はくのんは転移した   作:鎖佐

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久しぶりにVita起動したんですけどうんともすんとも言いません。
エクストラのリプレイが出来ません。


リメイクまだぁ???


岸波白野に対する疑問

結局崖上の帝国騎士はハジメ新作の催涙弾とスタングレネード、さらに中級雷属性魔法によって3分22秒で沈黙した。当然逃がした者も白野やハジメの姿を見た者、そして死んだ者も居なかった。

さらに馬を繋ぐ綱を斬って誘導し、馬車を宝物庫に放り込んで回収、彼らの足を奪うと同時に同道する兎人族を乗せて旅路を短縮することに成功した。

 

 

 

「顔も隠してあるし、そもそも見つかってないだろう。帝国から指名手配なんて面倒にはならないはずだ」

「そもそも実力主義の帝国が彼らの話に聞く耳持つか、と言うのも疑問だしね。うん、悪くない結果かな」

 

 戦闘時間は大した事は無いが、催涙弾の緊急開発に数時間要してしまった。スタングレネードは元あったものだが、この晴天の下では視界を奪う効果は余り期待できなかった。アレは少し薄暗い屋内等で効果を発揮するものだった為、急遽視界を効果的に奪う兵器が必要だったのだ。

 

「よし、じゃあ馬車に子供たちを乗せて。あと乗馬経験はあるのかな」

「はい。男衆ならば、全員」

「牽引は私のバイクとハジメの車かな」

「もう車の出番か」

 

 もうちょっと風を感じたいんだがとぼやくハジメであるが、普通馬車の牽引なら車である。白野が牽引する馬車はハジメの手によってかなり改造されている。

 

「と言うわけでシアもあっちね」

「はいですぅ」

 

 結構な振動が予想されるため、白野はシアにハジメの車に同乗するよう指示を出す。決してマシュマロを惜しんだりはしない。岸波白野は彼女持ち(予定)なのだ。

 

「おう、じゃあ乗れよ」

「…ん」

 

 ハジメの魔導四輪に近づくシアに、ハジメとユエはビシィと後ろを指さした。そう、馬車である。

 

「な、なんでですかぁ‼見たことない乗り物ですけど、5人は楽々乗れることは見て分かりますよ‼」

「…整備中なんだ。まだ後部座席は解放されてねぇ。アップデートを楽しみにしとけ」

「なんか雑に煙に巻こうとしていませんか!?ほら、案内役が居るでしょう?」

「つっても、もう森見えてるしな」

 

 うっすらとではあるが、地平線の彼方に緑の地があるのが見て取れる。間違いなくあそこが樹海、フェアベルゲンだろう。

 

「でもでも、崖とかでまっすぐ行けるとは限らないじゃないですか!?」

「ほう、成程確かに、で?ここからあっちにまっすぐで良いのか?」

「あぅ……、まっすぐ行くと峡谷に突き当たるですぅ。でも、北よりに進むと大きな石橋があるので、そこを渡ればまっすぐですぅ」

「うむ、案内役という使命は忘れていなかったようだな。良し」

 

 ビシィ‼と差すのは当然、後ろの馬車。まるでハウスと躾ける飼い主の如し。

 

「い、嫌ですぅ‼」

 

 ガバチョ‼ハジメの腰にしがみ付き、涙目上目遣いの黄金コンボを放つシア。まるで小屋に入れられることを嫌がるワンコの如し。

 

 だがしかし、シアはワンコではない。確かにワンコは可愛らしいが、シアにはもっと凶悪無比な武器がある。

 

 そう。おは〇っいである。しがみ付かれたせいで押し付けられたその柔らかくも質量と弾力を兼ね備えた二つの半球体はハジメの理性を盛大に削っていた。

 

 裸体には耐性が付いた。経験もした。だがしかし、この大質量は南雲ハジメにとって未知であり、不意打ちだった。

 

「うぉぁ…‼」

 

 思わず零れた情けない声。隣からくる恋人からの絶対零度の視線、他人事だと傍観を決め込んでいた相棒の失笑。目の前の顔を真っ赤にしながらも「あれ?効いてる?」みたいな表情をしている迷惑兎

 

 やばい。磨かれた生存本能が警鐘を告げる。今すぐに事態の解決を図るべし。一分一秒遅れるごとにユエの機嫌が急降下してしまう。

 だからこそ、ハジメは即座に決定せざるを得なかった

 

「っち、今回だけだぞ」

「はいですぅ‼」

 

 雑に振り払われたことなど意にも留めず、上機嫌で四輪に近づくシア。直前で「どうやって開けるんだろう?」というリアクションをしたが。次の瞬間にはドアノブを引いて開けていた。

 

「わ、すごい。さあハジメさん‼我らがフェアベルゲンまでもうすぐですぅ‼」

「お前はそこから追放されたんだろうが」

 

 ガリガリと不機嫌そうに車に向かうハジメだが…

 

「ハジメ」

 

 本当に機嫌が悪いかどうかなど、ユエなら判る。

 

「…はい」

 

 そしてハジメもまた、ユエの機嫌が本当に悪いことくらいは、理解できる。

 

「今夜は寝かさないから」

「あ、朝まで説教か?それは勘弁してほしいんだが…」

「『は』ってなんだか他の事を期待してるみたい」

「………………………………め、珍しく饒舌ですねユエさん」

「覚えておいて。今夜は、寝かさない」

「…はい」

 

 不肖、南雲ハジメは順調に尻に敷かれつつあった。

 

 

 

 

 ハジメの魔導四輪には〝錬成〟による地面の舗装能力がある。南雲の車が先導することで道を舗装し、牽引する馬車の振動を軽減。その後ろに騎乗した兎人族の男衆、最後に白野の二輪と馬車と続いていた。

 通り過ぎる景色を眺めていたシアだったが、はっきり言ってこの荒涼とした峡谷に見ていて楽しい物などない。余り突っ込む話ではないかと思ったが、聞かずにはいられなかったことをここで切り出した。

 

「ハジメさん。その、岸波さんの事なんですけど。決して悪く言うつもりは無いんですけど、岸波さんは、同族殺しを躊躇わない人なんですか?」

 

 バックミラー越しにシアをちらりと見たハジメは、しかし一言も返さない。ユエとしてはむしろシアと同感というところだ。ユエを助けることを推したのは白野であるし、その後何度も庇われてきた。良心的な人であることは確信している。

 

 

 

 二人の視線を受け、ようやくハジメは口を開いた。

 

「俺も正直意外ではあった、あったが、白野のスタンスは『被害者』だ。この世界に連れてこられた自分とクラスメイト達と共に、元の世界に帰還するべく行動する。これが行動指針だ。勿論、俺も同意している」

 

 今話した内容は先ほども聞いたものとほぼ同じ、要約したものだった。だが、繰り返すということはそれだけ重要であるということ。

 

「加えて、白野の恋人…両片思いの相思相愛なんだが、まだ付き合っていない彼女のメンタルはそう強くない。いや、違うか。正確には、白野を拠り所にしているから、白野が欠けるとメンタル的に不安な奴がいる。……白野がいれば、トップクラスで頼りになるんだがな」

 

 言わずもがな中村恵理の事である。転移してからというもの、ずっと同じベッドで寝ていたと白野が言っていた。それで付き合ってないって一体どういうことなのかと聞いたが、聞かないでくれと話を切られてしまっている。

 

「……それと、これは本当に言おうか迷った内容なんだが、白野はすでに一人、死なせている、…らしい」

 

 

 

 

 これは女子バレー部を中心に流行った噂話だった。岸波白野は一年生の時点でエースセッターになった。セッターというのはチームの司令塔。一年生がスパイカーやブロッカー、リベロ等になるのとは話が違う。チームの中心が白野になるということだ。

 

 当然それを気に食わないと思う者は多くいた。バレー部の2軍達だ。1軍はむしろ肯定的で、全国大会等と言う縁遠い舞台に浮足立っていた。…だからこそ、部内の亀裂は広がっていたのかもしれない。

 

 女子バレー部全国大会出場決定の知らせと共に、一つの交通事故が噂されるようになった。過去に中村恵理の自宅の前で、岸波白野が男を車に轢き殺させたという内容だ。

 ご丁寧に当時の新聞記事や、かつて白野が過ごした施設の者達からの告白文など、決定的ではないが推察され得る証拠が張り出されていた。

 

 この事件に対し、白野は一切臆することなく毅然とした態度を取り続け、教師陣と部内1軍メンバーの協力もあって鎮静化した。

 

 だが白野は一度として、「そんなことはしていない」とは、言わなかった。

 

 

 

 

「だから、白野は何らかの理由で、人を死なせているらしい、と噂されている。この件は中村すら否定しないんだから、ほぼ事実なんだろう」

 

 勿論、『ほぼ』の範囲も重要だ。白野が少年院に入っていた事実は無く、あくまでも事故であるのだ。それが故意であったのか、過失であったのか…偶発的であったのか、計画的であったのか、だれも分からない。

 

「ある意味この噂はブームになっていてな。真実は何なのか、なんて探偵ごっこが流行っていた。その中にはもしかすると真実なんじゃないかと思う物はあったが、まあ、それはいいだろ」

 

 

 ハジメが言葉を切ると、車内は沈黙が広がる。肝心なところはかなり暈したが、彼女たちも女である。想像してしまうのも無理はない。

 すなわち、中村恵理の自宅の前で轢死した男は、何をしていたのか。だ。

 窃盗であったのなら、同情くらいはしよう。流石に死ねばいいと思う程の罪でもない。

 強盗であったのなら、自業自得だ。白野は機転によって好いた人を救って見せた英雄だ。

 だが、その目的が強姦であったなら、地獄に落ちればいいと思う。それに、未遂は無い。例え、行為に至っていなくても。例え、衣服が一つも乱れていなくても。そういう状況に立たされて、そういう視線に晒された時点で、不可治の傷を女性は負うのだから。

 

「多分、その時点で白野は、殺す覚悟を決めたんじゃないかと、俺は思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当にそうだろうか。

 彼女の不審な点は数多い。

 いや、もう答えなんて出ている。馬鹿げた答えが頭にある

 Fateシリーズ。奈須きのこ原作の、創作物。

 特別詳しい訳ではない。SNとZero、Apocryphaにプリヤ、そしてFGO。知っているのはそのあたりだ。もしかすると自分の知らないシリーズがあっても不思議ではないのがFateシリーズという物だ。

 

 だが、それで十分だ。干将・莫邪までならよかった。それは、南雲ハジメでも再現できるものだ。だが〝投影魔法〟に『熾天覆う七つの円環』、八咫の鏡に、〝狐之嫁入〟というスキル。ここまでくると、おかしい。

 

 特にこの八咫の鏡と〝狐之嫁入〟というスキルから推測出来てしまうサーヴァント『玉藻の前』との関係が最も怪しい。

 なにせ登場作がFGOの第四特異点、ここで自陣営側としてタダ乗り召喚してちょっと活躍して帰っていくのだ。

 あの、玉藻の前が、だ。

 

 いや、おかしいだろう。はっきり言って特異点を作る側だし、自陣営側でも主役を張る存在の筈だ。だというのに彼女は以後もサブキャラ出演が基本だ。星5なのに。

 

 

 

 これは、本当に、心底馬鹿馬鹿しい仮説であることは分っている。だが、それでも思わずにはいられない。

 彼女は、岸波白野は、誰も知らない聖杯戦争の経験者なのではないか?それが召喚物かクラスカードかあるいはもっと別の物かもしれないが、それでも、英霊召喚を経験しているのではないか?

 

 その過程で、とっくの昔に殺人を経験しているのではないか?

 噂の事件と仮定聖杯戦争の時系列は分らないが、すでに、大量の死を積み上げてしまっているのではないか?

 そう思わずには居られない。だから、怖くて聞けないのだ

 『聖杯戦争って知ってる?』なんて

 もし、肯定と共に神秘の秘匿の為に殺されたら?なぜ知っていると、問いただされたら?聖杯戦争を題材にした創作品が世に出回っていることを知ったら?

 

 岸波白野は如何するのだろうか。

 南雲ハジメには分らない。

 

 

「見えてきたな」

 

 人を拒むかのような霧のかかった鬱蒼とした森、フェアベルゲン。

 第二の迷宮までもうすぐだ。

 




リメイクの新情報が出たら続き書きます

原作知識について、(ありふれ読了、EXTRA、CCCクリア)

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