勇者の脱カップ麺生活   作:Almin

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※前話とは特に関係ありません。
 脱カップ麺生活というよりかは脱カップ麺してしまった日常のお話。
※楽玲結婚後IFです。



さかなせいかつ

「斎賀百さんですね、お届け物です」

 

「どうも」

 

白く大きな箱を抱えながら、今日3度目の台所へと向かう。

 

「……今回はまた随分と大漁だな」

 

箱の中身は大漁の(きす)であった。

やはり定番は天麩羅(てんぷら)だろうが、時間がかかるし片付けの手間がかかる……今晩は焼きにしよう。

この鮮度とサイズなら、焼くだけでも充分に美味しいからな。

 

 

以前はカップ麺生活を永遠たちに諌められたものだが、鮮魚を週一で送られてしまうと流石に自炊を余儀なくされる。

 

最初こそ共に食べていたが、魚の調理と米炊きを同時に行ってもそこまで時間は変わらない、と気付いてしまってからは、週に数度の楽しみとなってしまったな。

 

…………

 

新フレーバーをいつ楽しもうか。と思考が逸れたあたりで、再びインターホンが鳴る。

 

備え付けられたディスプレイを覗けばあまりにも見慣れた顔がそこにいた。

 

冷蔵庫の前を離れ、彼を出迎える。

 

「お邪魔します。百さん」

 

「気にするな」

 

いつものように楽郎(妹の旦那)をソファに座らせ、本題と思しきものに言及する。

 

「……その手荷物は」

 

玄関を開けたときから視界に入っていたやけに大きい紙袋(ソレ)を指差す。

 

「お察しの通り愚妹(瑠美)からです」

 

「やはりそうか」

 

「毎度すみません」

 

思わず出た溜息に楽郎が謝意を述べるが、コレは彼のせいと言うわけでもない。

 

「まあ、それだけ受け取って返すのもなんだ。お茶でも飲んでいけ」

 

「ではお言葉に甘えて……」

 

「それともエナドリが良かったか?」

 

「……お茶で」

 

ことの始まりは()の結婚式だった。

御忍びで永遠が来ることまでは予想が付いていたが、まさか永遠のファン(陽務瑠美)が親族加わることになるとは思っていなかった。

それからだ。

 

「それで、今回はどういった……」

 

「メモを預かってます」

 

楽郎から差し出されたメモには、紙袋の内訳、つまりは洋服の詳細な内容と、コーディネートが書かれている。

 

天音永遠(あのバカ)は考えたのだろう。瑠美(妹の旦那の妹)からの贈り物とお願いなら無下にできないだろう、と。

 

「実のところ着るのも面倒なんだが……」

 

「それ、前回も言ってましたよ」

 

前回、ではなく毎回、だな。

 

「ま、写真の1枚でも送ればアレも満足すると思うので適当にお願いします」

 

「そうするよ。前に放置したときは酷かったからな……」

 

天下の超売れっ子モデルが小学生みたいな通知爆撃をするんじゃないよまったく。

アイツは学生時代から何も変わっていない。

 

「なんなら楽郎くんが撮ってくれても構わんぞ?」

 

「勘弁してくださいよ……俺もからかわれたく無いんで」

 

「……今日の服は一段と凝っているな?」

 

「あー、もう、言わないでくださいよ!そうです。今朝、瑠美に着替えさせられたんですよ。休日なんてジャージで充分なのに」

 

それには同意する。

 

…………

 

「流石にカップ麺は辞めたんすね」

 

「たまには食べるがな。ああも詰め寄られたら控えるしかあるまい」

 

実際は釣り狂い(義父と祖父)のせいだが、表向きはモデルたち(義妹と腐れ縁)の成果ということにした方が、どちらにとっても良いのだとと最近気かや付いた。

 

「聞いたときは俺もびっくりしましたよ。不健康極まれりみたいな食生活で」

 

「生活に支障は無かったからな」

 

「親父が『義姉にもお裾分けしよう』って言い出したときは、正気かと思いましたけど」

 

「料理ができん訳では無いからな」

 

「むしろめちゃくちゃ上手いすもんね。玲さんもだけど流石の教養の賜物というか」

 

「家柄だな。嫁入りに必要なことは自然と叩き込まれていた」

 

今時主婦は無理がある、と言いたいが仙姉さんは似たようなものだったか。

 

 

 

その後は愚妹の様子などを軽く話して楽郎は帰っていった。

 

それじゃあ、これから玲さんとお出かけな護国たま。

 

 

……息災でなによりだ。





祖父はそうでもないかもしれないけれど、オジサンならやりそうだと思った。

時間効率の問題だけでモモちゃんは料理も上手いと思ってます。
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