「ギャラルホルンが、協力を要請してきた?」
オルガが聞いた言葉を思わず繰り返したのは、その内容があまりにも現実離れしていたからだ。
それに首肯を返したのはメリビット。
「はい。火星の主だった土地の所有者……特に、近年見つかったハーフメタル採掘場の権利者に声をかけているようです」
「ハーフメタル……利権に口出してがめろうってのか?」
敵対したことによる猜疑心もあるが、実際にやりかねないのがギャラルホルンという組織だった。
顔を顰めるオルガだったが、メリビットの顔に浮かぶのは困惑。
「いえ……それが、火星全土での調査を行うらしく、その円滑な実施のための協力要請であり、権利を侵すものではない……と明文化されています」
「……一応、親父にも報告は入れとくか」
「それがよろしいかと」
受け入れるにせよ断るにせよ、テイワズのしのぎという名目上、鉄華団だけで判断するのは危ういだろう。二年前にベルティーナが言っていた手順の大事さは、経営に深く関わってみてよくわかった。
そう考えて通信を繋げたオルガは、マクマードの口によって再び驚くことになった。
「……ベルティーナが、ですか?」
『ああ。火星支部どころかギャラルホルンのアリアンロッドが出張るらしくてなぁ、あっちの司令に話を聞いたら、2B……ベルティーナ・ビアンコに講和の条件として提示されたとぬかしやがった』
「講和って……」
呆れるようなオルガの声に被せて、呵々とした笑い声が聞こえてくる。
『あの嬢ちゃん、一人でアリアンロッドの部隊を相手取って蹂躙したらしい。……それをウチの人間が唆したってのが笑えねえがな』
「テイワズの?」
『ああ。まぁそれはいい。奴さんが言うには、火星にMAが埋まってるだろうって話だ』
「モビルアーマー……ですか?」
それなりに知識を蓄えてきたつもりだったが、聞いた覚えのない言葉にオルガは復唱する。
『厄祭戦の元凶。人類を四分の一まで減らした殺戮兵器ってやつだ』
「……それが、火星に?」
『それを調べるのが目的ってぇわけだ』
「なら、協力した方がよさそうですね」
『ああ。それとベルティーナに連絡はとれるか?』
「いえ。ということは、親父も……?」
『海賊狩りを始めてからしばらくして、な』
マクマードの言葉に含まれていた感情は、単純な寂寥。
直系組織でもなければ傘下でもない組織の人間に向けるにしては親密さが感じられて、組織の人間であれば嫉妬の一つも抱きそうなところだが、オルガにそういった感情はない。
ただ、彼としてもヒューマンデブリの解放と保護、クーデリアの活動への協力など、言いたいことは山ほどある。
仕事を回してくるのはありがたい面もあるが、私信一つ寄こさないことも含め、思うところはいくらでもあった。
『冗談めかして言ってたらしいが、MAを倒すために自分はいる、と言ったそうだ。何か聞いてるか』
「……いえ」
こちらや世界情勢にはやたら詳しく、要所要所でべらべらと喋るくせに、自分のことは中々話さない。
そこに抱くのは不信感ではなく、頼られない、力になれない侘しさ。
……結局、親父と自身の抱く感情は似たようなものなのだろう。
「あいつにゃあ言いたいことが色々あるんです。次に会ったら、捕まえてふん縛っておきますよ」
それから二、三話をして通信を切ったオルガは、主要メンバーを集めて先頃決まったことを伝えた。
その次に話すのは、ギャラルホルンと面会するためアーレスに行くメンバーと、その留守中を任せる人員の選定だ。
「アーレスには俺とビスケット、護衛にミカで行くつもりだ。その間はユージンが――」
「失礼します、団長」
「なんだ。会議中だぞ」
「その、……ベル姉ちゃんが来てて」
「確保だミカぁ!!」
三日月が部屋を飛び出してから、数分後。
「なんで銃突きつけられてるの……?」
ホールドアップの状態で、ベルティーナが姿を見せる。
「よくやったミカ」
「うん」
「うんじゃないから」
銃を突き付けられている状況で談笑できるのは、撃たれないと確信しているからか、それとも、撃たれても問題ないと考えているからか。
「……で? こっちはお前に言いたいことが山ほどあるんだ。用件があるなら先に聞く」
改めて席に座り、オルガが話しを振ると、ベルティーナは何の気なしに口を開いた。
「ギャラルホルンから聞いてるかもしれないけど、近々、火星全土で発掘調査を行うことになった」
「聞いてる。MAだったな?」
「そう。断片的にだけど、得られた厄祭戦の情報を照合すると、鉄華団、及びテイワズが発掘権を所有する土地に埋まっている可能性がある」
はっきりと告げられた内容に鉄華団の面々は驚くが、そこに緊迫感や恐怖心はない。
それを自覚しているのか、オルガは訊ねた。
「そのMAってのは、なんなんだ?」
厄祭戦後、ギャラルホルンによって無人兵器の廃絶と機械化技術をタブー視する風潮が築かれ、300年という月日が流れたことで、人々の記憶からMAの名前は消え去ることとなった。
そのため、口伝で曖昧に伝わるなどはしているものの、真実を知る者は限りなく少ない。
正しい判断を執るには、正しい情報が肝要。
ベルティーナは厄祭戦とMAの情報を、彼らに開示した。
エイハブ・リアクターの開発は、機械の自動化を推し進めた機械化思想による、戦争の無人化と効率化を促進させた。
だが、その引き金を引く痛みを伴わない兵器がもたらしたのは、報復に次ぐ報復という憎悪の悪循環。
その果てに人類は、最悪の無人兵器を開発するに至る。
それが、自己増殖と自己修復を持つ、ただ人を殺すための大型無人兵器……MAだった。
どこか一つではなく、複数の陣営によって投入されたMA群は、殺戮の限りを尽くして尚立ち止まることはなく、その命に従って殺戮を続けた。
結果、人と人との利権争いだったはずの戦争は、いつしか人とMAの生存をかけた戦争へと変貌。
それほどまでに、MAは強大で、圧倒的な兵器だった。
人々が自ら生み出した業に膝をつく中で、立ち上がり、尚も立ち向かおうとする者たちが現れる。
それこそ、思想・国家の枠組みを超えて結成されたギャラルホルンの前身となる組織、イザヴェルである。
組織の長であるアグニカ・カイエルは、自身に阿頼耶識の施術を行い、彼の父によって開発されたMAを倒すためのMS……ガンダムフレームに搭乗。
そこから、人間の反撃が始まった。
しかし、人類の英知と命を擲つ覚悟をもってしても犠牲は多く、戦争が終結する頃、人類は四分の一にまでその数を減らすこととなる。
「MAがヤバい兵器だったってのはわかった……んで、結局MAを相手にするってのはどんだけヤバいんだ?」
歴史の授業より目先の問題で、数字や結果だけで言われても実感がわかない。
そう言いたげなユージンに、ベルティーナは少し思案してから告げる。
それは戦闘力ではなく、戦闘するために用意できる戦力の話。
「戦う以前の問題として、ガンダムフレームを戦闘に出せない」
「は? モビルアーマーを倒すために作られたんだろ?」
対MAとして運用されていたガンダムフレームが通常のモビルスーツとして運用されているように、過去と現在では事情が異なる点があった。
「まず、ガンダムフレームはMAに接近すると、全力を出すためにリミッターを解除する。反対に、阿頼耶識システムはパイロットへの過剰な情報の流入を抑えるためにリミッターをかけてるから、それを制限する。結果、その二つが競合……ぶつかり合うことでエラーが生じ、パイロットが意識不明になるか、機体がまともに動かなくなる」
「そんな……」
強敵を相手にするというのに、三日月や昭弘という主力中の主力が使えなくなるというのは致命的だ。
悲観的になるビスケットと、考え込む風のオルガを一瞥し、三日月が口を開く。
「どうにもできないの?」
「阿頼耶識システム側のリミッターを外せば戦える」
「でも、それじゃあ……」
ビスケットの脳裏を過ったのは、かつてダンテが三日月にバルバトスを運ぶため、機体に乗り込んだ時のこと。
その時は、バルバトスから流れ込む情報に耐えられず、ダンテは鼻血と泡を吹いて気絶した。
その情報量に耐えられる三日月だが、今以上の情報が流れ込めばどうなってしまうのか。
そんな彼の不安を肯定するように、ベルティーナは続ける。
「その場合、阿頼耶識の接続を切ったときに最悪動けなくなるか、良くて身体の半分が動かなくなる……そんなところかな」
「それでもいいよ」
倒せるなら。
そう続けようとした三日月の言葉を、遮る声があった。
「駄目だ」
「オルガ……」
「いいか、ミカ。俺たちは『死んでもいいから前に進む』んじゃねえ。『死なねえために前に進む』んだ」
「それでも、必要になったら俺はやるよ」
進む先を塞ぐものは全て排除する。それが、オルガに命をもらった自分が、オルガや鉄華団のためにできることだから。
まっすぐ見据える瞳に、その意思の固さを改めて認めたオルガは、一度目を閉じて息を吐く。
「……ミカ。いや、ミカだけじゃねえ。お前らも聞いてくれ」
オルガはずっと考えていたことがあった。
かつてベルティーナに言われて、マクマードや名瀬、ビスケットと話してようやく意識し、固まった彼の目標。
「俺たちは、俺たちみてえなのが安心して暮らせる場所に行けるまで前に進む。そう言ってきたし、それは今も変わらねえ。でもな……それは目標なんかじゃなかった」
それはただの指針。
「最短、最速で行っても、大勢の屍の上で家族(俺ら)の誰かが俯いてたんじゃあ意味がねえ。……俺は、笑っていたいんだ。俺たちが行き着いた場所で、皆でバカやって、バカみてえに笑っていられる場所。そこに辿り着く」
――それが、俺の目指す鉄華団だ。
オルガの言葉に、否定も肯定もなかった。
ただ彼に向けられた視線が、そこに宿る感情をはっきりと示していた。
「それに、だ。そんなことを言うからには、解決策もあるんだろ? ベルティーナさんよ」
「……リミッターを外せば勝てるかもしれない。けど、それも絶対ではないし、安全な有効手段はないと思って構わない」
「じゃあどうしろってんだよ」
急かすユージンに苦笑を返してから、ベルティーナは続けた。
「ここまでで理解してもらえたと思うけど、まず優先するべきなのは、MAを起こさないこと」
「……そうか。埋まってるっていうなら、壊れてるか、休眠状態ってことですもんね」
「そう。休眠状態であっても、エイハブ・リアクターを近づけさえしなければ起動しないから、その点には十分留意して」
「わかりました」
強く首肯するビスケットに対して、オルガの反応は鈍い。
その内心を察したわけではないだろうが、それまで口を挟まずにいたメリビットが、堪らずといったふうに訊ねていた。
「万が一、起動させてしまった場合は……?」
「その時は私が出る」
あまりに平然とした答えに、誰もが反応に窮しているのを見遣って、彼女は苦笑する。
「私は、そのためにいるようなものだから」
その声音や態度はこれまでと変わらない。
だからこそ、その平静さが異質に映る。
当人としては、ここまで介入してきた以上、三日月に無理をさせるくらいなら自分が出た方がいいに決まっている、と考えただけである。
「ああ、もっと大事なことを忘れるところだった」
「ま、まだ何かあるのかよ!?」
MA以上に厄介なことがあるのか?
ほぼ全員がそう思い、思わず悲鳴じみた声を上げてしまったユージンを誰も攻められないだろう。
肯定しながらベルティーナが取り出したのは、情報端末タブレット。
「以前伝えた、サヴァランの意思が固まった。だから、出向扱いから移籍への書類にサインを」
「そっち!?」
「そりゃあ大事な話だがよ……」
どんな恐ろしい話を聞かされるのかと思ったら……。
思わず脱力しながらタブレットを受け取り、メリビットもまた鉄華団の書類が表示されたタブレットをベルティーナに渡してサインを交わす。
「よかったな、ビスケット」
「うん……! ベルティーナさん、本当にありがとうございました!」
「私は失意中の彼を攫っただけ。そう言えば、団長はアーブラウ防衛軍発足式典の件は聞いた?」
「ああ。チャドから報告が来てる。それが終わり次第、地球支部は畳んで、地球に残りてぇって奴以外は火星に呼び戻すつもりだ」
元々鉄華団地球支部は、アーブラウの代表に返り咲いた蒔苗氏に請われる形で、防衛軍の軍事顧問を務めるために開設したもの。
テイワズのような巨大組織であれば、そのまま地球での活動拠点としたかもしれないが、鉄華団が火星と地球で手広く活動するには荷が勝ちすぎる、というのがビスケットたちと話し合って出した結論だった。
「なんだ、ベルティーナもその式典に出んのか?」
「見てみたいとは思うけど、調査の時期に離れるわけにもいかない」
「そりゃそうか」
ではなぜその話題を。
兄もいる地球支部の話なだけに、そう訊ねようとしたビスケットに先んじて、ベルティーナは口を開く。
「知っての通り、今のギャラルホルンは権威が失墜している状態。そして、この機に四つの経済圏は、ギャラルホルンに依存しない防衛力の獲得に動いている」
それはつまり、反政府組織や非合法組織、他の経済圏への防衛力であり、逆に言えば、それらに対して攻勢をかけられることを示している。
それを危惧する者がいるとしたら。
「……どっかのバカが仕掛けてくるってことか?」
「アーブラウと北アメリカ大陸で接するSAUがきな臭い。SAUそのものが仕掛けなくても、そこに見せかけてテロ活動を行うことで緊張状態が高まって……最悪、武力衝突になるかもしれない」
原作では、火星に手を伸ばそうとするマクギリスの足を引っ張るため、ラスタルが傭兵ガラン・モッサを用いてアーブラウとSAUを武力衝突に誘導。
両者の均衡を保つことで戦争を長期化し、マクギリスを地球に釘付けにしながらその解決能力の不足を突く、という策に出た。
だが、地球外縁軌道統制統合艦隊の司令は依然としてカルタ・イシューであり、ラスタルが策を講じる理由はない。
加えて、鉄華団地球支部にテイワズから出向しているのはラディーチェではなくアルベロという人物で、サヴァランやクランク、アインという人員もいることで、支部の雰囲気、アーブラウ防衛軍との関係も良好になっている。
原作と同じことにはならないだろうが、似たようなことが起きて、戦争に巻き込まれても不思議ではない。
それが、鉄華団と彼らを含む世界の情勢だった。
「それを支部の連中には?」
「直接ではないけど、主だった人員にはサヴァランを通じて伝えてもらってる」
「そうか……、まぁあいつらなら下手なことにはならねぇだろうが……」
「俺も行っとこうか?」
オルガに声をかけたのは、万が一MAが起動しても、バルバトスが使えないと言われた三日月だ。
有名税とでもいうのか、何かとちょっかいをかけられている鉄華団だが、保護したヒューマンデブリの輸送ついでにベルティーナから流されるエイハブ・リアクター、そしてテイワズから格安で優先配備されている獅電があれば、余程の事でもない限り問題はないだろう。
むしろ、本当にMAが見つかり、起動して最悪な状況に陥った場合、三日月はリミッターを外してバルバトスで参戦しかねない。
そうならないよう、地球に援軍として回しておいた方が得策か。
思案するオルガが決断する前に、声を上げたのはメリビットだった。
「団長さん、クーデリアさんから通信です」
「お嬢さんから?」
鉄華団にとってクーデリアは身内のようなものだが、さすがに用件を聞く前に全員に聞かせていいものか判断できず、オルガはクーデリアとの通信のために移動する。
「何の用かわかる?」
当人に探る意図があるかどうかは定かではないが、三日月に問われたベルティーナはちらとオルガに顔を向け、その意図を読んだらしい彼に小さく首肯を返されたことで返答する。
「月末に予定されているハーフメタル採掘現場の視察に際し、アリウム・ギョウジャンが何らかの妨害行為を行うかもしれない……っていう話だと思う」
「アリ……? 誰だって?」
「アリウム・ギョウジャン。クーデリアさんがまだ無名だったころ、ノアキスの七月会議に登壇させてくれた人……じゃなかったかな」
ユージンの疑問に答えたビスケットも、またうろ覚えで自信がなかったのだろう。
正誤を問うように向けられた視線に首肯を返し、再びベルティーナが彼の言葉を引き継ぐ。
「彼が率いている活動家団体テラ・リベリオニスは、クーデリアの活動の影響を受けたこともあり、今や風前の灯火。クーデリアを利用することでいい目を見ようとしたのに拒否され、次は腹いせも兼ねて脅迫という手段に打って出る。あわよくば、その命を貰い革命の旗頭にとって代わりたい……と、そんなところかな」
「ちっせぇ男だな!」
不快感を露わにするユージンに、ベルティーナはタブレットを操作して彼らに見せる。
「これがギョウジャンの顔写真」
「あん?」
「これ……動物、ですよね?」
「ああ、間違えた」
そう言って再び見せた写真に、見ていた全員が噴き出す。
「ぶははは! さっきの間抜けな動物ソックリじゃねえか!」
「し、失礼ですよ、副団長さん」
そう言いながら、メリビットも笑いを堪えている。
緩く笑う程度の三日月だけが、別のことに興味を惹かれていた。
「さっきの動物、なんていうの?」
「ラクダ」
表示させるのは、予め取り込んでおいた動物図鑑だ。
「へぇ……地球にはこんな動物もいるんだ」
しっかり文字を勉強してきた成果か、記述されている内容を読みながら感心する三日月。
すっかり毒気の抜かれた面々に、呆れたように、しかしどこか嬉しそうに緩く笑いながら、クーデリアとの話に区切りをつけたオルガが戻ってくる。
「お前ら、あんま気ぃ抜き過ぎんなよ。ベルティーナ、お嬢さんもお前に言いたいことがあるってよ」
「私に?」
今度は移動することもなく、大きなモニターにクーデリアが映し出される。
『お久しぶりです、ベルさん』
「久しぶり」
そんな和やかな挨拶から始まった通信は、お礼や近況報告、孤児院でベルティーナに会いたがっている子がいるから来て欲しい等、他愛のない、しかし彼らの勝ち取った居場所を感じさせる内容だった。
ベルティーナはその後、三日月たちと鉄華団の施設を回ってから火星を後にした。
それを見送ったオルガは、今後の予定を主だったメンバーに伝えながら気を引き締める。
嫉妬だかなんだか知らないが、汚い大人の都合で自分たちの居場所を失ってたまるか。
ぎらつくような視線で犬歯をむき出しにして笑うオルガだったが、「あっ!」と直後に忘れていたことを思い出して硬直する。
「やっべぇ……親父にベルティーナと顔出せって言われてたの忘れてんじゃねえか……!」
慌てふためく様を遠くから数人に見られたオルガだったが、
「団長がなんか踊ってる」
「三日月さんたちと違って戦場に出られないし、ストレス溜まってんじゃない?」
「書類仕事も大変そうだしなぁ。……よっし! 俺たちも頑張って仕事覚えて、団長楽させようぜ!」
「おっしゃ! お前らよりぜってー役に立ってみせるぜ!」
「はぁ俺のほうが上だし!」
「はぁ!?」
「おぉん!?」
やんややんやと盛り上がりながら仕事場へ向かう少年たち。
奇行を目撃されても幻滅されず、むしろやる気に繋がるのは、彼の人望あってのもの……だろうか。