Devilblade -デビルブレイド-   作:滅悪狩人

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リアルでの仕事が忙しくなってしまって投稿が遅くなりました。

寝落ちしつつもなんとか作成したので誤字が心配


第三話 運命

『…ックス……ご…んね…約束…れな……』

 

「うぅ……」

頭の中にあの日の記憶が鮮明に焼き付き、レックスを苦しめ続けていた。

目の前で大切な人を失ったあの日の記憶を

 

「行く…な……一人に…しないで…くれ……キ……エ……はっ!?」

うなされていたレックスは、ふとした瞬間に意識を取り戻し身体を起こした。

 

「はぁ…はぁ……またあの日の夢か」

息を整えながらレックスが顔を上げると

 

「どこだ……ここは」

見たこともないような草原が広がっていた。

草原ぐらいなら自然豊かな巨神獣(アルス)に行けば見ることも出来るが、どうしても巨神獣(アルス)の体の一部が見えてしまうものなのである。

しかし、レックスの目に見える草原はそんなものが見えることもなく、どこまでも広がる草原と青い空が広がっていた。

 

そんなレックスの耳にどこからか鐘の音が響いて聞こえてきた。

 

「……あれは…?」

周囲を見渡していたレックスは遠くにそびえ立っている木と、その根本に立つ人影に気が付いた。

 

レックスはゆっくりとした動きで歩き出し、その人影に近付いていった。

 

 

 

木の傍に立つ人影に向かうレックスの耳に、鐘の音が何度も鳴り響いていた。

鐘の音を聞くたびにレックスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。

 

「(あの鐘の音………クソッ!!思い出したくもねぇ"あの場所"を思い出しちまう)」

少しイラついた感情を抑えつつも足を進め続けていた。

 

 

 

そして、レックスは木の所へ辿り着き

 

「なぁ……アンタ…」

 

(かな)しい音……」

 

「あぁ?」

 

「止まないの……ずっと、ずっと昔から………」

 

「鐘の音か………あんまりいい思い出はねぇな……………それよりここは……」

木の根本に立っている少女に声を掛けたが、突然少女が話し始めたので少し驚いたレックスだったが気を取り直して再び少女に声を掛けるのであった。

 

「ここは…楽園……遙かな昔、人と神が共に暮らしていた場所……」

 

「……はっ?」

 

「そして……“私達”の故郷…」

 

「ここが……楽園?」

驚くレックスは少女の隣に並び、その下に広がる景色を目にした。

 

 

澄んだ色をした湖を中心に地平線の彼方(かなた)まで続く草原、豊かに生い茂る森、その中にある小さな村

 

 

いままでレックスが見たこともないような世界が広がっていた。

 

 

 

 

そんな景色を眺めていたレックスは不意に隣の少女に視線を向けると、少女の胸元で光り輝く翠玉色の結晶に気が付いた。

 

「コアクリスタル……お前は…ブレイドなのか?」

 

「私の名前はホムラ」

 

「お?…あぁ…俺の名前は……」

 

「知っています、レックス…ですよね」

 

「なんで知って……」

 

「さっき私に触れてくれた時に……」

 

「さっき………さっき?…」

ホムラにそう言われ何故自分はここにいるのか、ここにくる前は何をしていたのかを思い出そうとするレックス。

 

そんな彼を見たホムラが呟いた。

 

「あなたは……死んだ、シンに胸を刺し貫かれて…」

 

「…シン?…胸を?………っ!?」

ホムラの言葉を聞いたレックスは、シンに背後から胸を刺し貫かれた瞬間を鮮明に思い出した。

 

思わずレックスは貫かれた胸に手を当てた。

 

「…思い出した……俺はあの野朗に………クソッ!!」

怒りで顔を歪ませたレックスは木に近付き、左拳で木を殴りつけた。

 

「(こんな所でくたばるわけにはいかねぇ!!まだアイツとの約束を果たせてねぇのに!!)」

体を震わせ、何度も拳を木に叩きつけるレックス

 

そんな彼の背中を見ていたホムラが彼に話しかけた。

 

 

「レックス、お願いがあります」

 

「……お願い?」

木を殴り続けていたレックスは、拳を止めると視線をホムラに向けた。

 

「私を……楽園に連れていって」

 

「楽園………連れてけって頼むってことは、ここは偽物の楽園か」

 

「はい、ここは記憶の世界……遠い…遠い"私達"の記憶の世界」

ホムラは悲しそうな表情でそう言った。

 

「本当の楽園は、あなた達の世界……アルストの中心に立つ世界樹の上にあります」

 

「楽園は本当にあるんだな、世界樹の上に………なら神も……」

 

「………おそらくは」

 

「…そうか……は…ははっ」

楽園と神、レックスは自身の求める情報が手に入り嬉しいのか小さく笑い声をこぼした。

しかし、すぐにその表情は歪み悔しそうな表情に変わった。

 

「でも、もう手遅れじゃねぇかよ……俺はもう死んじまったんだろ?アンタの頼みに手を貸せねぇし、俺の目的も果たせねぇ」

 

「私の命を半分あげます、そうすればあなたは生き返る…私の……天の聖杯のドライバーとして」

 

「生き……返れる…?……それに天の…聖杯?」

 

「どうします?レックス」

突然のホムラの提案にレックスは呆然としていたが、ホムラが再度問いかけるとレックスはニヒルな笑みを浮かべていた。

 

「決まってんだろ……お前は楽園に行きてぇ、俺も楽園に行きてぇ…目的は一緒なんだ……連れてってやるよ楽園に!!」

 

「ありがとう……レックス!!」

レックスの答えを聞いたホムラは優しく微笑むと胸のコアクリスタルに触れた。

 

「……私の胸に手を」

 

「…………はっ!?」

突然のホムラの言葉にレックスは動揺してしまい、思わずホムラの豊満な胸部に視線が向いてしまったが

 

 

ドクンッ

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

脈打つ音を響かせる翠玉色のコアクリスタルを見たレックスは落ち着きを取り戻し、無意識のうちに右腕を伸ばしホムラのコアクリスタルに触れたのであった。

 

 

そして、コアクリスタルを中心に翠玉色の光が放たれた。

 

 

光はレックスの右腕と胸元に収束されていき、ホムラとレックスの二人は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンに心臓を刺し貫かれて床に広がる血溜まりの中に倒れていたレックスの周囲を翠玉色の粒子が舞っていた。

 

粒子が舞う中、レックスがゆっくりとした動作で立ち上がり握っていた右拳を開くと手の中にはホムラの胸元にあった十字架の形をしたコアクリスタルがあり、やがてコアクリスタルが光り輝くと一振りの片刃の大剣へと姿を変えていた。

 

そして、おもむろにレックスは左手でシャツの襟元を掴むと力任せに布を引き千切り胸元が見えるようにすると、シンに貫かれた傷跡を隠すように(エックス)の形をした翠玉色の結晶が姿を見せていた。

 

「……っ!!………こいつは?」

完全に意識が覚醒したレックスは、自身の右手に持っている赤い大剣に気が付いた。

感触を確かめるように軽く振り始めたレックスは、まるで長年使っていたかのように馴染む赤い大剣に驚いていた。

 

「…へっ!!最高だぜ……さて、あの仮面野朗に借りを返さねぇとな」

そう言いながら、赤い大剣を大きく振るうと大剣のパーツが可動して展開されると炎が吹き出して灼熱の刃を作り出したのであった。

 

 

 

今ここに赤き聖杯の剣を手にして、レックスは完全復活を成し遂げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レックスが完全復活していた時と同じ頃

 

メツがホムラが眠っている(ひつぎ)を肩に抱えて歩いている後ろを、ニアは涙の跡が残る顔を隠そうともせずにフラフラとついて行っていた。

 

「ニア……()れ」

 

「えっ?…やれって?」

突然のメツの言葉に、ニアは訳がわからず思わず聞き返してしまった。

 

「そいつらの命の代金はすでに払ってある……俺らが天の聖杯を手に入れたって話、知る人間は少ない方が何かと都合がいいからな」

 

「でっ、出来ないよ!?この人達関係ないじゃん!!」

なんの躊躇(ちゅうちょ)もなくサルベージャーチームの人達を殺せと命じるメツに、ニアは目を見開き猛反発した。

 

「おかしな事を言う……お前、自分が何のためにここにいるのか忘れたのか?」

 

「け、けどっ!?……アタシ…もう人が死ぬのなんてヤダよ!!」

 

「ハッ!!人が死ぬのがイヤだと?お前、まだあの坊主(ボウズ)の事を気にしてんのかよ………まさか情でも移ったか?」

 

「…それ……は…」

 

「ああっ!!めんどくせぇ!!…もういい、俺がやるわ」

気持ちの整理がつかないニアを見ていたメツはついに苛立ち、サルベージャーチームをニアに変わって殺そうと前に出た瞬間

 

 

 

 

ゴオッ!!!!

 

 

 

「何っ!?」

 

「うわぁっ!?」

ホムラの眠る(ひつぎ)が突如大きく燃え上がり、とてつもない熱さに苦悶の表情を浮かべたメツは思わず(ひつぎ)をその場に投げ捨ててシンの元まで下がった。

しかし、メツの近くにいたニアは突然の炎に驚き尻もちをついてしまいその場から動けなくなっていた。

 

 

そして

 

 

(ひつぎ)の中に眠るホムラを起点に、天を貫くような大きな火柱が爆発とともに立ち上ったのであった。

 

「うにゃぁぁっ!?」

 

「お嬢様っ!!」

尻もちをつき動けなかったニアは爆風の影響をモロに受けてしまい沈没船の入口に向かって吹き飛ばされたが、ビャッコが素早く先回りをして受け止めてくれたおかげで壁に激突という大惨事からは(まぬが)れることが出来た。

 

「お怪我はありませんか!?お嬢様!!」

 

「うん、アタシは大丈夫……ありがとうビャッコ」

ニアとビャッコがそんなやり取りをしている中、火柱の中から火の塊がひとつ飛び出すとちょうどニア達の真上に位置する柱の上に着地したのであった。

やがて火の塊の炎が消えると、露出の多い赤と黒の衣装に身を包んだ一人の女性ホムラが姿を現した。

 

「アイツは……?」

 

「まったくひでぇ事しやがるなぁ」

 

「えっ?」

ホムラの姿をみて驚いていたニアだったが、沈没船の入口から聞こえてきた声に思わず振り返ってしまった。

 

「いきなり後ろから心臓をひと刺ししやがってよ、そう思うだろ?……猫ちゃん」

 

「…レ……ックス…?」

 

「…(あぶ)ねぇから下がってな」

死んだはずの男を見て呆然としているニアの頭を軽く撫でたレックスは、ニアを後ろに下がらせると赤い大剣を肩に担ぎながらゆっくりと前に進んできた。

 

「よぉ……さっきぶりだな」

 

坊主(ボウズ)……その剣…まさか……」

メツはレックスが肩に担いでいる赤い大剣を見ながら、信じられないような表情を浮かべていた。

 

 

「フッ……ホムラ!!」

 

「はい…」

 

「行くぜ!!」

 

「…はい!!」

レックスの掛け声にホムラが答えると同時に、レックスは走り出しホムラは大きく跳躍した。

 

「あー……あとこれ、返す!!」

 

「えぇっ!?」

レックスはそう言って、赤い大剣を空中にいるホムラに投げ渡し背中にある愛用の大剣“レッドクイーン”を引き抜いた。

ホムラも投げ渡された赤い大剣“聖杯の剣”を驚きながらもしっかり受け取って着地するとレックスの後ろを追いかけた。

 

「…………」

 

「いい……俺がやる」

向かってくるレックスを見ていたシンが背中の太刀を抜こうとしたが、メツはそれを止めさせると自身の持つトンファー型の武器を構えた。

 

「ハアァッ!!!!」

 

「フゥンッ!!!!」

レックスとメツは同時に武器を振るいぶつかりあった。

(つば)()り合いの状態になるとともに両者の武器同士がぶつかり合っている部分からバチバチと火花が散っていた。

 

「悪いな坊主(ボウズ)、あいつの力をそうホイホイ使わせるわけにはいかないんでな」

そう言いながら、力を込めて武器を振るい鍔迫り合い状態からレックスを無理矢理後ろに下がらせた。

 

「俺が相手をしてやるぜ」

 

「ハッ!!面白れぇ、仮面野朗の前座にはちょうどいい相手だぜ」

 

「テメェッ……!!」

 

C'mon , wimp(来いよ、ノロマ)!!」

挑発を受けて青筋を浮かべるメツを見て、レックスはさらに攻撃してこいと言わんばかりに無防備な姿を見せてさらに挑発を行ったのであった。

 

 

一方、戦闘を開始しようとしているレックスに助太刀するために走っていたホムラであったが

 

「来いよ、天の聖杯!!」

 

「くぅっ!?」

ザンテツからの猛攻によって妨害されており、なかなかレックスの元へ行けないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィンッ キィンッ

 

 

 

「ここまでやるとはな、坊主(ボウズ)!!」

 

「なんだ?もうへばったのか?」

 

「バカ言ってんじゃねぇ!!こんな楽しい殺し合いをやれてんのにへばってられるかよ!!」

互いの武器を数えきれない回数ぶつけ続けていたレックスとメツの戦いは、もはや常人では(とら)えきれないほどの領域に踏み込んでいた。

 

 

メツはトンファー型の刀剣を振るい、時にフェイントをかけたり、拳や足などの体術を()()ぜて絶え間ない猛攻を繰り出していた。

 

対してレックスは、左腕一本で身の丈ほどあるレッドクイーンを軽々と振るい大剣の重さをうまく利用した重々しい攻撃を繰り出しており、時折柄を捻り炎を吹き出させて剣速を上げていた。

 

 

そして

 

 

「(クソッ!?一体どうなってやがるんだ坊主(ボウズ)の右腕は!?)」

レックスの最大の特徴である包帯の巻かれた右腕が猛威を振るっていた。

かわしきれないメツの攻撃をレックスはまるで虫をはらいのけるかのようにして右腕で弾いていたのであった。

 

 

「チッ!?おいお前ら!!さっさと船に戻って離れろ!!邪魔なんだよ!!」

レックスとメツの戦いを呆然と見ていたサルベージャーチームの者達にしびれを切らしたレックスがそう怒鳴ると、ようやく動き出したサルベージャーチーム達はウズシオへと走り出した。

 

 

「よそ見してんじゃねぇぞ坊主(ボウズ)!!」

 

「うぉっ!?」

サルベージャーチームに視線を向けていたレックスにメツが急接近すると、襟元を掴み一本背負の要領で後ろへ大きくレックスを投げ飛ばした。

投げ飛ばされたレックスは、受け身も取れずに甲板に背中から叩きつけられてしまった。

 

「ザンテツッ!!」

 

「おう!!喰らえ!!」

メツは相棒のザンテツの名前を呼びながら武器を上に放り投げると空中でザンテツが武器を掴み、腕と武器を交差させるように振るい斬撃をレックス目掛けて放った。

 

「クソッ!?」

受け身を取れなかったために迎撃するのは無理だと判断したレックスは、せめて防御だけでもと考えて右腕を盾にするように構えたが

 

「レックス!!」

 

「お前っ…!?」

ザンテツが離れたおかげでレックスの元に辿り着けたホムラが斬撃に向かって手をかざすとシールドが張られレックスを守ったのであった。

 

「へっ、もうちょっと早く来てほしかったぜ」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「気にしてねぇよ、だけど助かったぜ…サンキュー」

 

「ふふっ…どういたしまして……続き、行きましょう」

 

「あぁ!!」

互いにそう言うと、二人は同時に走り出した。

 

「ハァッ!!」

ザンテツは向かってくるレックスとホムラにふたつの斬撃を繰り出した。

 

繰り出された斬撃を見たホムラがシールドで防ごうとするが、それよりも速くレックスが前に飛び出し

 

「同じ手は効かねぇんだよ!!」

一撃目の斬撃をレッドクイーンで弾き、二撃目の斬撃は右腕で殴り消滅させた。

 

「何ぃッ!?」

 

「ウソ…ッ!?」

普通ならありえない瞬間を目の当たりにしたザンテツとホムラは驚愕した。

ブレイドから力を送られた状態のドライバーであれば斬撃を弾いたりすることは可能だが、力を送られていない状態のドライバーが斬撃を弾くことは不可能なはずであった。

しかしレックスはレッドクイーンでいともたやすく斬撃を弾き、さらには右拳の殴打で斬撃を消滅させてしまったのである。

 

「ルアァッ!!」

レックスはそのままメツに向かっていきレッドクイーンの柄を捻り炎とともに剣速を上げた一撃を振るった。

 

「チッ!?ザンテツ!!」

 

「おう!!受け取れメツ!!」

 

坊主(ボウズ)よりも先にアイツらを始末させてもらうぜ!!」

レックスの一撃をジャンプしてかわしたメツはザンテツから武器を投げ渡され、受け取るとトンファー型からブレード型に武器を変形させると剣先にエーテルを収束させてサルベージャーチームの乗るウズシオを沈めようとするが

 

「おい!!お前の相手は俺だろうがよ!!」

 

「くっ!?坊主(ボウズ)!!」

レックスが腰から大型二連リボルバー“ブルーローズ”を引き抜きズドンッと重厚な音を響かせた。

メツもすぐに防御したが、あまりの重々しい衝撃に体勢を崩してしまった。

 

「今です!!レックス、私と一緒に!!」

 

「あぁ!!」

そんなチャンスを見逃さなかったホムラはレックスに呼びかけ二人で大きくジャンプすると、ホムラが右手で聖杯の剣を持ち、レックスが左手で聖杯の剣を握ると今までよりもさらに炎のオーラの勢いが増していた。

 

 

「「〘バーニングソード〙!!!!」」

そして、メツよりも高い位置に来ると二人は同時に剣を振り下ろし爆炎とともにメツに強力な一撃を叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

はずであったが、間一髪のところでザンテツがメツの元に辿り着きエーテルエネルギーを送り込んでいたために、メツは二人の攻撃を防ぎきっていたのであった。

 

坊主(ボウズ)、なんでお前ごときが………と言いたいところだが、その瞳の色…もっと注意しておくべきだったな」

そう言いながら、メツはレックスの"金色の瞳"を恨めしそうに見ていた。

 

「あ?なんのことだ!!」

 

「…教えねぇよ!!」

 

「っ!?…レックス!!」

レックスの言葉にメツは左手に禍々しい紫のオーラを纏わせると、その左手をレックスに繰り出そうとしていた。

それを見ていたホムラはレックスを下がらせようとするが

 

「オラァッ!!」

なんとレックスは下がるどころか禍々しいオーラを纏わせたメツの左手に、右拳を叩き込んだのであった。

そして、その反動により後ろに飛んだレックスとホムラはメツから離れた。

 

「レックス!!大丈夫ですか!?」

 

「あ?なにがだよ」

 

「右腕……が…」

メツの纏った左手のオーラを殴った右腕を心配するホムラであったが、少し包帯が解れただけでほとんど無傷の右腕に言葉が詰まった。

 

「どうした?」

 

「な、なんでもないですよ!?」

 

「?……そうか」

そう言いながら、レックスが横をチラリと見るとウズシオがゆっくりと古代船から離れていく姿があった。

 

「さてと…観客がいなくなっちまってテンション上がらねぇが、これで思いきり暴れられるぜ」

 

「レックス…これを……」

 

「おぅ、わりぃな」

ホムラから聖杯の剣を受け取ったレックスはそれを肩に担ぎメツのいる方へと歩き出した。

対してメツもレックスの方へと歩いてきていた。

 

「暴れられる…ねぇ、まるでまだ実力を出しきってなかったみたいな言い草じゃねぇか坊主(ボウズ)

 

「そうだと言ったら?」

 

「上等だ!!」

そして両者は互いの倒すべき敵に向かって走り出し

 

「メツっ!!!!」

 

坊主(ボウズ)っ!!!!」

レックスの聖杯の剣とメツのトンファー型の武器がぶつかり合い、二人の足元の床がひしゃげ亀裂が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ……これ…」

 

「……すごい」

ザンテツとホムラはそれぞれのパートナーにエーテルエネルギーを送りながら、レックスとメツの戦いを見て言葉を失っていた。

 

「ルアアァァッ!!!!」

 

「オラアァァッ!!!!」

両者共に一歩も後退することなく、相手を倒す……いや殺すために剣を振るい続けていた。

 

「づぅ!?……んの野朗!!」

首を狙った攻撃に対しレックスは体ごと傾けて回避したが、剣先が掠ってしまい首筋を浅く切り裂かれた。

首元からの鋭い痛みにレックスは表情を歪めるが、体を傾けた状態から全身のバネを使い下から聖杯の剣を振りぬいた。

 

「がふっ!?」

レックスの攻撃にメツも上体を反らし回避しようとしたが、攻撃直後だったこともあり回避しきれず腹から胸にかけて大きく切り裂かれてしまった。

 

「ぐぅっ!?…〘スパイラルソバット〙!!」

 

「ぐふっ!?………っ!!…オラァァッ!!!!」

 

「ぎぃっ!?」

しかしメツも痛みを歯を食いしばり耐えると体を(ひるがえ)し、レックスの顔面に強烈な回転後ろ蹴りを繰り出した。

蹴りを顔面に喰らったレックスは、蹴られてよろめいた勢いを利用して体を反転させて聖杯の剣の柄尻をメツのコメカミに叩き込んだ。

 

 

お互いの攻撃の勢いにより両者はそれぞれのブレイドの元まで吹き飛ばされてしまった。

 

「おい!?大丈夫かメツ!!」

 

「ぐっ……なかなか……楽しませるじゃ…ねぇか、あの坊主(ボウズ)

血が流れるコメカミを押さえ息を切らしながらもメツはレックスの実力を真っ向から受けられたからなのか笑っていた。

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

「大丈夫ですかレックス!?」

 

「心配いらねぇ…ハァ……こんなの…かすり傷だ」

首筋から血を流しながらレックスは、笑いながら強気に答えるが顔面への蹴りが効いているのか足元がフラついていた。

 

「レックスは休んでいてください、ここは私が……痛ぅっ!?」

 

「っ!?…おいどうした!!」

ホムラが落ちていた聖杯の剣を持ち上げようとした瞬間、首筋を押さえて(うずくま)ってしまった。

突然のことにレックスがホムラに近付き首筋を押さえていた手を退かすと、そこには痛々しい傷があった。

 

「お前……なんで俺と同じところに傷が…!?」

そう言いながら、ホムラの顔を見るとうっすらだが鼻元に血を拭ったような跡もあった。

それを見てレックスも思わず鼻元を拭うと、手に血が付いていた。

 

「まさか……命を分けたから傷も共有しちまってるのか?」

 

「………はい」

 

「つうことは…俺が無茶しすぎるとお前もヤバいってことか」

 

「……ごめんなさい」

顔を(うつむ)かせながら謝るホムラを見ていたレックスは不意に右腕に目を向けた。

 

「(………仕方ねぇ)」

心の中でそう呟くと左手を右腕に添えると目を閉じて集中し、ゆっくりと着実に右腕から力を引き出すイメージを思い浮かべた。

 

 

その瞬間

 

 

「えっ!?これは……!!」

体の変化にいち早く気が付いたのはホムラだった。

彼女が驚きながらも傷のあった首筋に手を当てると

 

「傷が……消えてる?…いや治ってる!?」

痛々しく刻み込まれていた傷が完全に塞がっていたのであった。

 

「レックス、これは一体?」

 

「ハァッ…ハァッ…」

 

「レックスッ!?」

ホムラがこの現象について聞こうとレックスの方を向くと、そこには先程以上に呼吸が乱れたレックスの姿があった。

 

「一体どうしたんですかレックス!?」

 

「なんでもねぇ……ただ疲れただけだ」

 

「でもっ!!」

 

「とりあえずあとは頼んだ……俺は休ませてもらうぜ」

そう言ってレックスは背中から甲板の上に仰向けに倒れ込んだ。

 

「……分かりました…レックスはゆっくり休んでいてください」

 

「…おぅ」

ホムラの言葉にレックスは倒れたまま軽く手を振って答えた。

 

 

それを見たホムラはメツとザンテツに向かって走り出したのであった。

 

 

 

 

 

 




次回か、もうひとつ先ぐらいにレックスの設定資料を投稿したいと思っています
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