おぎゅうが戻ってきて、学校でも家でも今まで通りの雰囲気だった。
「
「はぁ...。この前に課題ちゃんと終わらせとけって言ったろ?」
「だって、めんどくさかったから...。」
俺はしぶしぶながらもおぎゅうにノートを渡した。
「ありがと...主。」
おぎゅうが自分の席へと戻っていくと、肩をポンと叩かれ、そちらの方へと顔を向ける。
「やっぱり優しいな~私の
俺の幼馴染__
「うるせ。俺のことを襲おうとした奴が何言ってんだ。」
「うっ...。そ、それはまた別の話じゃない?」
「なにが別の話だ、まぁ現状もうしてこないからいいんだが。」
朝のHRのチャイムがなり、
☆ ☆ ☆
「あ...。弁当忘れた...。」
ポケットの中から財布を取り出し、小銭を確認する。
65円...。うまぁ棒5本しか買えねぇじゃねぇか。
困ったなぁ...。さすがに
おぎゅうは
そうなると...。
俺は教室の隅で集まってる女子グループの方を見る。
愛か...。くっ、行くしかねぇ。
俺はなるべく不自然にならないようにそこへと向かった。
大丈夫だ、俺なら大丈夫だ。だって謎に姉妹ができ、猫が人になり、家にJKが3人いるわけだ。
俺なら大丈夫だ。
そう心の中で唱え、いざ決心して話しかける。
「愛、弁当忘れたから__」
「うっさい黙って、たらし。」
愛の友達からそう言われて本気でへこんでしまった。
はぁ...。確かにそうか。周りから見たらそうだもんな。
教室から出て、一人でとぼとぼと歩く。
数歩歩くと、朝の時と同じように肩を再び叩かれる。
「またか...。愛だろ。」
「にしし、あたり。」
「ここじゃあれだから、屋上で話さない?」
俺は愛の提案に乗り、屋上で話すことにした。
屋上には誰もおらず、ただ風だけがここにいた。
ていうか、屋上には
「なぁ、愛。なんで屋上に行けたんだ?お前が鍵持ってたし...。」
「うーん、秘密。」
「...んで、話って?」
愛は屋上のフェンスに近づき、手をかける。
今...愛は何を考えてるのだろうか。
俺はつばを飲んだ。風と謎の緊張を感じる。
愛は俺の方へと振り返る。
「お金、貸してあげる。」
「...は?」
「いや、は?じゃなくて、言葉の通り。」
「いや、別にここで言わなくてもいいだろ!!」
俺が少し声を荒げると、愛は一歩引く。
「なによ、せっかく私が優しい気持ちで言ってあげたっていうのに。」
「まぁ、その言葉に甘えるがなぁ...。」
「よし、じゃあこれで貸し1ね!!」
「うん、ありがと。」
愛と共に屋上から離れ、食堂へと向かった。
俺らがそこに着いたときにはあまり人はいなかった。
恐らく食べるのが遅い人や、ずっと話してる陽キャならいた。
「んで、
「うーん...。」
上に貼られたメニューを眺める。
カレーうどん、焼肉弁当、そば、天ぷら...。
これは奢り...。自分の好きなものを食べてもいいはず。
愛の方へ視線を向ける。
「ん?」
うーむ、どうしよう。なんか
「もー、裕樹遅い~。遠慮しないでいいから~。」
くっ、そういうならやってやる...!
「なら、カレーうどんで。」
「はーい。」
愛はお代を出す。
愛は「席に座ってていいよ」といい、俺は言われたとおりに近くの席に座って愛を待った。
しばらくすると、愛がカレーうどんを持ってきてくれた。
「はい、お待ち。食堂特製のカレーうどんで~す。」
「ありがとう。」
箸を割り、いたたぎますをしてうどんを口に運ぶ。
自分がすする音と話し声が俺には聞こえていた。
「どう?美味しい?」
「あぁ、うまい。食堂のカレーうどんの味だ。」
「なに当たり前のこと言ってんのよ。」
愛から飯へと視線を戻す。
麺にはカレーの風味が染み込んでおり、ルーの濃い匂いが鼻から内部に進んでいく。
全身に染み渡る香り。
幼馴染からの奢りという罪悪感。
このふたつを噛みしめながら今日の昼食を食べる。
そう思いつつ、気づいたらもう完食していた。
「ふぅ、ご馳走様。」
箸を置き、カレーうどんの入っていた容器と共に指定の返納の場所に返す。
「幼馴染に払ってもらった罪悪感を感じつつ、食べきれてえらいえらい。」
そう言って愛は俺の頭の方に手を伸ばし、なでようとする。
「今度返す。必ず。」
俺は愛の手を振り払いつつ、そう言った。
食堂から出て、教室に向かう。
次の授業は数学だったっけ...。
「数学だよ。」
俺の思っていたことが分かっていたかのように愛は答える。
「そうか...。ありがと。ていうか、なんでお前俺の考えてることわかったんだ?」
愛と二人で並んで歩いていたが、この質問と同時に俺は動くのを止める。
愛は少し前に行き、止まった。
そして、こちらに振り向く。
「ふふ、秘密。強いて言うならサキュバスだから?」
愛は唇に指を当てながら言う。
愛はそう言うと、早足で教室へと向かっていった。
俺はその後ろ姿を今日の感謝と共に眺めていた。
ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
今回は愛回でした。
幼馴染としての優しさがサキュバスではなく、裕樹と同じ人としての優しさだったと思います。
では、また次回もお楽しみに~!