「てめぇ等全員正座せい!!」
アークティック校の控え室。
矢島がブチギレていた。
「矢島さん、 私は正座無理ね」
霍嵩高の体重は230Kg、 正座どころか立っている事すら難しい。
「えぇい!! 2連敗だぞ!! 2連敗!! 分かっているのかぁ!?」
「私が負けた訳じゃ無いからね」
「ああいえばこう言う!! お前、 負けたら分かっているのか!?」
「学生相手にプロが3連敗する訳には行かないね」
「勝てるんやろうな!?」
「私がただのでぶだと思っているのか?」
すっ、 と霍がズボンのポケットから卵を取り出し床に置いた。
「なんや?」
そして卵の上に立つ霍。
「な、 何ィ!?」
「た、 卵を割らずに上に立つだとぉ!?」
「スゲー!!」
「・・・・・」
凄い技術だとは思うが卵の上に立ったから何なのか、 と矢島は思ったが
黙っているのだった。
「とにかく勝てよ!!」
「分かってるね」
一方その頃、 イースト校のノーマンも控え室で檄を飛ばしていた。
「最後にトッドが控えているからストレート負けにはならないだろうが
あの糞イラつく馬鹿に目に物を見せてやれ」
「心配要りません、 僕ならば大丈夫です」
アモンがスッ、 と立ち上がる。
「アモン君が居るなら大丈夫っしょー」
スウィーニー・トッドがぼさぼさの髪を撫でながら言った。
「なら良いんだけどな・・・相手は知って居るか?」
「プロデュエリスト最重量・・・体重200Kg越えのでぶでしょう?
僕は鍛えてます、 負けません」
「ただのでぶでは無い」
ノーマンが訂正する。
「舐めると痛い目をみるぞ」
「分かりました」
そしてデュエルリング。
既にアモンが待機している。
「さぁて既にデュエルリングではアモン・ガラムさんが待機しています
イースト校の期待の一年生!! と言う事ですが如何でしょうか宮迫さん!!」
「彼のデュエルを見ましたが中々に素晴らしいですねぇ」
実況席で話すマリンと宮迫。
「対する相手は霍嵩高さんですが・・・」
「元格闘家ですが対戦相手の攻撃により痩せてしまい
現役を退いた過去が有ります」
「意味が分かりませんねぇ・・・まだでしょうか?」
「痩せた体重を戻して格闘家時代よりもウェイトは低くても
200Kg超えの肉体歩く事すら困難・・・」
のっしのっしとデュエルリングにやって来る霍。
階段を一歩ずつ歩く。
その顔には疲弊が見て取れる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
必死の咆哮を上げて階段を登り切る霍。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫ですか?」
「心配ないね・・・鍛えているから」
「・・・・・そうですか、 待たせたのですから僕から先行で良いですか?」
「構わないね・・・」
「「デュエル!!」」
「僕のターン、 ドロー」
アモン手札:5→6
「雲魔物-アシッド・クラウドを召喚
召喚成功時にフィールド上に存在する
雲魔物と名のついたモンスターの数だけ
アシッド・クラウドにフォッグカウンターを置く
カードを2枚セットしてターンエンド」
アモン手札:6→3
「私のターン、 ドローね」
霍手札:5→6
「起動兵士デッドリボルバーを召喚して機械複製術を発動
デッキから2体のデッドリボルバーを召喚するね
二重召喚を発動して2回目の召喚権を得る
そしてグリーン・ガジェットを召喚するね
効果でデッキからレッド・ガジェットを手札に加えるね
デッドリボルバーは効果でそれぞれ攻撃力が2000になるね」
「1ターン目からこれですか・・・」
「じゃあ早速バトルね」
「それは無意味です、 スピリットバリアを発動
これで攻撃のダメージは僕に通りません
それからアシッド・クラウドは戦闘では破壊されません」
「むむー、 ならば仕方ないね、 カードを1枚セットしてターンエンドね」
霍手札:6→2
「僕のターン、 ドロー」
アモン手札:3→4
「雲魔物-キロスタスを召喚
召喚成功時にフィールド上に存在する
雲魔物と名のついたモンスターの数だけ
キロスタスにフォッグカウンターを置く
そしてキロスタスのフォッグカウンターを2個取り除いて効果発動
フィールド上のモンスター1体を破壊する
僕が破壊するのはグリーン・ガジェット」
「あいやー、 これじゃあデッドリボルバーの攻撃力が0になるねー」
「それではバトル、 キロスタスでデッドリボルバーに攻撃」
「こっちもスピリットバリアを発動ねー
いやー便利ねこのカード」
「しかしそちらには戦闘破壊耐性は無い
アシッド・クラウドにも攻撃をさせる」
「デッドリボルバーが2体も破壊かー、 切ないねー」
「ではカードをセットしてターンエンド」
アモン手札:4→2
「双方スピリットバリアですか・・・」
「長引きそうな試合ですね・・・」
マリンと宮迫が語る。
「先にスピリットバリアを割った方が有利、 ですかね」
「強ちそうとも言えませんよ、 他の要素も絡んできます」
「ふーむ・・・」
「私のターン、 ドローね」
霍手札:2→3
「ほっほーう、 願ったり叶ったりの手札ね
まずレッド・ガジェットを召喚
効果でデッキからイエロー・ガジェットをサーチする
効果にチェーンして手札からサイクロンを発動
サイクロンにチェーンしてサモンチェーンね」
「サモンチェーン・・・チェーン3でしか発動できないが
召喚権を3つにするカードか」
「その通りね、 それではチェーンを処理するね
サモンチェーンで召喚権が増えて
サイクロンでスピリットバリアを破壊
最後にレッド・ガジェットを手札に加えるね」
「アシッド・クラウドを生贄に水霊術-「葵」を発動
レッド・ガジェットを捨てて貰いましょうか」
「ちぇ・・・」
霍手札:3→0
「しかしこれで攻撃が通るね
デッドリボルバーとレッド・ガジェットでキロスタスに攻撃ね」
アモンLP:4000→2900→2500
「くっ・・・しかしこれで貴方の手札は0ですね」
「ぐぬぬ・・・悔しいねターンエンド」
「では僕のターン、 ドロー」
アモン手札:2→3
「キロスタスを生贄に光神テテュスを召喚
テテュスでデッドリボルバーに攻撃」
「素直に受けるよ」
「そしてターンエンド」
アモン手札:3→2
「ここでテテュス、 か」
メグが本校の控え室で呟く。
「雲魔物は天使族だから可笑しくないチョイスじゃない?」
「それもそうね、 雲魔物特化かと思っていた・・・」
メグの前世の記憶ではアモンは雲魔物デッキの筈だった。
しかしその時のアモンは3年生。
そもそも1年のこの時にデュエルを見ていないので
変化は有るかもしれないが・・・
「スピリットバリア・・・プロも使っているのか・・・
本格的に対策を考えねば・・・」
考え込む亮。
「しかしガジェットか、 ベタなデッキだね」
「そうね、 ガジェット初心者にも勧めやすいデッキ・・・
だけどプロが使うのは如何だろう?」
「スターウォーズのフォーム1は基本的だけど極めれば凄いじゃない?
そう言う事じゃあ?」
「どういう事よ・・・」
要は熟練度の問題である。
どれだけの名刀でも使いこなせなければ意味が無い。
逆に粗悪な刀でも使い慣れていれば名刀にも負けない。
「とは言えあのでぶはピンチだな」
「でぶって言うなよ・・・」
「私のターン、 ドロー」
霍手札:0→1
「ふむふむ
カードをセットしてレッド・ガジェットを守備表示にしてターンエンドね」
霍手札:1→0
「僕のターン、 ドロー」
アモン手札:2→3
「おっとテテュスの効果発動、 自分がカードをドローした時
そのカードが天使族モンスターだった場合
そのカードを相手に見せて自分はデッキから1枚ドローする
僕がドローしたのは雲魔物-タービュランス
追加で1枚ドロー」
アモン手札:3→4
「墓地のアシッドクラウドを除外して
雲魔物-ストーム・ドラゴンを特殊召喚」
「召喚に対して罠発動、 御前試合
お互いのフィールドにそれぞれ1種類の属性のモンスターしか
表側表示で存在できずお互いのプレイヤーは自身のフィールドの
表側表示モンスターの属性が2種類以上の場合には
1種類になるように墓地へ送らなければならない」
「ならばテテュスを残します
そしてレッド・ガジェットに攻撃」
「OKね」
「これでターンエンド・・・」
アモン手札:4→3
「私のターン、 ドロー」
霍手札:0→1
「モンスターをセットしてターンエンドね」
霍手札:1→0
「僕のターン、 ドロー」
アモン手札:3→4
「む・・・テテュスでセットモンスターに攻撃」
「セットモンスターはメタモルポットだね
互いに手札を全て捨てて5枚ドロー」
「ふん・・・」
アモンが捨てたカード
召喚雲
雲魔物-タービュランス
雲魔物-アルトス
雲魔物-ゴースト・フォッグ
アモン手札:4→5
霍手札:0→5
「手札の中に雲魔物-ニンバスマンが有ったから
テテュスの効果で1枚ドローする」
アモン手札:5→6
「良し、 今ドローしたサイクロンで御前試合を破壊する
そしてモンスターをセットしてフィールド魔法、 天空の聖域を発動
カードを1枚セットしてターンエンド」
アモン手札:6→3
「御前試合を破壊してスピリットバリアと同じ働きを持つ天空の聖域を発動
まだ五分に持っていけましたかね?」
「寧ろフィールド的にはアモンさんの方が優勢でしょうかね?」
マリンと宮迫が話し合っている。
「しかしカード1枚でひっくり返るのがデュエル
ガジェットは自由度が高くパワーカードを入れやすいデッキですから
逆転は容易でしょう」
「なるほど、 メタモルポットで手札を補充したしこれからの展開を見ましょう」
「私のターン、 ドローね」
霍手札:5→6
「古代の歯車機械を召喚するね
そして効果発動、 このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合
カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言し
このターン、 自分のモンスターが攻撃する場合
相手はダメージステップ終了時まで宣言した種類のカードを発動できない
私は罠を宣言するね」
「・・・・・」
ポーカーフェイスのアモン。
「流石に顔には出ないね、 そして第二の効果により
1ターンに1度「ガジェット」モンスターのカード名を1つ宣言し
エンドフェイズまでこのカードは宣言したカードと同名カードとして扱うね
私はグリーン・ガジェットを宣言するね」
「まさか・・・」
「多分そのまさかは当たっているね、 2枚目の機械複製術を発動
グリーン・ガジェット2体をデッキから特殊召喚
2体のグリーン・ガジェットの効果でレッド・ガジェット2枚を手札に加えるね」
「フィールドにガジェットは満ちた・・・
しかしテテュスを超える攻撃力を持つモンスターは居ない」
「これからね、 焦せらないね
グリーン・ガジェットとグリーン・ガジェット扱いの
古代の歯車機械を墓地に送って
起動提督デストロイリボルバーを攻撃表示で特殊召喚ね」
「ここで高攻撃力のモンスターを召喚か」
「いやいや、 こいつの本領はここからね
デストロイリボルバーは1ターンに1度だけ
このカード以外のフィールドのカード1枚を破壊出来る
当然天空の聖域を破壊するね」
「折角出したのにもう破壊されるか・・・」
「ではテテュスにデストロイリボルバーで攻撃」
「発動できるカードは無い・・・」
アモンLP:2500→2400
「グリーン・ガジェットでセットモンスターに攻撃」
「セットモンスターはグリズリーマザーだ
僕は雲魔物-ポイズン・クラウドをデッキから特殊召喚する」
「面倒ねー、 カードを2枚セットしてターンエンド」
霍手札:6→3
「大型モンスターの特殊召喚、 やるやないけ」
アークティック校の控え室で矢島が褒める。
「永続罠が多いデッキなら
そろそろ宮廷のしきたり引いて来たか?」
「引けたのならばますます手が付けられないな」
トミーの推測は当たっていた、 今セットしたカードの1枚は宮廷のしきたり。
これでスピリットバリアは1回は守れる。
「こっちのライフもまだ全然減ってない
このまま押しきれればやっと白星1や」
「まだまだ楽観は出来ないだろうあのアモンと言う男は前のターンにまるで動揺していなかったつまりそれはあの伏せカードが何らかの布石になっている可能性は非常に高いつまり次のターンに逆転される可能性が非常に高いと言える」
唐突に捲し立て始める番外。
「喋り出したかと思えば・・・デストロイリボルバーはガジェットが居れば
破壊されない効果を持っている、 あの伏せカードが全体除去でも1回は持つ」
「除外バウンズコントロール奪取破壊以外にも方法は山とある」
「それを偶々引けるか?」
「ごちゃごちゃうるせぇなぁ、 寝れねぇだろ・・・」
アーネストが横になってうざがっている。
「兎も角、 ここからの逆転は難しいでぇ」
「人それをフラグと言う」
「えぇい句読点付けて喋れや!!」
「僕のターン、 ドロー」
アモン手札:3→4
「死者転生を発動、 手札を1枚捨てて
雲魔物-ゴースト・フォッグを手札に戻す」
手札から捨てたカード
地獄の暴走召喚
「そして雲魔物-ゴースト・フォッグを召喚
そしてポイズン・クラウドでグリーン・ガジェットに攻撃」
「む? 何のつもりね?」
「ポイズン・クラウドは戦闘破壊される、 だが戦闘破壊された
ポイズン・クラウドの効果発動
このカードを破壊したモンスターを破壊し
相手ライフに800ポイントダメージを与える」
「むむ」
アモンLP:2400→1000
霍LP:4000→3200
「そしてゴースト・フォッグでデストロイリボルバーに攻撃
ゴースト・フォッグの戦闘によって発生する
お互いのプレイヤーへの戦闘ダメージは0になり
このカードが戦闘によって破壊された場合
このカードを破壊したモンスターのレベルの数だけ
フォッグカウンターをフィールド上に表側表示で存在するモンスターに置く
僕はデストロイリボルバーにフォッグカウンターを8つ乗せる」
「カウンターを乗せたか・・・」
「次に手札から雲魔物の雲核を発動
手札のニンバスマンを捨ててニンバスマンのレベル
つまり5つのフォッグカウンターを
フィールド上に表側表示で存在するモンスターに置く」
「これで合計13個・・・何をするつもりね」
「罠発動、 上昇気流
フィールド上のフォッグカウンターをすべて取り除き
取り除いたフォッグカウンターの数×300ポイントダメージを
相手ライフに与える」
「13個だから3900!?」
霍LP:3200→0
「けけけ決着ぅううううううううううううう!!!?」
マリンが絶叫する。
「戦闘ダメージでは無く効果ダメージでの勝利!!
宮迫さん、 これは如何ですか!?」
「驚きました、 つまり前のターンで仕込みは終えていた
と言う事でしょうか・・・しかし雲魔物には
確かもっと能動的にカウンターを乗せるカードが有った筈」
「つまり手札事故を起こしての勝利、 ですかね?」
「メタモルポットのドロー加速がアモン君に勝利を齎した
と言っても良いですね」
「なるほどー、 気を付けないと」
「そ、 そんな・・・馬鹿な・・・」
霍が膝をつく。
「あ」
霍はそのまま倒れた。
「ちょ、 誰か助けてほしいねー!! 一人じゃ起き上がれない」
じたばたする霍を助ける係員達。
アモンも筋肉を駆使して助けるのであった。