対魔忍 “冷蔵庫”   作:槍刀拳

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もう許してください。
私が何をしたっていうのですか。入院宣告はされる、SSDは100%になってパソコンは動かない。
今作に関しては、「対魔忍でやる必要ないよね」って言われたら、本当にぐうのねも出ないんですけど、この悪夢が止まるならありのままを書くしかないんですよ。そんな気がするので私は書き続けるしかないんです。
許してください
許して
立ち絵も捧げたのに止まらないのなんで
ゆるして
たすけて


Episode1 『五車学園のやべー冷蔵庫』

 おはこんばんにちわ! 私、冷蔵庫! どこにでもいるごく一般的で普遍的な冷蔵庫!

 前にいた世界では、私一人ぼっちで大変だったけど、なんか魔術的なゲートを潜ったら どこかの校長室っぽいところに到着したよ! もうびっくりでワンダフルって感じ!

 ここに棲んでいる人たちが、私の次のおねえちゃん達になってくれるらしいので苗字を貰って、今は『対魔忍 冷蔵庫』って名乗ってます! 特技は体内(ナカ)に入れられたものをキン…ッキン…ッに冷やす能力! みんな覚えていってね!!!

 

 今はひとまず一通りの入学試験を受け終わって、あたまの良さを調べてもらっています! 私8歳だけど、荒れ草を【のうみそ】に大草原しているから、問題なくテストは100点満点で決定です! すごいでしょ! 2200sの最新の冷蔵庫は勉強もできちゃうんです!

 ひとまず、この後の予定は 置いてもらえるお部屋の紹介と、生涯を共にする姉妹の紹介と姉妹候補とお話。鬼のような凄く強い生命力を持った人間さんと手合わせしてもらいます! とてもとても楽しみで、冷凍庫に入っているバナナが金づちのように固くなってます!

 

………

……

 

「ということで…今日から五車学園 高等部 1年生のクラスに入学することになった…えぇと…?」

「対魔忍家として居候させて頂く“冷蔵庫”です! お兄ちゃん お姉ちゃん! 仲良くしてね!!!!!」

 

【挿絵表示】

 

 これがわたし! 冷蔵庫だよっ! ごく一般的な小型の冷蔵庫でしょっ!!?

 まずは障害を乗り越えるために生涯を共にする姉妹たちと初対面! 正面に35人もの生命反応を確認! 35人のお兄ちゃんお姉ちゃんができるなんて、すてきだし、この中から厳選された背中を預け合う姉妹を自由に4人も選べるなんて、ここはエデンかなぁッ!?

 嬉しすぎて冷凍庫の氷解け水がピュッピュしちゃうね!

 第一印象はすごく大事って、前の最年長のおねえちゃんが言っていたから、ぴょんぴょん【ホッパー】ジャンプして自己アピールをしたよ! 元気な冷蔵庫だって皆にわかってもらえたかな?

 

【挿絵表示】

 

 うん! すごいね! 今 教室に居て、学校の先生に紹介してもらったんだけど、一切拍手が聞こえない! はっはーん? アレだね! みんな恥ずかしがってるんだね! わかる、わかるよ~!!! 初対面の冷蔵庫と出会ったらキンチョーしちゃうもんね!!! でも大丈夫! これから仲良くなっていけばいいんだから!

 

………

……

 

~昼休み~

 

……

 

 おかしい! 授業の合間とかに、姉妹たちと仲良くなりたいから話しかけようと近づいているはずなんだけど、磁石のNとN、SとSのように私が近づくとみんな離れちゃう! 廊下からこっちを見ている人間さんにも近づいたのに、みんな一目散に散っちゃうの! 人間さんって体内に磁石が入っているのかな? あッ! そうだ 以前ワクチンを打つと身体から10Gの電波を発するようになって、磁石がくっつくなんて噂が最終戦争以前の世界にに蔓延っていたのを聞いたことがある! お姉ちゃんたちはカガク的に証明されていないザレゴトって言っていたけど、噂は本当だったんだ! でも、私には磁石は入ってないから、仲良くしてほしいな!

 わたし、わるい れいぞうこじゃないよ! バンバン!

 

「あの…冷蔵庫ちゃん…だっけ?」

 

 突然、背後から声が掛かったから、即座に全方位に向けてエコロケーションを放つよ! ふむふむ…。

 

「うん! 私、冷蔵庫! 学級委員長の蛇子お姉ちゃんと、ふうまお兄ちゃんだねっ?!」

 

 ふむふむ。ふむふむ! 骨格や肉付き、髪型から先ほどまで座っていた座席から、相州(あいしゅう) 蛇子(へびこ)お姉ちゃんと、その隣にはふうま小太郎(こたろう)お兄ちゃんが居るね! 仲睦まじい兄妹のような距離感! これは間違いなくデキているね!!!!!!

 

「ふうまちゃん…今、あの子こっち向いてなかったのに何で分かったんだろ…」ヒソヒソ

「俺聞かれても…わからん」ヒソヒソ

「それに蛇子達、名乗ってないよね…? なんで知ってるんだろう…」ヒソヒソ

「わからん…」ヒソヒソ

「分かった理由は簡単だよ! 二人の気配がしたからね! それで何か用かな!?

「ヒッ…」

「そんなふうまお兄ちゃんの背後に隠れなくても こわくないよ! わたしはわるい冷蔵庫じゃないからね! バンバン!

 

 バンバンする これね! 冷蔵庫の扉を大きく開けたり閉じたりして、何も武器を持っていないことをアッピールしてるの! 無害アッピールすることで相手もきっと武装解除してお友達になってくれるに違いないからね!!! でも冷凍庫の扉は開けないよ! こっちは生き物さんを確実にブッ殺すための最終兵器が入っているからね! 間違えて家族に放射しちゃったら、大変!

 一週間後には、身体がぐずぐずに溶けて確定的な死を迎えて肉塊になっちゃうよ!

 

「…俺が変わろう。蛇子は、冷蔵庫さんは以前どこに住んでいたのか聞こうとしていたんだ」

 

 私が年下なんだから、さん付けなんかしなくていいのにね!!! もっとフレンドリーに話しかけてくれると絆が結べているみたいで私はすっごく嬉しいな!!! バンバン!

 でも今日初めて、私に投げかけられた質問だし、これをきっかけにもっと仲良くなれるかもしれないよね! 私が最後に生活していた拠点について教えてあげちゃおう!!!

 

「んーとね! 緑の地獄の奥底にあった1万人前後の人間さんが避難できる核シェルターかな! そこで他のお姉ちゃんたちとベビーシッターして楽しく暮らしていたんだ!」

「……。既に頭が痛いんだが…」

 

 あれ!? どうしたのかな???!! 突然頭を抱え始めちゃったよ!? 体調が悪いのかな?! 大丈夫かな??? 絵本で人間さんはすっごく脆くて弱いって読んだことがあるから、とても心配だよ! でも私はできる冷蔵庫! ちゃんと、急に病気になった人間さんのためにお薬を常備しているよ! すべて核シェルター内部のお薬屋さんで見つけた100% off(全部、タダ)のすごい薬だけどね!

 

「大丈夫!? 頭を冷やす?! 頭痛薬もあるよ! えっとね! 消費期限が-50年以上前に製造されたものだから絶対に大丈夫! 消費期限が+50年だよ! +50年! 氷水も完備しているからすぐに飲めるよ! なんて言ったってわたしは冷蔵庫だからね!」

「…結構だ。…それで、他にもお姉さんが居たみたいなのは分かったが、そのお姉さんたちは今どうしているんだ? お姉さんも冷蔵庫なのか?」

 

 嬉しいな! 嬉しいな! ふうま小太郎お兄ちゃんは私に興味を持ってくれている! 仲良くしてくれるなら、全部答えちゃおう! 次はお兄ちゃんの話を聞かせてもらおうっと!

 

「ううん! おねえちゃん達は 人型だったよ!!!」

「人型…?」

「うん! わかりやすく言うとね! 長女のお姉ちゃんは、ドラゴンみたいに【やぶれひまく】のある翼が生えていてね! 空は飛べないんだけど、【うろこ】もついていて赤ちゃんや妹の私達を守ってくれるの! 次女のおねえちゃんはネコさんみたいにかわいい モフモフの【けもあし】【けもみみ】と【しっぽ】が生えていたりね! みんなのアイドル的な存在だったの! それでお姉ちゃん達だけど、みんな肉片になっちゃった! ブワーって超能力で持ち上げられてね! ギュゥゥウウウウーって雑巾が絞られるみたいに捩られてね! バーンッって天井に叩きつけられてみんなバラバラになっちゃった!!! 私は長女のお姉ちゃんに護られたから無事だったんだけどね! アハハハハハハハハハハッ!!!

「うん…。…うん…?」

 

 なんでだろう? ふうま小太郎お兄ちゃんが頭をひねっているよ? わかりにくかったかな…? でも、なんで完全解体されちゃった私のお姉ちゃん達が冷蔵庫だって思ったんだろ?

 

「えっと、ふうまちゃんが考えすぎて固まって動かなくなっちゃったから、今度は私から質問してもいいかな?」

「蛇子お姉ちゃんが!? うん! いいよ! いいよ! なんでも聞いてね! 私達、家族になるかもしれないんだから! お互いの事もっと深く知り合おうよ!」

「かぞ……く?」

 

 あれれ? おかしいなぁお姉ちゃんまで頭を抱えちゃった…ちょっと強めの鎮痛剤を机の上に置いておこう! 私に備わった放射能汚染度を0%化させる浄水器経由の特別放射能汚染水!!!

 略して浄化された汚水!!!

 

「それで質問ってなにかな! なにかな!?」

「えっと……ベビーシッターをやっていたって言ってたけど…どんな子供を看ていたのかな?」

「e/m/b/r/y/oだよ! 意味はよくわかんないけど! みんなエムブルヨって呼んでた!」

「embryo…えっと、胚…胎児…?」

「へー! あの子の名前、ハイタイジっていうんだ! 確かに話して居たとき、男の子の声だったもんね!」

「…えっと、胎児っていうのはね?」

「お姉ちゃんって物知りー!!! バンバンバンバンバン!!!」

「……」

 

 すごいなぁ! 私には全然わからないし、肉片になっちゃう前のお姉ちゃん達にもわからなかったことなのに、これが人間さんの力かぁ。私にはかなわないなぁ! 100%の力で拍手しちゃうね! でもわたし冷蔵庫だから、手がないから扉で拍手を送るよ!

 それにしても、二人とも頭を抱えちゃった。ちょっとお話しちゃっただけで疲れちゃうなんて、人間さんは本当に脆いなぁ! でも、大丈夫! そんな人間さんを護るための私だから、脆くたって頑丈な私が守ってあげるからね!

 

……キーンコーンカーンコーン…

 

「あ! 次は体育の授業だったよね! 確か私の基礎能力を調べるのが目的だとか!!! あー! はー!!! 狩りごっこってやつだよねっ! すっごく楽しみ! あ! こんにちは! こんにちは! 待ってよー! こんにちは!!!」

 




※作者から作品について感想。
 作品化のため、肉付けを行ってますが大体こんな感じでした。
 …何がいけなかったの?
 一応、今回も『八津 紫』先生が頑張ってくれましたが、次回に回します。
 …悪夢を見ていた時のプロット(3種)はあるので、こっちは気が向いたらで…よろしくお願いします。
 みんなも、ふうま君視点で 足だけが生えている冷蔵庫に超高速接近されながら「あれは抱けない! あれは抱けない!!!」と叫び散らしながら、追いかけまわされる悪夢を見てみよう!!! 作者は本当に理解ができなくて怖かったんだからね!
 特殊タグのオンパレードですが、本作は悪夢を収めるための特級呪物の供養・奉納品なので、これで良いのです。


~放課後~
ふうま小太郎「あの冷蔵庫なんなんだ。なんなんだ本当に…なんだったんだ」

相州 蛇子「蛇子、今日 新入生とおしゃべりしたんだけど理解できなくてすっごい疲れた…あれが未知への恐怖っていうのかな…冷蔵庫が怖くなっちゃった…

上原 鹿之助「冷蔵庫の新入生??? 何を言ってるんだ?????」

日葵(神葬)「ふうまくん。蛇子ちゃん、今すぐクラス替えを申請した方がいいですよ。冷蔵庫なんて家具は碌なものじゃないです」

冷蔵庫「なになにー!? わたしの話ー!!!? 混ぜて! 混ぜてッ!!!

相州 蛇子「ヒッ……来た!

上原 鹿之助「ちょ、は? うぇっ!? 冷蔵庫? えっ?!

日葵(神葬)「ア゚ッ! アレはヤバいタイプの冷蔵庫!!! 走って! 逃げてッ!!!

ふうま小太郎「このタイプの身辺調査、もう辞任したいんだが…」

冷蔵庫「鬼ごっこだねー♪ 待て待て~♪」


……悪夢は、今宵 始まったばかり。



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