何となくテンポが悪く感じるので戻すと思いますが、意見があれば感想等でお願いします。
…え、投稿頻度上げろ?
うん、ごめん。がんばる。
いざ、本物の太陽を見に行くぜ、と気勢を上げて魔法陣に乗り込んだハジメ達一行。光に包まれてどこか新鮮な空気を感じ、頬を緩める。
光が晴れ、いざ目を開けるとそこには―――
岩壁に囲まれた空間が広がっていた。
というか洞窟だった。
「なんでやねん」
「許せん」
ハジメと白野は真顔でツッコむ。かなり期待して乗り込んだだけあって、かなり残念だ。いや、正直言語化出来ないレベルで残念だ。
かくなる上は100層上まで登り、如何にか上の層に向けて穴を空けるしか…
と、計画を立てた時、クイクイとユエが袖を引っ張った。
「……秘密の通路……隠すのが普通」
「あ、ああ、そうか。確かにな。反逆者の住処への直通の道が隠されていないわけないか」
「そうそう普通に考えたら分かるよねまったく焦っちゃってー」
ムカッっと来たのでチョップを繰り出す。金剛、剛力を使い最速で放つ。が、流される。
「ふふん、動きに精彩が無いなー」
「こっっんの…‼」
こんなウザキャラじゃ無かっただろうが…‼照れ隠しにしたってもう少しやりようがあるだろうが…‼
とはいえここで躍起になっても仕方がないのでフンと鼻を鳴らして前に進む。
白野は暗視対応のメガネを掛けて真っ暗闇の洞窟を進むと、道を譲るかの如く扉やトラップが開いていく。その様はまるで迷宮攻略を称えているかのようでもあった。
そしてついに、光が見える。その隙間からは風も感じる。淀んだ空気ではない。余りにも久々に感じる清涼な風だ。
やがて三人は駆け出して、光差す岩壁の隙間を潜る。
抜けて、空を見上げた。
「まぶしい、ね」
「ああ、あれが、久しぶりに見る、本物の太陽だ」
「ん。空が、青い」
「うん。この青が、地上の空だよ」
「戻ってきたんだな」
「んっ。生きて、戻ってきた」
「はっ」
「ふふっ」
「あは」
心の底から湧き出る衝動。或いは感動を如何にか表現したかった。そうでなければ心がパンクしそうだった。だから3人は、まず笑った。
「戻ってきたぜ‼この野郎ぉおーーー‼」
「んっーーー‼」
「よおーし、次はおいしい物を食べる番だーーー‼」
ついでに叫び、
「「わーっしょい‼わーっしょい‼」」
「ん!?んぁーーー‼」
ユエを胴上げする。胴上げの文化を知らないユエは凄まじく困惑していた。が、それでもバランスを崩すことなく受け入れていた。ポンポンと跳ね上がる高さは数メートルに及ぶだろうが、恐怖など欠片も感じず、ただ風を切るたびに感じる爽やかな空気が胸に歓喜を呼ぶ。
やがて白野がユエを受け止め、クルリと一回転してハジメに向けてパスする。ハジメは勿論難なく受け止め、お姫様抱っこでユエを抱える。
「歓迎会は嬉しいけど、お呼びじゃないかな」
白野が後ろを向くと、そこには人型魔物が十数匹程集まっていた。先ほどの笑い声に集まってきたのだろう。
ゾロゾロと集まってくる人型魔物に対して、岸波白野は銀製ナイフを構えて対峙した。〇執事的な構え方である。
ふざけた真似をしている自覚は白野にもあるが、残念ながらステータスはもっと怪物的にふざけている。加えて〝皇后特権〟によって天職を投術士に変更。〝投影〟によってナイフをアーティファクトに…
「あ、ダメだこれ」
〝投影〟が不発に終わり、唯のナイフは音速を突き破って魔物たちを貫通した。因みに投影しようとしたアーティファクトは着弾と同時に上級雷属性魔法が発生する使い捨てナイフだ。オーバーキルと言うなかれ、オルクス最深層部ではこれくらいの火力が要るのだ。
「…どこがダメなんだ?」
「ん、オーバーキル」
「いや投影に失敗したでしょ。これか、魔力霧散現象って」
アイテムボックスから投影用アーティファクト:シュネーを取り出して聖剣を投影する。すると聖剣の姿形にはなった。しかし…
「せい」
先ほどの魔物の死体を蹴り上げて斬りつける。死体蹴りと言うなかれ、試し切りには実際に使用した時の再現性が重要なのだ。本来のスペックを再現した聖剣なら、この程度の魔物は骨も魔石も両断出来る。
パキンという軽い音と共にシュネーは砕け散り、骨すら切れずに崩れ去った。
「うわ、死体蹴りだ」
「突然のバイオレンスムーブ…怖い」
「いや少しは事態の深刻さを理解してよ‼私のメインウェポンが‼」
―――ん?なにやら気難しい顔をしておるでは無いか紅茶の?ん?なぁに此処ではすこーしだけ役に立てないというだけではないか‼気にするでない♪
―――そうですそうです。第一前回一番おいしいところを持って行ったのですから、ここから暫く役に立てずとも…良いのではないですか♪
―――はぁ、仲が良くて結構だが、魔力が使えない此処では実質皇帝陛下の独壇場だぞ。
―――まあ、其処は察しておりますが…嫁入道具が使えるならば特に問題は無いかと。いつでもどこでもそれとな~くご主人様をお支えするのが、良妻たる勤めですので。
「ん。〝投影〟とは確かに相性が悪い。攻撃魔法なら魔力のごり押しも出来るけど、〝投影〟は無理」
投影魔法は母体となる物に薄い膜を被せる魔法だ。必要魔力量より多くても少なくても成立しない為、投影魔法はこの魔力霧散現象と非常に相性が悪かった。
「なんてこと…私の力作が…」
投影専用アーティファクト:シュネーとシュネー量産アーティファクト:白金型が暫くお蔵入りなることになった。
「ま、この辺の魔物ならそれこそ石ころ投げるだけでも倒せるだろ。それよりもっと日差しの良い場所に行こう。砂っぽくてな」
そういってハジメは指輪、宝物庫から2台のバイクを取り出した。
「それもそっか。よし、じゃあ」
「おう、それじゃあまあ」
「「行こうかユエ」」
「ふぇ」
それぞれのバイクにまたがったハジメと白野は別々にユエに手を差し伸べる。突如現れた究極の選択にユエは思考停止する。
「はあ……白野。確かにバイクとしてのロマンはそっちが上だ。エンジン音のしないバイクっていうのは、俺としても妥協の産物だ。だがユエにはエンジン音のロマンだとか判らねえだろ。だったら音も振動も抑えたこちらに乗るべきだ」
「甘い。ハジメ、君はユエを侮っている。私がユエを乗せたことが無いとでも?実はこっそり乗せたことがあるけど、唸るエンジン音に共感を示してくれたよ」
「ああ、最深層のフロアだろ?丁寧に舗装された石床の。残念だが此処は未舗装路だ。悪路走行中の振動は初心者には辛い物がある。こっちに乗るべきだ」
「やれやれ、今までユエが誰の背中に乗ってたと思ってるの?振動なんて今までと比べれば揺り籠みたいな物。ね?ユエ」
「分かってねえなぁ。なあユエ?ビシッと言ってやれ」
ユエの思考は加速する。ハジメがユエに向けた独占欲の発露、白野からユエへ向けてのアプローチ。
白野はユエの気持ちに対して応援の姿勢を打ち出している。が、ユエに対しての手出しをやめた訳ではない。同衾のペースは白野が週4でハジメが週2だ。嫌という気は一切ない。もちろん白野がユエに性的なアプローチをすることもない。つまり、白野がユエにこういったアプローチを掛けるのは単純にイチャイチャしたいだけか、ハジメを焦らすことでイニシアチブを握るという心理戦の援護射撃だ。
だが、ではここで白野を選ぶのが正解か?
最初こそユエから押しかけての告白だった。初夜もそうだ。だが、白野との同衾を繰り返すことに嫉妬を見せ始めた。ハジメから誘われることも多くなった。この変化に対して、ユエは無邪気に喜んでいた。
だが、まだだ。ハジメの嫉妬はユエ
注意深く、慎重に、一手、二手先を読んで行動しなければならない。白野は最良の味方であるが、最大の仮想敵なのだ。
今この時の選択、最適解は…
「…ん」
「おう。というわけで、今回は俺の後ろだ」
ハジメの後ろだ。決して心理戦を放棄してイチャイチャしたい願望を優先した訳ではない。視線の配り方から袖の引き方まで完璧に計算した、極めて高度な印象操作なのだ。
「……覚えてろよ」
「ガチトーンじゃねえかよ…」
なおその印象操作を一番諸に食らったのは白野である。
◇
ブロロロロ…
凝りに凝った魔法式エンジンはご機嫌な排気音を響かせている。最初こそ膨れていた白野であったが久しぶりの地上を執念で作り上げた自作マシンで走る爽快感によってもはや気にしてはいない。
『樹海に向かうのは分った。ただ亜人族の縄張りを不用意に犯すのは危険じゃない?』
『確かにその通りだ。だからこそ顔を合わせるのは早い方が良い。霧に覆われた樹海の探索なんて下手すれば年単位で時間が掛かる。出来れば現地住民との交渉まで取り付けたいところだ』
『成程、 フットインザドアか。となると当面はライセン大峡谷とハルツィナ樹海の往復かな』
『ん、でもまだライセン大峡谷の全体図が分からない、亜人族との接触もまだ。計画を詰める段階じゃない』
『ああ、違いない』
念話を無線替わりにして計画を立てるが、やはり情報不足が著しい。結論としては樹海に向けて高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に探索する、である。
『人工衛星とかあったらな~』
『…実際この世界の世界地図が正しい保証がないからな…要るな』
勿論、現状では不可能だ。というか人工衛星とのデータの送受信からして現時点では不可能だ。カメラを打ち上げて撮影、回収するという手段が最も原始的ではあるが…世界地図作成に何年も掛ける気は無い。
『今進んでる方角も、「多分こっち側が樹海に向かう方。多分」だからな。行き当たりばったりになるのもしょうがないだろ』
そして日が徐々に傾き始めたころ。正面に大きな気配を感じた。今まで片手間に処理してきた魔物とは頭二つ程抜けた強大(ライセン大峡谷比)な魔物だ。咆哮にも威圧感がある。(ライセン大峡谷比)
正面のカーブを超えて視界が開けると、ティラノサウルスに頭を2つ付けた双頭ティラノモドキが一人の少女を追いかけまわしていた。
少女、ウサギ耳の過剰露出な少女は泣きながら叫んで逃げている。いや、本当に露出が多い。痴女である。ラニ=Ⅷもびっくりの痴女だ。
「…なんだあれ」
「…兎人族」
「あれって民族衣装か何かなの?現代社会でもありえないよあれ」
明らかに絶体絶命の少女を前に白野すら遠巻きに眺めていた。とりあえず助けるくらいの事はしそうな白野だが、なんだかもうそういうプレイをしているのではないかとすら考えていた。絶体絶命プレイ。業が深い。
と、眺めていると少女が双頭ティラノモドキに吹き飛ばされた。どうやら本当に絶体絶命らしい。スッとナイフを取り出す白野。
「待て白野。亜人族が何の理由もなくこんなところにいる筈がない。処刑方法として峡谷に落とされた犯罪者とか、そういう可能性がある」
「あるにはあるけど、現状優先すべきは彼女の善悪じゃなくて情報だ。彼女が樹海の方向を知っているだけで助ける価値がある」
「それは…」
ハジメは白野の女に対する甘さを骨身に染みて理解している。ユエの事もそうだが、奈落に落ちる前でもメイドさんを攻略しかけていた。本人は情報が欲しかったと言っていたが、果たして事実はどうなのか。
そんな訳でこれ以上余計な柵が付いてくるくらいなら目の前の少女はスッパリ無視すべきだと考えたがハジメ。しかし、白野の言い分もかなり正しい。正しいが…
「助けるって言ってもだ。案内するから樹海まで連れて行ってくださいって言ったらどうするんだ。下手すりゃ犯罪者を手土産にした不審者になるぞ」
「むっ…それは、その、場所だけ聞き出して…」
「それで引き下がると思うか?」
「ない…ね」
唯でさえ急ぐ旅路、寄り道はしていられないが、近道を無視するのも勿体ない。そんな葛藤が二人の間にあった。そんな時、快晴の空に雷鳴が轟いた。
振り返れば小型拳銃:エイシーから硝煙を棚引かせるユエの姿。
「ごちゃごちゃ考える前にまず動く。邪魔になったら捨てればいい」
「「はい。ごめんなさい」」
目の前には兎さんが双頭ティラノの口に咥えられ、ご飯になるまであと3秒というところ。議論するにしても、死んでしまっては手遅れだ。ユエの判断は完璧に正しかった。
「た、たすかりましたぁ~~!そ、それで助けたついでにお願いなんですけど、あの、出してもらえませんか~~~?」
そして目の前にはティラノの口に上半身が飲み込まれた哀れな兎。ジタバタと暴れているが抜け出せずにいるらしい。そして彼女は極めて露出の激しい民族衣装?を着ている。そんな状態で暴れればどうなるか…
「ここまで色気の無ぇパンチラは初めて見た」
「女の子のパンツ見て可哀そうって思ったのは初めてかな」
どうにもならなかった。
「え。白野おま、普段女子の下着どんな目で」
「とりあえず話聞き出そうか」
「あ、おい」
どうでもいいい話をさっさっと切り上げた白野はジタバタ暴れる兎のお尻をパシンと叩いた。
「じっとする」
「は、ハイ」
カメさんはいじめてはいけないが、彼女は兎さんなので問題はない。大人しくなったのでティラノの口をこじ開け兎さんを取り出した。
「…セクハラ」
「たまにやることおっさん臭いんだよなぁ」
外野が何やら言っているが、仕返しは後に取っておくことにする。 今はこの痴女兎から情報を集めることが重要だ。願わくば王国や帝国による奴隷狩りにあった善良な亜人で、彼女を連れ帰るだけで樹海に住む亜人族が諸手を上げて歓迎するような人物であればいいと思いながら。
「も、もうダメかと思いました~~!あ、助けて頂いてありがとうございます。私は兎人族ハウリアの一人、シアといいますです!あと、私の仲間達も助けてください!」
…白野も、ハジメも、ユエも、嗚呼ダメっぽいなぁ。と察したのだった。
「(そういえば、何でこの兎を見てラニが痴女みたいな想像をしたんだ?)」
原作知識について、(ありふれ読了、EXTRA、CCCクリア)
-
ありふれ、EXTRA両方知ってる
-
ありふれのみ知ってる
-
EXTRAのみ知ってる
-
両方知らない