4.5巻読んで天沢が不遇というかあんなに綾小路を想ってるのに司馬にボコられ憎悪にはボコされかけたことが可愛そうだなと思い救済というかの未来捏造というか未来願望というか、とりあえずこういうことを妄想したので書きました。
後悔はしてないです。
※清隆×軽井沢が好きな人は閲覧注意でお願いします。
温かな日差しとともに吹く風が心地よく感じられるようになった4月。
高度育成高等学校の入学式が行われる日
理事長室の前で一人の少女がおどおどした怪しい行動をしていた。
「うぅ〜、やっぱりお父様とお母様と一緒に来たほうが良かったかニャー?でも二人とも入学式の準備で忙しいだろうしー。うーん困ったニャー」
ツインテールの女の子は父親から入学祝いに貰った時計を確認し、強い鼓動を鳴らす心臓を抑え、これからのことを考える。
「心臓バクバクで寿命縮みソ……」
「おや、どうしたのですか?新入生のあなたがこんなところで」
新入生の少女が振り返るとそこには杖で身体を支えている女性が立っていた。30代半ばに差し掛かっていると思えない女性は常人とは少し違ったように感じる微笑みを浮かべひと
「あ〜、坂柳理事長ー。お久しぶりでーす、じゃダメだった。お久しぶりです、坂柳理事長。このように二人でお話するのは初めてですね」
「ふふふ、あの人によく似ておられますね」
数年前より父親から理事長の座を引き継いだ坂柳有栖は学生の頃の彼女の母親と船上で初対面したときのことを思い出し懐かしむように口にする。
「あはは、それよく言われます。性格とかはお母様似でぜーんぜんお父様とは似てないって〜」
そう答えると少女は困ったような顔を浮かべる。そこでようやく少女はここ来た目的を思い出す。
「あ、そうだった。ここに来たのは挨拶のためだった」
「挨拶ですか?」
坂柳有栖はその言葉の意味を即座に理解することは叶わず首を傾げる。
「はい、坂柳理事長。あなたとあなたのお父上のお力によく助けられたと両親から聞いております。
───清隆お父様と一夏お母様がお世話になりました」
ゆっくりとそう言って少女は頭を下げる。
「───そうですか。あの日々からもうすぐ20年ですか。時の流れは早いものですね」
坂柳有栖は日を静かに閉じ、一つ間を置いて少女の名前を告げる。
「───綾小路
「私の祖父の代から受け継いできたこの高度育成高等学校は非常に特異な学校です。ですから保証します。
それを聞いた少女は目をパチクリとさせ、少女の顔に笑みが浮かぶ。だかそれは母親譲りの不気味な笑顔ではなく、子供が遊びで競い合い楽しむときのような純粋なものだった。
「あはは〜、それはとっーても楽しみです」
【職員室前】
「おかあさまー!」
綾小路春菜は自分と同じ髪色をしたツインテールの教師に大きな声をあげながら飛び込んだ。
「わお!」
弱くない勢いで突進を食らったはずの女性の教師だったが持っていた書類の束を落とすことはなく、少しばかり驚いただけでダイブしてきた者の正体が自分の娘と認識すると優しく頭をナデナデした。
「春菜、理事長せんせーに挨拶終わった〜?」
「おわった〜」
「ならクラスの確認は〜?」
「Bクラスだった〜」
「おー、あたしのクラスだね。下剋上を叩きつけてパパやっつけちゃおっか〜」
「おー!お父様やっつける〜」
二人は家族独特の雰囲気を職員室前という多くの教師が通る場所で撒き散らす。流石に常識的にダメな行いだと判断した一人の教師がそれを注意した。
「
厳しい口調で注意したのは教師の名前は須藤鈴音。旧姓は堀北。彼女の夫は現在、NBL(ナショナル・バスケット・リーグ)で活躍している。
「
NBLは通常10月から翌年2月にかけてレギュラーシーズンが実施さて、レギュラーシーズン終了後に上位チームによるNBL FinalとGrand Finalが行われる。今は桜が舞い散る4月。そのためこの時期の須藤健は自身のトレーニングもこなしつつ育児も行っていた。
「それに〜家族の心配するのは当然のことだと思うんですよね〜。堀北先輩だってお兄さ───」
「んんっ、そ、そうね。確かに家族を想うことはとても大切なことね」
他の教師たちはまたダメなのか、と皆思った。
この二人が口争になって綾小路一夏が負けたことは他教師皆見たことがないのだ。どんな状態であっても最終的には綾小路一夏が徹底的に論破し、不気味で嗜虐的な、悪魔の笑みで口角を釣り上げるのだ。
「おい、二人とも何をしている。もうすぐ職員会議の時間だぞ」
この二人の口論を何事もなく終わらせられるのはこの学校に一人しか存在しない。
止められるのは綾小路清隆ただ一人。しかし、そんな彼にも今日からは難敵が存在する。
「おとおさまー!」
先程、母親にしたように飛びかかろうとする。
綾小路清隆は、またいつものかと、武術の歩法を用いて最小の動きで躱そうと試みる。
それに対し、綾小路春菜は父親がいつものように躱すことを先読みし左足で強引に進路変更し、大好きな父親に抱擁───することは叶わず床にヘッドスライディングすることになった。
「今はおまえにかまってる暇はない。早く来たなら教室で待機してるんだな」
「むぅ〜、お父様のいけず!薄情!不親切!無表情!根暗!」
「……そう言われると傷つくな」
「もー、怒った。今日という今日はぜっーたいに許さないからね。お母様と一緒に下剋上してやるんだからね」
その言葉を聞いた綾小路清隆は「そうか楽しみにしてる」と口にして妻の一夏に教室までの案内を押し付けた。
【職員室内】
須藤鈴音は教師の特権で公開前の1-B綾小路春菜の能力値を調べるためover all ability通称OAAを見ていた。
すると隣の席に綾小路清隆が着席したことを確認すると声をかけた。職員会議には開始にはもうしばらく時間がありそうだった。
「あの子のOAAの値とても高いわね。いよいよ下剋上叩きつけられる日が来たんじゃないかしら?」
「どうだろうな、能力値が高いことは間違いないな」
「贔屓目かしら?」
「否定はしないな」
自分では気づいていないようだが先程の会合から少しばかり口元が綻んでいる。
それを確認した須藤鈴音は聞いてみたかったことを尋ねた。
「天沢さんのクラスで残念だったんじゃない?自分のクラスが良かったんじゃないかしら?」
「いや、そんなことはない。一夏なら任せられる」
「はぁー」
「どうした?そんなに重いため息をついてたか」
「この年になったら重たいため息の1つや2つつきたくなるし私だって変わるのよ」
「確かに変わったな。丸くなったと啓誠たちに評判だったぞ」
「………」
「───もちろん性格の話だ」
「………」
綾小路清隆は会議用の資料に目を通す。
須藤鈴音の手に持つコンパスには気づかないふりをして………
【1-B教室 移動中】
「───ッ!」
「んー?どうしたのお母様?」
「いやー、ちょーっとパパに悪い
「ふーん、お母様がいるのにー?じゃー、やっぱりお父様やっつけちゃおうかニャー」
「そーだねー。下剋上叩きつけちゃおー」
「叩きつけちゃおー!」
親娘と仲良く教室へ歩みを進める中、綾小路一夏は願った。
どうかあたし達にこれからも『幸せ』が続きますように、と。そして愛娘がホワイトルームのような不幸に巻き込まれることなく健康に成長していきますように、と。
やっちゃったw
でも後悔はなし!
続きはなんかいい感じに思いつかない限り投稿はないかなぁ〜と思います…