とある男の日記   作:ラーメン屋

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捨て子日記 p.3

 ×月×日

 

 スヴァンカジャ到着。

 スヴァンカジャまでの空の旅はかなり快適だった。初めてあそこまで体を動かさない日々を過ごしたけど、トランプ・チェス・映画と飽きのない生活を送れた。

 

 明日からは一次試験。絶対に合格してやりゃあ!

 

 

 ×月×日

 

 前回の日記から数日経った。まだハンター試験は終わってない。今は、二次試験が終わって三次試験に入るまでの休憩時間。

 

 『 一次試験 受験生十人討伐 』

 めちゃくちゃ簡単。流星街で生きてきた俺らにとって他の奴らなんてカラスよりも弱いただの雑魚でした。本当にこんなに弱くていいんか?と思うくらいの人たちで溢れてた。この試験で大体600人とか小学校一つ分くらいには人数減ってたと思う。

 

 『 二次試験 追走 』

 走る試験官の後ろを追いかける試験。三回くらい夜空見たから72時間以上は走ってたと思う。走った場所はスヴァンカジャを囲んでいるスース大森林と呼ばれる森。試験官がずっと走り続けて、休憩ナシ、襲ってくる動物も多めと一次試験と比べて段違いに難しかった。

 難しかったけど、それでも基本的に襲ってくる動物が流星街の犬レベルばっかでそこまで苦労はしなかった。

 

 今日で50人くらいまで減ったから三次試験で一桁になりそう

 

 寝る

 

 

 

 

 ×月×日

 

 三次試験一日目

 現在、俺一人。今は木の上に登って体を休めてる。この世界に転生してからすぐ以来の一人の夜。正直かなり寂しい。シズクと10年近く家族として一緒過ごしてたから、初めての一人旅でソワソワするみたいな感覚を味わってる。

 

 『 三次試験 サバイバル 』

 受験生に対してランダムに配られた紙を5枚集めることで完成する地図。それを一人で完成させ、地図で指定された場所へと移動するという普通の感覚だと難しめの試験。ただ、流星街で育った俺にとってはお茶の子さいさいゆっくり森を楽しみながら時間ギリギリにでも行くか……と、思ってたけど、どうやら制限時間が何時間なのかは公開しないスタイルらしく、合格したいなら出来るだけはよこいやと言うことらしい。試験範囲は、スース大森林を抜けた後にあるスーソ山脈一帯となっている。

 

 因みに今の収集状況は2/5。6人討伐

 入手済みの紙が4回連続で来た時はマジでムカついたけど、とりあえずは順調って感じだな。これなら明日の昼食時までには合格できる。

 

 

 

 ×月×日

 

 祝 三次試験合格生一号!

 

 三次試験二日目 7人討伐 5/5達成

 昼時にはすべての紙を集めて目的地に着くことが出来た。目的地は、二次試験の最終地点であるスース大森林の出口だった。そこには、二次試験終了時には気付かなかった旅館が一つ建っており中でゆっくりと休むことが出来た。中では、女将さんが玄関で待っており、そこからは奥へと案内され受験生が集まるまで待機となった。

 

 夕方にはシズクも試験を合格して無事合流出来た。夜には二人で旅館の絶品料理を楽しんで数日ぶりに二人でゆっくり過ごした。現在旅館にはハンター試験の手伝いとして美食ハンターが来ているらしく、夕食は美食ハンターが作った料理を食べることが出来た。

 

 うますぎてしぬかとおもいましたまる

 

 

 

 ×月×日

 

 三次試験三日目 

 昨日寝てから受験生が4人しか来ていない。制限時間があとどれくらいかによるけど、三次試験の合格生は6人になりそう。

 

 美食ハンターは神様。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 三次試験四日目

 今日も昨日に引き続き待機時間だった。

 旅館の中でただ待つだけで暇で死にそうだったけど、シズクと二人でゲームすることで何とか意識を保つことが出来た。だらーと時間を潰してると俺らと同じ合格者が一人話しかけてきた。

 

 名前はメンチ。俺達よりも三つ上だった。

 どうやら一次試験の頃から同年代という事で話しかけようとタイミングを計ってたらしい。最初は、いきなり入ってきてマシンガントークを展開してくっから変な奴に絡まれたと思ってたけど、メンチは俺達と同志だった。

 

 『美食ハンターは神様』という俺達と同じ考えを持った同志だったのだ。

 

 メンチがハンターになろうと思ったのは、小さい頃に二ツ星美食ハンターの料理を食べたからだという。食べた料理は、なんと『寿司』。一口食べただけで昇天しそうになるほど美味しかったらしい。その味が忘れられずに小さい頃から修行を重ね、ハンター試験を受けるに至ったと……。

 

 俺達にも美食ハンターにならないか?との勧誘を受けたが、料理をしたことが無いから断った。けど、さすがのマシンガントークスキル持ち。そんなの関係ねぇと言わんばかりにいきなり美食ハンターについて語りだした。

 それによると美食ハンターは料理を作れない奴でもなれるらしい。

 

 美食ハンターのタイプ。

 ①自分で食材を取って、料理もする自己完結万能タイプ

 ②調理は出来るが、食材は他のハンターに依頼する調理特化タイプ

 ③自分で食材を取って、調理は他の人に依頼する調達特化タイプ

 

 現在の美食ハンターの割合は、①が7割、②と③を合わせて3割といった具合で分かれており、②と③の美食ハンターは基本的にタッグとして組むのが多いらしい。

 

 食材調達だけでイイの?

 

 調理は他に任せても……大丈夫?

 

 ……。

 

 

 

 

 オラ、美食ハンターなっぞ!!!

 

 

 

 ×月×日

 

 三次試験終了

 合格者は、結局6人だった。

 

 午後には、飛行船に乗りハンター協会へと移動することになった。その時にハンター協会にて現在会長を務めているネテロ会長が来てた。

 

 なんか演説をしてたけど、とりあえず凄い人だってのは分かった。

 

 流星街に偶にいる独特な雰囲気を持った奴らと似た感じがあったけど、格が違う。流星街の奴らと圧倒的に違うのは、勝てるイメージが湧かないところだな。ああいった雰囲気を持った奴らは、何処かに慢心というか油断しているような所があって、ソコを上手く突ければワンチャン勝てるってのが流星街奴ら。

 

 それがネテロ会長には無い。たぶん人間じゃないと思う。まぁ、それ以上に優しい人っぽいから何の心配もねーけどな

 

 

 

 ×月×日

 

 ネテロ会長による面接。色々聞かれた。

 なぜハンター試験を受けたのか? 誰と仲が良いのか? 何のハンターになりたいのか?等根掘り葉掘り聞かれました。その時に逆にどうやったら強くなれるのかを聴くと「継続することと自分を信じる事じゃな」と言われた。

 

 なんか漫画に出てくる実は才能だけじゃなくて基礎からずっと継続して鍛えてきた漫画最強キャラクターみたいなこと言っててめちゃくちゃカッコ良かったです。

 

 あんなかっけぇじーさんになりたい

 

 

 

 ×月×日

 

 『 最終試験 1対1真剣勝負 』

 一回しか出来ない1対1の真剣勝負。ルールは特にない。勝てば良いだけ

 

 一回戦 メンチVSブハラ 勝者 メンチ

 一番見ごたえがあった闘い。スピードVSパワーみたいな闘いで、それぞれがどうやって自分の土俵に相手を持ってこさせるかみたいな心理戦的動きがあって見ていて面白かった。

 

 二回戦 シズクVSバショウ 勝者 シズク

 シズクのワンパンKO

 

 三回戦 おれVSガシタ 勝者 おれ

 ワンパンKO

 

 最後の試験が一番楽だった。今までの苦労は何だったんだ……。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 メンチがハンター試験合格を祝って料理を振舞ってくれた。

 試験中にあんなに煩かった奴も料理の時には黙ってんのはめっちゃ面白かった。シズクにそれを言ったら聞こえてたらしく顔面へこまされた。

 さすが美食ハンターを目指しているだけのことはあると言わざるを得ない料理だった。悔しいけど死ぬほど美味かった。シズクがめちゃくちゃ気に入ってた。多分、美食ハンターよりも美味い。特に寿司に関しては前世でも食べたことのないくらい美味かった。

 

 三人でバカ騒ぎした後、メンチから結局何のハンターになるのかを真剣に聞かれた。

 

 俺らはその質問に答えられなかった。この前は、その場のノリで美食ハンターなるぅとか言ったけど、改めて美食ハンターになるかと言われたら「うん」とは言えなかった。今まで美食ハンターになるために努力してきたメンチを見ると、軽く美食ハンターになるとは言えなかった。

 

 メンチはそんな俺達を見て「自分が何を狩りたいのか、何が欲しいのかをゆっくり考えてみなよ。あんた達まだガキなんだから時間はあるわよ」と言って笑って話を流してくれた。

 

 

 

 

 自分が何を狩りたいのか、何を欲しいのか思いつかない。

 流星街では、その日を生きるために頑張るのであって目的なんて他にいらなかった。だからこそ、ハンターになったらどうすれば良いのかと言われても分からない。真剣に頑張っているプロの世界に自分達みたいな不真面目な奴らが入っていくというのが今更恥ずかしくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 流星街で目が覚めたとき、地獄にいると思った。

 前世で死ぬ思いをしたのに目が覚めたら更なる苦痛を味わわされる。「ふざけんな」とか「クソがッ!」とか言ってた記憶がある。あの頃は、日々の生活が命懸けで初めの頃は隠れながら所々に落ちている死体を食べて一日を過ごしてた。

 

 そんな地獄で少し生活してると、俺と同じくらいのチビが、俺と同じように死んだ目をして、俺の隣で俺と同じように腐った死体を齧ろうとしてるのが目に入った。

 

 この地獄の中じゃ何処にでもあるような、そんな光景が此処で生まれて初めて歪に見えた。

 

 俺はそんな生活が心底嫌いで絶対金持ちになってシズクに贅沢させられるようにするって頑張ってきた。だから、自分が心の底から欲しいものなんて無い。あのクソ街はそんな希望を抱かせてくれなかった。

  

 ただ、シズクが居ればそれで良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 昨日は、めちゃくちゃ憂鬱な気分だったwww

 日記を読み返してたけど精神が流星街初期くらいにまでなってたわ。クソウケるwwwwww

 

 まぁ、ふざけて書いたけど、今日の朝にシズクと二人で真剣に話した。

 シズクには本音で話した。毎回付き合わせてたけど俺は今後ハンターとしてどうして行きたいのか分からないと。とりあえずやってみるか感覚というか、ハンターになれば将来安泰だから程度にしか考えてなかったから次どうするか思いつかないと話した。

 

 シズクも俺と同じで何をしたら良いのか分からないと言っていたが、「それでも付いていくよ」と言ってくれた。

 

 正直、考えても分からないのでやりたいことを探す旅に出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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