「
「はい。姉さん」
カップ麺生活が
「とにかく、今日からカップ麺?とやらは禁止します」
「ですが……」
「なにも自炊しろとは言っているのではありません」
通話画面越しに姉さんが微笑んでいるのが分かる。これはよくない。
「仕事が忙しいのは知っています。合間にコンビニ弁当?とやらで済ませるのは仕方ないでしょうが、そればかりでもよくありません」
いやな予感がする。
「明日から毎食撮影して送るように」
そうして電話は切れた。
◇◇◇1日目◇◇◇
朝食:[白米、味噌汁、焼き鮭のお膳が写っている]
「ちゃんと食べていますね」
昼食:[プラスチックの容器に白米といくつかの副菜が入っている]
「これがコンビニ弁当とやらですか」
夕食:[白米と汁物に生姜焼きとサラダがついている]
「まあこんなものでしょう。少々食べ過ぎな気もしますが」
◇◇◇2日目◇◇◇
朝食:[白米、味噌汁、焼き鯖が見える]
「似ていますが朝食はどこもこんなものでしょう」
昼食:[コンビニの海苔弁当のようだ]
「やはり日中は忙しいのですね」
夕食:[かき揚げの乗ったうどんの写真]
「朝晩はキチンと食べているようで何よりです」
◇◇◇3日目◇◇◇
朝食:[白米と味噌汁に納豆]
「おや、休日は自炊にしたのですね。良いことです」
昼食:[炒飯と汁物]
「中々良い出来ですね」
夕食:[白米と味噌汁、揚げ物数種]
「茄子の天ぷら、良いですね」
◇◇◇
「と、いう具合で……」
俺も玲さんから食生活を聞いたときは驚いたし、仙さんにバレたらこうなるのは当然だ。
「まあ、フルダイブVRやるにも健康は大事だし、良かったんじゃないか」
「それがですね……」
まだなにか?
「姉さん、ログイン時間ほとんど変わってないんです」
◇◇◇4日目◇◇◇
朝食:[白米に味噌汁、焼き鮭]
「やはり朝は焼き魚です」
昼食:[サンドイッチのプレート]
「今日は手が込んでいますね」
夕食:[白米と汁物、餃子]
「やればできるではないですか」
◇◇◇5日目◇◇◇
朝食:[白米、味噌汁、焼き鮭のお膳]
昼食:[コンビニ弁当]
夕食:[カレーライス]
「まあ平日の外食は仕方ありませんね」
◇◇◇
「うーん、やっぱりどこか見覚えが……」
「どうしたのお兄ちゃん、珍しくリビングにいると思ったら、画面なんかにらんで」
「瑠美か、いや、大したことじゃ「料理の写真?あー、これ私バイトしたことあるよ」
おいおい、人の携帯端末の画面をのぞき込むなって義務教育で習わなかったか?
「まあそれはそれとして、これどこだ?」
「ここは○○屋でしょ、こっちは□□屋で、ここは丼ものの△△△、これが☆☆屋だね」
「これは?」
「○○壱」
全部ファストフード店じゃねーか!
◇◇◇
「……というわけらしい」
「そうだったんですね。ふぁすとふーど、ですか」
うちの人はほとんど利用しないので気づかないんだと思います。という玲さんの言葉に心が折れそうだが、ここはぐっとこらえる。
「ファストフード店で最速で食べれば、確かにログインには影響しない」
「で、でも、……休日はどうしてるんでしょうか?」
そこもおおよそ解決済みだ。
◆◆◆
「あら、二人してどうしたの?」
「お母さん、これわかる?」
おい、瑠美、勝手に見せていいとは……
「あー、これは多分冷食ね」
「「冷食?」」
「冷凍食品。こっちはスーパーの総菜かしらね。手作りにしては整いすぎてるし」
「なんでわかるの?」
「そりゃよく使うからね。(虫の世話で)時間のないときに」
◆◆◆
「冷凍食品、ですか、それはその、健康には……」
未だに冷凍食品はーとか、ファストフードはー、とはいう人もいるが、現代じゃ立派な食事として成立している食品たちだ。もちろん偏った食べ方をすれば問題だろうが
「まあカップ麺よりはいいかな」
数刻逡巡したあと、玲さんはこのことを仙さんに報告しないことにしたらしい。
……まあそのうちバレると思うけど。
※ごはんはパックのレンチンするやつだし、味噌汁はインスタント
百「食生活のためにシャンフロに支障が出ては困る」
玲「加減をしてください。姉さん」