「「「なんでお前は女っぽいのに男なんだ!」」」と変態三人衆に言われるレヴィアタンの血を引く少年の、余計な要素が無駄に入ったD×Dのお話   作:グレン×グレン

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 かなり筆が遅くなってしまいましたが、とりあえず一つ投稿させていただきます!


第八話 決戦直前

 

 

一志Side

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ではとりあえず、勝利条件ということで了承しよう。流石にその恩賞は前金だけでは了承できないからね」

 

「まあそうでしょう。だが勝つ為のモチベーションが上がってきました……絶対勝つ」

 

 サーゼクス様とライザー氏との間で納得いったようで、これで漸く本番か。

 

「では、彼らに協力するつもりの者は名乗りを上げた前。……負けても死ななくていいから安心してくれ」

 

「……仕方がありません。まあ俺が自分から引責自害すればいいだけの話ですね。自害用の短刀を買っていてよかった」

 

 ヘルゼント・バアルという人がそう言うが、俺はため息交じりで保険として買っていた短刀を見てため息をつくしかない。

 

 できれば使いたくないから、何としても勝つしかないな。

 

「イッセー、勝つぞ。俺もこの年で死にたくはない」

 

「だったら敗けても自分から死ぬなよ。死ななくていいって言ってるじゃねえか」

 

 イッセーはそう言い返してくるが、そういうわけにはいかないだろう。

 

「これだけの横紙破りに関わるんだ。他者が責任を負わせないなら、自ら責任を負うべきだろう? 行動には影響が伴う以上、当然責任が己に返ってくるべきことだ」

 

 俺はそう反論すると、パーティ用のスーツの上着を脱いで、動きやすいように下のズボンに切り込みを入れる。

 

 もったいない気もするがまあいいだろう。黙っていても金が入ってくるが、金は使わないと回らない。ついでに言うと、俺があまりに金を使わないと気を使って金を使えなくて苦労する者も出てきそうだ。

 

 こういう時ぐらい使うとしよう。

 

 というか、リアス部長もこっちに来たけどなんというか複雑な表情をしている。

 

「……一志にしろイッセーにしろ、本当に戦うつもり?」

 

 その表情は、俺達が戦うことに反対なんだろう。

 

 特にイッセーに対して痛ましい表情を浮かべている。

 

「イッセー。私はあなたにもう傷ついてほしくないわ。それにもしこの戦いに勝っても、また似たような話が来る可能性は―」

 

「その時は何度でも戦います」

 

 部長の言葉を遮り、イッセーはハッキリとそう言った。

 

「また来るっていうなら右腕でも差し出します。それでも駄目なら足だって差し出します。俺は部長が大好きですし、部長を泣かせてまで結婚なんて死んでも赦しません」

 

「イッセー。部長が言ってるのはそういうことじゃないからな」

 

 俺はその辺を指摘するべきだと判断して、はっきり言っておく。

 

「お前は自分が苦労をしょい込めば部長が泣かないと思っているんだろうが、むしろお前が傷つけば傷つくほど部長は悲しむぞ? 自己犠牲が必要な時は確かにあるが、あのレーティングゲームの流れから言っても、お前は部長の涙を無意味にしていると言ってもいいって、分かってるか?」

 

 実際問題、部長が負けたのはイッセーが殺されかかったことによる投了(リザイン)だ。

 

 そのイッセーが逆にこんな大問題を起こして処罰されるようなことになれば、部長のそれはくたびれもうけだろう。

 

 空気が読めてないかもしれないが、これははっきりというべきだ。

 

「誰かの為に頑張るのはいい。だけど自分が傷つくことで苦しむ奴がいることは考えるべきだ。そこを踏まえないのはただの独りよがりだぞ」

 

「……いや、お前こそ目的や手段がこんがらがってないか?」

 

 失礼な。

 

「私情を言えば部長のこの婚約には反対だ。だが私情はどこまで言っても私情であって、大義でも正義でもないだろう? 少なくとも冥界の法に則った行動に異を唱えるんだから、当然そこには背負うべき責任がある。負けたら俺は絶対に腹を切る。これはこの場にいる者達全員の前で告げた以上、誰が邪魔をしようと必ず切る」

 

 よく聞こえるように透き通った大きめの声で、俺は俺の意見を明言する。

 

 言い出しっぺには言い出しっぺの責任というものがある。

 

 既に成立した婚約に異を唱えるんだ。それぐらいの腹はくくるべきだろう。

 

 だから、俺が最後に言うべきことは一つ。

 

「……俺を死なせたくないなら、お前に勝ち以外の選択肢はないと思え」

 

「……負ける気は最初っからないけど、すごい脅し来たな」

 

「ただの事実確認だが?」

 

 なんで脅迫してると思った?

 

 俺は首を傾げるが、何故かリアス部長まで軽くドン引きしてる。

 

 なんというか心外だな。

 

「……病的に筋を通したがる子ね。ここまでこじれた事態に巻き込まれたことが無いから、気づかなかったわ」

 

「そうなんですか。俺はそういうことしそうだから、サーゼクス様がもう話を通してるものだとばかり思ってました」

 

 リアス部長とイッセーがそれぞれため息をついてきた。

 

 ふむ、まあ自分でも融通が利かない堅物側の意見だとは思っているが。

 

 悪魔社会――というか異形社会――は文化的にその辺りがフリーダムである場合が多いからな。ちょっとそりが合わないかもしれないな。

 

 とはいえ、ここまでため息をつかれるのは流石に不本意だ。

 

「これでも自分が固いのは自覚しているので、他者の信条にはそれなりに配慮しているんですよ? でなければイッセーの覗きを通報すると共に女子共の集団私刑(リンチ)も警察に告げてます」

 

 本当に、これでも自粛してるし気も使っているんだからな?

 

「イッセー達の性欲の強さが常人の非じゃないことや、衝動的な女性陣の怒りに配慮しているからこそ、その辺りを抑えているわけです。これでも融通を利かせていることぐらいは理解してほしいのですが」

 

「……自決する気をなくしてくれたのなら信じてあげるわ」

 

 え~。

 

 部長のその言い分には困ったものだ。

 

「……諦めるべきかぁ」

 

「負けたら絶対自決するのかよ。お前って本っ当にいざという時融通が利かないよな」

 

 ため息をついたらイッセーにまで言われたよ。

 

 まあ確かにお堅い性分だとは思うが、それぐらいの覚悟を見せて実行するぐらいでちょうどいいと思うんだが。

 

 貴族社会でこれだけのことをするのなら、それだけの覚悟は必須だろうに。

 

 仕方なく不満を抑えていると、部長が困り顔で周囲を見渡した。

 

 どうやら情報交換とか作戦会議もされないように、ヘルゼント殿の配下が祐斗達を監視しているらしい。こちらに近づけさせないように気を張っている。

 

 詳しくは知らないが、五年前から急激に成長した最上級悪魔で、レーティングゲームでの活躍ぶりは現魔王とも渡り合えると言われているほどだ。

 

 一部を除いた眷属の質がトップ3にこそ劣っているが、個人としてならそれに匹敵する人物ともいわれている。

 

 立ち位置としては大王派で、基本的に純血統の歴史ある上級悪魔を尊ぶ人物ではある。同時に他種族からの転生悪魔を「迎え入れたのなら相応の待遇にするべき」と告げており、別勢力との争いで主を失った彼らの保護を唱え実行している好漢でもあると、冥界のニュース紙で読んだことがある。

 

 年の離れた妹がいるとは聞いていたが、グレティーアさんがそうだとは知らなかった。

 

 とはいえ、だ。

 

「まあ事実上は三人でやらないといけませんからね。この様子だと名乗りを上げる人がいなさそうですし」

 

「「誰の所為だと!?」」

 

 はもって言わなくても自覚してるから。

 

 難易度を揚げた者として成しえる範囲で責任は取るとも。

 

「とにかく俺が眷属を可能な限り押さえるから、その間にイッセーは部長と一緒にライザーを何とかしろ。勝てる算段はあるんだろう?」

 

「確かにあるけど! この圧倒的難易度で勝てる算段までは立ててねえよ! っていうかお前一人で十五人も抑えられるわけないだろ!?」

 

 イッセーのツッコミは正論だが、俺にだって考えぐらいはある。

 

 一応レーティングゲームの映像とかで、相手の実力とかも推測は経てている。

 

 イメージトレーニングで可能な限り、対応する為の練習もした。

 

「……魔装具無しでなら二分は稼げる」

 

「……ぶっちゃけ十秒も稼いでくれれば十分だから、行けるのか?」

 

 イッセーの返答にこそ目を見張るって。

 

 部長も流石に面食らっている。周囲の悪魔達も、聞こえている者は耳を疑っているほどだ。

 

「……十秒? それだけでいいの?」

 

「はい。っていうか十秒以内に決着をつけないと逆に負けるって感じです」

 

 部長にそう説明するイッセーには、変な気負いもやけっぱちになっている雰囲気もない。

 

 これで名門校である駒王学園高等部に一発入学するだけの学力はあるからな。算段は確かにあるんだろう。

 

 なら、そこは良しとしよう。

 

「部長はイッセーの援護をお願いします。とにかく眷属の方は可能な限りこっちで抑え込みますので―」

 

 俺が作戦をそういう方向で詰めようとした時だった。

 

「―なら、私達にも聞かせていただきませんか?」

 

 その言葉に振り向くと、そこには思わぬ組み合わせの人達が。

 

「……なんでこのタイミングでこの二人?」

 

 何故かグレーティアさんと逢花さんが揃って俺達の傍に来ていた。どういうことだ?

 

 なんでこの二人が揃って俺達の前に? というか、逢花さんはなんでこんなところに?

 

「あら、グレーティアじゃない。それにあなたは……衛兵の逢花だったわね」

 

 リアス部長もそれに気づいたが、逢花さんは苦笑いをしていた。

 

「その、サーゼクス様が色々と動いていた時に、一志君がパーティに参加することもあって、その辺りで保険として呼ばれてまして」

 

 ああ、俺がイッセーに素直に協力すると踏まえてたから、いざという時の俺のフォロー役として抜擢されたということか。

 

 逢花さんは俺と同じタイミングでグレモリーのお世話になっているからな。グレモリー家でリアス部長の次に俺と親しいと言ってもいい。

 

 まあ、まさか俺がここまでハードルを上げるとは思ってなかったのか、苦笑いの方向が俺に思いっきり向いているのが残念だが。

 

「一志くんは真面目ですから、行動をしてからなら納得なんですけどね。それでもちょっと引くというかなんといいますか……」

 

 俺はちらりと視線を逸らすことにした。

 

 この状況、反論しても絶対に味方がいない確信がある。

 

 まあそれはそれとして、何故に逢花さんとグレティーアさんが一緒に連れだってくる形になっているんだ?

 

「それはともかく、久しぶりねグレティーア。逢花とは仲が良かったの?」

 

「そういうわけではありませんが。兄と同じように臣下を集めておりますので。逢花さんにもお誘いをかけたのですが、丁重にお断りされてしまったもので」

 

「その節は申し訳ありません。あの時はグレモリーのお誘いを受けることを決めてましたので」

 

 なるほど。納得の繋がりだ。

 

 ヘルゼント・バアル殿と同じように、主を失った転生悪魔を臣下として面倒見ているのなら、そういうこともあるのだろう。

 

 しかしまあ、断っていたのか。

 

「良かったんですか? 今の流れだとライザー氏との再レーティングゲームで俺達側に付くと受け取れますけど?」

 

 そこがちょっと気になる。

 

 自分で言うことじゃないが、間違いなくハードな状況だ。

 

 下手に関わると中々ややこしいことになると思うのだが、いいのか?

 

「いいの? あなた達は私の眷属でない以上、こんなことに付き合う必要もないのだけれど」

 

 リアス部長が遠回しに確認すると、二人とも苦笑しながら頷いた。

 

「リアスさんの夢は以前に伺っておりますから。少々我儘だとは思いますが、今回の両家のやり方はそれ以上に強引だとは思っておりましたので。……友人の夢に少しばかり助力をさせてください」

 

 そう静かに微笑みながら頷くグレティーアさんに続けるように、逢花さんも静かに頷いた。

 

「……婚約関係の不本意なしがらみは、同じ女として思うところはありますので。家柄の恩恵に伴う対価はあるものですが、それにしたって通し方はあると思ってますので」

 

 なるほど、な。

 

 なるほど、これで俺達は五名ということになるな。

 

 二人も協力者が出てくるのは嬉しい誤算だ。はっきり言って部長以外は俺とイッセーだけというのを前提として考えていたので、これは本当にありがたい。

 

「……余計なお手数をおかけしてすいません。その分の責任は可能な限り背負いますので、その辺りはご安心を―」

 

 俺がそう言おうとすると、いきなり頬を挟まれる。

 

 挟んだのは逢花さんだ。

 

 真っ直ぐに俺の目を見つめ、真剣な表情で俺に向き直った逢花さんは、年長者としての真剣な思いが誰にでも分かった。

 

「君は筋を通しすぎだよ。食客には食客の責任はあるけど、それは貴族とは別の形だし、何よりまだ子供なんだから」

 

 そう告げる言葉は、俺を本心から心配しているのが感じられる言葉だった。

 

「……君は真面目過ぎるし、何よりしっかりやりすぎる。経験を積んだ老練な人物でもできない域を、自然体で出来てしまう傑物だ」

 

 その言葉に、俺はすぐに返答できなかった。

 

 というより、意識していない観点からの私的なので、返す言葉をすぐには用意できないというべきだ。

 

 そんな俺の対応も、しっかりやりすぎているのかもしれないな。

 

「他者に配慮して自重も割と出来てるけど、君の領域に到達できるのは、老年の悪魔でも一握りだと思う。正直、嫉妬もするし畏怖もしてるよ」

 

 どこか寂しげなその表情に、リアス部長やイッセー、グレティーアさんも息を呑んでいた。

 

「……すいません。考えてもない方向からの言葉なので、すぐに答えを用意できないです」

 

「そういうところも、だよ」

 

 そう言いながら軽く俺の額を小突き、その上で微笑んだ。

 

「でも、それが凄く羨ましいし憧れる。だからこそ、私は首を賭けてでも協力する」

 

 ………ん?

 

 俺はちょっとイッセー達の方向に視線を向けるが、こっちもちょっと面食らっている。

 

 一緒に来ていたグレティーアさんも面食らってるということは、これは独断か。

 

 いやちょっと待っていただきたい。

 

「君が腹を切るというなら私も切る。リアス様の味方である以上に、一志君の味方をしたいんだ、私は」

 

「………イッセー。なんとしても敵の眷属は抑えるから必ず勝ってくれ。俺が止めるべきことでは断じてないから」

 

「……お前は本当にめんどくさいな。いや、もちろん死んでも勝つけど」

 

「お前もそういうところだからな?」

 

「お前には負けるって」

 

 微妙に言い合いになったが、ちょっと視線をぶつけ合うとお互いに苦笑した。

 

「まあ、勝てばいいわけだな、勝てば」

 

「おっしゃ! じゃ、部長の為に今度こそ勝利します!」

 

 勝てば問題ないからな。幸いイッセーも勝算があってきているのなら、此処はポジティブシンキングで行こう。

 

 俺達が拳を突き合わせていると、リアス部長は額に手を当ててため息をついていた。

 

「……なんていうか、頭痛と胃痛が同時にやってきているわね」

 

「お疲れ様です、リアスさん。……では、それを笑い話にする為にも何としても勝ちましょう」

 

 リアス部長を慰めたうえで、グレティーアさんが笑みを消した真剣な表情を俺達に向けた。

 

「向こうがどういう腹積もりで挑むかは知りませんが。私達からすれば敗ける選択肢が存在しない戦いです。文字通り死力を尽くす覚悟で挑みましょう」

 

 ……笑みが完全に消えて真剣極まりない。

 

 なるほど。これが本気モードと言ったところか。

 

 ああ、全くだ。

 

 俺はふと思いつき、これは勝つ為にもすべきことだと考えて、右手を前に突き出した。

 

「士気高揚と意思統一も兼ねて、こういうをやってみるべきだと思うんですが……どうですかね?」

 

 ちょっと戸惑う部長とグレティーアさんだが、すぐに意図を察したイッセーと逢花さんが、俺の手の上に手を乗せる。

 

「いいじゃねえか。案外そういうノリいいよな、お前」

 

「ふふ。こういうルーティーンって、意外と士気に関わるからね。……ほら、リアス様もグレティーア様も、人間の若者のノリですけど」

 

 それを見て、部長もグレティーアさんもクスリと笑うと手を乗せる。

 

 そして一応筆頭であり部長が、俺達を見渡してまっすぐに見つめる。

 

「……色々と複雑な事情だけれど、これで勝ったのなら誰にも文句は言わせないわ。……力を借りるわ。そして、勝つわよ!」

 

「……打倒ライザー・フェニックス! ファイト、オー!」

 

 リアス部長に続け、最年長の逢花さんが声を張り上げた。

 

 それに合わせ、俺達は声を張り合わせる。

 

「「「「オーッ!!」」」」

 

 ……さて、難易度を張り上げた分、気合を入れ直すべきだしな。

 

 死力を尽くして、勝利をつかませてもらうとするか。

 




 と、こんな感じでライザー戦直前の展開です。

 面倒くさい阿呆の性で難易度が爆上がりですが、難易度を爆上がりさせた責任は取るつもりな男なので、此処からも二転三転します。

 多分次の話で、意外な展開になって驚くのではないでしょうか……?
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