「「「なんでお前は女っぽいのに男なんだ!」」」と変態三人衆に言われるレヴィアタンの血を引く少年の、余計な要素が無駄に入ったD×Dのお話 作:グレン×グレン
「んなわけないだろ!」
「なんだ!? どうした!?」
思わず叫んでしまい、元浜にガチでビビられてしまった。
松田がトイレに行ったので、ドアが開いたりしたことでイッセーが帰った時のことをふと思い出したんだろう。そこで俺はうっかりしていたことに気が付いた。
あれは体調が悪いんじゃない。むしろ調子が良すぎて困惑してたんだ。
あいつは悪魔になってたんだ。だから体調の変化も色々とある。
例えば夜目が利くとか身体能力の強化とか、そういった変化がいくらでもある。
あいつが調子が悪いのは、精神的な物なんだろう。その変化に戸惑って違和感を覚えているんだ。
まずはそこを感じさせてから教えるって話だったのに、そこを失念するとはあまりにうっかりを……っ!
「悪い、ちょっとイッセーに言うことがあったのを思い出した。合鍵置いとくから遅くなるようなら鍵を閉めて新聞受けにでも入れておいてくれ!!」
「え、え、何が!?」
「ふぃ~。すっきりしたわらば!?」
元浜を半ば無視して松田を轢きながら、俺は部屋を飛び出してイッセーを追いかける。
即座にスマホを操作してイッセーに連絡もする。
『……一志か!? そ、そっか警察……』
「どうしたイッセー!? 今からそっちに向かうが、家についたか!?」
なんか調子が別の意味でおかしいが、何かあったのか?
『な、なんか変なおっさんに追われてるんだよ!? はぐれとか、主は誰だとか……』
誰だ!? 上級悪魔の勢力圏内で悪魔を狩ろうとかいう阿呆は!?
普通に考えて十中八九で主かその眷属なんだから、即戦闘勃発だぞ!?
質が悪いことに、イッセーはこちら側の事情を碌に把握してない。だからきっと、「主は誰だ?」から「言えないということははぐれか」ってなった感じだ。
「今すぐスピーカーをオンにしろ! あと今どこだ!?」
『駅前の公園だ。あとスピーカーを……あ』
まずい。これは見つかったパターンだ。
駅前の公園なら方向は分かる。
くそ……間に合えよ!?
まさにその頃、兵藤一誠は腹部に鋭い一撃をもらっていた。
その槍は堕天使が振るう光力で構成された槍。
悪魔に転生した彼にとって、光力は明確な天敵である。
常人が喰らっても確実に致命傷。それを未だ死んでいないのは、彼が悪魔になって強化されたことによる不幸中の幸い。そして堕天使が低級であることに由来する者にもよる。
「ふむ。電話をしていたところから見て、警察にでも相談するつもりだったのかね。残念だが、
そう告げ、堕天使は光の槍を再び作ると殺意を込めて投げつけようとする。
その瞬間、紅が舞い降りた。
放たれる光を黒い力が、文字通り消滅させる。
「悪いわね。その子を殺させるわけにはいかないわ」
「……紅の髪。ほぉ、グレモリーがこの地を担当する悪魔だったのか」
紅の長髪を持つ少女が、堕天使を鋭く睨みつける。
―彼女こそが、この駒王町を担当する上級悪魔。
今の悪魔の筆頭である貴族、元七十二柱が一つ、現ルシファーを輩出したグレモリー家。
その次期当主、リアス・グレモリーである。
「全く。反応からはぐれかと思ったらお前の飼い犬か。うっかり刈り取ってしまうところだったぞ?」
「ごめんなさい。烏が仕事をした後で見出したものだから、少し悪魔であることを教えるのに時間を置きたかったのよ」
その返答に、堕天使は少しだけ目を細めた。
「なるほど、あの方の仕事の後をかすめ取ったのか。蝙蝠からハイエナに鞍替えしたのかね?」
「後始末が雑なおかげでね。烏らしいと言っておこうかしら?」
そう皮肉を言い合い、そして静かに睨み合う。
「……それで? 下級堕天使程度がグレモリーと本気で争うつもり?」
「ふむ。確かにグレモリーの者と相対するのは、本来なら私程度ではどうしようもない……が」
その不敵な言葉と共に、男は一本の得物を取り出した。
その一本の短刀に見える得物を見て、リアスは表情に緊張感を見せる。
「……魔装具っ。なるほど、悪魔の縄張りで仕事もせずにうろついているだけのことはあるのね?」
「ああ。これは実に素晴らしい力だよ……
その言葉に応じるように、リアスは魔力を放つ。
リアス・グレモリーはまごうことなき才覚を持った悪魔である。
グレモリー家だけでなく、大王バアルの血すら引く彼女は、その力をサラブレッドとして保有している。
大王バアルの消滅の魔力は、対象を文字通り消滅させる絶大な力。ただでさえ強大な魔力が更に殺傷に特化しており、例え成人した上級悪魔であっても、並大抵の輩なら一対一で十分勝てるだろう。
だが、その堕天使はその一撃を受け止め、あろうことは薙ぎ払った。
それを成すのは保有する魔装具。
柄が伸びることによって槍となった魔装具。その神域装飾を身に纏い、堕天使はにやりと笑う。
「……我が名はドーナシーク。王式装具を持ち至高の堕天使となられるレイナーレ様の一の
そう得意げに語るドーナシークは、装飾越しに殺意の籠った視線をリアスに向ける。
「いい機会だ。このまま帰ってもいいが、もう少しさや当てをしてみるのも一興―」
「―悪いが、さっさと帰るべきだと思うぞ?」
その言葉を断ち切るように、リアス・グレモリーと兵藤一誠を守るかのように大剣が舞い降りた。
間に合ってないが間に合ったか!
即座に上から急降下しつつ、大乱剣舞を一本具現化して投擲。
部長とイッセーに対して壁になるように落とすことで牽制しつつ、魔力の蛇を両手に纏い、高出力の魔力の刃を展開する。
「Dジャマハダル!」
新技を展開して切りかかるが、敵の堕天使はそれを武装と光の槍で受け止めた。
なるほど。異形が装備するとこれだけ厄介になるということか。
確か、あれにつけられたコードは―
「将式装具、
「その通り、それ単体でも上級悪魔に刃を届かせる得物だ。堕天使が持てばどうなるかは……分かるな?」
得意げに笑いながら、奴は俺を強引に引き離すと距離を取った。
貫岩槍 穿岩。
文字通り、誰が使っても突き出せば岩すら穿つ槍。更に柄の部分を伸縮させることで、間合いと携帯性を両立させている、割と面倒なタイプの魔装具か。
全く、面倒な奴が出てきたな。
「……私の領地であまり派手なことをしないでもらえるかしら? ……悪趣味な仕事をしているだけでも正直不快なの」
部長がそう言い放つが、確かにその通りだ。
なんたって、イッセーを殺すのは仕方がないがやり方が最悪すぎる。
話に聞いただけの部長ですら眉を顰めるようなやり方だ。身内の俺も本気で苛立たしくなる。
だが、此処で迂闊に大事にするべきでは、ない。
俺がやるべきことは、可能な限り大事にしない形で終わらせることだ。
「これ以上戦えば間違いなく、後で上からお互い言われることになるだろう。このまま帰るっていうなら、追いはしない」
衝動はある。だけど、やるべきことを取り違えたりしない。
やるべき方向性を見極め、そこからできることを選別し、そしてその中から最もやりたい形を選ぶ。
責務を果たし、可能を行い、その上で私情を通す。それを、忘れはしない。
力を振るうということは、そこに責任が生じるものだ。それをわきまえるべきなら、こんな街中で大規模頂上バトルを行うのは避けるべきだ。
「……とのことよ。このまま帰るなら私も彼の意を汲むわ」
イッセーの身内である俺が抑えているからこそ、部長も抑えることを選んでくれている。
主とはいえ、直接顔を合わせているわけではないからな。そこは、付き合いのある俺の顔を立ててくれているんだろう。
内心で感謝して、後で形にすることも決めながら俺は反応を窺う。
「……確かに。遊びにかまけてレイナーレ様に迷惑をかけるわけにはいかんか。最も、その飼い犬が暴走されるとこちらにも迷惑なのでな」
そう言いながら、堕天使は翼を広げて空に浮かぶ。
「しっかり躾け飼いならすといい。それができぬというのなら、貴様達はこのドーナシークが滅ぼしてくれようぞ!」
そう言い捨て、堕天使ドーナシークは飛び去って行った。
……色々ムカつく言い草だが、戦争中の相手ならその程度は当然だ。いちいち怒るべきじゃない。
俺はため息一つで切り替える。部長もその辺りをすぐに割り切っていたのか、イッセーを抱き寄せると苦笑した。
「私はこの子を家に送るついでに治療するわ。事情はまだ説明できてないみたいだし、明日部活でしましょう?」
「そうですね。俺も松田や元浜のところに戻ることにします」
正直イッセーが心配だが、部長が動くならまあ大丈夫だろう。
既に魔力を注ぎ込むことで、応急処置はできている。あとはこのまま数時間も命に別状はなくなるだろう。
……全く。俺もまだまだ詰めが甘いというか未熟というか。
「……はぁ。成すべきことを見誤ってこれとか、イッセーにどう謝ったらいいのか」
一週間とはいえ鍛え直しておきながら、何をやっているんだろう、俺は。
ふと空を見上げると、既に綺麗な星空が浮かんでいる。
微妙に恨めしくなり、思わず俺は眉をしかめた。
……そういえば、懐かしきケイオスワールドでは主人公を(後で転生したけど)殺すという快挙を成し遂げさせたんだよなぁ、ドーナシーク。
レイナーレ達も魔改造する予定だけど、いっそのこと一志とタイマンで決戦させるってのもありかな?