「「「なんでお前は女っぽいのに男なんだ!」」」と変態三人衆に言われるレヴィアタンの血を引く少年の、余計な要素が無駄に入ったD×Dのお話 作:グレン×グレン
一志Side
ふと、夜中に電話がかかってきた。
こんな時期に電話なんて、変な奴か緊急事態かの二択しかない。
なので呼び出し表示を見れば、そこには「兵藤一誠」の文字があった。
両方か。そう思った俺は悪くないだろう。
イッセーは常識も良識もあるが、エロが絡むとぶっ飛ぶ変な奴だ。だからこんな時期に電話を掛けるとなれば、それは何かしらの非常事態とかそういったことだろう。
一秒でそう判断すると、俺は外に出る準備をしながら電話に出る。
「―どうしたイッセー? 何があった?」
『―なあ一志、いきなり裸の部長に迫られてメイドさんが止めに入ったんだけど、これ夢かな?』
……切るべきかとも思ったが、とりあえず衝動に呑まれないようにしよう。
「……まずは深呼吸だ。そして順序だてて説明してくれ」
で、聞いた話だが訳が分からん。
夜にベッドで横になっていたら、いきなり部長が裸で馬乗りになって「抱いて」とか言ってきたらしい。
なんでも「最適解は一志だろうけれど、祐斗にしろ一志にしろこういうことを受け入れてくれるような子じゃない」とのことだ。最適解としか言いようがないが、なんでそんなトチ狂ったことを?
そしてイッセーがパニック状態のうちに、今度は銀髪でナイスバディなメイドさんが現れて、部長が諦めて転移していったといった感じらしい。
はっきり言ってさっぱり分からないが、とりあえず分かることだけを一つずついうことに使用。
「まずその銀髪のメイドさんだが、たぶんグレイフィア・ルキフグスって人だと思う」
『そんな名前なんだ。で、なんでメイドさんなんだ?』
「なんでも何もマジのメイドだ。ちなみに現ルシファーの
そう告げて起きながら、俺は状況が分からず首を捻る。
いくら破棄の条件すら付いているとはいえ……いや、むしろついているからこそそんなことをする理由が分からない。
確か期限は「大学部を卒業するまで」だったはずだ。仮にも名門貴族の筆頭格ともあろう者が、後ろ指を刺されかねないような反古をするとも思えない……いや違うな。
そうでもなければ、部長がそこまで暴挙じみた暴走をするとも思えない。
悪魔という種族故に、どうしても人間の平均と比べるとずれた価値観を持っているが、異形というものは人間と精神構造が違う異次元のずれがあるわけではない。
根本的に異文化コミュニケーションレベルでとどまっているようなものだ。外国人との付き合いと同じで、その辺りを理解して尊重する姿勢を見せていればそこまで酷いことにはならない。
まして部長は学園生活を問題なくこなせている。見せてもいいと思った相手にはかなり裸族よりだが、貞操観念は人間目線で破綻しているわけでもない。
……なんというか、嫌な予感がするな。
日付が変わっていたのでその日の朝。俺達は一旦部室に向かっていた。
イッセーに対して事情説明もきちんとすると言っていたようなので、部長の口から話を聞く方が早いだろう。
「……でさぁ、部長って何か悩みでもあるのかな?」
「どうだろうね。とはいえ、部長は次期公爵という貴族の中でも最高位だから、それなりにしがらみだってある。その辺りが絡んでいるのかもしれないね」
「そうなんですか。部長さんも大変なんですね」
「……そうなんです」
と、すっかり打ち解けたイッセー達は移動しながらそう話している。
まあ、部長の婚約関係は、眷属と言えどあまり知られてないのだろう。
俺も確信がない以上、言いふらさない程度の良識はある。俺以外に知っているのは、オカ研に限定すれば朱乃さんぐらいだろう。
俺が知っているのは今後を一応見据えて「もし俺が王族であることを公にしたら、権利と引き換えに結婚関連とかしがらみも背負うんでしょうねぇ」と世間話をした結果、盛大に愚痴を聞かされたからだ。
曰く「彼は私を「グレモリーの」リアスとして愛すのだろう」と前置きし、「グレモリーの名は誇りだけど縛りでもあり、誰もがグレモリー家のリアスという前提で見てくる」と語り、「悪魔グレモリーを知らない人間界は、私をリアス個人として見てくれるかけがえのない物」と告げ、「リアス個人として見て愛してくれる人と一緒になりたいのが、小さな夢」と言っていた。
……まあ、我儘と言われれば仕方がないことだろう。
だが政略結婚はそうであるからこそ、家同士の繋がりをより良くする為にも双方が納得はするべきだ。それすらなくなれば関係は不仲になり、そんな中で生まれる子供にとっても悪影響だろう。
だからこそ、できる限りの要望を叶えるというのは必要だ。どうもグレモリー側にしろフェニックス側にしろ、政略結婚における双方の根回しが足りてない印象がある。この辺りも異文化ゆえにずれといった感じか。
とはいえ、俺はそういう責任と責務に理解があるからな。部長のことは嫌いじゃないが、恋愛対象として見ているかとなるとそれも違う。
……あまりに無体な展開になるようなら、俺が立候補するという最終手段もありか。相手の性格にもよるが、俺は政略結婚でならガス抜きも含めて愛人を許容することには理解があると自負している。
同時にこんな方法が最悪を回避する程度でしかないがな。俺もレヴィアタンの責務をこんなことで背負えるかというと自信が無いから、できれば他の落としどころが必要だろう。
……まあ、これは「部長が約束を反故にされて結婚を強引に進められている」という前提での話だ。そうでないなら、杞憂以外の何物でもない。
そう思ったその瞬間、一歩踏み込んた時の強大な力を察知した。
「……僕が、こんなところまで察知できないなんてね」
祐斗も痛感したのか冷汗を流している。
おいおい、これはどう考えてもややこしい展開になってるだろ。
ため息をつきながら、俺は気配が漏れ出ている部室の前に立つ。
他のメンバーはちょっと緊張しているようだが、俺はとりあえずノックをする。
「……お前、根性あるな」
「食客の俺はともかく、眷属のお前らは躊躇するわけにもいかないだろ。やるべきことなら俺はやるさ」
入るべきではあるからな、まあいきなりドアを開けたことがきっかけになって戦闘とかは嫌だから、ワンクッション置いたが。
「……入っていいわ」
その返答が聞こえたので、俺は一歩下がると眷属達の方に視線を向ける。
「食客が率いる形だとまずい展開かもしれない。……祐斗、カバーはするからお前が先頭で入ってくれ」
一応のメンツを考慮しつつ、万が一ガチバトルが即勃発してもいいように、俺は必要最小限の魔力を纏ってカバーに入れる程度の力を全身に入れる。
この場の眷属に限れば、今は祐斗が一番強い。立ち位置的にも年長者かつ転生悪魔としての経験も長めなので、選択肢としては有効だろう。
「相変わらず、そつがない判断だね。……失礼します」
そして、木場に続く形で部室に入った俺達は、三人の人を見つける。
うち二人は当然の如く、リアス部長と朱乃さん。そしてイッセーとの電話で予測していたが、グレイフィアさんだ。
「……ご無沙汰してますグレイフィアさん。最も、昨夜は色々と立て込んでいたようですが」
「お久しゅうございます、一志様。兵藤様から伺っているようですが、他の皆様方にも説明をするべきでしょうか?」
俺の挨拶に一礼を返しながら、グレイフィアさんは相変わらずできる人なだけあって反応である程度察してくれたようだ。
最も推測しかできてないから、事情を教えてくれる分にはありがたい。
とはいえ、その前に部長が手でそれを制すと俺達を見る。
「私が話すべき事柄よね。そうね、まず端的に言うと―」
その瞬間、魔方陣が室内に展開される。
属性としては転移のそれだ。加えて同時に炎まで撒き散らせているが、驚くことの周囲を燃やしたりはしない。ちょっと暑いだけであり、断じて熱いとは思わない。
魔方陣の紋章とこの特性から判断して、これは本当に厄介なことになっているな。
そんな炎から現れるように、転移されたのは一人の男。
「ふぅ。久しぶりだが、やはり人間界の空気は好かんな」
そう答える、ホスト風の男を見て、俺は俺の推測が当たっていることを半ば悟ってしまった。
「会いに来たぜ、愛しのリアス」
「よしてライザー。嬉しくないわ」
そんな風に言い寄る男と、冷たく突き放す部長。
俺はそれを見てため息をつきたいのを我慢して、即座に裏拳を突っかかりかけたイッセーに叩きつけた。
「はぶぁっ! って一志! 部長に近づく悪い虫を振り払うのも眷属の務めだろ!?」
「俺は食客だし彼は悪い虫でもない。というより、
俺はそう宥めながら、ため息交じりに説明を続ける。
いやほんと、うるさい奴が出てくるから可能な限り避けるべきだからな、こういうのは。
ただでさえ赤龍帝だから、将来的に悪目立ちすることになるんだ。余計な悪評は経たせるべきではない。
なので、イッセーがこっちに意識を向けている間に話を勧めよう。
「イッセー、あちらは元七十二柱の一つであるフェニックスの本家。その三男であるライザー・フェニックス氏だ」
俺がそう言うと、察して警戒している祐斗達に変わり、グレイフィアさんが静かに頷いた。
「そしてリアス様の婚約者であります。眷属ならば失礼の内容にしてくださいませ」
その言葉に、事情を理解したイッセーとアーシアはぽかんとして―
「「えぇえええええええええ!?」」
まあ、そうなるよなぁ。
「いやぁ、流石はリアスの
「痛み入りますわ」
100%営業スマイルかつ冷たい空気を纏わせた朱乃さんが、ライザーの本心っぽい褒め言葉にそう答える。
事情が分かり切ってないイッセーとアーシア以外の眷属は、既にライザー氏を警戒している。
というかライザー氏は、部長と同じソファで隣に座り、軽々しく肩を抱いている。部長が振り払っても一切気にせず再開する始末だ。
一触即発とまではいわないが、空気はかなりピリピリとしている。
食客の俺は一応座っているが、場合によっては止めに入った方がよさそうだ。
特にイッセー辺りは切れて突っかかりそうだな。純日本人だから、こういった階級制度に慣れがないだろうし。
「……うへへ」
「イッセーさん? よだれが垂れてますよ?」
……おっぱいを見て妄想し、アーシアに心配されているうちは大丈夫か。
まあ、そろそろ話を勧めた方がよさそうだろう。
「……さて、誰かが話を進めるべきだと思うので、あえて俺が言わせてもらいましょう」
紅茶を一口飲んでから、俺はあえてカップをコースターに勢いよく乗せる。
その音で注目を集めながら、俺はグレイフィアさんに鋭い視線を向けた。
「どういうことですか? 俺は部長から、「大学を卒業するまでに彼氏を作れなかったら」婚約することになっていると伺っていますが?」
そう、そこだ。
仮にも現公爵がそれを認めて起きながら、何故まだ高校生の部長に暫定婚約者がいい寄りに来ているというのだ。
いや、もはやこれは―
「既に婚約の準備をごり押ししていると、そういう風に受け取ってよろしいのですね?」
「……旦那様やフェニックス卿はそのおつもりです」
なるほど、ねぇ。
「おい、一志・L・モンタギュー。お前が上級悪魔の血を先祖返りさせたことで食客となっていることは知っているが、食客止まりのお前が貴族同士の契約に口出しするのか? というか俺は無視か?」
ライザー氏はそう言うが、別にそういうわけではない。
俺がレヴィアタンの血を引いていることまでは隠されているので、個の対応は何も間違ってない。何の実績もないことを踏まえればむしろそうであるべきだ。
だから、俺は努めて冷静に対応する。
「まずはグレモリー家の方針を確認したかっただけです。最も仮に公爵が、娘と交わした約束すら反古にするというのは失望物ですがね」
全く。公爵、それも人間の数百倍は生きれる悪魔が数年も待てないとは情けない気がする。
俺より数百年は生きているだろうに。もう少し長い目で見れないものだろうか。
なので正直毒が籠っているが、ライザー氏は鼻で笑った。
「まあそういう話は前にも聞いている。だが、悪魔の御家事情はそれをむざむざ許せるようなゆとりがないことも知っているだろう?」
ライザー氏はそう言いながら、ため息を吐き捨てる。
まあ、その辺りの事情は分かっているとも。
そも
まして率いる貴族は半数以上の家が文字通り断絶。悪魔の出生率の低さもあり、この辺りの問題は未だ完全解決を見ていないのは知っている。
「先の大戦で純血の悪魔は減り、くだらない小競り合いで跡取りを失って新たにお家断絶することだってある。貴族として生まれそう生きる以上、背負うべき責任というものがあるだろう」
そこは正論だと思っているので、あえて反論はしない。
なので、そのまま発言を無言で促した。
「悪魔の世界に新しい風を取り入れる必要はある。だが人間からの転生悪魔に幅を利かせすぎるのも、貴族の純血を途絶えさせるわけにもいかないと思わないか?」
「まあ、そこに理解はありますけどね」
その辺に責任関連については、むしろ人より背負いこむタイプなのが俺だ。
底をつかれると反論しづらい所はある。
ただし、此処で抑え込まれると流石にまずい。
「……まあ、貴族といて権利を持っている以上、部長が責任を果たすのは当然の義務です。まして貴族ともあれば、その跡取りとなる実子に相応の血を取り入れたいというのは分かります。ええ、俺はそこまで否定はしません」
「一志!?」
部長が狼狽するが、俺はあえて続ける。
「と言っても、恋愛を望んでいる人に政略を重視した結婚をさせるのです。相応の遊びぐらいは許されるべきでしょう? そこに関しては、そちらも理解できるのではないですか?」
俺が切り返すと、今度はライザー氏が沈黙する。
この切り替えしは有効だろう。ライザー氏にそれを非難する権利はない。
今回の事態、本来成すべきは「発言を反古にして推し進める婚姻を、元の状態に戻すこと」だろう。しかし次点として「せめてリアス・グレモリーが「ただのリアス」として恋愛できる状態の維持」を滑り込ませたい。最悪の場合は「グレモリーの名を捨て、ただのリアスとして野に下る」もあるが、これは部長の性格から言って取らないだろう。
「大王バアルの本家は側室制度を取っているのでしょう? 本家次期当主の跡取に純血を求めることは理解しておりますが、恋愛を楽しむ自由を別途で確保する程度の権利、公爵の娘ともなれば許しもいいのでは?」
俺はそう言って視線を向けるが―
「一志? 怒るわよ?」
―頬を消滅の魔力がかすめてしまった。
……いかん、意図が伝わってない。むしろ意図そのものが不満だったか?
「別にハーレムを認めないわけじゃないし、ライザーのそういうことが嫌なわけでもないわ。でも私がライザーと結婚したくないのは、全く別の理由だと知っているでしょう!」
「いや、時間がなかったとはいえ説明足らずなのは謝ります。しかし、保険や次善だけでも用意してやりたいという気遣いなんで、ちょっと落ち着いていただけないでしょう……か?」
俺の弁明に、部長も意図を理解したのか額に手を当てて頭痛をこらえている。
まあ現実問題。この言い分や御家問題を踏まえれば、恋愛結婚であったとしても純血の悪魔であることは求められそうだからなぁ。
純血の契約相手としての夫を迎え入れ、恋愛そのものは愛人でとどめるのがラインとしてギリギリだろう。
……まあ、部長以外の継承権保有者は本家にいるから、そこまで気にすることもないだろうがな。
「いくら日は相手側にあるとはいえ、お家がらみでややこしいことは理解しているでしょう? その辺の保険の獲得は重要だと思うのですが」
「……いい加減にしてくれないか?」
今度はライザー氏の我慢の限界が来てしまったのか。
ライザー氏は炎を纏い、火の粉を巻き上げながら俺達を睨み付ける。
「俺もフェニックスの看板を背負ってきているんでな。ここにきているのは、君の下僕全てを焼き尽くしてでも冥界に連れ帰る為だと、分かってると思ったんだけどな」
また物騒なことを。
まあ、「人は平等ではない」を基本原則とし、実際対価においても個人で計測機器で結果が異なることが当たり前の悪魔社会。加えて下級から最上級までの階級差があり、もとからの貴族はそれとは別の特権を持つ悪魔社会で、誰もが平等の権利というのは理解されがたいか。
まあ人間界でも「怠惰で無能な悪人」と「勤勉で有能な聖人」を平等に扱うのはどうかという意見はあるだろう。あくまで現時点の最適解として平等になっているだけであり、時代が進めばそういうことも新たに起きるかもしれないな。
それはともかく―
「あまり我儘ばかり言えると思うなよ、リアス。貴族であるということには、相応の責任というものがあると体に教え込まないといけないのか……?」
これは流石にまずいだろ!
まあ、今回はあまりオリジナル要素を入れれない話でしたね。
ただ、次の次ぐらいからちょっと変化球を入れる予定です。