俺は家族が嫌い。
だが、その家族は普通の家族じゃない。天使や悪魔、ワルキューレやサキュバスなど。
人間とは程遠い存在の“姉妹”のことを、俺はすごく嫌っている。
最初の出会いは突然だった。
学校に向かう中、スマホで色々いじっていた。
上からMINEのバーが降りてくる。
母親からのメッセージだった。
バーをタップし、トーク画面に移り送られてきたものを読む。
「裕樹、言ってなかったけど今日転校生が来るらしいわよ。可愛い女の子2人だって。その子たちとこれから仲良くする予定だから、学校でちゃんと話すのよ〜 」
言うことが同級生の男子なんだよな…。
ていうか、なんでそんなこと知ってんだ?あと、『これから仲良くする予定』ってどういうこと?
「クラスメイトってことか……?」
つい思っていたことが口から出てしまう。その画面を見つめたまま、歩いていく。
(※歩きスマホは危ないからやめようね!by裕樹ママ)
角を曲がる時、正面から来た人とぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!」
謝った時、頭の上に何かが乗った。
それを手に取り、見てみると真っ白な羽根。
美しく、見惚れてしまうほど。
我に返り、ぶつかった人を見るとその人は真っ白な羽が生えていて、神々しいオーラを感じた。
金髪ツインテールで、真っ白なワンピースを来ていて……真っ白なパンツ……。
つい、ほんの出来心でその人のワンピースの中のパンツに目がいってしまった。
「ってあんた!どこ見てんのよ!!!!」
思い切り顔面を蹴られ、ぶっ倒れた。
どうやら軽くやったつもりだろうが、あまりにも派手に倒れたので、あたふたしている状態で目の前まで来た。
「あっ、えっと…ごめんなさい!強くやりすぎてしまって…。」
その子は膝を付き、俺の顔に手をかざす。
すると、緑色の花粉(オーラ)のようなものが俺の周りを囲んでいく。
どんどん痛みが引いていき、楽になっていった。
「あ、あれ…痛くない。それに、怪我も治ってる……。」
「実はアタシ、治療が得意な天使なので!」
「ほぉーん…天使か。ん……天使?」
「あ……。」
顔を真っ赤にしたその子は、強引に俺の事を後ろに向け、「少し待って」と言った。
そのあと、「いいよ」と言われたので振り返った。
そこにいたのは、さっきとはまったく違う子だった。
「は?えっと…さっきの子は?まだお礼も言えてないのに……。」
(まぁお礼というか蹴られたのは俺が悪いんだけど。)
「そのさっきの子よ!同一人物!ここでは天使の姿がバレないように人間の姿に変身できるのよ。」
黒髪ツインテールで、真っ白なワンピースではなく制服を来ており、羽も消えていた。
「意外と便利なもんなんだな。」
「素直に受け止めすぎよ!なにか疑問に思わないの!?」
「だって目の前で怪我をあんな綺麗に治されちゃ疑問もなにもほんとに天使としか思うしかないだろ。」
「確かに…それはそうね。」
あれ、案外バカか?
そして、天使とか関係なく1つ疑問が浮かんだ。
「もしかして、お前転校生か?」
「ええ、知っていたの?」
「なんか俺の母親からMINEが来てな。」
そういうと、その子は俺から顔を背け、学校に着くまでずっと目を合わせてくれなかった。
目を合わせてくれないが、名前をまだ聞いてないもんなぁ…。
「なぁ、名前聞いてもいいか?」
「……アタシは
「俺は
俺が名を名乗ると、いきなり目を合わせ、「やっぱり…」という言葉を残して学校に向かっていきなり走り去っていった。
「あの子、結局なにがしてぇんだ。」
☆ ☆ ☆
学校に着き、自分のクラスへと向かう。
席に座り、静かに読書を始める。
ここ最近俺の趣味は読書だ。
本は現実とは違う世界に連れていってくれる。その世界がとても面白い。
だから、俺は読書を邪魔されるのが嫌だ。
なのに………。
「なんで邪魔をするんだ!愛!」
「うわぁ!急に大きな声出さないでよ、裕樹。びっくりするじゃない。」
毎朝学校に来た時、読書中に邪魔をしてくるのは幼なじみの
左からずっとツンツンとやってくる。
日に日にその回数は増えて、対応すらめんどくさい。
「毎回なんで邪魔するんだ、愛。」
「そんなことよりさ〜、今日うちのクラスに転校生が来るらしいよ?」
そんなことよりと流されたが、転校生?もしかして、さっき会った…名前なんだっけ。魚だっけ?
まぁ多分そいつかな。
「でも、ほかのクラスにも、もう1人転校生来るらしいよ。うちに来る子どんな子かな〜。友達になろっかな〜。」
「もう1人来る…のか。」
すると魚以外にも誰か来るのか。
「もう1人も……女の子なのか?」
「噂によるとね。ん?もう1人“も”?なに裕樹、知ってんの?」
「嫌。俺はあまり知らん。なにも知らん。」
愛から逃げるように後ろに下がると、ホームルームのチャイムがなった。
愛は席が隣ではなく、少し後ろの方なので、自分の席に歩いていく。
そして、ずっと気になっている転校生。どちらも女の子。魚と、もう1人誰かのどっちかがうちのクラスに来る。
担任がクラスの扉を開け、さっそく転校生の話を始める。
「では、今日からみなさんの友達になる
紹介された人は礼をし、自己紹介を始める。
「親の仕事の関係でここに来ました。佐藤伊織です。しばらく……えっと、佐藤裕樹君の家に同居予定です。」
・・・は?
なに?どういうこと?いや、そんな馬鹿な……。
頭の中で朝の母のMINEがよぎる。
『これから仲良くする』ってそういうことかよー………。
まぁ当然、伊織さんは美少女。そんな子が俺の家に同居すると言うんだから、全生徒から視線を向けられる。
うん、俺もよく知らないのよ。俺も被害者だから、だからこっち見ないで…。怖いですみなさん。
伊織さんは俺の方に歩み寄り、俺の手を握る。
クラスが少しザワっとした。そして俺の背筋もザワっとした。
「裕樹君、これからよろしくお願いしますね。」
「あ、ああぁ。よ、よよよろしく。」
突然のことで、今日の授業の内容全てが頭の中に入らなかった。
友達にも話しかけようとしても、きっと朝のことで無視されるんだろう。
帰りの下駄箱で伊織さんが待ち構えていた。
「裕樹君、一緒に帰りましょう。」
「あぁ、帰るか。」
2人で並んで帰ることになり、校門で伊織さんのことについて聞いた。
「伊織さんって__」
「伊織さんじゃなくていいわよ。伊織で。」
「い、伊織。なんで家に来るんだ?親は仕事でこっちに来たんだろ?だったらその親と一緒に暮らせばいいんじゃないか?」
伊織は歩きながら顔を少し下げ、思い切ったような顔をしてこちらを向いた。
伊織が足を止めると目の前で白いものがぶわっと勢いよく出てきた。
白い羽が散る。あのとき、学校に向かっていたときと同じ羽が。
「私に親はいませんよ。いや、ほんとはいるんですがここにはいません。」
「は…?じゃ、じゃあ死んだのか?」
「いいえ。天界にいます。この世にはいません。遠く、遠く上にある世界です。」
「となると、親の仕事っていうのは嘘。でも、なんで俺の親と接点があるんだ。」
俺の口を人差し指で抑え、ニコッと笑う伊織。
「それは、今は秘密です。私のタイミングで言いますね。」
☆ ☆ ☆
伊織と家に着き、リビングに向かうと朝ぶつかった人がいた。
「あっ、朝に会った……魚だっけ。」
「砂亜菜よ!さ・あ・な!!!」
砂亜菜と睨み合う中、伊織は砂亜菜の手を取る。
「砂亜菜、裕樹君と仲良くしなさい。これから一緒に暮らすんだもの。」
あぁ、やっぱこう目の前にするとこれから一緒に住むってことが実感できる。
伊織が胸に手を置き、思い出したかのように話し始めた。
「あ、忘れてたわね。改めて自己紹介させてもらうわ。私は姉の伊織。ここに来たから、佐藤伊織ね。」
「ならアタシも…。アタシは妹の砂亜菜よ。佐藤砂亜菜。」
2人は俺に近ずき、耳元でこう言う。
「「よろしくね!お兄ちゃん!」」
裕樹の2人への感情→少し気になる。