【悲報】ワイ、ワーム。竜やけどモテない   作:オリーブそうめん

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ブ男がクールぶっても孤高じゃなくてボッチになるだけや

 蛇竜って割とおるやん?

 レヴィアタンもそうやし、ジパング大陸付近とかやと、トカゲ型よりもヘビ型な竜の方が多いし、魚や蛇からの変成した亜竜も多いやん?

 中には亜竜どころか普通に蛇なのに竜扱いされとるのもおるやん?

 でもジパング大陸にワイが行ったら、そこの人間に普通にミミズの怪物や言われたで。

 おかしいやろ。

 竜認定ガバガバな地域ちゃうんか?

 蛇でも竜扱いとか、多分ドラゴンプラントとプラントドラゴンの区別なくどっちも竜扱いしてそうやん?

 というかアイツら区別出来んやろ実際。

 魚とか人骨モンスターとかを大きさの違いで別種扱いしてしまうあたり、無理に区別しようとすると失敗するアホやろ?

 ブリとハマチは同じやし、ガシャドクロなんて巨大なだけのスケルトンやんけ。

 ジパング人さあ、自分ら区別するの苦手やけど自覚ないやろ?

 よくわからないから竜かどうかわからないのは全部竜認定しとんやろ?

 何でそんな奴らがワイを竜扱いせんのや。

 人面魚とマーメイドの違いも出来ない連中がやぞ。

 人面魚を人魚扱いしたり、変化しただけの獣を獣人扱いするガバガバ地域の連中が、ワイのことだけは竜扱いせんのおかしいが過ぎるわ。

 イラッとしたので、大陸からプレートごと削って切り離したった。

 周り全部海になった島国で反省してしまうがええで。

 

 

 

 

 

 

 

 ジパング大陸の国家群は、北西の大国に今まさに攻められんとするところであった。

 体内ガスと翼で浮かぶラクダに乗った遊牧民族からなる大国は、地形を無視して高所からの弓矢で他国を侵略し、その支配圏を拡げていた。

 

 ジパング大陸は飲み込まれる寸前であったが、奇跡が起きたのだ。

 戦争を引き裂くかの如く、大地が裂けた。

 まるで矢のように速く真っ直ぐに。

 

 大地が裂けた。

 瞬く間に海溝へと変わった。

 それは全くのいきなりだった。

 そして両軍は見たのだ。

 それを引き起こした原因を。

 

 ジパングの史書曰く、(おおい)なるミミズ、海を作り戦を終わらせりけり。

 (おおい)なるミミズとは、西洋で言うところのリンドゥルムであろうと後の世の研究者は言う。

 そして、ジパングではそれ以降、ミミズは平和の使者であり、決して小便をかけてはいけないという逸話が生まれた。

 小便という大海をミミズに与える事は、何かを引き裂く元になるという伝承があるのだと、物知りの老人達は語る。

 

 

 

 

 

 

 

 ワイな、ヒルやミミズと一緒にされるのホンマ嫌やねん。

 そりゃあどんな竜やてそうやと思うんやけど、中には例外もおるんや。

 サイコパスというかマッドな竜がおってなぁ、昆虫って世代交代早いやろ?

 でな、そこに目を付けたのか昆虫に種付しまくって、自分の種付した昆虫を集めた昆虫園で蠱毒みたいな事をしとるアホがおったんや。

 姫さんの今は亡き伯父やな。

 品種改良大好き一族なのは分かっとった。

 その結果、あの素晴らしい容姿に仕上げたのも分かっとった。

 せやかて、幾ら姫さんの代で完成してもうてやる事が無くなったからといって、なぁ…。

 箱庭の創造主を気取るのはエエんやけど、手軽やからって精子のバーゲンセールを虫相手にやることないやろ。

 どの顔で言うんやって言われても、ワイかてミミズもどきやヒルもどきとはヤりたくないみたいな事を散々言われて来とる側やし、ワイ自身ミミズやヒルとはノーセンキューやからな。

 でも、あのキチガイはやってしもうた。

 カタツムリ、ハナカマキリ、カワゲラ、ツノトンボ、ワタムシ、アラクネア…。

 とにかく節操無かった。

 健康と常識と理性と貞操観念を捨てて、性欲と支配欲と研究心と狂気に全振りしてた。

 あのキチガイが成功品をバラ撒いて実地試験しまくったせいで人間の総力を敵に回したんや。

 あの女勇者が優秀だと分かると「種付してやろう。お前との子なら成功作になりそうだ」って言ってたのはキチ過ぎた。

 更に頭おかしい案件なのは、その女勇者が実験で人間の女に種付したキチガイ自身の娘だった事が発覚した事か。

 最後の一言も「はーっはっはっは。アディオース!!マイスイートドーターーーー!!!!」だったらしいし、姫さんも姫さんのご両親もヤツの事はいなかった事にするのはワイも全力で同意せざるを得ない。

 竜語だったので他の種には聞かれてないのが救いだが、見届けに行った親族はいたたまれなかったらしいな。

 姫さんなんて恥が生きていた証拠を消すとか言ってたんや。

 でも姫さんもあの女勇者気に入ってるのバレバレだからな。

「弱小生物に変化するなんて不快ですわ」とか言っていたけど、結局未だに正体明かさずにヒトの姿で勇者と交友してるからなぁ。

 誕生日プレゼントとかワイにもくれたことないのにクソ雑魚人間如きにくれてやってるのは嫉妬しかせん。

 …でもワイは姫さんが竜ってとっくにバレてると思うで。

 一度だけ人間に化けた姫さんを見たことあるけど、物理的な意味であそこまでキラキラ光る人間っておらんで。

 近所の宮殿に住む高貴な人間の村娘って自己紹介したらしいけど、嘘下手すぎやろ。

 普通に考えてそんな村娘おらんって。

 これまで人間に興味なかった影響出まくっとるで。

 そもそも人間は自分の事をわざわざ人間とは言わないんやで。

 

 ワイは人間の姿をとったことはない。

 プライド的にもしたくないし、そもそも純粋な竜過ぎて他の生物に変化する事が出来ないんや。

 星を喰らうのに無関係な所に全くリソースが割かれてないってよく分かるわ。

 というか、多種多様な遺伝子を組み込んで調律された姫さんが多才過ぎるだけやで。

 

 後は女勇者の兄弟姉妹ともいえるキチガイ印のクリーチャー達が今何しとるかっていうと、フレシアのアルラウネ達と戦争しとるのは草も生えん。

 …あの女勇者の出身国の指導者の策略で、侵略予定国家に向けた嫌がらせやろうな。

 竜の血を継いだ昆虫モンスターを集めて、植物モンスター国家に差し向けて弱ったところに勇者を投入するって腹やろ。

 そういえば、ヒトって獣人の癖に生意気だって戦争することはあるけど、アルラウネの癖に生意気だって戦争することはそこまでないよな。

 アレはなんでやろか。

 虫を差し向けたのは真っ当な侵略戦争やし、それなりに理性的な戦略や。

 獣人との戦争の時みたいに、生意気やからボコるみたいなプライド見せてこんかったのはなんでやろ。

 ワイかて竜に見下されるのは許しても、竜以外に見下されるのは滅ぼしたくなるくらい許せんけど、人間ってアルラウネ牧場とかしてたやろ?

 格下に逆らわれるのが許せんのなら分かるけど、ヒトって寧ろ獣人より余程アルラウネの事を下に見てると思うんやが。

 まあ、この戦争、アルラウネが勝つで。

 姫さんには悪いけど、姫さんお気に入りのあの勇者では勝てん。

 というか虫が負けて、その時点で勇者投入諦めるやろ。

 フレシアはニーズヘッグ姉がワイにくれた世界樹のお膝元やしな。

 ワイが放置しとるから、今では世界樹の花粉受粉し放題なアルラウネ沢山のヤバい国や。

 代を重ねる毎に世界樹に近付いて巨大化していくやろうから、その前に叩きたい人間達の思惑も容易に想像出来るわ。

 やけど遅かったなあ。

 あの花の女王が蒔いた一世代目の世界樹因子のアルラウネは既に開花済や。

 しかし巨大化し過ぎて人間に擬態しようとしても巨人しか釣れないアルラウネとか、草生えるな。

 もはや擬態して人間を誘き寄せるよりも、直接攻め込んだ方が向いとるとか生態変わるやん。

 …ああ、世界樹というイケイケの雄が既におるから、人間の雄を誘き寄せる必要は既にないんか。

 

 余談やがアルラウネはヒト以外にも花弁を擬態出来るらしいが、滅多にやらん。

 一度アルラウネの女王が上半身をワームっぽくしてたのは勘弁して欲しかったわ。

 だって擬態として作っていた上半身のワームは雄やったんやぞ。

 メスのワームを見たことないのか区別が付かないのかは知らんけど、同性に興奮とか本物の竜相手でも無理やわ。

 舌の数とか鱗の鋭さとか触覚の先端とか、女王様の上半身が普通に雄ワームなのに交尾誘ってくるとかホンマ無いって。

 次見た時には上半身が元の人間の雌に変わってたから、上手く受粉したか、枯らしてやり直したんやろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 竜の血を継ぐ虫の大群は、フレシア深緑国と接するやその戦いは熾烈を極めた。

 草虫相剋戦争とも呼ばれるこの戦いは、フレシアの女王の策によって、一応の決着を経た。

 虫の多くは、アルラウネがフレシアに出て来たリンドゥルムが開けた穴に誘い込まれた。

 そしてその蓋が閉じられた。

 残された少数の虫はフレシアに住まうようになった。

 竜化ワタムシには世界樹とアルラウネが被害を受けているが、他の種の多くは肉食であったことが大きい。

 草食の虫を食らう益虫として残存することになった。

 百年後、勇者を生んだ国は草と虫の軍勢と争う事になる。

 

 一方、ダンジョンの奥底へ閉じ込められた虫たちは、在住のモンスター達と激しい蠱毒の争いを強いられる事になった。

 そして生き残った一部が、フレシア側とは別の穴から這い出しては、その周辺の人間国家パーヤーオーンに甚大な被害を及ぼす事になるのだが、人間には竜に抗議するだけの力は無いし、竜には人間に対する責任など無い。

 よって、パーヤーオーンの人間には竜を怨みながら数を減らす以外の選択肢は無かった。

 しかし、人間は繁殖能力が高いので、繁殖ペースを上げることでパーヤーオーンは人口減少を食い止めたのだった。

 繁殖能力が生まれてから無くなるまでひたすら子作りする国家とも、人材使い捨て国家とも揶揄されるパーヤーオーンの成り立ちはここから来ている。

 尚、星にとっては『竜殺し』に最も貢献した国家の一つがパーヤーオーンである。

 何せ、遺志の着く果て(アカシックレコード)に『竜殺し』の材料のストックが一気に溜まったのだから。

 そもそも星にとっての人間の役割は、増える事と竜を憎む事だけで良いのだから。

 弱く死にやすく、それでいて知能が高く感情を持つ人間は、『対竜因子』のお誂え向きの材料だ。

 竜に挑み続け、竜に殺され続け、竜を憎み続ければ、いつの日にか届く。

 人が竜に立ち向かうという無駄な努力は、いつの日か無駄では無くなる日が来るのだ。

 

 パーヤーオーンは、倒した竜虫の素材から兵器を作る術を見出した。

 そしてその兵器は、大して有効ではない虫相手では無く、近隣の人間国家への優越や侵略の為に大いに有効活用された。

 パーヤーオーンに敗北した国は併合され、竜化虫との勝ちの無い戦い、即ち大いなる敗北に巻き込まれる事になった。

 

 そしてこれは遥か遠い未来の事となるが、資源枯渇対策と軍備増強の目的から、勇者や竜が星の生命力を汲み上げる現象を人為的に再現する試みが出来た。

 その制御の為に、かつてパーヤーオーンと呼ばれた地域に眠る兵器の素材が最適という結果が出た。

 実験は成功。

 しかし、全ての人間がこの恩恵に与ろうとするのなら、星の生命力はすぐに尽きてしまう事が予測された。

 だが、その実験を成功させた機動国家ビサキメルクティは、竜の総攻撃を受けて滅びてしまった。

 龍脈を消費していいのは竜だけ(竜の落とし子については黙認)だと、竜が決めたルールにある故である。

 人のルールを竜が守る道理は無いが、竜のルールは竜に通用する。

 

 かくして既得権益者である竜が独占する事で、竜に寄星された星は生き延びる事ができた。

 しかし、技術が完全に忘れ去られる事がない限り、火種は消えない。

 人工世界樹計画は再び鎌首を擡げようとしていた。




リンドゥルム君がワームとしては雌に見間違う程に中性的な雄というのも、女王が雄のワーム似の花弁に間違えてしまった理由の一つ。
とはいえ、所詮はワームの容姿。
美しいとは言わない。
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