ」
「紡がそう言うなら……」
なんとか分かってもらえたようで、俺は部屋の床に腰を下ろし、勉強道具をカバンから引っ張り出した。
数時間後、一通り果林さんに分からないと言われた箇所を教え、今日の勉強はこれで終わりということになった。最初は露骨に嫌そうな顔しながら聞いてたけど、問題を解くうちに楽しくなってきたのか、だんだん積極的に勉強するようになってくれてこっちとしては非常に助かった。
「ありがとうね紡。ホント、いつも面倒かけたり助けてもらってばかりで頭が上がらないわ」
「全然。気にすんな。人に何か教えたことあんま無かったし、こっちも良い機会だったわ」
かすみにちょろっと教えたことがあるくらいで、人に物教えた経験なんて全然無いに等しいんだよな。だから分かりやすく教えれるように工夫したりしたんだけど、上手くいって良かった。
「気分転換にカフェにでも行かない? 私が奢るわよ」
「気持ちはありがてぇけどさ……まずその前にやりたいことがある」
「なにかしら?」
「部屋片付けようぜ。ゴチャゴチャしすぎてて俺けっこう気ぃ散ってたから」
初めて果林さんの部屋に入ったんだけど……『マジで汚ねぇ』の一言に尽きる。なんだろう……なんというかこう、全体的に汚ねぇよな。床には紙とか教科書が散らばってて、ベッドの上には開きっぱなしの雑誌やポーチから溢れた化粧道具。机は勉強する気0と言わんばかりに色んな物で溢れかえってる。
「えぇ? これでも一応整理した方なのよ? せっかく紡が来るんだし、片付けておこうかなって」
「嘘だろ!? 整理してこのザマ!? 整理する前どんだけ汚かったんだよこの部屋!! 寮母さん泣くよこれ!!」
いやいやいやいや。冗談抜きで本気でヤバい。早急になんとかしねぇと。
「いくらでも片付け手伝うから、綺麗にしようぜ? な?」
「几帳面なところも繋譲りね……」
「姉さんはもっとだぞ。ってか普通だ普通。むしろ果林さんが気にしなさすぎるんだよ……」
よくこの状態の部屋で普段生活できてるよな。もし俺がこんなに部屋散らかしてたら繋になんて言われるか分かったもんじゃねぇよ。想像するだけで恐ろしい。
ってな訳で俺と果林さんでせっせと部屋の整理をしている。教科書は元々の本棚に戻して、プリント類はクリアファイルに挟んで1箇所に纏めておく。雑誌とかも収納棚にしまって歩けるスペースを確保。……うん。我ながらきちんと整理できてる、と思う。
「ふぅ。大体こんなも……ん?」
額を拭って一息ついたのも束の間、ベッドの下に何かが落ちているのが見えた。うそん……全然気付かなかった。多分床の物片付けたから見えるようになったんだろう。まぁ多分雑誌かプリントだろうと思って落ちている物をスッと引っ張り出した途端、俺は思わず目を見開いた。
「ッ!?」
「あら、これ……この前買った下着じゃない。こんなところにあったのね。ありがと紡」
「そんなモン普通に床に置いておくなやもうっ! しまってすぐ!!」
俺が手に取ったのは女性用の紺色の下着。タグが付いてたからおそらく身に付けてはないんだろうけど……にしてもだわ。あまりにも無防備が過ぎる。一応俺も年頃の男性だってことを理解してくれ頼むから……心臓止まるかと思った……。
「ってか、男に自分の下着見られても動じねぇのな……あ、新品だからか」
「紡に下着くらい見られてもどうってことないわよ。もしかして……使用済みの方が良かった?」
「ンな訳あるかい!! バカか!? バカなのかアンタ!? 最早怖いよ!!」
「あらあら耳まで真っ赤にしちゃって。相変わらずウブで可愛いわねぇ」
「もうほっといてくれぇぇぇぇっ!!」
そりゃ誰でもそうなりますよ!! いきなりそんなモン触れれば誰しも頬熱くなるわ!! マジで勘弁して……果林さんどっか抜けてるとこあるなとは感じてたけどまさかこれ程だったとは……恐れ入った。普段はエマさんが色々果林さんの身の周りの手伝いしてるって聞いてたからエマさんの凄さを思い知る。やっぱすげぇわあの人。俺ではとても追い付ける気がしねぇ……。
「カフェ行く予定だったのに片付けだけでめっちゃくちゃ疲れた……」
「ごめんなさい。私がちゃんとしてない所為で……」
「いや、果林さんは気にすんな。元々そういう人って知った上だ。今更だよ」
「でも、こういうところを見せれるのは紡やエマくらいだわ」
「え?」
「誰に対してもそうだと思う? そもそも私、誰かに部屋を見られるのはあまり好きじゃないの。きっと……幻滅するだろうし」
やっぱ果林さん、自分を見せる相手は選ぶタイプなんだな。まぁ、読モやスクールアイドルやってる時とは全然違うからギャップがすごいことは確かだけど……。
「俺は幻滅しなかったぞ? というか、ちょっとくらいそういう面があっても良いんじゃね? 完璧な奴なんていないんだから」
「紡……」
「一応言っとくけど、果林さんのこと『面倒』だなんて思ったことは1度も無ぇよ。果林さんの力になりたいからやってるんだ」
面倒かけて……とか本人は言うけど、ンなこと思ったのは1度たりとも無い。果林さんには日頃から世話になってるし、困った時や悩んだ時は相談に乗ってくれて励ましてくれる。だから俺も果林さんが悩んでる時とか力になりたい。尊敬する先輩でもあるからな。
「あの時から、ちっともブレてないわね。紡の生き方」
「俺は
何も大それたことじゃない。自分の意思は最後まで貫き通す。皆が教えてくれたことだ。俺が俺として、皆の役に立つ。そうと決めたら一直線に真っ直ぐそれをやる。それが俺のモットーだから。
「そんな紡が、私は大好きよ」
「はいはい。可愛がり甲斐のある後輩としての好きだろ?」
「じゃあ……これならどうかしら?」
「んあ……んッ!?」
突如、唇に柔らかい感触が伝わる。果林さんの指が俺の肩に優しく食い込んでくる。数秒経った後、ゆっくり手と顔を離し、果林さんは舌なめずりをした。
「……おかえし」
「なっ……か、果林さん!? 急に何すんの!?」
果林さんが今俺にした行為……それをしたってことはつまり……?
「紡……私と楽しいコト、しましょ?」
先程と同じ言葉を、普段の果林さんが絶対見せない表情、仕草で俺にそう提案してきた。不意を突かれたその言葉に、俺はただたじろぐことしか出来なかった。
どうか振り向いてほしくて