佐藤くんの大嫌い家族   作:痲歌論

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__私は主の...やっぱり言えない。今は。


抑えていたこの気持ち、まだ応えられない。

日曜の朝。

いつもの通りのパンと目玉焼き、ベーコンとサラダが出てくる。

(ぬし)の母親特製のものだ。これらはとてもおいしい。

そして、おいしそうにこれら頬張る。そんな姿を見つめている。

「おぎゅうちゃん、私の特製の牛丼はいかがかしら?」

主の母親は頬に手を当てながら聞く。

「とても...おいしい...。いつも...ありがとう...。」

「あらあら、嬉しいわ。」

「本当におぎゅうは牛丼が好きなんだな。今日の昼、ファストフードの牛丼を食いに行くか?」

それを聞いて、不意に猫耳が出てしまった。

主の素晴らしい提案......乗るしかないにゃ。

だが、さすがの私も朝昼の連続で牛丼は少しきついかもにゃ。

裕樹(ひろき)、さすがに連続で牛丼は厳しいんじゃないかしら。」

「そうだよな...さすがにおぎゅうでもきついよな。今日じゃなくても、いいもんな。ご馳走様、ありがとう母さん。」

お粗末様(おそまつさま)でした。」

主がお皿を片付け、洗い始めた。

洗ったお皿を置く音だけがリビングに響く。

「ねぇ、裕樹。伊織(いおり)砂亜菜(さあな)どこにいるか知ってる?」

主の母親は思い出したかのように言った。

「さぁ、俺は知らない。」

母親は次に私の方を見るが、私も知らないので、首を横に振る。

「そう...。」

すると、母親がいきなり私の方に詰めてくる。

「ねぇねぇ、おぎゅうちゃん。今日こそチャンスじゃない?」

最初は何を言っているかわからなかったが、話を聞いていくごとにだんだんと思い出してきた。

その話は約1週間前、主が(あい)(主の幼馴染)に襲われかけた日の夜のこと。

 

☆ ☆ ☆

 

主と、天使の姉妹が寝た後、私は中々寝付けずにいたので、水を飲もうと冷蔵庫に向かっていると、リビングのテーブルと向き合っている主の母親を見つけた。

「あ...寝てないんですか...。」

「あぁ、まだ仕事が終わらなくてね。大丈夫、心配しないで、ちゃんと休憩はとってるから。」

「そうですか...。いつもあり..がとう。」

「いえいえ。」

......いつもお母さん大変そう..。私のお母さん、今大丈夫かな。早く見つけなきゃ。

考え事をしていると、主の母親から話しかけられた。

「ねぇねぇ、おぎゅうちゃん。実は裕樹がさ、幼馴染の愛ちゃんに襲われかけたって話を聞いて思いついたんだけど、この前おぎゅうちゃん裕樹に胸触らせてたじゃない?それってかなりどきどきするはずなのね。それと同じようなことを二人きりで出かけるときするのよ。そしたら、おぎゅうちゃんが裕樹の嫁になれる日も遠くはないわよ。」

それを聞いてその時のことを思い出してしまい、赤面(せきめん)してしまった。

「あ..あれは、確かにしましたが...かなり思い切ったことでしたので...さすがに外は少し恥ずかしい..です...。」

「あら、そうなの?裕樹から聞いたときはお母さんもびっくりしちゃったわよ。おぎゅうちゃんもそこまでやるかってね。」

私は赤面、そしてその顔を見つめてくるお母さん。すると、お母さんが「あっ!」と声を出した。いきなり出されたものだから驚いてしまい、コップに入った水をこぼしてしまった。

「あら、大丈夫?まってて、今タオルとってくるから。」

タオルを取りに行ったお母さんを待つ中、私はあのことについてまた考えていた。

さすがに外ではできないけど、家の中だったらいいかもしれない...。いやいや、でも、あれやるの結構勇気いるんだから。妖力(ようりょく)で気を散らせばなんとかなるけど、寝れなかったら妖力溜められない...。

うーん...主と二人きりで出かけるか...そんな機会できるかな...。

 

☆ ☆ ☆

 

まさかその機会があまり遠くなかったとは思わなかったなぁ...。ふふ、主とデート~。楽しみだにゃ~。

「主、そ、そのさっきのお昼行く...ふぁ、ふぁーすとふーど?行く...。」

「そうか、なら行くか。だったら、伊織と砂亜菜を昼までに呼ぶからちょっと待っ___」

私はあの二人の名前が出てきてほしくなかった。私は主と二人で行きたい。

私は___

「主と二人で、デート...がした..い...。」

「で、でででデート!?おぎゅうと...」

ふと、主の母親の方を見ると、腕を組んで頷いていた。

「わかった、俺もそれなりに準備するから。」

主はそう言い、ドアを静かに閉めた。

ドアが閉まってからすぐに主の母親が私に飛びついてきた。

「よくやったわね、おぎゅうちゃん!二人きりで行くこと私から提案しようかなって思ってたけど、自分から言ったわね!これは大きな成長よ!」

「は...はい...。」

私は主を誘った直後にあることが頭に過っていた(よぎっていた)

それは___洋服のことをまったく考えていなかったのだ。

「お...お母さん、その..洋服どうすれば..いい?」

「洋服ねぇ...。そうね、私に任せなさい!!」

主の母親は自信満々に言い、私の手を引っ張って、自室へと連れ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

今日の昼。

最寄りの駅に集合ということにして、主には先に待ってもらった。

「ひ...裕樹...!」

周りの人がいるため、緊張していたが、勇気を振り絞って声をあげた。

私の声は周りの音にかき乱されて聞こえなかったらしく、主は反応していなかった。

駅の壁に寄りかかっている主のもとへ向かう際に、妖力を使って気配を消して、いきなり目の前に現れるということを思いついた。

そして、これを決行した。

「ふふ..。主はどういう反応するのかな...。」

ふっと影のように主の目の前に現れる。

「うお!おぎゅうか...。びっくりした...。てっきり愛かと思った___」

主の口に人差し指を置いて、一言放つ。

「今は、おぎゅうのことだけを...考えてください。他の...女の子の名前は出さないでください。」

「わ、分かった...。それと服に合ってるよ...。」

主の母親監修(かんしゅう)の洋服だ。

白のワンピースに麦わら帽子というものをかぶっている。

正直主に似合ってると言われてうれしい。

「じゃあ...一緒にいこ?」

主と私は二人隣で歩く。少し歩いてから、私は主の手に私の手を伸ばす。

手と手が触れ合うと緊張してしまって握れなかった。だけど、主が私の手を握ってきた。私はそれに応えるように握り返す。気づけば、それは恋人つなぎになっていた。

「今度は...私から主の...裕樹の手を握るから...。」

そう言うと主は顔を赤くする。

「おぎゅうは、あの二人と比べたら好きだ。」

...私はその時返事することができなかった。

 

 

 




ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
しばらく期間が空いてしまって申し訳ございません。
うp主が大事な期間だったために更新することができなくなってしまいました。
以後は更新頻度が遅くなる可能性がありますが、楽しく読んでいただけると嬉しいです。
次回、そしてその次もデート回です!
そのお相手は誰なんでしょう!みなさん予想してみてください。
では、次回とその次回のデートをお楽しみください。もしかしたら、その次もデートかもしれませんよ。
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