「「「なんでお前は女っぽいのに男なんだ!」」」と変態三人衆に言われるレヴィアタンの血を引く少年の、余計な要素が無駄に入ったD×Dのお話   作:グレン×グレン

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 そんな感じで、ディアボロス編のバトル回となります。

 一話で全部終わらせられるバトル編とか、自分の作品だとめったにない展開ですな。どうも日常描写より、戦闘描写の方が筆が進むタイプで……。


第九話 赤き龍帝の産声

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 振るわれる攻撃に対し、俺は大乱剣舞を利用して迎撃する。

 

 一言で言おう、厄介な敵だ。

 

 末端とはいえ仮にも部隊を率いているだけあって、レイナーレは決して無能ではない。管理職にただの無能を配置しない、堕天使側の能力の高さにちょっと困ったものだ。

 

 まあ、余計なことをしたから処罰確定になる当たり、根本的には無能な働き者ということか。

 

 そして問題は、レイナーレが高位の魔装具を保有しているということ。

 

 特殊能力こそ保有してないようだが、王式魔装具は魔装具として間違いなく高い部類。基本性能は高水準だ。

 

 結果として、今のレイナーレは悪魔換算でも割と高い。俺の感覚的な判断だが、上級悪魔の中の上といったところか。

 

 これが聖母の微笑を獲得すれば、確かに回復という付加価値に自衛能力も合わさり、能力的な評価は高くなるだろう。

 

 最も、そんなことをする奴に能力があるのは逆に面倒なことだ。討伐すら考慮に入れた判断を上層部が下したのは的確でしかない。仕事できるな神の子を見張る者(グリゴリ)も。

 

 こっちも大剣を使って弾き飛ばしつつ、隙を見て魔力砲撃で反撃しているが決定打にならない。

 

 屋内戦闘だから威力を絞る必要があるのは事実だが、それを抜きにしても今のレイナーレは強敵だ。

 

 ……強い敵ってのは精神面でも強いとかいうけど、あれは創作物だけの世界だということがよく分かる。少なくとも戦闘能力の高さというものは、異形社会(俺達の業界)はメンタルと比例しないということか。

 

 どれだけ諦めない心で立ち上がろうと、首を切り落とされればそれで終わるしな。所詮メンタルはOSと同様で、精神が肉体の限界を超えるわけがない。

 

 変にテンションを上げない。内心の怒りを制御の主軸にしない。自分が英雄や主人公だと驕り高ぶらない。

 

 目の前の敵を舐めてかかれば死ぬと思え。周囲の横やりがないと思い込めば死ぬと思え。突然のアクシデントで足を取られれば死ぬと思え。

 

 成すべきことをできる範囲。それを突き詰めても死ぬ時は死ぬ。必ず自分が乗り越えられる敵しか目の前に出てくると思うな。神と敵対する俺達悪魔は、天から試練を乗り越えられる範囲内にするサポート何て受けないと考えろ。

 

 この戦いで死ぬかもしれない。ならせめて、できる限りの成すべきことを成してから死ね。

 

 窮地において、死のリスクを踏まえ、感情でアクセルを踏みつつ理性のブレーキを適宜掛けることを忘れない。その執念を持ってレイナーレとの戦闘を連続する。

 

「……うわぁ!?」

 

「ハッ! 腐ったクソガキが私に傷つけられると思ってるんじゃないわよ!」

 

「イッセー、下がれ!」

 

 レイナーレの加速する攻撃速度に、イッセーが対応しきれずに手傷を負う。

 

 俺はそれをカバーしつつ、あくまで距離を開ける為だけの力加減でイッセーを蹴り飛ばした。

 

 できれば、本人が乗り気な雪辱戦を果たさせたいところだった。それぐらいのフラストレーションは溜まっているだろうし、不完全燃焼で終わるよりはいい結果になるとは思っている。

 

 だがやはり駄目だ。これ以上の戦闘にイッセーは耐えられない。見逃さず安全を確保するべきだ。

 

 友人として、アーシア・アルジェントの気持ちを踏まえ、そして何より戦術的な勝利を踏まえ。

 

 俺は心を鬼にすると、全力で殺しに行くべく攻防の速度を上げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、畜生。神様……」

 

『Boost』

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 放たれる砲撃は明らかに絶大な火力だった。

 

 落果奉作が送り出したGF、キョーシンは間違いなく難敵である。

 

 本来、人機同調を基本とするGFは、同時に運用できる動作に限界がある。

 

 肉体の操作のように体を動かすことは問題ない。だが固定武装といった人の体にない機能には限界が存在する。

 

 しかし、キョーシンは遠慮なく各種武装を放っていた。

 

 全身に搭載した自動装填型の滑空砲から砲弾を放ち、更に両手から闘気を凝縮して砲撃を放つ。

 

 群奴も、性能では一打に劣って入るが十分な脅威だ。

 

 必然的にこれに相対する者は苦戦を強いられるはずなのだ。

 

 一で上回られている上、最低でも生身のはぐれ悪魔祓いの平均値はあるだろう戦力による包囲攻撃。

 

 しかし、それを上回る力が八款亞里亞にはあった。

 

「ああもう! 一だけは多いったありゃしない!」

 

 そうぼやきながら、亞里亞は敵のGFと間合いを詰めると、真っ向から組み付いた。

 

 本来サイズ差からありえないその奇跡を成すは、彼女自身が宿す神の奇跡。

 

 彼女は今、全高が7メートルほどある鋼の巨人に乗り込んで戦闘を行っている。

 

 既にキョーシンを一機撃破し、もう一機を押し込む体制だった。

 

 更に周囲の群奴の群れも、5m前後の鋼の巨人が八体がかりでそれを蹂躙。文字通り圧倒という領域に到達している。

 

 今回の任務、十人以上で構成される部隊から彼女が一人だけ潜入していた理由は、大きく分けて二つある。

 

 一つは、彼女はある理由で堕天使側に対する潜入が最も気付かれにくいこと。潜入となれば人数を絞る必要があることから、当然「ばれない可能性」を考慮するのは当然だった。

 

 そしてもう一つは単純明快。彼女が一人敵陣で正体に気づかれても、生き残る可能性が非常に高いことだ。

 

 単純戦闘能力の高さとばれにくさの両立を、最も高い水準で達成している。これ以上に最適な理由は存在しない。

 

 故に、この圧倒は必然以外の何物でもない。

 

「まったく! なんか妙にあった気がする初対面ってだけでも気になるのに、それが二人で悪魔と神の子を見張る者(グリゴリ)とか、後で調べるのも困難じゃない!」

 

 内部にいることで気づかれにくいのを良い事に、亞里亞は盛大に愚痴をこぼしながら戦闘をしていた。

 

「……も~! 私の人生ってなんでこう、足元を掬われそうなことが人生左右するレベルで起きるかなー!」

 

 それを成してなお余裕な程度には、彼女は卓越した力を持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……神様が悪魔を助けるわけねえか。なら、魔王様だよな」

 

『Boost』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時に、同様のレベルで圧倒していたのが玉鋼冴姫派である。

 

堕天使二人が保有するのは、空挺刃(くうていじん) 打十(だとう)

 

 グレイブ型の魔装具であるこれは、性能が将式装具に次ぐレベルで高い、高性能な汎式装具。空挺部隊といった精鋭部隊の基本装備として開発されたのではないかと思われる代物だった。

 

 必然的にその能力も高く、油断できるわけがないのだが―

 

「……まずは一人!」

 

「が……っは」

 

 堕天使の一人を撃ち抜き、わずかに残心を加えつつも、冴姫派は意識を他の敵に集中していた。

 

「カラワーナ! なんなんッスか、お前ぇ!!」

 

 同僚を殺されたことで、堕天使ミットルテは激高して攻撃を開始する。

 

 あと少しで、上司のレイナーレが堕天使で大きな発言力を得たうえでそのおこぼれに与れると思ったら、あっという間に状況がひっくり返された。

 

 特に堕天使側から来たというこの女、この女だけは生かしておけないのだ。

 

 間違いなく、神器摘出装置の細工に一枚噛んでいる。でなければ、神の子をも張る者の技術の粋が集まったこの摘出装置をピンポイントで死なないようにいじくるなどできるわけがない。

 

 故に激高したミットルテは、必然的に間違いを犯していた。

 

 何故、魔装具と堕天使の二つが重なったカラワーナを一撃で殺せたのか。

 

 何故、外で激戦ができる規模の部隊で来ているのに、彼女だけが此処に来ているのか。

 

 全ては「想定されているレイナーレ達の戦力全てを相手にしても、戦えるだけの実力を彼女が持っていると判断された」ことに由来することを、ミットルテは一切想定しなかった。

 

 必然的帰結として、冴姫派は攻撃を素早く躱し、瞬時に反撃の斬撃でミットルテを縦に両断する。

 

「……私如きにあっさりやられてるようなのが、至高の堕天使の直属とは、愚かというほかない行動ね」

 

 そう吐き捨てると、静かに残心を取りつつ周囲を警戒する。

 

「さてと。援護するべきだと思うけれど、いがみ合う三大勢力で連携が取れるかとも思えないのよね」

 

 

 

 

 

 

 

「なんでもいい、なんでもいいから……」

 

『Boost』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 落果奉作という男は、組織において相応の力量があるメンバーと判断されている。

 

 生態型の心顕術を習得し、更にそれを発展させた技を持つ。そもそもこれができる者は非常に稀少と言ってもいい。

 

 己の生態その物を深層意識レベルで定義している。それが絶対条件故に、生態型の心顕術は安定性という点において他の追随を許さない。

 

 「最難にして最善」は伊達はない。習得することそのものが最も難しが故に、生態型心顕術は高い出力と使い易さに、と低いデメリットと発動条件を併せ持っているのだ。

 

 だからこそ、将式装具クラスの侠式装具を与えられている。彼が簡単に死んでしまうことは損失だと、判断されているからこそだ。

 

「中々、やってくれますね……!」

 

 その彼が、リアス・グレモリーとその眷属に苦戦を強いられているのは、ひとえに彼女達が強いからだ。

 

「祐斗君、風を抑え込みますよ!」

 

「分かっています、朱乃さん!」

 

 女王(クイーン)騎士(ナイト)がその力を持って、突風に干渉して効果を抑え込んでいることが特に厄介だが、同時に単純な力も厄介だった。

 

「小猫、前衛は任せるわ!」

 

「もちろんです、部長……っ」

 

 (キング)とそれを補佐する戦車(ルーク)もまた、連携でこちらを追い込んでいる。

 

 本来、奉作が身に纏っている開門銃(かいもんじゅう) 砲鍵(ほうけん)は、下位の上級悪魔なら十分打倒の余地がある魔装具だ。

 

 通常時でも小型の形成炸薬弾に匹敵する殺傷性能の弾丸を放ち、神域装飾を纏った時には先進国の戦車砲級に威力が高まる。まして拳銃感覚で撃てるがゆえに、連射速度込みなら戦車一個中隊に迫る火力を発揮できる。

 

 例え上級悪魔であっても、下位の者が相手なら十分勝てる。そこに心顕術が加わってこれだ。

 

「なるほど、流石は現ルシファーの妹。あの方々に並び立てる素質は、十分にあるということですか……っ」

 

 故に、彼は判断を決めるほかなかった。

 

「レイナーレ殿には感謝しているのですよ。魔装具の対価とはいえ、こちらが用意した難易度と負担の高い手術をアーシア・アルジェントを利用して補佐したおかげで、傷口を縫合することも手術痕もなく十人近い方々の処置を終えることができた。彼らから得る感謝の感情や今後の援助を考えれば、本当に私の権限内でのアフターサービスは安いぐらいなのです」

 

「やはりね。完全新規のGFを個人で開発できるとは思ってなかったわ」

 

「異形に喧嘩を売れる大組織。そんなのがいるなんて……」

 

 リアス・グレモリーとその戦車が瞠目するのも無理はない。

 

 特にしゃべっても問題ない程度のことでも、それだけの重みがあるのだから。

 

 これで更なる真実を伝えれば、こんなものでは済まないだろう。それこそ神話体系の一つや二つではらちが明かないだろう規模の勢力がいるなど、思ってもいないはずだ。

 

 だが、それを明かすのはまだ少し早い。

 

 故にそろそろ行動に移るべきと考え―

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの糞野郎をぶっ飛ばす力を、俺にくれぇえええええ!」

 

『Exolosion!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのすべての意識を奪い取るだけの、力が目覚める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一志Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 な、なんだ、あの力は。

 

「なに、なによ、それは……っ」

 

 レイナーレが動揺しているが、それは仕方がないだろう。

 

 俺もさすがに驚いている。それだけの力が、イッセーの左腕から湧き上がっている。

 

 すぐに冷静になるが、同時に俺はこうも思う。

 

 ここは、イッセーに花を持たせるべきだろう。

 

 こいつが被害者の一人で、もう一人の被害者のことを本心から友達だと思っている。だからこそ、今まで見たことが無いぐらい怒っている。

 

 どうにかできるのなら、イッセーがどうにかするべきことだ。それを踏まえれば、隙をついて俺が殺すなんて幕引きはしてはならないだろう。

 

「ありえない、そんな力を、龍の手(トゥワイス・クリティカル)が出せるわけがない!」

 

 明らかに自分を超える力を見て、レイナーレは完全に半狂乱になっていた。

 

「なんなのよ、あんたはぁああああ!」

 

 その本能で放たれた光の槍を、俺はあえて見過ごす。

 

 止める必要も庇う必要もない。

 

 何故なら、あの程度で今のイッセーを殺せるわけがない。

 

「知るかよ、俺は馬鹿なんだ」

 

 当然のように、イッセーはそれを軽く腕を振るうだけで粉砕する。

 

 そして、今まで見たことが無い本気の憤怒を目に浮かべ、イッセーはレイナーレを睨みつける。

 

「それでも、お前を野放しにできないってことは分かるんだよ」

 

「……ひぃ!」

 

 気圧され怯え、レイナーレは飛び立とうとする。

 

 勝てないと判断して逃げるというのは間違ってない判断だが、しかし遅すぎる。

 

 当然、俺がしっかり伸ばしていた魔力の蛇が、奴の両足を捕らえて飛び立たせない。

 

「な……ぁ!?」

 

 パニック状態になって蛇を切り飛ばすことも忘れたレイナーレを睨みながら、イッセーは俺に片手をあげる。

 

「サンキューな、一志。相変わらず抜け目がないっていうか容赦がないっていうか」

 

「ついでに言えば情けもない。勢いよくやってやれば、それで片がつくさ」

 

 そう言い合いながら、片手でハイタッチを交わし、俺はイッセーを見送りつつレイナーレに残酷な真実を伝えてやる。

 

 精神を更にねじ伏せる加虐はないが、こいつの勘違いを証拠込みで教えてやるぐらいはしてもいいだろう。リアス・グレモリーの兵士(ポーン)がとんでもないことを伝えれば、神の子を見張る者(冴姫派)バチカンと天界(亞里亞)に牽制できるしな。

 

「レイナーレ、お前の目は節穴というか機器類が不良品だな。……流石に兵士換算八駒分の人間なんて、持ってる神器が龍の手でとどまるわけがないからな」

 

 俺がそう言うと、既に決着をつけていた冴姫派も亞里亞も面食らっていた。

 

「……冗談でしょ、準神滅具保有者だって五から六ぐらいのはずよ?」

 

 冴姫派は特にそう言ってたが、だとすると可能性は合計十三。

 

神滅具(ロンギヌス)、それも龍の手と勘違いされるような形状なんて、亜種発現でもないなら一つだけ……っ」

 

 亞里亞の言葉が答え以外の何物でもない。

 

 そう、極めれば神や魔王すら殺しうるとされる、一種に付き一つしか確認されない最強の神器。

 

 十三種の神器の究極、神滅具(ロンギヌス)

 

 そして、俺が知識で知っている限り龍の手と勘違いされるのは一つだけ。

 

 籠手の形で具現化し、龍の魂が封印された神器。それも龍は龍でも神すら超える、三大勢力が一時共闘するだけの脅威だった二天龍の一角。

 

 十秒ごとに力を倍増させ、更に使い慣れればその力を譲渡することができる、その名は―

 

「……そう、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)。龍に対応するルシファーを輩出したグレモリー()に、赤き天龍が来るなんてね」

 

 そう苦笑する部長の言葉がきっかけになったのか、ついにイッセーはレイナーレの前に来る。

 

「この、至高の堕天使になる、私が―」

 

「至高? アーシアを苦しめたお前は―」

 

 レイナーレの言葉を遮り、イッセーは籠手に包まれた拳を握り締め、そして力を解放する。

 

「―ただの最低野郎だ! ぶっ飛べ、糞堕天使がぁあああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤いその一撃は、驕り高ぶった堕天使を一撃で吹き飛ばした。

 




 ちなみに難易度換算でいうのなら。

 堕天使二人<有象無象全部<レイナーレ<奉作といった感じの難易度です。
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