タイタンがひはつをレッド寮に運んだ後にタイタンは大人しく縛についた。
とりあえずデュエルアカデミアの倫理委員会がタイタンを拘束し
これから如何するのか倫理委員会は校長鮫島と会議を開いたのだった。
「それではこれより緊急会議を始めます
司会進行は私、 倫理委員会委員長、 最澄 霞が行います」
帽子を被った眼鏡の女性が会議を始める。
「と言ってもこれはもう決まった様な物じゃないか?
レッドが立ち入り禁止区域に入ったんだから退学で良いでしょう」
「異議無し」
「異議ナーシ」
倫理委員会幹部達が採決を取る。
「それでは鮫島校長、 レッド3人退学で宜しいでしょうか?」
「仕方がありませんね・・・」
「仕方がありませんではすみませんよ」
ガチャリ、 と会議室のドアが開く。
「誰です? 今会議中ですよ?」
「あぁ、 すみません
私、 海馬コーポレーションから派遣されてきました
倫理委員会を任される事になった無常矜侍です」
「なっ!? そんな話聞いてな」
すっ、 とUSBメモリを最澄に差し出す無常。
「委任状です、 調べますか?」
「っ校長!!」
「・・・私も初耳です、 どういう事ですか?」
「実はですね
海場社長直々に倫理委員会及びこの学園の再編を任されまして」
「再編?」
「どういう事だ?」
「教えてあげません、 とりあえず詳しい話をしたいので
鮫島校長、 別室に移動させて貰って宜しいでしょうか?」
「・・・分かりました」
鮫島が無常と共に校長室に向かった。
校長室に着いた二人は席に座って話を始めた。
「まず就任が遅れた事を御詫びしますね、 色々と仕事が有りまして」
「仕事・・・ですか?」
「えぇ、 私の仕事は新規事業の開拓や企業の再編です
とは言っても難しい事じゃないですよ
デュエルで言うなら新しいデッキの構築、 デッキ調整の様な物です」
「貴方もデュエリスト?」
「えぇ、 まぁそうですね
最近の海馬コーポレーションではデュエリストが重用されていますからねぇ」
「・・・それは初耳です」
サイバー流のデュエリストで
海馬コーポレーションに重役になったデュエリストは居ない。
少なくとも鮫島はそんなデュエリストを知らない。
いや一人だけ居た。
「そうですかぁ? 私の流派では何人か重役になっている人も居ますよぉ?」
「私の流派?」
「えぇ、 私、 クッキング流のデュエリストです」
「え、 ク、 クッキング流?」
クッキング流。
ハングリーバーガーを中心とした儀式中心のデュエルの流派である。
サイバー流と比べて歴史は浅いがプロデュエリストにもランカーがおり
妙に人気がある流派である。
「クッキング流ですか?」
「えぇ、 何か?」
「い、 いえ・・・」
サイバー流にとってクッキング流は眼中にないレベルの存在である。
とは言えクッキング流もサイバー流に対して興味は無いらしく
互いに没交渉である。
「しかしクッキング流・・・サイバー流に比べてその・・・何というか・・・」
「そう、 それなんですよ」
びし、 と鮫島に指を指す無常。
「海馬社長は貴方に対して不満が幾つも有る様です」
「不満?」
「色々有りますが、 まず第一にサイバー流に対する贔屓ですね」
「贔屓? いや、 そんな事は無いと思いますが・・・」
「いやいや、 デュエルアカデミアの職員の大半がサイバー流
これは明らかに身内採用し過ぎでは?」
「優秀なデュエリストを採用した結果です」
「果たしてそうでしょうか?
デュエルアカデミアの教職員でタイトルを持っている人、 どれ位居ますか?」
「・・・・・」
「プロアマ問いませんよ?」
プロデュエリストで無くとも企業が主催する大会で優勝すれば
デュエルのタイトルホルダーになる事が出来る。
「実技の最高責任者のクロノス氏の持っているフィレンツェカップ位ですよね?
他のサイバー流の方でタイトルを持っているのは?」
「・・・・・タイトルの有無がデュエリストの実力では無いでしょう」
「苦しい言い訳ですねぇ
デュエルアカデミアに履歴書を送ったタイトルホルダーのデュエリストは
大勢居たのに彼等を差し置いてサイバー流のデュエリストを雇用する
意味が分かりませんよ」
「クッキング流やバグロス流
モリン流やダーク流等の訳の分からない流派だったので」
「サイバー流よりはマシでしょう
現在の日本ランキングでサイバー流は下位にちらほらいる程度ですよ」
「・・・宮迫君が100位に居ますよ」
「彼はサイバー流じゃなくてサイバー亜流でしょう
そもそも教師なら兎も角用務員や警備員を
サイバー流にする意味が分かりません」
「っ・・・」
痛い所を突かれる鮫島。
「まぁ百歩譲って結果を出せれば良いですよ
結果を出せていないのが現状ですよ
デュエルアカデミア本校からランキング入りしたデュエリストは20人のみ
分校の方々の半分以下です」
「分校は日本以外に有りますから日本ランキングでは無いでしょう」
「日本ランキングよりも苛烈な環境も有りますよぉ
これは本校のレベルが低い、 と言う見方もあります」
「しかし・・・学生全員がプロを目指す訳では無いです
無理矢理プロデュエリストを目指させる事は教育者としてあり得ません」
「そこでさっきのサイバー流贔屓です
何でも去年の卒業生のサイバー流生徒を外部指導員として雇っているとか」
「最煉君は優秀な生徒ですから」
「身内贔屓なんじゃないですかぁ?」
煽る無常。
「まぁ良いでしょう、 一番の問題点はじっくり解決するとして
倫理委員会に強権を持たせて優秀なデュエリストを退学にするのは頂けない
さっきの会議で退学にすると言ったのは
話を聞くとクロノス氏を倒したデュエリストだとか
そんな優秀な人材を流出させるのは如何かと思いますね
昨年だけで2,30人退学させてますし」
「・・・・・ではこうしましょう
外部からプロデュエリストを呼び寄せ制裁デュエルを行わせるというのは?
勝てば反省文、 負ければ退学、 これならば如何でしょうか?」
「良いでしょう、 但し呼ぶプロデュエリストの予算は抑えて貰います」
「予算を抑える・・・ですか」
「貴方がサイバー流関係の部を沢山作るから予算が嵩んで仕方ありません
幾つかの部は廃部にさせて貰いますよ」
「そ、 それは困ります!! 部活動同士で戦わせて技量の向上に」
「それでも部は多いですよ、 もっと少なくて良い
極論3つで良い」
「3つ・・・ですか?」
「第一サイバー流デュエル部と後二つですね」
「第一サイバー流デュエル部・・・」
「えぇ、 あそこの顧問は別格ですしね
まぁこの話はおいおいにしていきましょう
それでは夜分遅くになってしまったので私は失礼しますよ」
無常がすっ、 と立ち上がる。
「あ」
人差し指を上げて大した事の無いように思い出した無常。
「そうそう、 貴方が採用を検討した教育実習生48名
此方で面接と実技試験を行った結果、 不適格として全員不合格になりました」
「なっ!?」
「でも安心して下さい、 新しい倫理委員会と共に
タイトルホルダーの教育実習生達を連れてきました」
「・・・・・新しい倫理委員会?」
「えぇ、 さっきも言いましたが倫理委員会は生徒を退学させすぎです
再編成の為に新しい倫理委員会を作ります」
「そんな・・・滅茶苦茶な・・・」
「生徒を退学させるという事は人生を預かると言う事ですよ
あんなにほいほい退学させるのは頂けませんよぉ、 では失礼します」
校長室から去る無常。
鮫島は机の上で頭を抱えた。
「「制裁デュエル!?」」
「って何?」
翌日の早朝に新しく来た倫理委員会から校長室に連れて来られた
十代、 翔、 ひはつの3人は
鮫島と無常から制裁デュエルを行う事を告げられる。
「えぇ、 貴方達が廃寮に向かったという事で
制裁デュエルを行います、 プロデュエリストを呼ぶので
勝てば反省文、 負ければ退学です」
「えーっと・・・アンタ誰?」
「本年度から倫理委員会に配属されました無常矜待です」
「よろしく・・・でもプロデュエリストとデュエル出来るんだろ?
くぅ!! 燃えて来たぜ!!」
「あ、 アニキぃ・・・」
「ふわ・・・」
三者三様の反応をする。
そこに・・・
「ちょっと待って下さい!!」
明日香とメグがやって来た。
「はい? 何方様ですか?」
「オベリスク・ブルーの天上院明日香です」
「メグでぇ~っす
十代君だけじゃなくて私達も廃寮に行ったんですけど?」
「おや、 それでは君達も制裁デュエルですね」
「ちょ、 無常さん、 彼女達はオベリスク・ブルーですよ?」
「鮫島校長、 待遇に差を付けるのは良いですが
処遇に差を付けるのは良く無いですよぉ?
区別は良いですが差別がいけません」
「・・・・・」
顔を顰める鮫島。
「廃寮には不審者が2名も居たんですよ!?
それでも制裁デュエルを受けろと?」
「そもそも廃寮に行かなければ良いじゃないですかぁ
そもそも何で廃寮に?」
「行方不明になった兄の手掛かりが有るかもしれないと思って」
「行方不明?」
ちら、 と鮫島を見る無常。
「えぇ・・・まぁ・・・その・・・」
「・・・・・それについて後から聞きましょうか
兎も角貴方達5人には制裁デュエルです、 それでは解散」
5人は校長室から去った。
「しかし5人にデュエルをさせるとなると
プロデュエリストは5人必要と言う事になりますね・・・」
「1人のプロデュエリストに5回デュエルして貰えば良いのでは?」
「いや・・・それは・・・」
コンコンとドアがノックされる。
「どうぞ」
校長室に入って来る最愛。
「最愛先生? 一体何を・・・」
「話は聞かせて貰いました、 私にお任せ下さい」
「?」
一方その頃、 第三サイバー流デュエル部の部室では。
「制裁デュエルですか!? 丸藤君が!?」
翔の制裁デュエルが噂になっていた。
「ウチの部活から校則違反が出るなんて・・・全く迷惑な話だよ」
「サイバー流でも屑は出るって事か」
「これだからオシリス・レッドの屑は・・・」
「いや、 翔って言うのは十代って奴に
無理矢理連れていかれただけじゃないか?」
「確かに押しに弱そうだからな」
色々好き勝手に言っている。
「雀先輩、 如何思います?」
「これは部で嘆願書を書いて処分の減刑を求めるべきよ」
「いや、 態々オシリス・レッドにそこまでする必要は・・・」
「オシリス・レッドでもサイバー流の仲間だろう!?」
「だが弱い奴を助ける事なんて」
「何だと!?」
「喝ッ!!」
アルファが叫んで皆を落ち着かせる。
「さっき顧問の才眠先生と鉢合わせした
その時に話したんだが・・・
丸藤はデュエル譜取りにあまり真面目に取り組んでいないから
部として何かする事はしない」
「そんな・・・見捨てるって言うの?」
「雀、 気持ちは分かるが制裁デュエルで済ますって言うのは温情だと思うぞ」
「・・・・・」
黙る雀。
「話はここまで、 今日のデュエルを始める」
皆はバラけてデュエルを始めた、 雀もデュエル譜を取り始める。
しかしその表情は暗い。
「また・・・何も出来ないの・・・」
オシリス・レッドの寮のひはつの部屋。
「何気に男の子の部屋に来たのは前世でも無かったわね・・・」
「何か言った?」
ひはつの部屋にやって来たメグ。
何故メグがひはつの部屋にやって来たのかと言うと
制裁デュエルで十代と翔。
ひはつとメグ、 明日香、 この3組に分けられたからである。
つまりひはつとメグはタッグデュエルを行う事になったのだ。
その打ち合わせでやって来た、 と言う事である。
「はい、 どうぞ」
「あ、 ありがとう」
菓子盆を出すひはつ。
中身は柏屋の薄皮饅頭と檸檬がたっぷりと。
「お好きな方をどうぞ」
「じゃあこっちを・・・」
檸檬を選び食べるメグ。
ひはつは薄皮饅頭をもぐもぐと食べる。
「それじゃあデッキの形式だけど・・・如何する? 合わせる?」
「そうだねぇ・・・僕はマルチデッカーだからそっちに合わせるよ」
「それは助かる、 でも合わせ過ぎると
メタ張られたら厄介だからちょっと外して行こう」
「例えば」
「例えば・・・そうね・・・」
色々とデッキについて話し合う両名。
「うん、 それが良いかな、 じゃあデッキを組み始めるよ」
「OK、 じゃあ待って居るよ」
机に向かってデッキを組み始めるひはつ。
メグは部屋の中を見渡す、 PCとカードの入った段ボール以外は
何も無い空虚な部屋である。
「しかしレッド寮の環境は酷いわね・・・」
「もう慣れたよ」
「そう・・・」
「おい!! 大変だひはつ!! 翔が出て行っちまった!!」
ドアを物凄い勢いで開く十代。
「何で?」
「自分とタッグを組んで俺が負けない様にって出ていくって」
「じゃあ何処に行ったか手分けして探そう、 僕は校舎の方に行って来る」
そう言うと外に探しに行くひはつ。
「・・・・・馬鹿なのかな? 出ていくなら普通は海の方を探すでしょ・・・」
よいしょと立ち上がるメグ。
「じゃあとりあえず海岸の方に探しに行く?」
「お、 おう・・・・・」
「じゃあ私は北、 貴方は南で」
「わ、 分かった」
「さて・・・ここは何処だろう(´;ω;`)」
翔を探しに校舎に向かったが迷子になったひはつ。
一方海岸に向かった十代はなんやかんやあって翔を見つけた。
ついでに翔の兄であるカイザーの異名を持つ亮と明日香も居た。
「十代に呼ばれたから来たけどカイザーと
十代のデュエル終わったかぁ・・・」
別行動をしていたメグはイベントを見逃して少し残念、 と思っていた。
「おや、 君が噂の遊愛 恤かい?」
帰ろうとしている亮が話しかけて来る。
「メグで良いよ、 私に興味が?」
「いや、 無い」
「(´・ω・`)」
「君に質問が有る、 さっき十代にも質問したんだが」
「・・・何よ?」
「井の頭デュエル大会、 と言う大会を知って居るか?」
「初めて聞いたわね、 アマチュアの大会か何か?」
「いや、 知らなければ良い」
そう言って亮は立ち去って行った。
「?」
首を傾げるメグ。
何はともあれ翔がタッグデュエルをやる気になったので良しとしよう。
同時刻、 十代達から少し離れた海岸沿いで
最澄 霞を始めとした旧倫理委員会メンバーとタイタンは
本土に向けて出港した船に乗っていた。
「納得がいかない・・・何故私が委員長を降ろされないといけないんだ・・・」
最澄はグギギと腹立たし気に言う。
「別に良いでしょう委員長
海馬コーポレーションは新しい職場を用意してくれたし
嫌ならサイバー流の他の職場に」
「黙りなさい!! 委員長じゃないからそんな事が言える!!」
部下の慰めを一喝した。
部下は頭を下げて去って行った。
「おのれ・・・覚えていろよ無常矜待・・・そして海馬社長・・・!!」
忌々し気にデュエルアカデミアを見ながら言う最澄だった。