「「「なんでお前は女っぽいのに男なんだ!」」」と変態三人衆に言われるレヴィアタンの血を引く少年の、余計な要素が無駄に入ったD×Dのお話 作:グレン×グレン
具体的には、一志が意外とぶっ飛んでますよというお話になると思います。今回はあくまで導入編。
一志Side
個人的な私情を言わせてもらえば、今回の婚約には反対だ。
婚約においても貴族は相応の責任を伴いわけであり、まして次期当主であることを選ぶのなら、それに見合った旦那を用意するのは当然の責任だ。部長自身が次期当主として生きているつもりである以上、そこに対する責任を放棄する方が問題だ。
これを持って貴族を否定する者もいるが、俺は貴族であることを選ぶのならその対価は支払うべきだと思っている。なのでそれで強引な結婚を否定する奴がいるのなら、当然婚約させられる側に「貴族という権利」の放棄も求めなければならない。つまり部長が放棄する気がない以上、一方的に貴族側を責めるのは筋違いだ。
とはいえ、そもそも部長は婚約において条件を取り付けていたのだ。それを反故にしたのはあちらである以上、今回の一件においては非はあちら側にある。少なくとも、その条件をクリアできなかった時にするべきだった。
理由はいくら推測はできる。
今のグレモリーとフェニックスの本家当主は、初代魔王すら戦死したかの大戦の経験者だ。その大戦で滅びた者達を何人も見ている以上、子孫繁栄はあとに残すことに強い強迫観念を持っている可能性はある。少なくとも、無意識レベルでそこに重点を置いていることだろう。
加えて貴族とは血にも気を使うべきところではある。できることなら見合った血統の純血悪魔を婿に迎えてほしいと思うのは人情だろう。人間社会だって、社会的に偉い立場の両親ならそれなりに社会的立ち位置が高い者であってほしいと願うだろうし、一般家庭でも娘がヤクザや無職と結婚したいと言ったら反対意見を出したくなるのは当たり前だ。
更に赤龍帝を眷属に迎え入れたというのもあれだ。神滅具保有者を眷属にするなんて前代未聞。更に赤龍帝は大体の場合、対となる白龍皇とガチバトルすることで有名らしい。別の意味で将来を不安視するのは親心だろう。
……だからと言って、今回のやり口は強引すぎる。
親の心子知らずとは言うが、どうあがいてもリアス部長がこの婚姻に納得できるとは思えない。そうなると子供が生まれた場合、親の複雑な感情を受けて悪影響が出てこないとも限らない。
どんな環境で育とうとまともな奴はいるだろう。だがそういう奴は褒められ賞賛されるべき存在であることを忘れてはならない。心身の成長に環境は大きな要素であり、それが劣悪な環境でまともに育つのが当然と考えるのは、まともに育った傑物にとっても失礼な話だ。
部長本人にしても、最低限条件を引き出していたのに反故にされたのだ。その上出来レースをまるで妥協点のように押し付けるフットインザドアだったかドアインザフェイスだかいったはずの手法。娘との約束を反古にしておいてこれは無い。
……だがしかし。リアス部長が勝負に乗った上で負けたことは事実なのだ。
はっきり言えば、少しでも好条件を引き出す余地はある。突っぱねることも不可能ではない。負けた時に備えた譲歩を引き出すことは間違いなく可能だった。
ライザー氏とリアス部長の眷属関連の差は大きい以上、周囲の貴族からやっかみが入る可能性を考慮すれば、何人かの助っ人は狙えたはずだ。最低でも一人は押し込めたと俺は確信している。
それを利用すれば突っぱねることも不可能ではない。大々的に現グレモリーであるジオティクス卿が「娘との約束を反故にした」とメディアで訴えれば、ゴシップ大好きな輩は食いつくだろうし、メンツの問題で取り下げる余地はある。まあこれは部長の名にも傷が大いにつきかねない手法だから、できるにしてもやらないことは止めない。
そしてライザー氏がハーレムを作っている以上、愛人を作ることを認めさせることも可能だった。貴族として血筋に配慮した夫をとることは仕方ないが、私的な「リアス個人として愛す男性」を愛人として囲うぐらいの次善策は滑り込めたかもしれない。
それらをすべて蹴った上で、部長は負けたのだ。
ならばそれに従うべきことだろう。少なくとも、その上でまだ反対するのならば通すべき筋がいくつも存在している。
とはいえ、あのシスコンかつロミオとジュリエットをハッピーエンドにしたサーゼクスさんのことだ。魔王の立場ゆえに表立って反対を出すのは難しいが、思うところは壮絶にあることだろう。
だが部長は次期公爵でありサーゼクスさんは魔王なのだ。
法を守らせる立場が横紙破りをすることは、あまねく意味で問題だと言ってもいい。その辺りをきちんと弁えているのならよし。
もし、そうでないというのなら―
そんなことを思い、準備をしてから向かったのは部長とライザー氏の婚約発表パーティだ。
今はそのつもりはないとはいえ、今後俺がレヴィアタンの名を公にする可能性はあるだろう。万年生きる悪魔なら、極小の可能性を当てる可能性は人間の倍では聞かないからな。
なので、どこか「何かする」期待を持っている祐斗達からは離れ、俺は人に気づかれないような位置でパーティ会場の雰囲気などを観察していた。
あまりジオティクスさんやサーゼクスさんといった穏健派の人達しか貴族を見てないからな。ちょうどいいから監察して、今後の糧にするべきだ。
とはいえ時間が経つと腹も減るしのども乾く。
そろそろ何か食べる物とかを取ってきた方がいいかと思ったその時、俺の目の前に軽食が盛られた皿が差し出された。
視線を向けると、そこには亜麻色の髪をした十代後半ぐらいの少女がいた。
……最も、悪魔は姿かたちを変えれるから、そこまで徹底して気にするようなものでもない。特に女性となると若い姿を好んで取ることが多いからな。
それにまあ、俺はレヴィアタンの血統であることを名乗ってないから、あくまで部長の食客である悪魔の先祖返りだ。
上級悪魔の血筋であることは明かしてあるから致命的にはならないだろうが、貴族社会において混血や先祖返りはあまりいい顔をされない類と考えるべき。素直にへりくだるとしよう。
「……その、よろしいのでしょうか?」
「構いません。ふと目が留まれば、楽しめてないどころが、とるものも取らずに気配を消しているのを見つけてしまいましたので、お節介を焼いてしまっただけですから」
そう言いながら微笑む上級悪魔と思しき方に、俺は一礼をしてからその皿を受け取る。と、少し食べてみる。
……流石は貴族、それも元七十二柱本家の婚約記念パーティ。美味いし下ごしらえも丁寧な手の掛けられた食事だ。
ちょっと夢中になって味わってしまいたいが、今まずするべきことはそれではない。
「ありがとうございます。知らずに無作法をするとリアス様に迷惑をかけてしまいますので、場の雰囲気などを観察するつもりだったんです。だからまだ食事には手を付けてなかったので」
「いえいえ。貴族社会は慣れていない方には大変でしょうし、その判断は間違っていませんわ。それに……」
ふと、その悪魔はこちらに対して不敵な笑みを浮かべた。
見透かされていると、そう直感した俺は悪くないだろう。
「……貴族達の態度などを見ることで、今後対応する時の指標にする抜け目のなさは、確かにこの世界で成功する為には有利な能力だと思いますよ」
見抜かれているということか。
どうやら、こちらの悪魔はただ者ではないらしい。
とはいえ迂闊に「経験豊富なんですね」とかいえば、外見通りの年齢だとすると失礼になるだろう。逆に外見通りの年齢でないとすると、若いのに凄いですねぇとか言ったら大問題だ。
つまりいうべき返答は一つだ。
「やはり貴族様の目を誤魔化すのは大変ですね。悪魔の外見から年齢を悟る能力もない、無才な若輩者には厳しい壁がありそうです」
「……ああ、もしかして気遣わせてしまいました? それは申し訳ありませんでした」
と、俺の返答で俺が一瞬悩んだ内容に感づいたらしい。相手が口元に手を当てて目を少し見開いている。
……無礼に当たらないでほしいと切に願う。本気で願う。
そう思っていると、その悪魔は貴族らしい優雅な一例を返した。
「初めまして。私はリアスさんとは初等学校での学友でしたグレティーア・バアルです。バアル分家の一つを預かる、ヘルゼント・バアルの妹です」
「そうでしたか。私は一志・L・モンタギューといいまして、リアス様とは一学年下で、彼女の食客として学んでいる、先祖返りの悪魔です」
幸い良い感じな対応になっていたようだ。
どうやら、変に怒っているわけではなさそうだな。
「ふふふ。それでは悪魔社会にはまだ不慣れでしょうし、苦労なさっているところも多そうですね。リアスさんは眷属の方も連れてきていると思うのですが、ご一緒ではないのですか?」
「いえ、ちょっと懸念事項があったのと、あまり目立たない形でこういった貴族の空気を観察したかったので」
俺が素直にそう言うと、グレーティアさんはクスリと笑っていた。
だが、すぐに凄い真顔になった。
「……勤勉な方なのですね。良いことです。悪魔や神には悪戯好きな方も多いので、ただの子供と油断していたら実はお偉い様でした……ということがまれにありますので」
ああ、なるほど。
あまりの真顔っぷりに、俺はよく理解できた。
「やられたんですね、何度も」
「おかげで丁寧語が完全にしみついてしまいまして、子供や臣下にまで徹底するのはどうかと臣下からも言われてはいるのですけどね」
そう苦笑するグレティーアさんだが、俺はちょっと気になった。
「臣下と言われてましたが、眷属からは言われないのですか? リアス様と同年代なら、一人二人は眷属にしている者と思われますが」
その年頃ならプロデビューも近づいている頃だあろう。そろそろ眷属を集めていてもおかしくないはずだ。
よしんば眷属に不満があったとしても、トレードという方法だってある。とりあえず最低限の人数は確保した方がいいかと思うんだが。
その疑問に、グレティーアさんは微笑で返す。
「……一応臣下として眷属候補はたくさんいますよ? プロになった時に彼らから見繕うつもりです」
「へぇ、珍しいですね。その年で臣下が何人もおられるとは意外です」
今現在、悪魔社会で貴族の側近とは眷属が主体だ。
臣下もいるにはいるが、そういう形になっているとは正直意外だった。
何か理由があるのだろうが、流石にそこまで聞くのは失礼か。
とはいえ、どうやって話を逸らすか。
よし、こうしよう。
「そういえば、リアス様は日本文化を好んでいるようですが、グレティーアさんは人間界の文化で興味があったりしますか? 自分も人間界に住んでいるので、お礼もかねて調達の手伝いぐらいは致しますが」
幸い共通の知り合いがいるのだから、そこから話を逸らそう。
そう、だから食いついてくれるとありがたいのだが―
「……であれば、ぜひ欲しいものがあります! 冥界から通販で入手するのは困難なものがあるのです! リアスさんに頼むのもあれなものだったので!!」
―食いつきすぎだ。
正直ちょっと怖かった。目が血走りかけているから。
俺は少し引くが、自分から聞いたことなので限界まで隠して即座に話を続けることにした。
「というと? 自分が入手できる範囲内だといいのですが―」
「限定発売版のアキバ☆レーシング
……凄いのが来たな。
「ゲーム、お好きなんですね?」
「はい! 特にアキバ☆レーシングはマシンのカスタマイズ機能が豊富なので、縛りやすいんです!」
縛りプレイが基本なのか。
なんだろう、上級悪魔って人間基準だと傲慢な血統主義か変人に二極化されてるんじゃなかろうか―
「部長の処女は、俺のもんだぁあああああああ!!!」
―ああ、嫌な予感が当たったらしい。
イッセーの声が鳴り響いて、俺は即座に意識を切り替える。
ここからの展開が、もし予想通りになるとするのなら。
俺がすべきことはたった一つだ。
新キャラクターであるグレティーア。これは今後の展開を考慮すると、どうしても必要になるキャラを設計させていただきました。
そして次の話でややこしいことをしでかす一志が見られます。
結果的なところも含めて、イッセーとは対を成す要素の多い主人公である一志。その癖の強さっぷりをついに本格的に明かせるので、ちょっとドキドキでちょっとワクワクです!