Devilblade -デビルブレイド-   作:滅悪狩人

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ふとした思いつきで考えた作品です


動画で見ていたゼノブレイド2で出てきたホムラの剣がなんだかネロのレッドクイーンに見えたのでゼノブレイド2とデビルメイクライを掛け合わせたら面白そうだと思いました。


第一章 出逢い
第一話 依頼


 

 

 

天空にそびえ立つ「世界樹(せかいじゅ)」を中心に広がる雲海(うんかい)の世界

 

 

 

『アルスト』

 

 

 

雲海、さらには世界樹が誕生するよりも昔の(いにしえ)の時代

 

 

 

世界は魔界の帝王とその軍勢の進行により破滅の一途を辿っていました

 

 

 

人類は絶望に打ちひしがれすべてを諦めかけていました

 

 

 

しかし

 

 

 

絶望する人間達を見た一人の悪魔が正義の心に目覚め、自らと同じ名を冠した魔剣を手にたった一人で魔界の帝王とその軍勢に立ち向かったのです

 

 

 

人類の味方をする悪魔に人間達は、感謝し、崇め、そして共に魔界の帝王と戦いました

 

 

 

人類の協力によりその悪魔は魔界の帝王と軍勢を倒したのち、自らの強大すぎる力と共に魔界を封印し人類を悪魔の脅威から救ったのでありました

 

 

 

世界を救ったのち、その悪魔は忽然と姿を消したが人類はその悪魔に感謝し平穏な世界を保つことを誓ったのでありました

 

 

 

人類の救世主となったその悪魔の名は

 

 

 

魔剣士『スパーダ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パタンッと本が閉じられた。

 

 

 

 

 

「平穏な世界を保った結果がこれかよ……」

本を持っていた青いサルベージスーツを着た"青年"は機嫌が悪いのを隠す様子もなく吐き捨てるようにそう言うと、本を見渡す限りの白い海である雲海へと投げ捨てた。

青年は雲海に浮かぶ孤島でビーチチェアに寝転がっていた。

髪やサルベージスーツが濡れており、先程までサルベージを行っていたのだろう。

 

 

 

「なんじゃ今日はいつもより機嫌が悪いの?」

 

 

「…別に……いつも通りだよ」

そんな様子を見ていたのかしゃがれた老人のような声が聞こえ、青年がそっけなく返すが彼の周りには誰も居らず青年しか孤島にはいなかった。

 

 

 

「そうか……で、どうじゃったお宝の具合は?見立てどおりだったのか?」

 

 

「まずまずってところだな手間賃を差し引いても、こないだ引き上げた軍需物資を売ればお釣がくるだろ……今なら軍需物資は高く売れるしな、戦争様々だな」

 

 

「引き上げるものの構造計算に2日もかけるくせに、損得勘定だけは早いんじゃな」

老人の声と共に孤島の前方から長い首のようなものが上がってきて、一本角を持った竜の頭が現れた。

孤島だと思っていた場所は、どうやらこの竜の背中だったようだ。

 

 

 

「うるせぇな、せめて商売上手って言え…よっ!!」

青年は竜の言葉に文句を返しながら大きめの工具を持ち出すと、先程引き上げたであろう施錠された鉄製の箱の隙間に差し込んだ。

 

 

 

「こんなクソッタレな世界を必死に生きてんだから、せめて(たくま)しいって褒めろよ…なっ!!………っ!?」

竜にそう言いながら箱をこじ開けようとしていた青年だったが、不意に中から気配を感じた彼はとっさに後ろへ下がり警戒した。

それと同時に箱が内側から開けられてナニかが飛び出してきた。

それは大きな(はさみ)を持ったエビのような姿をしたモンスターであった。

 

 

 

「ギシャァァ!!」

 

 

「カムリ・シュリブか、こいつは七輪で焼けば美味いんだよな」

青年がポツリとそう呟くと、言葉を理解したのかは分からないがシュリブは鋏を大きく振りかぶり青年に振り下ろした。

 

 

 

「おっと…」

それを青年は余裕そうに身体を(ひね)りながら後ろへ軽く跳んで回避した。

 

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

「平気だ、こんなザコに負けるかよ」

そう言って青年は後ろの家にある武器を取りに行こうとするが、それを見過ごすモンスターではなく背を向けた青年に向かって飛びかかった。

 

 

 

「はしゃぐなよエビ野郎」

しかしその行動を予想していたのか青年は腰のホルスターから銃を取り出し、ズドンッと大きな音と共にシュリブに向けて発砲した。

通常の銃火器ではシュリブの硬い甲殻は貫けないのであるが、青年の持つ銃は違った。

銃弾を受けたシュリブの装甲は砕け、その身を貫いたのであった。

 

 

 

「ギギィィッ!?」

 

 

「おいおいまさかこれで終わりじゃねぇだろうな」

断末魔を上げのたうち回るシュリブに向けて、武器を取ってきた青年は挑発の意味も込めたセリフを言いながら手元の銃を(いじ)っていた。

青年の持つ銃は、上下2つの銃身が伸び、一般的な銃と比べて一回り大きい銃であった。

 

 

 

「ギギギッ!!」

 

 

「立ったな……なかなかガッツがあるじゃねぇか」

立ち上がったシュリブを見て満足そうにそう言うと、青年は家から取ってきて背負っていた武器を背中から引き抜いた。

銃と同じくその武器もまた異質であった。

見た目は片刃の剣なのだが大きさが青年の身長と同じぐらいあり、柄の部分にはバイクのアクセルのようなものとレバーのようなものが取り付けられていた。

そして青年が剣を下に突き刺し柄の部分を(ひね)ると重厚な音と共に剣から炎が噴き出した。

 

 

 

「アイタタタッ!?コラァ!!ワシの背中に剣を突き刺すなとあれほど言ったじゃろうがー!?」

 

 

「あっ……わりぃ、ついいつもの癖で」

だが突き刺した場所が地面ではなかったために青年は竜に怒られてしまった。

 

 

 

「ギギィッ!!」

青年と竜が漫才のようなやり取りをしている(すき)にシュリブが再び青年に飛びかかってきた。

 

 

 

しかし

 

 

 

「ギッ!?」

エンジンを吹かすような音と同時にシュリブの両腕の鋏が根元から切断されていた。

前を見れば青年がすでに大剣を構えシュリブに向かって突進してきていた。

 

 

 

Be gone(失せろ)!!」

そしてセリフと共に突進の力を利用して横一線に剣を振り抜き、シュリブの身体を真っ二つにした。

そのままシュリブの身体は斬られた衝撃で後ろに吹き飛び雲海へと沈んでいった。

 

 

 

「よし終わりっ!!」

 

 

「相変わらず豪快な戦いぶりじゃな」

 

 

「まだまだ暴れ足りないけどな」

そう言うと、青年は切断したシュリブの腕を焼くための七輪の準備にかかっていた。

 

 

 

「今日の七輪の場所はここでいいか?」

 

 

「そこでええぞ」

 

 

「あいよ」

竜の返答を聞いて青年は七輪に火を点けて、シュリブの腕を乗せた。

その後は、シュリブの腕が焼き上がるまでの間に青年はシュリブの入っていた箱を調べたり、銃や剣の手入れをするのであった。

 

 

 

 

 

しばらく時間が経ち不意に七輪に目をやれば、しっかりと焼き上がり殻が赤く染まったシュリブの腕があった。

 

 

 

「あぁ〜、七輪の熱が心地良いわい……肩こりに効くの〜」

 

 

「そろそろ動かすか?」

 

 

「いや、しばらくはそこでいい〜」

 

 

「わかった」

そう言って、青年はシュリブの腕を七輪から上げて殻を割り豪快に身にかぶりついた。

 

 

 

その時

 

 

 

どこからか鳴き声のようなものが聞こえ、青年が立ち上がり声が聞こえてきた方向を見ると、サメとエイが混ざったような巨大生物が雲海から現れて胸元の光が消えるのと同時に沈んでいく姿があった。

少し遅れて雲海に沈んだ際の風圧が竜と青年の所にまで吹いてきた。

 

 

 

「また……巨神獣(アルス)が死んだのか、最近多いな」

 

 

「たしかに増えたの」

 

 

「人は……いねぇか、居たとしても逃げ出してるかしてるだろうしな」

沈んだ巨神獣(アルス)のことに興味がなくなったのか青年は再び七輪の前に座ると、食事を再開した。

 

 

 

「いずれ命が尽き雲海に沈む……それがワシら巨神獣(アルス)運命(さだめ)じゃからの、(あらが)ったところで詮方(せんかた)ない」

 

 

「セイリュウのジイさん達、巨神獣(アルス)は本当にあの上で生まれたのか?」

青年は遠くでそびえ立つ世界樹の上を見ながら竜あらため小型巨神獣(アルス)のセイリュウに問いかけた。

 

 

 

「さぁな、伝承ではそうなっとるがワシが生まれたのはこのアルストの世界じゃ……ご先祖がどこで生まれたのかまでは知らん」

 

 

「世界樹の上の楽園……か…」

そう言って青年は自身の右腕に視線を向けた。

そこには何重にも巻かれた包帯によって隠された右腕があった。

 

 

 

「もし本当に神様ってヤツがいるのなら、俺は楽園に行きてぇ……そして…」

右腕から世界樹に視線を変えた青年の表情には、怒りと憎悪の感情が込められていた。

 

 

 

「こんなクソッタレな世界を作ってくれやがった神をブッ殺してやるっ!!」

 

 

 

 

 

しばらくして食事と休憩を終えた青年は、売りさばくための商品の確認をしていた。

 

 

 

「今日はこのぐらいでいいか……ジイさん、今からアヴァリティア商会に向かってくれないか?」

 

 

「今から換金か〜?ワシはもう寝る時間なんじゃがの〜」

 

 

「ワザとらしく老け込むなよジジイ、まだ日は高いだろうが……それに寝るならアヴァリティア商会についてから寝ろよ」

 

 

「まったく巨神獣(アルス)使いの荒いヤツじゃの〜、レックスは……」

 

 

「そう言うなよ、それに換金したらしばらくはサルベージ業は休業してのんびりするんだからよ」

文句を言いつつもアヴァリティア商会に向かうセイリュウに対して、青年もといレックスはそうなだめたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❴アヴァリティア商会❵

 

 

 

セイリュウがアヴァリティア商会に向かっている間にレックスはサルベージスーツからいつもの普段着に着替えを済ませていた。

ズボンはサルベージスーツの伸縮性の半ズボンから黒のジーパンへ変わり、靴もサルベージ用から中に鉄板を仕込んだ特注の黒ブーツへと履き替えていた。

上半身は少し厚めの半袖シャツの上に紺色のフード付きコートを着ており、両腕の袖は肘のところまで(まく)られて(すそ)は膝裏のあたりまで伸びているコートであった。

そして、大剣を背負うための革製の剣用ホルスターと腰背部に大型リボルバーをしまうためのホルスターを身に着け完全武装もしていた。

 

 

 

「よぅレックスじゃないか、景気はどうだい?」

 

 

「悪かったらこんな所に来ねぇよ、あと荷揚げは換金してから下ろしてくれ」

アヴァリティア商会に到着したレックスがセイリュウから降りた所に、アヴァリティア商会の者らしき人物が喋りかけてきた。

彼はアヴァリティア商会に船を停める時の代金回収係であるため、よくアヴァリティア商会に来るレックスとは顔馴染みになっている。

 

 

 

「わかった、船を停めるなら半日で15ゴールドだぞ」

 

 

「ほらよ」

そう言って、レックスは小さな革袋を投げ渡した。

 

 

 

「毎度あり……ってレックス!!これ30ゴールドあるぞ!?」

 

 

「商談が長引いた時の為だ、釣りはいらねぇから取っとけ」

そしてレックスはそう言うと、商談をするためにアヴァリティア商会の中へと歩いていった。

 

 

 

「はぁ、相変わらず金使いが荒いというか豪快というか……ずいぶん変わったなレックスの奴………そう思わないかいセイリュウさん」

 

 

「そうじゃの……"あの子"を失った時からレックスは変わってしまった」

セイリュウはかつてレックスに寄り添ってくれていた少女のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

一方、商談のため向かっていたレックスは不意に足を止めて港に停泊していた船を見ていた。

 

 

 

「あれは……巨神獣(アルス)船じゃないのか、スゲェなあんなデカイのに」

停泊していた船の中の一隻にレックスは興味を持っていた。

その船は黒のボディカラーをしており船首部分には金色の装飾がなされていた。

そしてなにより一般的な船である巨神獣(アルス)に船の部分を取り付ける巨神獣(アルス)船ではなく機械のみの力で動いているということにレックスは興味を持っていた。

 

 

 

「おっとそんな事より……さっさと換金しねぇとな」

船に気を取られていたレックスは換金のことを思い出し、再び歩き出しアヴァリティア商会の中へと入っていったのであった。

 

 

 

「レックス!!今日も稼いできたのか?やっぱりお前さんのサルベージ技術には恐れ入るねぇ!!」

 

 

「レックスさん!!またウチのパン買って行ってくださいね!!」

 

 

「よぅレックス!!また珍しいものを手に入れてよ、またあとでウチに寄ってってくれ!!」

 

 

「レックス!!今日もバッチリ服装決まってるねぇ!!」

換金所に向かうまでの間にアヴァリティア商会の中で商品を売っている商人達から声をかけられてレックスは左手を上げて応えていた。

特に若い女性商人からは熱い視線のオマケ付きで声をかけられていた。

今年で19歳になるレックスは世間一般的に見てもイケメンの部類に入るほど顔が整っており、体格も細身でありながら鍛えられていて、180センチ前後の長身も相まってレックスの魅力を引き上げていた。

レックスは周囲から声をかけられながら歩き進み、換金所にいる小さい体と器用に動く大きな耳が特徴的なノポン族のメロロのところに辿り着いた。

 

 

 

「よう、換金を頼みたいんだが……」

 

 

「おやレックス久しぶりも、今日もずんどこ儲けて来たかも?」

 

 

「稼げたかどうかはあんたとの商談しだいだな……とりあえず換金を頼む、今回も軍需物資はたんまり持ってきたぜ」

 

 

「もももっ!?それは助かるも、じゃあ早速鑑定するも」

 

 

「よろしくな」

そう言って、メロロは換金計算を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

「換金計算終わったも!!」

 

 

「ふわぁ〜、やっとか」

長時間の末、ようやく計算が終わったのかメロロに呼ばれるまで立ったまま壁に背中を預けて仮眠をとっていたレックスは軽くあくびをしながら再びメロロのところに来た。

 

 

 

「今日の換金代金は全部で10万ゴールドだも」

 

 

「結構いったな」

以外にも高額な値段になってレックスは少々驚いた。

 

 

 

「まぁとりあえず2万ゴールドは今貰うぜ、残りは……」

 

 

「わかってるも残りはいつも通り匿名で“イヤサキ村”の“コルレル”さんでよかったかも?」

 

 

「あぁ頼む」

 

 

「にしても仕送りもきっちりするなんてしっかりしてるも、ウチのバカ息子にも見習ってほしいも」

 

 

「まぁそう言ってやんなよ……じゃあ仕送りのことは任せたぜ、それじゃぁな」

 

 

「あいも!!任せるも!!」

そう言ってレックスは受け取った換金代金の入った革袋を懐にしまうと、待たせているセイリュウの元へ戻るために足を進め

 

 

 

「レックス……」

 

 

「あぁ?」

ようとした矢先、後ろから声をかけられ振り返ると護衛らしき黒服の男を従えたノポン族がこちらに向かってきていた。

 

 

 

「プニンか…久しぶりだな」

 

 

「相変わらずイキがいい………じゃなかった威勢がいいも」

 

 

「まぁな…で?俺を呼んだってことはなんか依頼か?……それとも“ゴミ掃除”か?」

最後のゴミ掃除という言葉を言ったレックスは目つきを鋭くさせたが、プニンは首を横に振った。

 

 

 

「仕事を持ってきたけど、今回はそっち関連の仕事じゃないも……ところでレックスはリベラリタス(とう)(しょ)(ぐん)のイヤサキ村出身だったかも?」

 

 

「あっ?……そうだけど?」

突然出身地を聞かれ、レックスは怪訝そうな表情を浮かべたがとりあえず隠す必要もないことだったので頷いた。

 

 

 

「すぐに会長室へ行ってほしいも、バーン会長直々のご指名も」

 

 

「会長が……俺を?なんだろうな?」

 

 

 

とりあえず行ってみないと分からないということでレックスは、早々にアヴァリティア商会会長の待つ部屋へと向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

会長室へやってきたレックスを出迎えたのは、大きな宝石を身につけたノポン族であった。

 

 

 

「よく来てくれたも……アヴァリティア商会会長のバーンだも」

 

 

「あぁ……俺はレックスだ、よろしく」

アヴァリティア商会会長という大物を目の前にしてもレックスは余裕そうな表情で言葉を返した。

 

 

 

「プニンからずいぶんと腕の立つサルベージャーだと聞いてるも………それを見込んでちょっと頼みたいことがあるんだも……報酬は10万ゴールドだも」

 

 

「へぇ〜、なかなかいいじゃねぇか」

サルベージ仕事ひとつで10万も貰えると聞いて、レックスは口元をニヤつかせた。

 

 

 

「ちなみにそれは手付金も、成功報酬はさらに10万プラスだも」

 

 

「………ずいぶん太っ腹だな」

さらに10万プラスだと聞いたレックスは顔は笑ってはいたが、内心きな臭い雰囲気が出てきたのを感じとっていた。

 

 

 

「まぁいい、その依頼引き受けるぜ……で?依頼内容はなんだ」

 

 

「それは依頼主から直接聞くも……入れるも」

 

 

「はい」

バーン会長がそう言うと、会長室の両側に控えていた美女の一人が扉を開けた。

 

 

 

レックスが扉の向こうから複数人の気配を感じたの同時に、扉の奥から人影が現れた。

 

 

 

最初に出てきたのは、全身を覆うダイバースーツに似た黄色の服の上にフード付きのケープのようなものを羽織った猫耳の少女と両手足に光る石をつけた(たてがみ)(たずさ)えた白い虎

 

 

 

次に出てきたのは、全身に黒の防具を身につけた黒髪の男と人型だか異形の姿をして胸に光る石が埋め込まれた生物

 

 

 

そして最後に出てきたのは、灰色の防具を身に着けさらには顔の上半分を隠すように鬼の面をかぶった長い銀髪の男

 

 

 

計3人と2匹の人物が現れた。

 

 

 

「ドライバーとブレイド…か」

現れた者達を見たレックスは、彼らが亜種生命体“ブレイド”とブレイドと共に戦う“ドライバー”であると直感した。

すると、長い銀髪の男が今回の仕事について語りだした。

 

 

 

「依頼内容は、ある物資の引き揚げだ……最近の海流変動で発見された未探査海域のかなり深いところに沈んでいる」

 

 

「ふっ、引き揚げだけなら簡単に終わりそうだな」

意外と簡単すぎる依頼にレックスは鼻で笑った。

 

 

 

「ベテランのチームを紹介するって言ったけど、リベラリタス出身で少数精鋭の人材をという希望だったも……それで白羽の矢が立ったのがお前なんだも」

 

 

「まぁ、悪い気はしねぇな」

 

 

「……ねぇ」

バーンの言葉に少し気を良くしていたレックスに猫耳少女が声をかけてきた。

 

 

 

「アンタって本当に腕の立つサルベージャーなの?アタシから見たら傭兵にしか見えないんだけど……その背中の大剣とかちゃんと振れるのかも怪しいし」

 

 

「そうか?慣れれば振れるもんだぜ?」

猫耳少女のバカにしたような物言いに対してレックスが質問に答えつつ軽く流すと、猫耳少女の隣にいた白い虎がゆっくりとレックスに近付いてきた。

 

 

 

「レックス様でしたな?此度(こたび)はお嬢様が大変失礼なことを、何卒(なにとぞ)容赦(ようしゃ)を」

 

 

「ビャッコ!!アンタまた余計な口出しを……」

 

 

「よせよニア」

失礼な事を言ってしまった主人に変わって謝罪する白い虎“ビャッコ”に猫耳少女“ニア”が文句を言おうとしたしたが、黒い防具の男に止められてしまった。

 

 

 

「まぁ気持ちは分からんでもない、そして……確かめるのも容易(たやす)い………」

 

 

「おっと!!」

黒い防具の男がそう言いながら、腰の武器に手を伸ばしたのを見たレックスはとっさに体を斜めに傾けると先程まで体があった空間に鋭い斬撃が放たれていた。

 

 

 

「ほう……っ」

 

 

「よっ!!ほっ!!」

初撃を難なくかわしたレックスに興味が湧いたのか黒い防具の男はさらに二撃、三撃と攻撃を繰り出すがレックスは余裕そうな表情ですべて紙一重でかわしていった。

 

 

 

そして

 

 

 

「っ!?」

 

 

「悪いな、男とこれ以上踊るのは(しゃく)(さわ)る………ここまでだ」

四撃目をかわしたレックスをさらに追い込もうとした瞬間、黒い防具の男の眼前には大型リボルバーの銃口が突きつけられていた。

 

 

 

「メツ!?いきなりなにやってんだよ!!アンタもそんな物騒なものしまいなよ!!」

突然の戦闘行為に固まっていたニアがそう言うと、黒い防具の男“メツ”は剣を収め、レックスも銃を回転させながらホルスターにしまった。

 

 

 

「こいつが見掛け倒しじゃないか不安だって言ったのはお前だぜ?」

 

 

「アタシはそんな事言ってないよ!!」

 

 

「言わずとも思っていたろ?………で、結果は予想以上だったってわけだ」

ニアとの話を終えたメツは、レックスの方を向くと問いかけた。

 

 

 

「なかなかやるじゃねぇか、見たところドライバーではなさそうだか……どこかで傭兵でもやってたのか?」

 

 

「傭兵じゃないがなんでも屋をやっててな、よく盗賊やらなんやらとドンパチすることが多かったから……ほとんど我流さ」

レックスの答えを聞いたメツは軽く笑みを浮かべた。

 

 

「腕も度胸も十分すぎるほどあるということか………まぁ、報酬分はしっかり働いてくれ」

そう言って、メツは会長室から出ていきそれに続いて銀髪の男と異形の人型ブレイドも会長室から出ていってしまった。

そして、会長室にはバーン、レックス、ニアとビャッコだけが残された。

 

 

 

「はぁ〜………ふんっ」

突然の戦闘行為に疲れたのかニアはため息を吐いたあとレックスに視線を向けるが、すぐにそっぽを向いて会長室から出て行ってしまった。

ビャッコはニアのあとを追う前に、礼儀正しく一礼をしてから主人のあと追って会長室から退出した。

 

 

 

「ももっ〜!!何ともやかましい連中だも!!」

ようやく騒動が収まったのを見計らって、バーンは(ふところ)からそれなりの大きさのある革袋を取り出すと机の上に置いた。

 

 

 

「手付金も……これで必要な装備を買い揃えてから右舷(うげん)桟橋(さんばし)に行けも、そこで俺が手配した素晴らしい船が待ってるも」

 

 

「そうかい」

レックスはそう言って、机の上の革袋を受け取ると足早と会長室から出て行った。

 

 

 

会長室から出たレックスは受け取った革袋をジャラジャラと左手で(もてあそ)びながら、これからの事について考えていた。

 

 

 

「さてと準備も必要だが、まずはジイさんに報告だな……勝手に仕事受けてしばらく帰らなかったら(やかま)しいからな」

まずはセイリュウに報告した方がいいと思い、ひとまずセイリュウの待つ港に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………というわけで、ちょいとした引き揚げ仕事を受けてきてな、2、3日は帰れねぇと思うからしばらくの間ジイさんはここでのんびりしててくれよ」

 

 

「そうかそうか、ならワシはここでのんびり……出来るかぁっ!?」

おおまかな説明をし終わったレックスであったが、ノリツッコミの要領で当然のごとく怒られてしまった。

急に大きな声を出すのでレックスも思わず耳穴を指で塞ぎ後ずさった。

 

 

 

「勝手に奇妙な仕事を引き受けおって、依頼主の素性もわからんのじゃろ!?」

 

 

「なんとかなるだろ?なんでも屋の時もこんな依頼はごまんとあっただろ」

 

 

「それでもじゃ!!だいたい出身地を聞くなんておかしいと思わんか!!」

 

 

「さぁな、出身地を聞きたい気分だったんじゃないか?」

 

 

「んなわけあるかぁっ!?」

両者は互いに引くことなく漫才のようなやり取りを続けていたが

 

 

 

「あぁ!!もういいや、とにかくジイさんは老婆心の塊みてぇな顔して待っといてくれ!!じゃあな!!」

 

 

「だれが老婆心の塊じゃ!?って待て!!レックス!!レーックス!!」

レックスが無理矢理に話題を終わらせ、走り去っていくことで決着がついたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで準備を進めてレックスは急いでバーンの言っていた右舷(うげん)桟橋(さんばし)に向かっていた。

 

 

 

「あれは………ウズシオか?」

桟橋(さんばし)に近付いて停泊している船が見えてきてレックスは内心驚いた。

 

 

 

「へぇ〜、会長も太っ腹だな」

 

 

「アンタこの船に乗ったことないの?」

ウズシオを眺めていたレックスの後ろから聞き覚えのある声がかけられて振り返ると、会長室で会った猫耳少女のニアとそのブレイドのビャッコが立っていた。

 

 

 

「まぁな、俺はフリーのサルベージャーだから基本的にウズシオに乗るのはアヴァリティア商会に所属しているサルベージャー達が乗るんだよ」

 

 

「そうなんだ」

 

 

「そうだ……ひとつ言い忘れてたが、そこのロープを足で踏んでると出航の時に絡まって雲海に引きずり込まれるぞ?」

 

 

 

「えぇっ!?」

雲海に引きずり込まれると言われ、ニアは猫のように俊敏(しゅんびん)な動きでその場から飛び退いた。

 

 

「なんてな、嘘だ」

 

 

「あ、アンタねぇ!!」

 

 

「まぁそう怒るなよ猫ちゃん、落ち着きな」

 

 

「猫ちゃんなんて名前じゃない!!アタシにはニアって名前があるんだよ」

 

 

「悪いな猫ちゃん、名前で呼んでほしかったら、あと10年経っていい女になったら呼んでやるよ」

 

 

「厶キィ〜!!」

遠回しに子供と言われたニアはレックスに飛びかかるが、レックスは向かってくるニアの頭を抑えて止めたのであった。

 

 

 

「レックス、そろそろ出航するぞ……夜から見張りだから、そろそろ中で休んでろよ」

 

 

「了解だ……ほら、猫ちゃん中に入るぞ」

 

 

「いい加減猫ちゃんって呼ぶのやめろよ」

 

 

「わかった、なら小猫ちゃんだな」

 

 

「さらに悪化してるだろそれー!!」

サルベージャーのチームリーダーに言われレックスはニアをからかいながらウズシオの中へ入り、ニアもレックスを追いかけ中へと続き、その後ろをビャッコがついて行った。

そんな彼らのじゃれ合いをメツとそのブレイド“ザンテツ”、そして長い銀髪の仮面の男“シン”達が静かに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❴雲海探査船 ウズシオ❵

 

 

 

出航したウズシオの船内でレックスは、他の者の手伝いをしたりサルベージ道具の点検などをやりながら時間を潰していたが

 

 

 

「今出来ることはやっちまったから暇になったな……目的地に着くのは明日だし、猫ちゃん達と話してくるかな………ついでに見張りの仕事もやるか」

やることをすべて終わらせてしまったレックスは、ニア達の様子を見にきていた。

 

 

 

「どうした猫ちゃん、神妙な顔しちゃって船酔いでもしたか?」

 

 

「……別に……ただサルベージャーがたくさん乗ってる船に慣れてないだけだよ」

レックスの問いにニアは素っ気ない態度で答えた。

 

 

 

「そうか……まぁ無理せずに疲れたなら部屋で休んでな、その調子だと目的地に着いた頃にはクタクタになるぜ?」

 

 

「アタシはそんなにヤワじゃないっ!!……ふんっ」

レックスの言葉を聞いて不機嫌になったのかニアはプイッとそっぽを向いてしまった。

 

 

 

「再度お嬢様が申し訳ありません、レックス様」

 

 

「まぁ気にするな……このくらいの子供はツンツンしてた方がかわいいもんさ」

 

 

「………子供って言うな」

レックスの子供という言葉に小さな声で反論したニアであったが、異性からかわいいと言われたのが恥ずかしいのか頬を赤く染めていた。

 

 

 

「改めまして……此度(こたび)の依頼が完了するまでの間、お嬢様共々よろしくお願い申しあげます」

 

 

「よろしくな……お前もしっかりご主人を守れよ」

 

 

「もちろんです」

そうしてニアとビャッコのもとから去ったレックスは階段を登り、船内の二階へ上がった。

そのまま見張り台を目指して甲板まで上がろうとしたが、雲海を眺めているシンの姿が視界に入り一応挨拶だけはしておこうかと思いレックスはシンに話しかけた。

 

 

 

「よぉ、調子はどうだ?」

 

 

「…………リベラリタスの出身なのか?」

 

 

「あ?……あぁ、イヤサキ村で暮らしてたぜ………一応な」

 

 

「一応?」

レックスのセリフを聞いて疑問に思ったのかシンは聞き返した。

 

 

 

「イヤサキ村で育ったけどよ物心ついた頃に、イヤサキ村を離れて別の所で暮らしてたんだよ、俺が15の時に一度帰ったけどすぐ飛び出しちまってな」

 

 

 

「………そうか」

レックスの過去の話を聞いてシンがそう言うと、レックスは気まずくなったのか足早とその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

「よぉ、坊主(ボウズ)

 

 

「あぁ?」

甲板に出て見張り台に行こうとしたレックスを呼び止める声が聞こえ、振り返ると黒い防具を身につけたメツと異形の人型ブレイドのザンテツが立っていた。

 

 

 

「アンタらか……なんか用か?」

 

 

「別に用はねぇけどよ、ザンテツが坊主(ボウズ)に興味が湧いたみてぇでな」

 

 

「こいつが?」

 

 

「おいおい、いきなりこいつ呼ばわりか?このザンテツ様をよぉ」

こいつ呼ばわりされて怒ったのかザンテツはレックスに反論した。

 

 

 

「自分を様呼びか?ナルシストかよお前」

 

 

「テメー!!このザンテツ様に喧嘩売ってんのか?そうだよな!!」

 

 

「やる気か?俺はいつでもいいぜ、かかってこいよトカゲモドキが!!」

 

 

「上等じゃねぇか!!」

そして、ザンテツとレックスがそれぞれの武器に手をかけたその時

 

 

 

「よせ、ザンテツ」

 

 

「メツ!!止めるなよ、こいつだけは俺様が倒さねぇと気が済まねえんだよ」

 

 

「………ザンテツ、俺達の目的を忘れるな」

 

 

「…………チッ」

メツに止められ、ザンテツはしぶしぶ武器をしまった。

それを見てレックスも大剣の柄から手を離した。

 

 

 

「悪かったな坊主(ボウズ)

 

 

「気にしてねぇよ……それで?お前らの目的ってなんなんだ?」

 

 

「そいつは言えねぇな、そのために大金出してんだ……詮索はしないでもらおうか?」

 

 

「………分かったよ、なんでも屋の頃にはそんな依頼をいくつも受けたことがあるからな……余計なことに首突っ込んで死にたくねぇしな」

そう言うとレックスは、ヒラヒラと手を振りながらその場から去ると見張り台へと続く階段を登っていった。

 

 

 

 

 

 

「モネルさん、交代の時間だぜ」

 

 

「おっ…やっと来てくれたか、ようやく一息つけるぜ酒盛りでもして英気を養わなきゃな」

 

 

「あんまり飲み過ぎるなよ?」

 

 

「そいつは無理な話だな、それじゃ雲行きが怪しいが見張り頼むぜ……何かあれば呼んでくれ酔っぱらいがすぐに駆けつけるからよ」

 

 

「はいはい……はぁ〜」

見張り係のモネルはレックスに双眼鏡を渡すと足早と降りて行った。

そんな彼を見送ったレックスは、ため息をひとつ吐いて周囲の状況を双眼鏡を覗きながら見渡した。

 

 

 

 

 

 

「ん?…あれは………港にいた黒い船か?」

双眼鏡を覗きながら周囲の警戒を続けていたレックスだが

不意に船の後方を見ると、アヴァリティア商会で見かけたあの黒い船が居たのであった。

 

 

 

「ついてきてるのか?」

 

 

「何だよ、結構寒いな」

 

 

「あ?……猫ちゃん」

 

 

「……もういいよ猫ちゃんで」

レックスが後方の黒い船を確認すると同時に、下からニアが上がってきたのであった。

今だ猫ちゃん呼びするレックスに諦めたのかニアは訂正しようとはしなかった。

 

 

 

「そんなことより下で酒盛りが始まったんだ、ちょっと付き合え」

 

 

「猫ちゃんは酒は嫌いなのか?」

 

 

「酒は嫌いじゃない……けど酔っぱらいは嫌いだ」

 

 

「あぁ……分かるぜ、その気持ち……酔っぱらいってのは絡まれると面倒くさいからな」

レックスはそう言いながら、肘を手すりに掛け寄りかかりながら夜空を見上げた。

 

 

 

「そういやサルベージャーの合言葉ってので、船には酔うな酔うなら酒だ……なんて言葉があったな」

 

 

「ふんっ、くっだらない転職する気も起こらないよ」

 

 

「それは俺も同感だ」

 

 

「同感って……アンタもサルベージャーなんだろ」

 

 

「サルベージャーの仕事は暇つぶしの副業でな、俺の本業はなんでも屋だ……だからサルベージャーの合言葉を聞くつもりもねえし守る義理もねぇってことさ」

 

 

「アンタは…」

 

 

「レックスでいいぜ」

 

 

「…レックスはなんで副業でサルベージャーの仕事をやってるんだ?」

 

 

「あれだ」

そう言うと、レックスは世界樹に視線を向けた。

 

 

 

「世界樹………がどうかしたのか?」

 

 

「俺は世界樹に辿り着くための道具か何かを手に入れるためにサルベージャーをやってるんだよ、なんでも屋も情報を集めるために始めたものだからさ」

 

 

「そうなんだ……でもなんで世界樹なんかを目指してるんだ?」

 

 

「世界樹の上に楽園があるかどうかを確かめるためだ」

ニアの問いにレックスは世界樹を見据えながら答えた。

 

 

 

「楽園って……アンタ、マジで信じてるの?楽園伝説なんて……アレはただのデッカイ樹だよ」

 

 

「まぁ、普通はそうだよな笑われて当然だ……だがな」

楽園の存在について小バカにするように言うニアの言葉にレックスは頷いたが、右手で手摺りの部分を握りしめながら世界樹を睨みつけた。

 

 

 

「俺にはどうしても行かなくちゃいけねぇ理由がある、こんなクソみたいな世界を作ってずっと俺達を見下ろしてやがる居るのかどうかも分からねぇ神に会いに行くんだよ」

 

 

「………あ、会ってどうするのさ?」

レックスの怒気に怯えたのか少し震えたニアは、おそるおそるどうするのかを聞いてみた。

 

 

「殺す」

 

 

「っ!?」

 

 

「神を殺す、それを邪魔するヤツらがいるならそいつらも全員殺す……それだけだ」

冷酷に殺すと宣言するレックスにニアは恐怖した。

今まで見てきた人間の中でも一番危険なヤツだと彼女は感じていたが、何故かこのままほっとけない人間だとも感じていた。

レックスは世界樹を睨みつけていた表情から一変して、いつもの優しく笑みを浮かべた表情に戻るとニアの方へと振り返った。

 

 

 

「でもまぁ神を殺すことはついでなんだけどよ、本命は楽園が本当にあるのかも確認するのが目的だ」

 

 

「……なんで?」

 

 

「楽園があれば皆でそこに移り住んでのんびり暮らせるじゃねぇか……そしたらくだらねぇ理由で戦争をしなくてよくなる……なんて夢みたいな目的さ」

 

 

「…レックス」

レックスの言葉を聞いてニアは、彼が本当は心の優しい人間なのだと思った。

 

 

 

「人間ってのはもっと自分勝手な生き物だと思ってたけどね………レックスって親は?」

 

 

「いない……というより生きてるのか死んでるのかも知らねぇんだ」

 

 

「えっ……」

 

 

「俺、捨て子だったんだ……イヤサキ村の入口の前に黒い布に包まれた赤ん坊だった頃の俺が置かれてたってジイさんから聞いたことがある」

 

 

「ジイさんって?」

 

 

「俺の育ての親でな、俺がちょっと無茶しただけでいつも口うるせぇのなんの………でも俺を育ててくれた恩人だ……人間じゃねぇけどよ」

 

 

「人間じゃない?………ん〜、なんだかよく分かんないけど、そのジイさんとかに感謝しなよ」

そう言うと、ニアはレックスの隣に並びレックスと一緒に世界樹を見上げた。

 

 

 

「アンタ、悪かないよ………アタシと一緒だな…」

最後にニアはポツリと呟いたが、その言葉がレックスに聞こえることはなかった。

 

 

 

「さてと特に異常もねぇし、俺も酒飲んで寝るかな」

 

 

「あれ?アンタって酒飲めたの?」

 

 

(たしな)む程度だけどな、“ニア”も来るか?」

 

 

「いやアタシは……って今アタシの名前っ!?」

 

 

「おっと、酒が無くなったら困るからな先に行かせてもらうぜ〜」

 

 

「ちょっとレックス!!今アタシの名前呼んでくれただろ、なぁ!!」

誤魔化すようにそそくさと立ち去ろうとするレックスを追いかけたニアだったが、突然レックスが振り返るとニアの後ろの空を指差した。

 

 

 

「なんだあれ」

 

 

「えっ?」

 

 

「ほいっ」

 

 

「ヒニャアァン!?」

指を差した空を見るために振り返ったニアの背後から、レックスが彼女の頭部に生えた猫耳をフニッと揉むとやや艶かしさが含まれた甲高い悲鳴を上げた。

 

 

 

「ハッハッハ、いい声だぜ猫ちゃん」

 

 

「こんの〜!?」

 

 

「おっと怒らせたか?」

 

 

「待てこの〜!!」

二人はドタバタと音を立てながら酒盛りの会場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、誰も居なくなった見張り台には静寂(せいじゃく)とレックスが握りしめて大きくひしゃげた手摺りのみが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レックスの服装はDMC5のネロの服を想像してもらえれば大丈夫です
サルベージスーツは原作と同じものです

戦闘曲ですが、ゼノブレイド2の戦闘曲をメタルカバーしたものがYou Tubeにいくつかあるのでそちらを参考にしてください
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