遊戯王GX 転生者、都市伝説に挑む   作:Mr.後困る

33 / 55
アカデミア対抗戦:こまったさんVS印南(´・ω|

デュエルリングで見た印南の第一印象は【病人】だった。

細い体に骨ばった顔、 病に侵されている印象だった。

侮りはしないが心配にはなる風貌だと皆が思った。

 

こまったさんを除いては。

 

「・・・・・」

 

目の前のこの男、 並のデュエリストではない。

こまったさんはそう判断した。

 

「なぁ、 こまったさん、 一つ良いか?」

「・・・なぁに?」

「俺は体が弱いから長い試合には耐えられない

だからこのデュエル互いにライフポイントを2000でデュエルしないか?」

「・・・・・」

 

通常ならば即受して良い条件だったがわかったさんは硬直した。

わかったさんのデッキはアレクチェイン。

魔力の枷でライフは削られる

更に効果ダメージを与えるカードも入っている。

2000の壁は薄い、 だがしかし・・・

 

 

 

 

 

 

「印南さんがフルバーンだったら即終了だね・・・」

 

ひはつが控え室で呟いた。

 

「いやフルバーンだったらライフ4000でも充分即死圏内じゃない?」

「そうでも無いと思うけど」

「あり得ないな」

 

亮が断言する。

 

「カイザー、 何でそう思うんだ?」

「あの印南と言う男も代表として選ばれた男

そんな単純な戦略で勝てるとは思えない」

 

ライフ4000ならフルバーンで余裕だろwww

と思う読者諸賢も居るだろう。

しかしながらフルバーンは大して人気の無い戦法である。

まずプロの中では盛り上がりに欠ける戦術で有る為

使われる事は稀、 使われたとしても効果ダメージ対策に阻まれる。

プロは効果ダメージ対策もしっかり行うのだ。

フルバーンは地雷デッキ扱いになっている。

 

「そんな単純な戦術ならばこの大舞台に立てない」

「なるほどな・・・ならマジで体調が悪いのか?」

「可能性としては無くは無いが・・・」

 

 

 

 

 

 

「これは・・・如何なんでしょうか? アリなんですか?」

 

デュエルリングの傍に待機しているジャッジが鮫島に連絡して対応を問う。

 

『双方が納得の上ならば問題は無いですよ

寧ろ早く試合が進んで良いと思います』

「はぁ・・・そうですか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

こまったさんはデュエルリングで思考していた。

 

「・・・・・こまったわね・・・」

 

あまりに自分にとって都合の良い展開に困惑するこまったさん。

アレクチェインならば余裕でイケる。

だがしかし・・・

 

「貴方ばかり一方的な事を言うのは如何かと思うわ

だから私の要望も聞いて貰うわ」

「要望?」

「大した事じゃないよ、 先行を貰う、 と言う事よ」

「別に構わねぇよ」

「ならOK、 それでいきましょう」

 

互いにデュエルリングを弄って

ライフポイントを2000に設定しデュエルが始まった。

 

「「デュエル!!」」

 

「私のターン、 ドロー」

 

こまったさん手札:5→6

 

「モンスターをセットして魔力の枷を発動してターンエンド」

 

こまったさん手札:6→4

 

 

 

 

 

 

「第一ターンから魔力の枷、 こまったさんの第一ターンとしては

理想、 とまでは行かないが中々順調な滑り出しね」

 

わかったさんが呟く。

 

「これで相手は魔力の枷を破壊するにしても確実に1回は発動するから

ライフ1500か・・・少し辛い展開になるね」

「だとしてもあの印南って人は・・・

余裕? ではなさそうだね、 体調悪そうだし」

「まぁどんなデッキだか、 お手並み拝見と行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン、 ドロー」

 

印南手札:5→6

 

「サイレント・マジシャン LV4を召喚」

「サイレント・マジシャンですって!?」

 

驚愕するこまったさん、 武藤遊戯の使用カードの1枚。

しかも進化前とは言えエース級のカード。

会場が騒めく。

 

「魔力の枷でライフを支払って下さい」

「分かっている」

 

印南LP:2000→1500

 

「次にレベルアップ!を発動

サイレント・マジシャン LV4を墓地に送り

サイレント・マジシャン LV8をデッキから攻撃表示で特殊召喚」

 

印南LP:1500→1000

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

武藤遊戯のエースとも言えるモンスターに沸く会場。

 

 

 

 

 

 

「武藤遊戯のエースカードサイレント・マジシャン LV8!!

まさかそのカードを持っていたとは・・・」

「・・・ちょっと待って」

 

控え室でメグが疑問を口にする。

 

「どうしたんだメグ?」

「武藤遊戯のエースってブラック・マジシャンじゃないの?」

「それもそうだけど、 武藤遊戯は他にもエース級のカードを

沢山デッキに入れているじゃないか」

「そうなの?」

「武藤遊戯のデュエル、 見た事無いの?」

 

確かにメグはデュエルの試合等はあまり見ていない。

彼女からすればレベルが低いのだ。

 

「しかし、 これで幾ら攻撃力が高くても

相手は守備表示だからダメージを与えられない・・・」

「いや、 これは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「抹殺の使徒を発動、 セットモンスターを破壊する」

 

印南LP:1000→500

 

「ジャイアントウィルスが・・・ここまでね・・・」

「そしてサイレント・マジシャン LV8でダイレクトアタックだ」

 

こまったさんLP:2000→0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかのサイレント・マジシャン LV8を

召喚しての決着うううううううううう!!!」

 

マリンのボルテージも天井知らずに上がっている。

 

「まさか学生同士の対抗戦でサイレント・マジシャンを見るとは・・・

あの印南と言う男・・・何者だ?」

「資料が届きました、 えーっと・・・

何でも体調不良で出席日数が足りず、 現在三留中だそうです」

「三留かぁ・・・気の毒に・・・」

「因みにですが

同じくイースト校の代表のスウィーニー・トッドは八留中だそうです」

「留年し過ぎだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「そうか・・・その手が有ったか・・・」

 

矢島が控え室でモニターを見て呟いた。

 

「ふあああ・・・何がその手が有ったかなんだ?」

 

カーマンが欠伸をしながら尋ねる。

 

「強いデュエリストを留年させればウチの学校のデュエルレベルは

下がる事はない!!」

「いや、 アホかよ・・・何でそこまでデュエルレベルとかに拘るんだ?」

「何言ってるんや、 良い宣伝になるだろうが!!」

「・・・・・宣伝ねぇ・・・俺に金を払ってデュエルさせてるのもその一環か?

宣伝してもアンタに実入りがねぇだろうが」

「いや充分にある!! 南極の糞寒い場所の学校の校長でも

充分に稼ぐ方法が有る!!」

「興味有るな」

「ええやろ、 教えたるわ」

 

矢島が解説を始めた。

 

「まず初めにデュエルアカデミア校長になったらどんなメリットがあるか?

考えてみぃ」

「・・・・・給料が高い?」

「勿論ペイは良い、 くっそ寒い南極と言う立地に住み続けると言う

アホみたいな事をさせられているんだから

給料が安かったら誰も行かんわ、 だがしかし他にも色々メリットは有る」

「メリット?」

「それぞれの学校における裁量権を握れる」

「はぁ? つまりそれって『校長はすごいねー』とか言う

コロコロコミックで出て来そうな校長賛美って事か?」

「違う違う、 色々と金儲けが出来る」

「???」

「まず最初に南極に物を運ぶのは普通よりも難しい

って事は想像出来るやろ?」

「それは分かるよ」

「せやろ、 運送会社に頼んで特別便を出して貰う必要がある

色んな運送会社がデュエルアカデミアとの繋がりを求めて

是非ウチに、 と頼み込んで来る

ワシはどの会社にするか決められる権限を持つ」

「・・・・・で?」

「会社の方から色々と菓子折りやら何やらを持って来てくれる

と言う訳や」

「日本で言う所の黄金色のお菓子って奴?

バレるだろ・・・そんな事したら」

「いやいやまず最初に契約の代金として支払うワシが

と言うよりはオーナーの海馬コーポレーションが支払う金に

リベート分乗っけるんや、 浮いたリベートがワシの元に入って来る

運送会社だけやなく、 他の食品やら建築やら燃料やらの会社からもずぶずぶや」

「オーナーは何も言わないのかよ? 海馬瀬戸を騙せるとは思えない」

「なぁに、 見積に少しずつ水増ししていくんや

例えば最初の運送会社ならば燃料リッター500円を550円と言う具合に

細部で水増しして全体的に上乗せするんや」

「なるほどなぁ・・・賄賂で大金を稼ぐ、 と」

「それだけやない」

 

矢島がぴ、 っと指を指す。

 

「他にもまだ金を稼ぐ手段はある、 寧ろ賄賂は序の口や」

「まだ金が欲しいのかよ」

「当たり前や、 賄賂を受け取っても

安全の為に職員を抱え込む必要があるからな

金は幾ら有っても困らない、 次に生徒達に対する教育や」

「教育ぅ?」

「そう、 南極だから情報が少なくこっちの教育で思いのまま

クズカードを使えるカードと偽って大金で売り捌ける」

「ちゃちぃ・・・」

「いやいや、 これが馬鹿にならない金が動く

そもそも南極の学校に態々入学する奴ってどんな奴だと思う?」

「うーん・・・金持ちか?」

「それも有る、 しかし金持ちと言うだけならば

態々子を南極まで送って来ない、 言うならば島流し

子供を捨てる行為に等しい」

「え・・・親、 外道じゃんか」

「せやな、 まぁワシも金さえ払って貰えればオプションもやったるわ」

「オプション・・・」

 

カーマンはその響きから何かを察し、 黙った。

 

「せやからカーマン、 アンタには頑張って貰うで?」

「それは問題ねぇよ、 次の試合は機械、 スクラップにしてやる」

「それは頼もしいわ、 でも油断するんやないでー」

「あぁ」

 

カーマンは控え室から出て行った。

 

「うぉ!?」

 

そして驚いた控え室の外にぼさぼさ髪の男が立っていた。

 

「あんたは・・・イースト校のスゥエ・・・スウィ・・・何だっけ」

「スウィーニー・トッド」

「何でここに?」

「何でも何でもちょっと売店から行って帰って来ただけだ」

「はぁ? だから何でここに?」

「イースト校の奴がイースト校の控え室に帰って来て何か問題でも?」

「いや・・・ここはアークティックの控え室だぞ」

「あ・・・部屋を間違えたか、 すまない」

 

スタスタと去って行くトッドだった。

 

「何だって言うんだアイツ・・・」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。