とある男の日記   作:ラーメン屋

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新人ハンター日記 p.2

 ×月×日

 

 結局受ける依頼は、宝石護送船の護衛になった。

 やっぱり初めてのハンター依頼という事で、比較的簡単かつ安全そうな依頼をする事にした。

 

 正式に依頼の方をハンター協会へと出したところ断られました。

 

 君達にはその資格が無いと一蹴され、電話を切られた。何回電話してもまともに取り合ってもらえ無かった。もしかして俺達がハンター試験に合格してから金の無駄遣いをして遊び惚けていることがバレて資格失効になったかと思い、ハンター協会の方にメールとか送りまくったけど問題は無かった。資格に関しては何も問題は無かったけど、依頼を受ける問題は解決しなかった。

 

 ハンター協会さんは、何の説明もなく私達から仕事を奪いました。これは許されることではありません。流星街に来てから怒ったことなかったけど……怒りますよ?本当の本当に怒りますよ?私達、流星街出身者ですよ?犯罪に躊躇いないですよ?

 

 ……私達、本気ですよ?

 

 

 

 

 ×月×日

 

 ここ五日間、日記を書く暇が無かった。今日は、修行がひと段落着いたから早めに終わった。

 

 一日目 一人の女が来た。

 身長はシズクと同じくらい。ただ、纏う雰囲気がネテロ会長と同レベルという見た目と中身がちぐはぐな女。そんな奴が早朝、俺達の泊っているホテルにいきなり殴りこんで来て俺達に「裏ハンター試験を始めるわよ!」と言ったのが始まりだった。

 

 ソイツが言うには俺達が合格したハンター試験は、ハンターライセンスを貰うための試験であって、合格しただけではプロハンターとは言えないらしく。俺達がこの前依頼を受けられなかったのもソレが理由だった。そして、プロハンターになるためには、裏ハンター試験と呼ばれるハンター試験よりも何十倍も過酷な試験に合格しないといけないらしい。それを今回はホテルに来た女が試験官として行うという事だった。

 

 女の名前は、ビスケット=クルーガー。年齢は52歳という化物ババア。裏ハンター試験の中で教わる『念』という技術によって見た目が年を取っていないらしい。

 そして、軽く自己紹介したあと早速一日目の本題『念』の解説に入った。

 

 『念』とは、身体から溢れ出すオーラと呼ばれる生命エネルギーを自在に操る能力のこと。

 

 プロハンターが関わる世界では、その『念』が使えることが最低条件の世界だという。

 オーラはどんな生き物からも流れ出てはいるが、基本的には操ることが出来ない。なんでも普通の人は、精孔と呼ばれるオーラの溢れでる穴が開いていない状態であると同時に開いていない精孔から流れ出るオーラが微弱という事もあってオーラを感じることが出来ないのが普通だと言ってた。

 

 そして、この精孔を開けるには禅や瞑想をする中で自分自身でオーラの流れを感じるところから始まる。

 と言う訳で、一日目はただ瞑想をしていた。

 

 休む時間は、飯の時間以外に無く常に瞑想の状態を解かずにオーラを感じ取る訓練をする。たまにババアが念の圧力をかけて、オーラ感覚の確認を行う。それを一日に何十時間と続けて眠りにつく。この生活を五日間続けた。

 

 三日目にはオーラを感じることが出来た。そこからは、自分のオーラが流れ出ている元を探して、少しずつ精孔から流れ出る量が増えるように穴を広げていく作業。

 

 そして、五日目。遂に精孔を全部開けることが出来た。

 自分の身体の周りを纏っているオーラがハッキリと見える。ババアが言っていたように俺もシズクもオーラが垂れ流しの状態だった。逆にババアの方は、信じられないくらい洗練されたオーラが一切波打つことなく綺麗に全身を流れていた。

 

 プロハンターやべーや。

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、本格的な念の訓練に入った。

 

 まず最初に、自分の体から流れ出ているオーラを身体に留めるように纏う『纏』

 自分の体から流れ出ているオーラを血液のように全身に張り巡らせるのがコツ。『纏』には、身体の防御力を上げる効果と若さを保つ効果がある。ババアは、この若さを保つ効果が異様に高いらしい。なぜ高いのかは自分でも分からないとかいうチート。

 

 纏は、形にするだけなら楽勝。

 でも、ババアのように洗練された状態を保つのは無理。自分の体の周りを淀みなく流させるって言うのは、かなり、かなり、かなり集中すれば今の俺でも出来る。けど、それを意識することなくかつ流れ出るオーラは必要最低限って言うレベルでやるのは無理。本当に自分のオーラを手足のように扱えないとあのレベルには行けない。それくらいあの人は凄い。

 

 次に習ったのは『絶』。

 オーラが流れ出す元である精孔を閉じることで完全に気配を絶つ技法。『絶』には、気配を絶つ効果と疲労回復の効果がある。

 絶に関しては、前から出来ていたことが判明した。流星街で化物や動物を殺すために毎回やっていた気配を断つという癖が、絶だった。まんま絶やった。俺達のやっていたあの生活は無駄じゃなかったらしい。

 

 そして最後に習ったのは『練』。

 精孔を広げた後に体内にエネルギーを溜めるイメージで全身の細胞全てからパワーを集め、集めたオーラを一気に開放することで通常時よりもオーラを引き出す技法。『練』によって練ったオーラは、『纏』で留めることで引き出したオーラを満遍なく扱うことが出来る。

 

 明日からは、『纏』→『絶』→『練』の流れを毎日5時間以上は修行することになった。

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 ババアが頭を抱えてた。

 なんでも俺達が昨日教えてもらった『纏』・『絶』・『練』は、本当なら一年以上かけて形にしていくモノであって、一日使って出来るような技術では無かったらしい。俺達の技術自体は、ぺーぺーもぺーぺーで念を覚え始めた初心者レベルある事には間違いないがソレは一年近くかけた者でも同じ。この異様な念の才能はいくら両親に感謝の言葉を送っても足りないレベルらしい。

 

 まぁ、俺らに両親いねーけどな(笑)

 

 とりあえず、『纏』→『絶』→『錬』の流れを10時間近く反復したが今日はそれだけで終わった。ババアは、明日からの修行の内容を考える必要があるらしく、今日は一日自由時間になった。

 

 久しぶりに一緒に狩りをした。イノシシウメ―。

 

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、『発』を習った。

 『発』とは、念の技術における最終到達点の一つであり、本当の意味でオーラを自在に操る技術の事である。オーラには、強化系・放出系・操作系・特質系・具現化系・変化系の六つの属性が存在している。誰もが生まれつきこの属性のどれかに属しており、その属性にあったオーラの性質を持っている。

 『発』では、その自分の性質を理解したうえで自分の念能力を考える。

 

 自分のオーラがどの系統に属しているのかは水見式によって確認する。コップに溜まった水に手をかざして錬を行う。ソレだけで系統が分かる。便利すぎだろ。

 

 結果は、俺が強化系。シズクが具現化系だった。

 

 ババアによると、本当は『発』の修行は3か月後を予定していたと言う。それを今回前倒してやったのは、今後の修行日程を組むのに必要だったかららしい。今日から行う『発』の修行では、具体的な能力を作ることはせず、自身の性質を強化していく方向での鍛錬をすることになった。

 

 そして、これから3か月は『纏』→『練』→『発』の鍛錬を中心にやることになった。

 

 なんかババアが俺達を置いて一人でめちゃくちゃ盛り上がっとった。「原石がどーのこーの」言ってテンション上がりまくってた。俺達がそれを冷めた目で見てたら、申し訳なさそうな顔で謝ってきたから俺が「ババア、いい歳して恥ずかしくねーの?」って言ったら夜になってた。

 

 

 

 ×月×日

 

 念の修行がめちゃくちゃ楽しい。

 前世では存在しなかった魔法のような力を自分で操るとか。死ぬ前にやってたどのゲームよりも面白い。しかも、普通よりも才能があるおかげで、修行した分が眼に見えて成長する。そのおかげでモチベーションが落ちることも無い。

 

 それに加えて、一緒に切磋琢磨出来る家族がいて、めちゃくちゃ褒めてくれるババアもいる。ふむ、こりゃあ最高の環境ですね。ただ、偶にババアがませたガキみたいなこと言いだすのはムカつく。そのたびに年増とかって言って煽るけど、決まって夜になる。

 

 ……纏と練の修行頑張ろう。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 練で練った大量のオーラを纏で綺麗に纏うのが難しい。

 いつもの量だったら簡単に纏えるけど、やっぱり少しでもオーラが増えるとソレだけで難易度が何段階も上がる。ただ、少しずつではあるがオーラの制御ができるようになってる。

 

 

 

 

 

 ×月×日

 

 ババアが練から纏の工程はいきなりやるものじゃないって言ってた。

 それよりもまずは、練の鍛錬を一点集中で行い、自分の中から溢れ出る大量のオーラに体の感覚を慣らせてから練→纏の鍛錬をすれば上手く制御できるようになるらしい。

 俺が昨日までやってた鍛錬は、普通自動車にスポーツカーのエンジンを積んで動かないと言っているような状態とか言ってた。

 

 

 

 

 ×月×日

 

 あれから何日も他の修行以上に練の鍛錬をした。

 鍛錬の中で凄いことに気付いたが、練で練られるオーラ量が少しずつだが上がってる。それと同時に纏で纏える量も少しずつ増えてる。

 

 

 ×月×日

 

 今日は、あれから全然してなかった練→纏の鍛錬をした。結果はババアの言ってたことは正しかった。

 この前までめちゃくちゃ苦戦してた大量のオーラの制御が完璧に出来た。俺が完全に制御している時にババアが俺達の方へ来て、二つ応用技を教えてくれることになった

 

 一つ目は『隠』。

 『隠』とは、絶を応用した高等技術。自分の持つオーラを限りなく見えなくさせることが出来る。この『隠』に対抗する方法は一つしかない。ソレが次に習った『凝』。

 

 『凝』とは、身体の一部にオーラを集中させることで、部分的に強化を掛ける技術。オーラを集中させる部分を眼にすれば、『隠』を見破ることが出来る。ただ『隠』を見破るためには、練によって練った大量のオーラを眼に集中させる必要がある。

 

 明日からは、『凝』の訓練を抜き打ちでやる事になった。

 ババアが罰ゲームを付けると言ったときは、性格が悪いから意地悪でやってんのかと思ったら俺達にヤル気を起こさせるために設定したとか抜かしてた。

 

 

 

 ×月×日

 

 凝の抜き打ちテストが難しい。

 ババアが指を立てた時や腕を伸ばした時、不自然な眼の動きをした時とかマジで日常の中で仕掛けてくんのがヤバい。でも、念能力者同士の闘いにおいては、そういった動作や目の動きから念を飛ばしたりしてくるらしい。ババアが「少しでも違和感を覚えたら凝!戦闘の基本だわさ」としつこく言う理由は分かる。

 

 気付かない間に首元にナイフ突き付けられてるとかマジで怖すぎるからな。

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、発の鍛錬をメインでやった。

 水見式を何回もやる中で気付いたが、練だけじゃなくて水に向かって凝をすると信じられない速度で水が増える。俺が思っている以上に凝による強化倍率が高いことを知った瞬間だった。

 

 一回だけ凝で強化した拳で岩を殴ったが爆散した。

 

 

 

 ×月×日

 

 今日は、念を使って狩りをした。

 なぜ念を使っての狩りをしたかと言うと、手加減の練習をするためだったらしい。正直言って何の問題も無かった。今まで通りの感覚でやって、いつも通りの狩りをした。

 

 

 

 ×月×日

 

 念を習い始めてから今日で3か月。

 明日から応用技に関する本格的な修行が始まる。今日までは念における基礎固めをやってきたが初日と比べて段違いに技術が上がった。特に練→纏の流れや凝は完璧に習得した。それでもまだまだ成長しきっていない感じがする。

 

 マジで明日からの修行が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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