とある男の日記   作:ラーメン屋

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捨て子日記

 ×月×日

 

 インクの残っているペンと白紙の多いノートを拾えたので文字の勉強のために日記を書くことにした。

 

 俺の名前はケイ=サトウ。前世は普通の日本人、今世は捨て子ホームレスという人生ガチャの敗北者です。転生した場所は、ゴミで溢れかえったスラム街という本当に生まれながらの敗北者です。転生してすぐは日本と異世界のギャップがひどすぎて「あー今日死ぬな」と思いながら日々を必死に過ごしてました。そうして必死に生きて今では10歳。

 

 ホントに頑張りました。将来的には、こんな場所から抜けて金持ちになって贅沢三昧の暮らししたいです!

 

 

 その為にもこの日記は忘れず書く!

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 前回から1週間経った。

 

 習慣付いていないのが原因だけど、三日坊主どころか一日で忘れるのは流石にヤバい……。これからは飯食った後に書くことにする!

 

 今日は、いつもより早く飯にありつけた。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、飯を盗もうとする奴らと会った。返り討ちにした。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日の飯は、カラス。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日もカラス。

 

 

 ×月×日

 

 今日は、カラス。

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、新しい服を拾った。

 

 

 ×月×日

 

 俺の日記をシズクに見せたら書いてること少ないから勉強になってないって言われた。

 

 ムカついたけど確かに勉強になってねーかもとは思った。

 逆に何を書けばいいか聞いたら、ソレは自分で考えてって言われました。いや、それは教えてくれや……。

 とりあえず、自分の住んでる場所について書こうと思う。

 

 【流星街】

 ゴミで溢れかえったスラム街。どんなゴミでも落ちてる。食べかけのハンバーガーや少し残ったコーラ、穴の開いた革靴、底の抜けた鍋、マガジンのない銃、たわし、死体、賞味期限の切れた飲み物、錆びたナイフとか色々。

 

 正直言って、俺が捨てられたのが流星街で良かったとは思ってる。

 他の綺麗な街の路地裏とかだったら、拾えるものが無くて確実に死んでた。まぁ、ここがまともな世界だったら孤児院とか児童養護施設とかまともな施設に一時保護されてた可能性はあるけど……流星街とかいうバグ発生してるし一時保護ルートは無さそう。

 

 字面だけ見たらマジでクソみてーな街だけど、拾えるものには困んないから必要最低限の生活を送ることは出来るし住めば都。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、オオカミみたいなやつ。四つ目だった

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 この前返り討ちにしたやつが勧誘に来た。マフィアがうんたらかんたら言ってた。

 

 返り討ちにした。

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、片方割れてるメガネを拾った。シズクにあげた

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、久々にパンを食べた。カビが生えてたけどうまかった

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、作戦会議をした。議題:これからどする?

 色々話したけどとりあえずは13歳になったらハンター試験を受けに行くことになった。

 

 正直言えばもっと早めに行きたかったけど、俺とシズクの姿がガキ過ぎる。昔、近所にいた金髪あんちゃんは年齢制限ないとか言ってたけど……さすがに限度があるというか今の状態で行っても合格できるような試験ではないとは思う。

 たとえ流星街なんて言う世界屈指の魔境に住んでても、試験も負けず劣らずの世界トップレベルの難しさって言ってたからなー。

 

 まぁ要は急がば回れってことで、明日からきつめの訓練にすっぞ。

 

 

 

 ×月×日

 

 今日はカラス。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 犬。

 

 

 ×月×日

 

 今日は、大きめのバッグを拾った。どこも破れてない頑丈なやつだった。大収穫

 

 

 

 

 ×月×日

 

 勧誘みたいな奴が勧誘じゃなかった件について

 

 どうやらこのゴミ街の人たちは地域住民同士でしっかりとご近所づきあい的な繋がりがあるっぽい。俺が考えてた以上にまともな人間関係もあって、長老とか呼ばれる大統領みたいな流星街のトップみたいな人もいるらしい。

 

 今までシズクと二人で人と会わないように暮らしてたせいで気付かなかった。

 頭の根底に周りにいる奴らは危険でいつ何をしてくるか分かったもんじゃないって考えがあったからなー。めちゃくちゃ必死になってたけど、よくよく考えればいきなり襲ってくる奴いなかった

 

 3年前くらいまで近所で住んでたあんちゃんも普通に色々教えてくれたし……。

 

 おっさん達は俺達が居るのに気づいて仕事斡旋に来た優しい強面だった。なんでも子どもの俺達を見て仕事が無くて困ってないか聞きに来たらしい。優しい。初めて会った時も普通に話しかけようとしてくれてただけで別に襲おうとしたわけではないらしい。優しい。

 仕事がないならマフィアの仕事を斡旋するぞって言ってくれたけど、今の状態で普通に暮らせてるしハンター目指してるから大丈夫って言ったら応援してくれた。

 

 ――――マジ優しい。

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 久々の戦闘訓練。

 シズクが強くなってた。負けはしなかったけど、強かった。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、飴玉拾った。

 シズクと分けた。やっぱり甘い食べ物ってうめぇな

 

 

 

 

 ×月×日

 

 猫。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 魚食べたい。

 外に出たらシズクと寿司を食いに行こうと話した。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 シズクが戦闘訓練を増やそうと言ってきた。

 なんでもハンター試験に一発で合格したいかららしい。俺も戦闘訓練増やしたかったし丁度良かった。

 

 そーゆーこってぇこれからは毎日やってやんよぉ。

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練一日目 回避訓練

 とりあえず俺が投げる石を避ける訓練を始めてる。なんかのボクシング漫画で見た気がするし見た感じ訓練してる感あるから楽しい。

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練二日目 回避訓練

 引き続き訓練中。今のところ10分くらい避け続けられる。シズクも訓練のおかげで成長してるって言ってたしこのまま続けても大丈夫そう。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 訓練三十日目 カラスハント

 今までは、とにかく攻撃を避ける訓練をしてたけど、そろそろ次のステップに移りたいという事で、俺のルーティーンであるカラスハントを今日から実施。

 

 正直カラスを殺すのはかなりの訓練になる。流星街のカラスは、特別性なのか異常な動き方をする。とにかく速いし危険察知能力も高い、図体も2メートル以上と大きく、普通に戦ってちゃまず勝てない相手となっとるわけですよ。

 対人経験はあっても動物に関してはそこまで経験のないシズクだとかなり苦戦すること確定だ。だからこそ今まで以上に勉強になる訓練になると思う。

 

 あと、倒すことで飯の調達もできるとかいうコスパ最強。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練四十五日目 カラスハント

 シズクはまだ手古摺っている。けど、日を重ねるごとにコツを掴んで来てるのか動きが洗練されていってる。ぎこちなさが少しづつ消えて行っている。効率的に体を動かす方法を学んでるって感じだなー。

 

 あと飯に困らないの最高。

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練六十日目 化け物ハント

 今日からカラス以外の化け物を狩っていく事にした。理由は、カラスが夕飯に上がるのをもう見たくねーからッ!!!なんで無駄に狩ってくんだよ!そんなに毎回食ってたら飽きるって!もうカラスを持ってくるのは止めてくれ!あと―――

 

 誰かオラに調味料を分けてくれッーーーー!!!

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練百日目 化け物ハント

 強そうな化け物を見つけては勝負を挑むというバトルジャンキー生活。化け物が目に入れば訓練と評してケンカを売り殺すという生活をしていると、流星街での害虫駆除業者として呼ばれるようになった。

 

 化け物狩りで訓練になるしお金もたまに貰えるという最高の生活。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練二百日目 化け物ハント+組み手

 そろそろ対人訓練も復活させようという事で、とりあえず化け物ハントをしたら夜から組み手をすることになった。

 

 久しぶりにまともな組み手をしたけど、めちゃくちゃ強くなってた。少し前とは段違いだった。正直少し前なら片手でも倒せる自信があったけど、今は―――普通に片手で出来ますけど?

 シズクよ、オヌシが一歩進めばワシも一歩進む。五十歩進めばワシも五十歩進む。つまり……俺も強くなってるってことだぁ!!!!

 

 甘かったなぁ!!!!!!!

 

 

 

 ×月×日

 

 

 戦闘訓練三百日目 組み手

 シズクさん成長速度どうなってんの?あいつの一歩50メートルくらいあんだろ。片手どうこうの話が一瞬で消えていきました。なんで、普通に打ち合えてんだ。お前おかしいよ。

 

 俺の今までの頑張りを返せー。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 

 戦闘訓練四百日目 組み手

 まだ、まだだ、まだ俺は負けられない。こんな所で躓いてちゃダメなんだ……クッそがぁ!もう少し、ほんの少しだけ俺に負けてくれシズク。俺は、もっと先輩面してお前を煽りたいんだぁ!

 

 だから、俺はこんな所で負けるわけにはいかねぇんだぁ!!!!!

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練五百日目 組み手

 勝率が八割まで下がってきた。俺ももっと強くなりてーよ。 

 

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練六百日目 組み手

 

 

 ×月×日

 

 戦闘訓練八百日目 組み手

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 明日、外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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