アカデミア対抗戦から1週間が経った。
デュエルアカデミアは日常に戻ってはいなかった。
カイザー亮のリスペクトデュエルを軽視したかの様な発言に
生徒を含めたサイバー流関係者は激震。
大いに論争が巻き起こっていた、 学園内にも議論が巻き起こっていた。
そしてもう一つ議論が起こっていた。
「だからリスペクトに反しているだろうが!!」
「リスペクトに関係無く褒められた勝ち方じゃないだろう」
「いやいや、 それは負け犬の遠吠えだろう」
「そうだよ、 そもそも除去の対策無しに大型モンスターを出すのは
どうかと思うね」
ブルー寮の談話室に集まり議論をしているオベリスクブルー生徒達。
「またやってますね」
「・・・・・ああ」
その様子を見ている万丈目と太陽。
彼等はノース校から本校に復帰したのだ。
「あ、 万丈目さん、 万丈目さんは如何思います?」
「・・・・・ああ」
「・・・万丈目さん? やっぱりあのレッドのドロップアウトの勝ち方に
納得いっていないんですよね?」
「・・・・・負け方には興味はない、 次は勝つ」
「君達、 万丈目さんと十代とのデュエルに対して
当事者でも無いのにぐちぐち言うのは止めろ、 うんざりだ」
そう、 対抗戦にて十代と万丈目とのデュエルにおいて
F・G・Dをスルーして勝利すると言う十代の勝ち方は
議論が巻き起こっているのだった。
「・・・・・はぁ・・・」
「・・・万丈目さんは十代との戦いで負けて落ち込んでいるんですか?」
「・・・次は勝つから『それは』落ち込んではいない」
「それは? じゃあ一体何を落ち込んでいるんですか?」
「F・G・Dをオークションで落札したんだけど
実は相場より高く落札したから貯金が無くなって・・・」
「それで落ち込んでいるんですか? 万丈目財閥の御曹司なのに?」
「・・・俺はまだ学生だぞ、 口座にそんなに金は無いんだ」
「因みに幾らで落札したんですか?」
「20万」
「うーん・・・確かにそれは落ち込む値段・・・何ですかね?」
「・・・・・兎も角だ、 お前達、 色々と間違っている」
「間違っている? 何がですか万丈目さん」
「十代が気に食わないなら、 デュエルでもして倒せば良い
論より証拠、 言葉よりも行動だ、 デュエル許可願いでも書いて出せ
血の気の多い奴はもう既に行動しているぞ」
一方その頃、 レッド寮。
「ガッチャ!! 楽しいデュエルだったぜ!!」
「レッドの屑にこの俺が・・・!!」
崩れ落ちるブルーの生徒。
十代は先程から5人の生徒から立て続けにデュエルを申し込まれ勝利していた。
「中々に面白いわね、 HEROって言うのは」
赤い制服に身を包んだ色彩とひはつが十代を眺めている。
「融合モンスターが色々と便利だからね」
「そうね、 ひはつ君だったかな? アンタは十代君の勝ち方を如何思う?」
「勝ち方に良し悪しは無いでしょ、 勝ちは勝ちだよ」
「だよね、 サイバー流はリスペクトに乗っ取り過ぎて勝ちを見失う馬鹿が多い
勿論、 勝ちに固執するのは良くないけどもね」
「そうかな? 勝たなきゃダメでしょ、 っておーいメグー」
やって来たメグに声をかけるひはつ。
メグはひはつの元にやって来た。
「や、 ひはつ」
「やぁ、 今日は如何したの?」
「さっきに何か殺気だった連中が大勢レッド寮に向かったから何事かと思って
後を追って来た、 何が有ったの?」
「十代とデュエルしに来たよ」
「あらそう・・・あれ? 誰、 貴女?」
「私は七色 色彩、 元ノース校だったけどもこの度本校にやって来ました
貴女の事は知って居るわ友愛さん」
「メグで良いよ色彩」
「あら、 そう」
「所で何でレッド寮に? 女子は無条件でブルーだけども?」
「第一サイバー流デュエル部の生徒は全員ブルーだからね
敵と同じ屋根の下では暮らせない」
「敵?」
「私は第一サイバー流デュエル部の顧問を倒す為にこの学校に来た」
「なるほどね・・・でもそれだったらイエロー寮でも良くない?」
「イエローよりもレッドの方が実力は上と見た
対抗戦の代表に2人も居るしね」
「確かにそうね・・・」
首を鳴らすメグ。
「所でブルー寮の方はどう? カイザーに物申したい人は居るんじゃないの?」
「もう彼に文句を言ったり、 挑む気概のある奴は居ないよ・・・
あれ・・・何か足りない様な・・・」
首を傾げるメグ。
「あぁ、 そうだ、 翔は如何したの?」
「翔は大分参っているよ、 十代とカイザーの行動に対して
自分は如何するべきか迷っている」
「それは・・・辛そうね・・・」
デュエルアカデミア各校対抗戦で代表者は望むのならば本校への転学が認められた。
明日香も本校に戻った、 意外にも希望者は殆どいなかったが
イースト校のスウィーニー・トッドも本校に転学して来た。
来る者も居れば去る者も居る。
船着き場で十数人の生徒と最煉が居た。
「本当に去るつもりかい、 最煉」
見送りの才眠が尋ねる。
「当たり前だ!! 俺はもう見限った!!」
「だがしかしカイザーの強さは折り紙付きだろうに」
「俺が見限ったのは鮫島師範代だ!!
今回の件について話し合おうにもとっととどっかに行ってしまった!!」
「仕方ないだろう、 オーナーから直々に呼び出されたんだから
勤め人なんだし行かない訳にも・・・」
「ならば一言欲しかった!! だがしかしそれすら無い!!」
「だけどこんな形でとっとと辞めるのも不義理だろう
サイバー流で仕事を受けられなくなるよ?」
「仕事なんて如何でも良い!! リスペクトデュエルを守らなければならない!!
そうだよな!!」
「「「「「はい!!」」」」」
生徒達、 否、 元生徒達も叫ぶ。
「我々は新しい一派を立ち上げるつもりだ!! 才眠、 お前は如何する!?」
「ここに残るよ」
「そうか!! ではな!! 達者で暮らせ!!」
船に乗って去る最煉一派。
「・・・全く、 面倒な事になって来たな・・・・」
最煉がデュエルアカデミアを去った頃
鮫島と矢島は海馬コーポレーションの社長室に呼び出されていた。
それぞれ面談と言う形で一人ずつ話をする事になった。
「矢島、 お前はクビだ」
海馬コーポレーション社長の海馬瀬戸は気怠そうに椅子に座って宣告した。
「く、 クビ!? い、 一体なんでや!?」
「プロデュエリストを代打ちとして雇い、 尚且つ負けたからだ
お前にはデュエリストを見る目が無い」
「負けたのはプロが悪い!!」
「アークティック校には優秀なデュエリストが居たでは無いか
ヨハンだったか?」
「あの滅茶苦茶なデッキを組んでいる奴に運命を託す事は出来ない!!」
「強ければ良いだろう、 そして矢島
タレコミでお前が不正を行っていると通報が有った」
「不正? 一体何だ?」
「こっちに色々と水増し請求しているらしいな」
「・・・・・」
汗が流れる矢島。
「この問題を公表しないでやる、 その代わりにお前は校長を降りて貰う」
「・・・・・分かった、 ええやろ」
歯軋りをしながら社長室を出た矢島。
入れ替わりに鮫島が入って来た。
「来たか鮫島、 貴様には色々と言いたい事が有る」
「はい、 何でしょうか?」
「まず初めに本校から放逐された生徒が強くなって帰って来た、 と言う話だ」
「本校に戻る為に分校で鍛え直したのでは?」
「そうか、 俺もそう思う、 では次だ」
ぱさり、 と週刊誌をほおる。
表紙には『デュエルアカデミアの行き過ぎたスクールカースト!?
いじめなんて生易しい差別の温床か!? 行方不明者多数!?』と書かれている。
「こ、 これは・・・」
「国崎康介と言う元プロデュエリストがデュエルアカデミアに潜入して
色々調べたそうだ・・・ここまでザル警備だったとはな
不審者が入って来たらどうするつもりだ?」
「・・・申し訳ありません、 しかしながら倫理委員会の再編等で
警備業務の引継ぎがありまして」
「苦しい言い訳だ、 だがまぁ許そう
しかし行方不明者多数と言うのも先に話を聞いていたが
情報漏洩迄すると庇い切れない、 万が一の場合、 お前の首を切るからな」
「そ、 それは・・・その・・・」
「それも置いておこう、 問題はコレだ」
海馬が『差別の温床』の部分を指差す。
「差別、 ですか、 しかし寮で分けるのは海馬オーナーの案だった筈です」
「差別が悪いと言っているのでは無い
だがしかし、 だ、 積極的にレッドを見下し虐げるのは宜しく無いだろう」
「・・・? 差別が駄目なのか如何なのか分からない発言ですね」
「俺が言っているのは差別は良いが差別を進んでするのは如何な物か
と言う話だ、 下を好んで虐げるのは聊か余裕が見て取れる
ハングリー精神が足らん、 無常にもデータを送って貰ったが
オベリスクブルーがデュエル許可願いで強者と戦う事が殆ど無いそうじゃないか」
「それではオーナー、 一体如何しろと言うんですか?」
「寮の人数構成を再編成する」
「再編成?」
「オシリスレッド、 ラーイエロー、 オベリスクブルーの
生徒の数は大体同じだったが、 オベリスクブルーの人数を
いやラーイエローも減らしてオシリスレッドの生徒の数を・・・
そうだな、 全校生徒の七割程にしよう」
「な・・・それは極端では?」
「生徒を甘やかした結果がデュエルそっちのけの差別だ
差別よりもデュエルに心を砕け、 と言う話だ
女子も三色に分けるぞ、 オベリスクブルーなのに弱い女子が多いからな」
「し、 しかし・・・寮の人数を増減するのは聊か問題が有りますよ
学生寮のキャパシティが全然足りません」
「それは問題無い
学園祭の会場設営のついでにプレハブ小屋を建てるつもりだ
新しいレッド寮が出来る迄はそこで我慢して貰おう」
「しかし生徒からの反感が・・・」
「お前がしっかりと生徒の手綱を握らないからこうなる」
話は終わりだ、 と手を振る海馬。
とぼとぼと鮫島は立ち去った