佐藤くんの大嫌い家族   作:痲歌論

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__認めてもらわなければ意味はない。


認められたい

「んにゃァァァァァーーーー!?!?」

朝の7時にとある化け猫の叫び声で起こされた。

原因は伊織(いおり)。朝っぱらから化け猫__おぎゅうの布団に入り、抱き枕のように抱きていた時、おぎゅうの急所に入り、強烈な朝のアラームが来たらしい(?)

今日も今日とて、佐藤家の朝は騒がしい。

 

☆ ☆ ☆

 

放課後。

コンピューター室に俺__佐藤裕樹(さとうひろき)と姉__伊織(いおり)と妹__砂亜菜(さあな)はいた。

そして何故か俺は椅子に座っている妖精(えるふ)の前で土下座をしていた。

それはなぜか。数時間前に遡る。

 

 

昼休み中に屋上で伊織と砂亜菜含めた3人で昼食を食べていた。

実は砂亜菜はまだ中学2年生である。だがなぜここにいるかと言うとこの学校は中高一貫校である。だが、高校の屋上に中学生は立ち入り禁止である。何故いるかは正直俺にもわからない。

「それで、今日の体育の持久走の時に男子が胸をよく見てきたのに気づいた時は冷や汗が止まらなかったよ〜」

「仕方ないよ、お姉ちゃんのそのたわわは男にとって欲望の塊だろうからね。ね、裕樹?」

「なぜ俺に聞く!?」

砂亜菜はいじわるな顔で俺に問いかける。

まるで悪魔のようだ。こいつ本当に天使なのか?

「悪魔みてぇな顔しやがって。本当に砂亜菜は天使なのか?初めて俺と会った時なんて俺の顔面蹴ったじゃねぇか。」

「はぁ!?なにアタシが悪いみたいな言い方してんのよ!あれはあんたがアタシのパンツ見たからでしょ!?」

前方不確認(ぜんぽうふかくにん)のお前が悪い。俺は決して悪くない。普通大丈夫か確認するために相手を見るだろ。」

「前をちゃんと見てなかったのはあんたもでしょ!」

「ちょ、ちょっと2人とも…落ち着いて。」

「「伊織(お姉ちゃん)は黙ってて!」」

その後も俺と砂亜菜は口喧嘩を続けていた。

伊織は時々止めに来るも、すぐに弁当を食べることに戻ってしまう。

そんな中、静かにこの会話を聞いている者がいた。

「まったく…うるさいな。ヘッドフォン越しでも聞こえるんだけど。」

周りを見ても声の主はいない。

「どこ見てんの裕樹。上だよ上。」

言葉の通りに上を見ると、そこには白い翼の生えた人がいた。

この人も…天使なのか?つか、なんで俺の名前知ってんだ?

「あー!!エルちゃん!お久しぶり!!」

「だから…砂亜菜が一番うるさいんだけど…。」

“エルちゃん”と呼ばれた人が地に足をつける。

最初は太陽のせいで顔がよく見えなかったが、降り立った時、俺は絶句した。

「よっ、裕樹。まさか友達が天使だとは思わなかったでしょ。」

彼女の名は、いや間違えた。彼は五十鈴妖精(いすずえるふ)。高校に入学してから知り合ったが、彼が天使だとは一切知らなかった。

後で大輔にも……

「ちょっと裕樹。大輔(だいすけ)には確認はしないで。唯一僕が天使だって知ってるのはこの2人と裕樹の3人だけなんだから。」

あれ、今思考読まれた?

「わ、わかった。俺たち以外の人には秘密にしておくよ。」

「ところで…」

妖精が腕を組み、プルプルと震える。小便漏れそうなのかな。

「なんでここに中学生が立ち入っている!!」

「「「すみませんでしたー!!」」」

 

そして現在に至る。

俺たち3人は妖精の前で土下座をしている。

妖精は風紀委員会副会長に務めており、1年フロアの風紀をほぼ完璧に保っている。

「まぁ、今回は初めてだから多めに見るけど次からは本当に怒るからね。」

「す、すみませんでした…」

砂亜菜が深々と頭を下げる。それを見て、俺と伊織も同じように頭を下げる。

「それじゃあ、もう各教室に戻っていいよ。その代わり砂亜菜は気をつけてね。高校生のフロアに中学生がいるなんて、先生に見つかったらめんどくさいし。」

「た、確かに…でも、見つからずになんて難しくない?」

「だったら…君のお兄さんについて行ってもらった方がいいんじゃないかな?妹が高校フロアに来ていたので、しっかりと帰るように送ってますって裕樹が言えばどうにかなるんじゃない?ね、裕樹?」

「なんで俺に押し付け__」

「ね?裕樹?」

「はい、わかりました…。」

妖精ってこんな怖かったっけ…。

俺たち3人は立ち上がり、コンピューター室を出ようとした時に妖精が思い出したかのように言った。

「そういえば伊織、砂亜菜。2人ともさ、裕樹に自分たちが天使かってちゃんと思われてる?」

そう問われると、2人は黙っている。

確かに俺も2人は家に住み込む姉妹と名乗っている2人(姉妹と認めたくない)と思っている。

天使らしいことを俺にしたのは、砂亜菜の治療くらいだ。

「天使は天使として、しっかり認めてもらう。それは父上に教えてもらわなかった?それに、君たちは特殊で裕樹と婚約する予定なんだから。今は姉妹として、次は恋人として、その次は妻として。そして、天使として認めてもらわなければ意味はない。認められることで僕たちの存在意義が達成される。」

“婚約”という言葉を聞いて、俺は耳を疑った。

伊織と砂亜菜に真実か問いかけるも、2人は首を横に振らない。

「裕樹、君は………いや、これはまだ言わないでおこう。」

「それ言わないならさっきの婚約の話も言わないで!!」

砂亜菜が顔を赤くしながらも素早くツッコミを入れる。だけど、その顔は姉妹でなく女の子としての顔に近いものだった。

 

俺は2人を姉妹として見ることから初め、次に恋人として見なければならないと言うのか。

先程の言葉を嘘とは思えない。

だが、今のところ。俺が2人をどう思ってるかと言うと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ話しかけてくるだけの女の子たちなんだ。

仲良くしようって意思が伝わってくる。俺もそれに応えようとする気持ちはある。

だけど、俺は…姉妹以上の関係を持たなければいけないのか……………。

 




ご読了ありがとうございます。
作者の塩ボウズです。
私の事情の関係で、投稿が遅れてしまいました。
申し訳ございません。恐らく、この作品は今年の12月に入ると同時に投稿が一時“中止”してしまいます。
完全に終了ではありません。ですが、これらのことをご理解の上作品を楽しんでくれると、誠にありがたいです。
では次回もお楽しみに。
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