×月×日
メンチに旅に出ることを伝えた。
メンチは、驚かなかった。どうやらシズクが昨日の夜に伝えてたらしい。
俺が思っている以上にシズクとメンチの仲が良くなっていて嬉しかった。
シズクにとっては初めての同年代の友達。流星街に居たら一生出来なかった安心して笑いあえる関係、話し合える関係。
これだけでも外に出た甲斐があるな。
旅に出る前にメンチに連れられてシズクと俺の分の携帯を買いに行った。別れる時には、ホームコードを交換して年に一度は同窓会をすることを約束した。
×月×日
やりたいことを探す旅と言っても何をすればいいんだ……?
俺達はその問題にいきなりぶち当たってた。
何をすればそんな無形の存在を見つけることが出来るのか?俺達は悩んだ、めちゃくちゃに悩んだ。とにかく悩んで、ある事に気が付いた。
俺達には経験が足りないという事にッ!!!!!
特にシズクなんて俺みたいに前世の記憶もないという本当にまっさらな状態。今まで流星街で血生臭い生活ばかりを送っていて、普通の人が経験できるような普通の思い出が俺達には何一つ無い。外の世界に来てやった普通の事と言えば美味い飯を食うことくらい。
つまり俺達にはその他の一般的な経験が圧倒的足りてない!!!!
という事で、世界観光することにしました!難しいことは考えず遊んで暮らします!
×月×日
旅の最初の目的地は、ジャポン。
これは、流星街に居た頃から何回も一緒に行こうと話した場所。軽い思い出の場所みたいなやつ。これに関しては割と最初の方で行くことが決まった。
何よりも本場の『寿司』を食べたい。
メンチがこの前二ツ星ハンターの『寿司』を俺たちに語ったときのアノ顔。本当にこの世とは思えないような料理を食べたのだと一瞬で分かる。あれを見たら食いたいと思ってしまった。そんな魔力があの顔あの話にはあった。
何よりもシズクの圧が凄い。
×月×日
飛行船一日目
ハンターライセンスやべーよ。マジでジャポンまでの飛行船が無料なんだが?無料なのに案内役が配置されて、飛行船内で受けられる待遇も超VIP用と全てにおいて特別待遇。これにはさすがの私もニッコリですよ。
みなさんハンターおすすめですよ。
×月×日
飛行船二日目
富豪の生活してます。マッサージ最高。全身とろけるかと思いました。
×月×日
飛行船三日目
飛行船で生活したい。そう思っちゃうほど贅沢な日々を過ごしてます。前世から通して今まで一度も経験したことのない豪遊。ほんとハンターライセンス様様でっせ!がッはははハハハハハッ!でも、明日にはジャポン。
……マジで飛行船に乗る生活しようかな。
×月×日
ジャポー―――――――ン!!!!
サムライ! ニンジャ! サシミ!
SUSHI!!!!!!!!
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KATANA! SUMOU! SOBA!
SUSHI!!!!!!!!
×月×日
SUSHI!!!!!!
×月×日
SUSHI!!!!
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ONSEN MAZIDE SAIKOU!
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SOBA! SOBA! UMAI!
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お金が無くなった……。
×月×日
毎日、散財してたらお金が無くなってた。
思えば飛行船に行ってから俺達は変わってた。アレのせいで俺達は金持ちなんだと、俺達は富豪なんだと、夢を見ちまった。
お金が無くなってからようやく目が覚めたよ。
確かにハンター試験を合格して、正式なプロハンターになり色々な権力が増えたけど、俺達自体は何の依頼もこなせてない。何一つとしてハントしてない。何も成せてない。
俺達は、ただのクソザコハンターだった。
×月×日
今日からお金のためにハンター活動をすることにした。
どの分野のハンター依頼を受けるかは、かなり念入りに話した。まず、ハンター協会で斡旋されている依頼を一通り見た。ハンター協会で現在出されている依頼では、新人の俺達が簡単に受けられるレベルのまともな依頼がほぼ無かった。唯一出来そうだったのが、著名人の護衛と宝石護送船の護衛と新人に優しくない世界。
どれを受けるのか迷う。