とある男の日記   作:ラーメン屋

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捨て子日記 p.2

 ×月×日

 

 天候は晴れ。人生の門出に相応しい天気

 

 今までこんなクソみたいな街早く出ていって金持ちになることを夢見てたけど、いざ外に出るとなると自分がこのゴミだまりに愛着を持ってたことに気付いた。

 何だかんだ地元として受け入れてたらしい。

 

 たまには帰ってくるか……。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 昨日エモいこと書いたのに流星街は抜け出せてない。思ってた以上にここは広かった

 

 

 

 

 ×月×日

 

 流星街を抜け出した。抜け出した先には森が広がってた。

 流星街とかいう掃き溜めを見過ぎたせいか森を視界に入れただけで涙出そうになった。特に川と湖!ありゃあやべーですよ。綺麗な水があんのに守らなくていいのかよッ!?ってシズクと二人でバカ騒いだけど、そーいや外の世界はこれが普通だって事を思い出して改めて流星街って終わってんだなってことを再確認した日だった。

 

 それにしても、水気持ち良すぎる。

 久しぶりにというか今世で初めて水の中に入って体洗った。…けど、気持ち良すぎてシズクと二人で一日中ずっと水遊びして過ごした。

 今日は、まともに進まなかったけどこうやって楽しい日常送るのも悪くない。

 

 あと、焼き魚うまかった。

 シズクも美味しいって言ってたし今度は寿司を食べさせてやりたいな。

 

 

 ×月×日

 

 果物・鳥・水すべてがうまい!

 汚れが一切ない!……は、嘘だけど流星街と比べればすべてが新品というか輝いて見える。

 

 ……マジで最高かよ。

 

 

 ×月×日

 

 マジで食うもんすべてがうめぇや

 

 時間たったら流星街に戻る?フッ、御冗談をwwww

 故郷とは言えあんな場所にまた戻りてぇとは思わねぇなぁ!!!!

 

 まったくッ!これっぽっちもよぉ!!!!!!

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 シズクが俺の寝てる間に日記を見てた。

 昨日の日記を見て流星街に帰らないの?と心配して聞いてきた。さすがに冗談だと返しておいたけど……いや、うん、か、かえるよ?

 

 

 で、でもさ、当分はやめとこや……。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 木の実すらウメ―!!!!

 こんなの食べ物の宝物ですやん。何を喰ってもうまいですやん。マジで流星街に生まれない方がよかったじゃん。何が「流星街だと拾えるもんには困んないから大丈夫」「住めば都」だよ!住んで地獄だったわあんなとこッ!

 

 俺はただの敗北者でした!!!!!!強がってすみませんでしたッ!

 

 水浴びサイコー!

 

 

 

 ×月×日

 

 森は木の葉にて最強。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 久々の戦闘訓練。

 最近怠けてたし良い意味で気が引き締まった。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 動物、木の実、水、果物、そのすべてが最強。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 流星街にいた頃から思ってたけど、まじでこの世界の生物って変だよな。

 異様に図体がデカかったり無駄に眼が多かったり腕が二股に分かれたり奇形すぎでしょ。

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 デカいクマと闘った。

 外の世界での初戦。思ってた以上に弱かった。たぶん流星街にいる猫の方が強い。

 

 毛皮あったけえー。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は焼き魚。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 久しぶりの作戦会議。議題:これからどする?に

 そろそろ街に着いてもおかしくないってことで、その前に一度話し合っておく事にした。

 

 第一目標 ハンター試験

 まず、情報集めをしてハンター試験会場を探す。昔あんちゃんの言ってた話によると、情報収集するのも試験らしく、一応「案内人」と呼ばれる試験官的な奴らが随所にいるらしい。だからそこまで難しくはないとは言ってたけど詳しいことは知らん。

 とりあえず町の情報屋を当たってみることにする。

 

 第二目標 金策

 流星街である程度のお金は集めたけど足りない可能性も十分ある。足りなかった時にどうするかを話し合ったけど、真面目にバイトで稼ぐことにした。シズクは、盗めばいいじゃんと言ってたけどハンター試験とかいう公務員試験を受けに行くのにその前で犯罪したらヤバすぎだろ。

 流星街だったら大丈夫だろうけど、外ではな……。それにもしかしたらハンター試験の監視員に途中でバレる危険性もあるし何よりも危ない橋を渡る必要のない問題だから社会勉強も兼ねてバイトすることになった。

 

 まぁ、金が足りなくなったらだけど。

 

 第三目標 うまい飯屋

 これは外せない。絶対行く。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 街到着。

 どうやら俺たちは自分たちが思っていた以上に臭かったらしい。宿に泊まろうとしたら体を洗ってから来てくれと言われた。ふざけんなーと文句の一つでも行ってやろうかと思ったけど、宿のばあちゃんが風呂屋を紹介してくれた。その話によると、近くに流星街出身者がやっている風呂屋があるらしく地図の乗ったチラシをくれた。

 

 地図の通りに進むと流星街出身者初回無料サービスの旗を立てた結構年季の入った風呂屋があった。

 中に入ってみるとじーさんが座っており、俺たちを見て一瞬で気付いたのか風呂は初回無料だから早く入って来いと怒鳴られた。風呂場はドラム缶式だった。この世界の石鹸は余程凄いのか一回入っただけで臭いが全部消えてた。

 

 この世界に来てからマジで感じるけど、割とファンタジーな世界観してるよな。まぁ、今のところ変なカラスとか狼とか変な化け物とかしか見てないから分からんけど、普通に魔法とかありそう。

 

 風呂に入ったあとは、来た道戻って宿屋に泊まった。暖かい布団で寝るのは最高すわ。

 

 

 

 ×月×日

 

 朝起きてすぐに風呂屋に行った。フロキモチスギー。

 じーさんに情報屋について知ってるか聞くと、今いる街から北の方に進むとあるウカドという街に知り合いがいるらしく紹介してくれることになった。ついでに、この街での美味い飯屋を聞くと宿屋のある通りの奥にある焼き鳥屋を教えてくれた。めちゃくちゃ親切すぎてワンチャン試験官説あるなと疑ってたら、普通に一般人だった。何でも、俺らと同じ流星街出身者らしく毎回流星街から出てきたニュービーに風呂を奢ってる優しいじーさんだった。

 

 じーさん長生きしろよ。あと『焼き鳥屋くしぞう』は、確かに美味かった。

 

 

 

 ×月×日

 

 じーさんから紹介文を貰ったあと、すぐに街を出てウカドを目指した。じーさんの話によるとウカドまで歩いて二日らしいので訓練も兼ねて街まで走って行くことにした。

 

 陽が沈むころには街も見え、宿の確保まで出来た。飯は宿のマカスコガルメ牛の焼肉定食。まじうまい

 

 

 

 ×月×日

 

 情報屋ってすげー。

 じーさんが言ってた場所まで行き、そこにいたねーちゃんに紹介文を渡した。数分待つと体のがっしりしたマッチョメンがやってきた。

 

 名前はズーマックという俺らと同じ流星街出身者だった。

 ハンター試験について聞いてみると一次試験の場所を対価なしに教えてくれた。ズーマックさんって試験官なのかと驚いていると、実はハンター試験の一次試験会場は裏の情報サイトで安値で売られているらしくそこまで苦労しないと教えてくれた。

 あと、美味い飯屋についても聞いてみると街の中央にあるガファラン公園を東入り口から出た先にある紫通りの蕎麦屋を教えてくれた。

 

 前世ぶりに蕎麦食ったけどマジでうまい。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 一次試験のためにヨルビアン大陸の北東にあるスヴァンカジャに行くことになった。スヴァンカジャまでは、一通の飛行船があっから、それに乗っていくことにした。大体5日くらい掛かるらしく飛行船に乗る前にかなり準備が必要とのこと。

 

 色々大変な旅になるから準備をすぐする事にしたけど、その前にもう一度蕎麦を食いに行った。

 

 

 

 


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